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2017/03/04

岩佐美咲で涙そうそう

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詳しいことは明日書こう。今日は単刀直入に。岩佐美咲の「涙そうそう (アコースティック・バージョン)」がヤバい。ヤバすぎる。昨2016年11月に発売されたセカンド・アルバム『美咲めぐり 〜第1章〜 限定盤』のラストに収録されているもので、パッケージやブックレットのどこにも記載はないが、岩佐自身がアクースティック・ギターを弾いている模様。

その「涙そうそう (アコースティック・バージョン)」を聴いて、僕は感動のあまり大泣きしてしまったのだ。いや、あれは音楽を聴いての通常の感動とかいうものではないのかな、僕自身のなかに前からあるなんらかの感情を掻き立てられて、たまらなくなって、10分以上、 大声をあげて肩を震わせ鼻水まで垂らしながらボロボロに泣いてしまったのだ。涙が溢れ出て止まらないので、ティッシュでは追いつかず大判のタオルが必要だった。2017年2月26日午前9時半過ぎのこと。

音楽を聴いて泣くのか泣かないのかという点だけでいえば、僕は涙腺が緩く実によく泣く人間で(恥)、ちょっとでも感動的だとウルウルしちゃうんだけど、でも普通はいつも目頭が熱くなるとか、ホロリとくるとか、ジワっと滲み出るとか、その程度のことであって、上で書いたような具合に部屋のなかでボロボロに大泣きしたのは、54年の人生で初だ。音楽だろうと他のなんだろうと初めて。

これははっきり言って怖ろしい。岩佐美咲という歌手がもう怖ろしいし、「涙そうそう」という曲も怖ろしい。こんな力を持った曲だったのか。岩佐美咲はこの曲の持つそんな力を剥き出しにして伝え聴かせてくれた。聴いているこっちが涙そうそうになってしまうじゃないか。

いま僕はこの文章を岩佐美咲の「涙そうそう (アコースティック・バージョン)」を聴き返しながら書いているのではない。そんなことをしたらまた大泣きしてしまうのは必定で、なにもできなくなってしまう。上で書いた10分以上もボロ泣きした時だって、気持を立て直して日常生活に戻るのに一時間かかってしまったのだ。だからいま僕は岩佐美咲の別のものを聴きながら書いているのだが、その「涙そうそう (アコースティック・バージョン)」は頭のなかでしっかり鳴っている。

岩佐美咲自身、「涙そうそう」を CD アルバムに収録するのは、今回が初めてではない。2013年のファースト・アルバム『リクエスト・カバーズ』の九曲目にある。それはアクースティック・ヴァージョンではなく、いろんな楽器が伴奏で入っているもの。流麗なストリングスの響きも美しいし、シンセサイザーもコンピューターを使った打ち込みもあ。一応(たぶん岩佐が弾くのではない)アクースティック・ギターのサウンドも聴こえるが、それはあまり目立たない。

歌自体は『リクエスト・カバーズ』ヴァージョンでも『美咲めぐり 〜第1章〜 限定盤』ヴァージョンでも大きな違いはない。声質なんかはほぼなにも変っていないし(うんまあ少し違うけれど)、歌い廻しのフレイジングもさほど違わない。どちらのヴァージョンでも岩佐美咲はごくごく素直にストレートに旋律を歌っている。

それがいいと僕は思うんだよね。「涙そうそう」は歌詞を書いた森山良子も、曲を書いた BEGIN も当然歌っているし、夏川りみのヴァージョンなんかも有名で、その他誰がカヴァーしているだなんて一つ一つ指摘できないほど、実に多くの歌手が歌っているものだ。どれもそれなりに感動的だけど、岩佐美咲の『美咲めぐり 〜第1章〜 限定盤』ヴァージョンを聴いたら、これこそが決定版だと確信するに至った。

夏川りみのヴァージョンがおそらく最も知られている「涙そうそう」なんだろう。その他いっぱいある他の歌手のヴァージョンでもそうだけど、やや力みが聴かれるんだよね。曲の旋律もコード進行も歌詞も、元から泣かせようと創られたような曲だし、それをどうにか伝えよう伝えようとして、みんな歌に力が入りすぎている。それでも曲がいいから充分聴けるし泣けるだろう、普通はね。

でも岩佐美咲の、特にアクースティック・ヴァージョンの「涙そうそう」にはそんな力みが全くない。極めてストレートに素直に、原曲をスッと軽く歌っているのだ。その歌手しか持っていない独自のヴォーカル個性みたいなものを無理矢理押し付けるような部分が微塵もない。それがない代わりに、原曲が最初から持っている<曲の味・個性>をそのまま表現してくれるので、その方が曲の特長は伝わりやすいんだよね。

そんな岩佐美咲の、強く個性的でないような(←いい意味ですから)素直な歌い口、ストレートな発声と節廻しは、例えば今日話題にしている「涙そうそう」にしろ、2013年の『リクエスト・カバーズ』ヴァージョンから既に同じだった。「涙そうそう」だけじゃなく他の曲でもほぼ完璧に同じなのだが、それは明日書くつもりなので。

つまり岩佐美咲は元からそんな持味の歌手なんだね。いや、ホント詳しくは明日書くことにして、今日は最大級の感動、というか衝撃ですらあった「涙そうそう (アコースティック・バージョン)」のことに限定するけれど、岩佐のそんな素直でストレートな歌い方が、この曲の、元から泣けるようなものだという<曲本来の>持味をダイレクトに僕に伝えてくれたんだよね。こういう人こそが理想的歌手なんじゃないのかな。

