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2017/04/24

プリンスのキャッチーなヒット・ポップ・チューンお気に入り三曲

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またプリンスについて書こうと思うのだが、いつもいつも嘆いているようにこの人の音源はネットの音楽共有サイトにほぼ存在できず、ご紹介できない。プリンス本人が生前 YouTube などでの音源共有を許さなかったので、死後もたぶん遺族とレーベルがそれを引き継いでいるんだろう。僕のブログ記事はほぼ全て、文中で言及している曲関連で可能な限り YouTube 音源を紹介しながら書いていく、それを聴いていただいて納得してもらうという、言ってみれば書き手としての責任を放棄した投げ槍スタイルなわけだ。

そうしなきゃ、音を文章化する能力なんて、僕の場合、極めて大きな疑問符が付いているわけだから、言葉で説明するだけで読み手のみなさんを説得できる自信が全くない。YouTube などにない音源で文中で使いたいものは、したがって全部自分でアップロードする僕。2017年4月19日(にいま書いている)時点で132個ある僕の YouTube チャンネルの音源は、当ブログをはじめて以後、これだけが動機でファイルを作成しアップロードしている。

そんでもって自分でアップロードした YouTube 音源のリンクを貼りながら自分で書いてブログに上げた自分の文章を読みながら、Mac の前で一人悦に入っているという、なんとも気持悪い人間なんだよね。僕ってまるであれだ、泉の水面に映る自分の姿を眺めてウットリし惚れて離れることができなくなり、死んでしまったという、ギリシア神話のナルキッソスみたいじゃん。気色悪っ!まぁ同時に多くの誤記や事実誤認が見つかって、冷や汗も出ていますけれども。

とにかくプリンスの音源を YouTube にアップロードできるようにしてもらいたい。(生前の)プリンスは「YouTube 側だけが儲かる仕組になっていて、音楽家本人には一円も行かないから」と言っていた。だから(自分じゃなくいろんな新進若手音楽家の)CD が売れないだろうってことで許さなかったんだろう。でもねえ、これは逆だよ。フリーでどんどん流して聴けた方が CD が売れるのは間違いない。プリンス(側)はここを誤解している。

「自分のバンドの音楽を YouTube で全部タダでどんどん流してしまうのをどう思うのか?」と聞かれたローリング・ストーンズのミック・ジャガーは、「問題ない。だってさ、聴いてみていい曲かどうか分らなかったら買えないだろう?僕たちは10代の頃、ラジオでいい曲が流れるとカセットテープに録って、それをなんどもなんども聴いてからレコード買いに行ってたぜ」と言っていた。マトモな発想だ。タダで試聴できた方が正規品 CD(や LP や配信) が売れるのだという事実、ミックは分っているが、プリンス(側)は分っていない。

CDショップ店頭にだって試聴機があって、売りたい話題盤なんかが複数枚それに入っていて聴けるじゃないか(場合によってはブート・ショップでだって)。タダで一枚丸ごと(を聴いた経験は僕はないが)ね。むかしアナログ・レコードでもできた。レコード・ショップ店頭で、もちろん一円もかからず、レコードを試聴できたぜ。いまの YouTube は同じようなもんじゃないか。中身の想像が全くつかないのにどんどん飛び込んでいくなんてのは、変態的熱狂音楽キチガイだけ。それは世の中の音楽好きのごくごく一部でしかない。そしてそんな人はもうたいていみんなプリンスの CD は持っている。大勢の知らない人は買えないよ、プリンス(の関係者)さん!

文句垂れはここまでにして、今日書きたいプリンスはポップなヒット・チューンについて。以前書いたように、ポップ・スターみたいだったプリンスがディープなファンカーのようになるのが、まず『パレード』から。僕はここからのプリンスこそ一番好きで、それ以前の彼はイマイチだったのだが、最近は『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』(サイケデリック!)までのポップ(なロッカー)なプリンスも本当に大好きになってきた。

デビュー作1978年の『フォー・ユー』(は案外それ以後のアルバムよりも同時代性があって、ある意味新しいかも)から、メガ・ヒット作84年の『パープル・レイン』を経て、その次作85年の『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』までの七作には、キャッチーで明快なポップ・チューンがたくさんある。なかでもいまの僕が特にこれが大好きでたまらない!というのが三曲。「リトル・レッド・コーヴェット」(『1999』)「テイク・ミー・ウィズ・U」(パープル・レイン』)「ラズベリー・ベレー」(『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』)。

もちろん他にもいっぱいあって、特にシャカ・カーンがカヴァーした「アイ・フィール・フォー・ユー」(『プリンス』aka『愛のペガサス』)とか、シンディ・ローパーがカヴァーしたオールディーズ・ポップ風の「ウェン・ユー・ワー・マイン」(『ダーティ・マインド』)とかもいいよねえ。でもあれらは彼女たちのヴァージョンの方がよりキュートで、僕は作者本人のものより好き。前者のハーモニカはスティーヴィ・ワンダーだよ。
ちょっと周辺事情を付記しておくと、「アイ・フィール・フォー・ユー」が収録されているアルバム『プリンス』がリリースされた1979年には、マイケル・ジャクスンのエピック移籍第一作『オフ・ザ・ウォール』が出ている。あれからマイケルは爆発的ウルトラ・スーパー・スターになって、知らぬ人のいない存在になった。僕はといえば、以前書いたようにその前のモータウン時代の方がずっとキュートでチャーミングだと思うけれどね。しかし二人とももうこの世にいないのか…。
また「ウェン・ユー・ワー・マイン」のカヴァーが入っているシンディ・ローパーの1983年のアルバム『シーズ・ソー・アンユージュアル』は、マイルズ・デイヴィスが晩年最も愛した曲「タイム・アフター・タイム」のオリジナルがあるので個人的に忘れられない一枚だ。しかしそれとは関係なく、全体的にオールディーズ・ポップ風な側面を打ち出した作品だったよね。僕は最初マイルズ関係なく買って、結構好きでよく聴いていた。

