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2016/03/30

Pファンクとザッパ〜最高のギター・ミュージック二つ

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Pファンクもフランク・ザッパも僕は分っているとは言えないし、同種の意見も全く見掛けないから今まで遠慮して言ってこなかったんだけど、ファンカデリックの「マゴット・ブレイン」とザッパの「ウォーターメロン・イン・イースター・ヘイ」ってちょっと似ているような気が前からしている。

「マゴット・ブレイン」https://www.youtube.com/watch?v=JOKn33-q4Ao
「ウォーターメロン・イン・イースター・ヘイ」https://www.youtube.com/watch?v=nUja5B8ei2U

ファンカデリックの「マゴット・ブレイン」のオリジナル・スタジオ録音は1971年。一方ザッパの「ウォーターメロン・イン・イースター・ヘイ」の『ジョーのガレージ』収録のオリジナル録音が1979年。両者とも両曲をその後のライヴで何度も繰返し演奏し録音もされアルバム収録もされている。

この二曲が似ているというのはちょっと聴いた感じだけのことで、まずギターのアルペジオからはじまって、それに乗って主役のギタリストがソロを弾きまくるギター・インストルメンタルだということだけだから、まあ見当違いの意見なんだろう。曲調も音楽の種類としてもさほど近いとは言えないしなあ。

オリジナル録音のリリースは「ウォーターメロン・イン・イースター・ヘイ」より「マゴット・ブレイン」の方が八年早いとはいえ、レコード・デビューはザッパの方がファンカデリックより少しだけ先だ。『フリーク・アウト』が1966年、『ファンカデリック』が70年だから。

もっともこれはレコード上だけの話であって、音楽活動ということならザッパは1960年代初頭からプロとして稼ぐようになっているし、ザ・パーラメンツは50年代末に活動をはじめているらしいから、ジョージ・クリントンの方が先なんだろう。むろん両者とも最初期キャリアは判然としないけれど。

だからいわゆるPファンクとザッパとどっちがどっちに影響を与えたとかいうことは軽々しくは言えない。ジョージ・クリントンもザッパもほぼ同時代に音楽活動をはじめているわけで、おそらく互いの音楽を聴いてはいただろう。そして僕にはこの両者の音楽性は本質的に近いものがあったと思うんだ。

音楽的巨象軍団を率いたカリスマ的ボスという点ではジョージ・クリントンもザッパもほぼ同じだし、そのなんというか分りやすい言葉ではっきりと表現しにくいんだけど、混沌とした極めて濃密な音世界を構築したという点でも非常に近いような気がするんだよねえ。こんなのは僕だけの妄想なんだろうか?

実を言うとこれは東京は下北沢のレコード・ショップ、フラッシュ・ディスク・ランチ店主の椿正雄さんが、以前なにかの記事(記憶ではPファンク関係だったような)で、ジョージ・クリントンとザッパを並べていたことがあって、それを読んで以来僕はこういう考えを持つようになったわけなのだ。椿さんはほんの少ししか触れていなかったけれど。

その時に椿さんは、ザッパはギター・ヴァチュオーゾでもあったけれど、ジョージ・クリントンの方はなにか楽器ができるという話も聞かないし歌が特別上手いわけでもないし、彼のリーダーシップとはどういうものなのかと書いていた。確かにジョージ・クリントンがどうやってあの軍団を音楽的にまとめていたのか分りにくい。

でもなんだか音楽の本質において、Pファンクとザッパに近いものがあるはずという僕のこれは非常に漠然とした妄想なんだろうけど、両者の音楽を聴いていると確実に感じることなんだよなあ。それで思い立ってネットで調べまくったんだけど、やはりそういう意見は日本語でも英語でも全く出てこない。

なんだかはっきりとした言葉で説明できないのがもどかしい。でも最初に書いた「マゴット・ブレイン」と「ウォーターメロン・イン・イースター・ヘイ」をよく聴き比べてほしい。前者はPファンクの、後者はザッパの、僕のなかでの個人的最高傑作曲なんだよね。この意見なら肯いていただけるかもしれない。