『美咲めぐり 〜第1章〜 限定盤』収録の「涙そうそう (アコースティック・バージョン)」は伴奏がシンプルなのも効果的。まず岩佐美咲の弾くアクースティック・ギターだけに乗って自ら歌う。次いでたぶんシンセサイザーで出しているだろうストリングスがかなり控え目に入ってきたかと思うと、ヴァイオリンのオブリガートが入る。僕の涙腺が大崩壊したのは、そのヴァイオリンが聴こえはじめた瞬間だ。

岩佐美咲は特別なにか創意工夫を凝らして、ここをこうやって感動させてやろうと歌っているような部分、すなわち力みは聴き取れない。「涙そうそう」原曲のメロディをそのまま素直に歌っているだけだ。しかし岩佐の声のキュートなチャーミングさ、それにくわえて明言しておかなくちゃいけないが、芯のある声の力強さで、旋律と歌詞をフェイクせずそのまま歌い、つまり<歌の本質的魅力>を伝えてくれている。それだからこそ、僕の涙腺が大崩壊しちゃったんだよね。これが逆に歌手独自の個性を押し付けるような歌い方だとそんなには泣けないし、実際いままでどんな「涙そうそう」を聴いても、僕は泣いてこなかった。

そして岩佐美咲の「涙そうそう (アコースティック・バージョン)」では、間奏に入る直前、2コーラス目終盤の「きっといつか会えると信じ生きていく」と歌う部分では、歌詞通り前向きの肯定感が声に聴き取れる。そこまでは素直でチャーミングな声だったのが、その部分だけ、節廻しはなにも変えていないのに、声の音にだけ前向きの強さが感じられる。そういう部分は、岩佐のヴァージョンでも2013年の『リクエスト・カバーズ』収録のものでは聴けなかった。三年間でかなり上達しているんだよね。

しかも書いたようにかなりシンプルな伴奏とアレンジで歌っている。特に最初は岩佐美咲自身の弾くアクースティック・ギターだけだし、その後も伴奏に派手さは全くなくかなり素朴なサウンドなのだ。『リクエスト・カバーズ』ヴァージョンでは、もうちょっとだけ賑やかさがあった。それがなくこんなにシンプルな伴奏だけでここまで歌えるなんて、しかもそれが54歳のオッサンの涙腺を完膚なきまでに崩壊させるなんて、なんという実力の歌手なのか、岩佐美咲は。

いやいや、アンタ、「涙そうそう」は最初からそういう曲だろうが、誰が歌ったってそうなるじゃないか、実際そう仕上っているじゃないかとおっしゃる方が間違いなく大勢いらっしゃると思う。しかし僕は断言したい。『美咲めぐり 〜第1章〜 限定盤 』収録の岩佐美咲のアクースティック・ヴァージョン以上の「涙そうそう」は、この世に存在しないぞ。少なくともボロ泣するほどの感動を与えてくれた岩佐のアクースティック・ヴァージョンが、僕にとっては最高の「涙そうそう」だ。岩佐美咲って、どうやらそんな歌手みたいなんだよね。

ちょっと一回聴いてさえもらえれば、岩佐美咲の「涙そうそう (アコースティック・バージョン)」がどれほど素晴らしいものなのか、岩佐がどれほど素晴らしい歌手なのか、間違いなく全員に分っていただけるはずなんだけど。う〜ん、この一曲だけなんとかなりませんかねえ、徳間ジャパンさん?

そのヴァージョンをご紹介したい気持でいっぱいなのだが、それはいろんな関係でできないんだなあ、たぶん。ちょっと YouTube で探したけれど、岩佐美咲によるものはどんなヴァージョンであれアップロードされていないみたいだ。これは残念極まりない。しかもですね、「涙そうそう (アコースティック・バージョン)」は、セカンド・アルバム『美咲めぐり 〜第1章〜』でも、通常盤の方には収録されていない。初回限定盤だけのボーナス・トラックなのだ。

徳間ジャパンさん、これはあまりにもったいないんじゃないでしょうか?こんなに素晴らしい「涙そうそう」は聴いたことがないっていうのにさぁ。普通の、例えばシングル盤 CD などで発売するべきじゃないでしょうか?

その際には(おそらく同じ時の収録であろう)やはり岩佐美咲自身がギターを弾く「なごり雪 (アコースティック・バージョン)」(シングル盤『鯖街道 通常盤』)や、あるいは岩佐によるいろんなカヴァー曲のなかでも特段の出来栄えである「20歳のめぐり逢い」(シングル盤『初酒 生産限定盤』)なども同時収録したらどうでしょうか?極上の一枚になること請け合いだと思うのですが。

岩佐美咲は自身の Twitterアカウントを持っていて、最近はアクースティック・ギターを抱えていたり弾いていたりするような写真をよくアップしている。ヴォーカルの力量はずっと前から分っていたことだろうけれど、「涙そうそう」「なごり雪」二曲のアクースティック・ヴァージョンを聴くと、ギターの腕もなかなかいい。ヴォーカルはもちろんぐんぐん上達しているようだし、同じく上手くなっているギターでの弾き語りでいろんな曲を歌ってほしい。

とにかく一回聴いたら、どんな人間の涙腺でも崩壊させてしまうのでヤバすぎる、岩佐美咲の「涙そうそう (アコースティック・バージョン)」。いまのところは『美咲めぐり 〜第1章〜 限定盤』にしか収録されておらず、これでしか聴けない。このアルバムを買うしかないぞ、みんな!

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