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2016/01/05

プリンスの一番ディープなファンク・アルバム

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プリンスの今までのアルバムの中で一番好きなのが『ワン・ナイト・アローン…ライヴ!』三枚目の『アフターショウ』。もちろんライヴ録音なんだけど、これはどうもタイトル通り、ライヴ本編の後(アフターショウ)に、ファンの前でヒッソリと行われ録音されたものらしい。

『ワン・ナイト・アローン…ライヴ!』三枚組が出るまでは、プリンスで一番好きなアルバムは『サイン・オ・ザ・タイムズ』で、その次が『パレード』だった。そして『ワン・ナイト・アローン…ライヴ!』はプリンス初の公式ライヴ盤にして、今でも唯一。いや 待てよ、『インディゴ・ナイツ』があったな。

曲単位なら、三枚組ベスト盤『ヒッツ&Bサイズ』の一枚目に、一曲だけライヴ録音の「ナッシング・コンペアーズ 2 U」が入っていた。あれは、シネイド・オコーナーに提供した曲のプリンス自身によるヴァージョン。

ブックレットをよく見ていないので、何年頃のライヴ録音かは分らない。
『ヒッツ&Bサイズ』は1993年リリースだから、その前、おそらく90年代初期の録音じゃないかと思う。プリンス&ニュー・パワー・ジェネレイション名義になっているし。「ナッシング・コンペアーズ 2 U」は、曲単位では一番好きなプリンスなのだ。他人に書いた曲だけど。

「ナッシング・コンペアーズ 2 U」、実を言うと、シネイド・オコーナーのオリジナル・ヴァージョンはそんなに好きではない。まあ女性が歌う曲だという気はするけれども、僕は『ヒッツ&Bサイズ』収録のプリンス・ヴァージョンの方が圧倒的に好き。あれ、シングル盤とかで出せばいいのに。

ところで、あの『ヒッツ&Bサイズ』三枚組。目玉はもちろんシングルB面曲を集めた三枚目だろう。僕もあれをよく聴く。二枚目は殆ど聴いたことがない。「KISS」のエクステンディッド・ヴァージョンが聴ける程度だし。で、一枚目は「ナッシング・コンペアーズ 2 U」のためだけに聴く。

僕が最初に聴いたプリンスは、ご多分に漏れず大学生の時の『パープル・レイン』だった。でもそれは僕が買ったレコードではなく、ロック好きの弟(こればっかりだが)が買ってきたものを、僕も借りて聴いていたのだった。ラストのタイトル曲含め繰返し聴いた。

その頃、マイルス・デイヴィスがプリンスのことをえらく誉めていて(まだ彼がワーナーに移籍する前で、プリンスとの交流もまだなかったはずの頃)、特に「パープル・レイン」という曲は、自分も吹いてみたいと発言していたことがあるのを憶えている。確かにあの頃のマイルスには似合いそうな曲だよね。

プリンスは、その後これも弟が買ってきた『パレード』を聴いて、これで完全にプリンスにはまった。ジャケットも好きだったし、元は映画音楽だけど、純粋に音楽として聴いていて、これが麻薬的に素晴しかった。だから、次作の『サイン・オ・ザ・タイムズ』は自分で買った。

一曲目のタイトル・ナンバーがエイズのことを取りあげた曲だったんだけど、そんな社会派的な歌詞なのに曲調は軽快なファンク・ナンバーで、スムースに聴けるものだった。これにはじまる一枚目A面を繰返し繰返し聴いたのだった。それと二枚目A面。実は今でもそれ以外の面はあまり熱心に聴いていない。

何度か書いているようにLP時代は二枚組偏愛だった僕は、やはりこれがしばらくはプリンスの最高傑作だと思っていたし、今でもスタジオ作品ではこれこそがプリンスのベストだと信じている。他にも傑作アルバムはあるけど、これを越えていないような。

スタジオ作品では、というのも、2002年に『ワン・ナイト・アローン…ライヴ!』が出て、最初に書いたようにこれの三枚目『アフターショウ』が物凄いディープなファンクで、ライヴでもスタジオでも、これ以上のプリンスの音楽はないと確信するようになったからだ。殿下も凄いけど、バンドもいいね。

実を言うと『ワン・ナイト・アローン…ライヴ!』も、一枚目と二枚目の本編は、そんなに何度も繰返しては聴いていないんだなあ。とにかく三枚目の『アフターショウ』を一度聴いて虜になってしまって以後は、もうこればっかりだ。『アフターショウ』は、ファンカーとしてのプリンスの特徴が剥き出しになっている。

