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2017/02/02

アンプリファイド・ハープ第一号?〜スヌーキー・プライアー

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過小評価されているブルーズ・マンの一人にスヌーキー・プライアーがいる。一般にブルーズ・ハープをアンプリファイしたのはリトル・ウォルターだと考えられているかもしれないが、スヌーキーの方がずっと早くにアンプリファイド・ハープを吹いているんだよね。

リトル・ウォルターの有名な「ジューク」。もちろんアンプリファイド・ハープだが、これは1952年録音で、マディ・ウォーターズらが伴奏を務めている。リトル・ウォルター最大の代表作の一つとみなされていて、『ザ・ベスト・オヴ・リトル・ウォルター』に収録されているので、誰でも簡単に聴くことができる傑作インストルメンタル・ブルーズだ。
ところがこのリトル・ウォルターの「ジューク」は、その四年も前の1948年にスヌーキー・プライアーが録音した「ブギ」そのまんまなのだ。これはパクリなのか、引き写しなのか、ともかくそのまんま。スヌーキーの「ブギ」の方はヴォーカル入りで、伴奏はムーディー・ジョーンズのエレキ・ギターのみ。ちょっとご紹介しよう。
ミシシッピ生まれのスヌーキー・プライアー。第二次大戦終了直後の1945年にシカゴのマックスウェル・ストリートでブルーズ・ハープを演奏するようになった。自身の発言によればその頃既にアンプリファイしていたという話だが、まあこれはそのまま額面通りに受け取っていいのかどうか分らない。

がともかく、スヌーキー・プライアーがシカゴの戦後ブルーズ・シーンにおいて、最も早く活動を開始した人物の一人であったことは間違いない。そしてアンプリファイド・ハープを吹いた(おそらく)最も早いなかの一人であったことも疑えない。録音物で辿る限り、スヌーキーによるアンプリファイド・ハープが聴ける最も早いものは、ベイビー・フェイス・リロイ名義の録音「マイ・ハート・キャント・レスト・エニイモア」で、1949年 JOB 録音。
スヌーキー・プライアーの JOB 録音集といえば、小出斉さん編纂・解説で P ヴァインから『ブギ・トウィスト・ザ・JOB・セッションズ 1949 - late50s』という一枚物 CD がリリースされていて、僕の愛聴盤の一つなんだけど、これには「マイ・ハート・キャント・レスト・エニイモア」が収録されていない。ブルーズ・ハープ史における最重要曲なのになあ。スヌーキーのリーダー名義録音ではないからだろうが、もったいない。

同じレーベルの録音なんだし、入れておいてくれてもよかったんじゃないですか、小出さん?ともかくスヌーキー・プライアー自身が「アンプリファイド・ハープは俺が最初にやりだしたんだ、俺の発明なんだ」と豪語しているのは、そのまんま受け取るわけにはいかないが、少なくとも最初のなかの一人で、最重要人物であることに疑いの余地はない。

あぁ、それなのに、例えばリトル・ウォルターの評価の高さと(ブルーズ・ファンのあいだでだけの?)人気の高さに比べたら 、スヌーキー・プライアーを話題にして、その功績を評価する文章って少ないよなあ。録音物で辿る限りでは、遅くとも1949年にはブルーズ・ハープをアンプリファイしていたスヌーキー。リトル・ウォルターの初アンプリファイド・ハープ録音は51年だからね。

JOB 録音で聴くスヌーキー・プライアーは、ヴォーカルの方はどうってことないような感じで、まあでもかすれ声でレイジーに歌うあたりにブルージーな雰囲気はある。でもやっぱりこの人はブルーズ・ハープ・プレイを聴くべき音楽家だなあ。彼のブルーズ・ハープ・スタイルの最大の影響源はライス・ミラー、別名サニー・ボーイ・ウィリアムスン II 世だ。

しかし、ジョン・リー・ウィリアムスンこと サニー・ボーイ・ウィリアムスン I 世の方からの影響も明らかに聴き取れる。上述の P ヴァイン盤『ブギ・トウィスト・ザ・JOB・セッションズ 1949 - late50s』なら、一曲目「ブーギ・フール」、二曲目「レイジン・サンド」という二曲の1949年録音など、それが顕著だ。

四曲目の「アイム・ゲッティング・タイアド」など、まさに曲名通り、引きずるようなレイジーなフィーリングのブルーズ・ハープとヴォーカルと、サイド・ギター(ムーディー・ジョーンズ)で雰囲気満点。南部的でダウン・ホームな1950年代シカゴ・ブルーズという感じで、いいなあこれ。
P ヴァイン盤『ブギ・トウィスト・ザ・JOB・セッションズ 1949 - late50s』には一曲だけインストルメンタル・ブルーズもある。10曲目の「ハープ・インストルメンタル」というなんの芸もないタイトルだが、中身はなかなかいい。スヌーキーのアンプリファイド・ハープだけに集中してたっぷり味わいたい時にはピッタリ。聴こえるピアノはサニーランド・スリム。
ところで P ヴァイン盤『ブギ・トウィスト・ザ・JOB・セッションズ 1949 - late50s』でもそうだし、それ以外のポーラ盤などでもそうなんだけど、スヌーキー・プライアーの録音には「ブギ・なんちゃら」とか「なんちゃら・ブギ」とかいう曲名が多く、また曲題がそうなっていなくてもリズム・パターンがブギ・ウギであるものばかり。もうそれしかないんじゃないかと思うほどだ。

これは当たり前の話ではあって、1940年代末から50年代いっぱいにかけてシカゴで活躍したスヌーキー・プライアーだから、ブギ・ウギのパターンが抜きがたいものになっているのは納得できる。がしかしここまで「ブギ」という言葉とリズム・パターン一本槍だったのは、ブギ・ウギ・ピアニストではないハーピストとしては、彼だけじゃないかなあ。

ハーピストとしてはというか、ブギ・ウギ・ピアニストではない1950年代ブルーズ・マンなら、ここまでブギばっかりという人っているのかなあ?ちょっと僕は思い当たらないんだけど、まあでも JOB 録音集などでスヌーキー・プライアーのブルーズ・ハープを聴いていると、ブギ・ウギ・パターンの上にしゃくり上げるようなフレイジングを吹いていて、聴き応えがある。

そんなスヌーキーのしゃくり上げるようなブギ・ウギ・シャッフル・ブルーズの最高傑作が、P ヴァイン盤『ブギ・トウィスト・ザ・JOB・セッションズ 1949 - late50s』ラストの20曲目「ブギ・トウィスト」。アルバム・タイトルに持ってきているんだから、やはりこれが代表曲なんだろう。
出だしのベンド音からしてたまらないスヌーキー・プライアーのブルーズ・ハープ。そしてヴォーカル。ブギ・ウギ・パターンでシャッフルするリズム・セクション、サウンドの厚みと弾力性などなど、1950年代(としか録音時期が判明していないのが残念極まりない)シカゴ・ブルーズ最高作の一つじゃないかな。

それが証拠に P ヴァイン盤アンソロジー『シカゴ・ブルースの25年』(現行 CD では三枚組)には、スヌーキーではこの「ブギ・トウィスト」だけが選ばれて収録されているもんね(その解説文には1962年録音とあるが?)。粘りつくようなリズムとアンプリファイド・ハープのサウンドとフレイジング。最高じゃないだろうか。

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