ファンカデリックやパーラメント・ファンカデリックによるライヴの「マゴット・ブレイン」は実にたくさんあって面白いものが多い。個人的に一番凄いんじゃないかと思っているのは、エディ・ヘイゼルとマイケル・ハンプトンが絡み合う1983年のもの。
言うまでもなく1971年オリジナルのギタリストはエディ・ヘイゼル。そしてなかなか凄い78年『ワン・ネイション・アンダー・ア・グルーヴ』付属EP収録ヴァージョンではマイケル・ハンプトン。貼った83年ヴァージョンではこの二人が順番に弾いて、後半で両者がグチャグチャに絡み合う。

この1983年の「マゴット・ブレイン」はCDなどにはなっていないようだから、僕はYouTubeからダウンロードしてiTunesに取込み、他のいろんなヴァージョンと一緒にCDRに焼いて楽しんでいる。CDで持っている「マゴット・ブレイン」は四つだけで、他は全部ダウンロードしたもの。

一方フランク・ザッパも「ウォーターメロン・イン・イースター・ヘイ」をライヴで繰返し演奏し録音しアルバム収録もしている。僕の持っているのは『ジョーのガレージ』のと1988年『ギター』のと96年『フランク・ザッパ・プレイズ・ザ・ミュージック・オヴ・フランク・ザッパ』の三つだけ。

それら三つのうち後者二つが何年のライヴ録音なのかは調べてみないとちょっと分らないけれど、おそらく1980年代なんじゃないかなあ。詳細が分らないなりに、それでも音だけ聴けば大変楽しめる素晴しいものだ。フランク・ザッパのギターって最高に上手いよねえ。

ザッパのエレキ・ギター・プレイが大好きなもんだから、彼のギターだけをたっぷり聴ける前述の『プレイズ・ザ・ミュージック・オヴ・フランク・ザッパ』や『シャット・アップ・ン・プレイ・ヨー・ギター』やその続編や『ギター』や、そういうアルバムは大の愛聴盤・大好物で繰返し聴いている。

そうやって「マゴット・ブレイン」と「ウォーターメロン・イン・イースター・ヘイ」という二つのギター・インストルメンタルを何度も繰返し愛聴していると、やはりこの二つはどうも相通じるところがあるように思えてならない。影響関係とかではなくなにかこう両者の音楽性の本質的類似性とでもいうのかな。

ファンカデリックの「マゴット・ブレイン」はどういう事情でできあがった曲なのかは詳しいことは知らないし、コンポーザー名にはエディ・ヘイゼルとジョージ・クリントンの二人がクレジットされているから、ひょっとしてエディのアイデアだったのかもなあ。ともかくファンカデリックのアンセムみたいなもんだよね。

ザッパの「ウォーターメロン・イースター・ヘイ」の『ジョーのガレージ』ヴァージョンは、この世に存在するありとあらゆる全ギター・ミュージックのなかでひょっとしたら最も美しいものなんじゃないかとすら思っている。何度も繰返しているようにファズの効いた歪んだ音の方が美しいと感じる性分の僕だけど、これだけは例外。

『ジョーのガレージ』では同曲がクライマックスなんだけど、そこに至るまでのロック・オペラとしての文脈があって、そこまでを聴きながらそれを知った上で聴くと泣かずには聴けないような「イマジナリー・ギター・ソロ」なのだ。ライヴでは文脈なしでこれだけ単独で演奏しているからそれでいいんだろう。

「マゴット・ブレイン」と「ウォーターメロン・イン・イースター・ヘイ」が、ギター・アルペジオに乗って弾きまくるインストルメンタルであるという点以外での、はっきりした共通性を僕は明快に説明できないけれど、なにか似ている、彼らの音楽性に相通じるものがあるはずという印象は確かなものだ。

そして以前指摘した通り(http://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-0f67.html)、Pファンクとフランク・ザッパの音楽的祖先はデューク・エリントン楽団だ。もちろん両者ともエリントンには言及していないはずだし影響を受けたフシもないけれど、なにか音楽的に通底するものがあるように思えるんだなあ。

ちなみに「マゴット・ブレイン」は他人によるカヴァーも多く、サンタナも繰返しやっているし、パール・ジャムですらやっているくらいなんだけど、「ウォーターメロン・イン・イースター・ヘイ」の方は、息子ドゥウィージル以外他の人がカヴァーしているものは少ないようで、ちょっぴり残念な気分。

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