後になって買って聴いた、『パープル・レイン』以前の作品とか聴くと、デビュー時のプリンスはポップ・ミュージシャンみたいな感じで、殆どファンクな感じはしない。『パープル・レイン』でもそんな感じはまだない。おそらくレコードでは『パレード』と『サイン・オ・ザ・タイムズ』以後じゃないかな。

DVD作品とかで、その当時のプリンスのライヴ・ステージを聴くと、ライヴでの彼はファンカーというよりロッカーという趣が強くて、『サイン・オ・ザ・タイムズ』の「ハウスクエイク」とか「ドロシー・パーカー」みたいなのが大好きな僕には、もっとブラック・ファンクな面を出してくれと思っていた。

だいたいプリンスという人、ジェイムズ・ブラウン的な要素はもちろんあるんだけど、黒人ファンカーでは、どっちかというとスライからの影響の方が強い音楽家で、さらに白人であるジョニ・ミッチェルの影響などもあって、真っ黒けというより、白黒混交のブラック・ロックみたいな側面の強い人ではある。

スタジオ作品では、その後も『ラヴセクシー』とか『ブラック・アルバム』とか『カム』みたいなセクシーなファンク路線のアルバムがあって、そういうのは僕は大好き。三枚組の『イマンシペイション』も黒人音楽的な側面が強くて好き。プリンスにそういうものを求めてしまうのは、やや違う気もするけど。

僕のプリンス観がそういうものだから、『ワン・ナイト・アローン…ライヴ!』三枚目の『アフターショウ』には、本当に快哉を叫んだね。これこそが求めていたプリンス・ミュージックだった。あの三枚目には、一曲だけPファンクの総帥ジョージ・クリントンも参加している。どうってことないけどね。

ジョージ・クリントンはじめ、その他ゲストの入る三曲目までは、僕はなんとなく聴いている。真っ黒けで大好きではあるけど、『アフターショウ』の本領はプリンスとバンドだけの演奏になる四曲目以後だ。ドラムスとベースがヘヴィーなファンク・ビートを繰出す中で、プリンスのギターも歌も弾けている。

全曲ズルズルと繋がっているというソウル〜ファンクのライヴ・マナーに則っているんだけど、四曲目が終って引続き五曲目の「アルファベット・ストリート」をギターでカッティングし始める辺りは、何度聴いてもゾクゾクする。「アルファベット・ストリート」もスタジオ版よりグッとファンク度が増している。

六曲目の「ピーチ(エクステンディッド・ジャム)」は、テンポを落し、グッと重心の低いヘヴィーなファンクになっている。『アフターショウ』の中で一番長い11分ある演奏で、これがおそらくこのアルバムのハイライトだろう。二本のアルト(一人はメイシオ・パーカー)+トロンボーンのリフもいい。

七曲目のお馴染み「ドロシー・パーカー」では、ラテン・ファンクなアレンジになっていて、プリンスはエレピを弾いている模様。『サイン・オ・ザ・タイムズ』収録のオリジナル・ヴァージョンにはないリズム・ブレイクがあって、それが魅力的で面白い。コンガのソロもあるというラテン風。

その「ドロシー・パーカー」の中盤以後、アクースティック・ピアノの音でソロを弾いているのが、プリンスなのかレナート・ネトなのかはちょっと分らない。その中盤以後、テンポをアップして、ビート感も強いファンク・ナンバーになる。後半に入るホーン・リフは、完全に自然発生的なもののようだね。

続くラストの「ガールズ&ボーイズ」は、アカペラの歌から始って、ピアノ・ソロ〜ギター・カッティングと続く辺りで、ヘヴィーなファンク調に変貌する。ここでのホーン・リフもプリンスが口で指示して即座に即興的に吹かせたもの。その他プリンスのギター・カッティングがサウンドを下支えしている。

若干エレピを弾いたりはするものの、この『アフターショウ』全般にわたって、プリンスの弾くギターがいろんな意味でバンドのサウンドを支配していることが分る。(エレピもそうだけど)本当にギターが上手いよね。そして、こういうディープなファンク・ミュージックこそ、プリンスの最も魅力的な姿だ。

殿下のギター&ヴォーカル、レナート・ネトのキーボード、ロンダ・スミスのベース、ジョン・ブラックウェルのドラムス、メイシオ・パーカーとキャンディー・ダルファーのアルト、グレッグ・ボイヤーのトロンボーンと、バンドの面々も最高の演奏だし、僕はこれ以上に凄いプリンスは聴いたことがないね。

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