シンディにかんしては、最近、例の2011.3.11の際に来日した時の対応で見直してファンになりなおして、こういう人こそ本当に「大衆の」音楽家だと尊敬するようになった。あの時、避難の意味で帰国する人が多かったのだが、シンディはこういう時こそ私たちが日本のみなさんのために歌わなくちゃいけないのよと言って日本ツアーを続行した。その様子は緊急でネット生中継されて僕も視聴した。シンディ独りがマウンテン・ダルシマー(に見えたが?)で弾き語る「タイム・アフター・タイム」は感動的だったなあ。

ちょっと横道だった。ファンカーに変貌する前までのプリンスの楽曲のなかで、現在の僕が最も好きなキャッチーなポップ・チューン三曲「リトル・レッド・コーヴェット」「テイク・ミー・ウィズ・U」「ラズベリー・ベレー」。「リトル・レッド・コーヴェット」は、もちろんクルマのことだが、アメリカ大衆音楽におけるクルマ(や馬)は女性のメタファーで、しばしばセクシャルなニュアンスを伴う。

だがしかしそんな曲「リトル・レッド・コーヴェット」を聴いても、プリンスのいつものお得意分野であるドスケベ・エロエロ路線ではない。その正反対にサラリとキャッチーで、セックスへの「直接的な」言及はなく、松山市在住の熱狂的プリンス・ファンの女性(いつも言及してゴメンね)も、子供と一緒にだって聴けるんじゃないですかね?どうですか?今夜あたり聴いてみては?

なんたってあの「り〜るれっこ〜ゔぇっ!」っていうリピートされるフックがキャッチーなことこの上ないもんね。あれがあるからポップさが極まっていて、聴いていて楽しい。さらに、まず最初シンセサイザー(薄いドラム・マシンの音もあるが)のサウンドだけに乗ってプリンスが歌いはじめ、一節歌うと本格的にドラムス(は打ち込み)が入ってきてビートが効きはじめ、キメのフックをコーラスしたり、エレキ・ギターを弾いたり 〜 このパターンはプリンス常套の創り方。

といっても僕の最も好きなプリンス・ポップの他の二曲「テイク・ミー・ウィズ・U」と「ラズベリー・ベレー」はこのお馴染パターンではない。前者ではまずドラマーのスネアとタム連打(とシンセサイザー)から入っている。ストリングス(は生の弦楽器に聴こえるが?)もある。後者も打ち込みドラムス・サウンドがドンドン鳴っている最中にプリンスが「ワン!トゥー!、ワン!トゥー!スリー!」と叫び、ストリングス(はやはりシンセか?)のサウンドも入ってきて、歌いはじめる。

「リトル・レッド・コーヴェット」「テイク・ミー・ウィズ・U」「ラズベリー・ベレー」三曲とも、僕が一番好きなのは、三曲ともそのまま曲題になっているキメのフック部分を女性サイド・ヴォーカリストとハモったりユニゾンで一緒に歌う部分。それは「リトル・レッド・コーヴェット」ではリサとデズ、「テイク・ミー・ウィズ・U」ではアポロニア、「ラズベリー・ベレー」ではウェンディとリサであってる?

「り〜るれっこ〜ゔぇっ!」のことは書いたけれど、「ていくみ〜うぃじゅっ!」も「ら〜ずべりべれっ!」の女性バック・ヴォーカル陣とのコーラスもすんごくキャッチーでポップ。そして僕がこれら三曲が本当にカワイイなと思うもう一つの理由は、これら三つともティーネイジ・ロマンスを歌った内容だからだ(「リトル・レッド・コーヴェット」はセクシーなニュアンスがあるが)。プリンスって、あんなドエロ路線があったかと思うとこんな純朴な少年っぽい内容もあったりして、振れ幅が大きいね。まあ当たり前にみんなそうだが。

そしてそれら三曲の大好きなポップ・チューンのなかでも、今年2017年に入った頃からの僕が最も愛好し、最も頻繁に繰返し聴くのが『パープル・レイン』の「一緒に連れてってぇ」なんだよね。なんてキュートなんだろう。歌詞も曲調もアレンジもサウンドもリズムも、全部最高にポップだしノレるし踊れるし、文句なしだなあ。かなり小さい音でチョロッと刻んで入るアクースティック・ギターも効果的だ(プリンスやストーンズはよくやる手)。

「どこへ行こうとかまわない、なにをしようとかまわないからさ、ただ君と一晩一緒に過ごしたいだけなんだ、だから一緒に連れてってぇ〜」と歌うプリンスとアポロニア。これは、ミック・ジャガーが歌うローリング・ストーンズの「レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー」にかなり似ているね。夜を一緒に過ごそうよは、しかしストーンズもプリンスも、ピュアでイノセントなんかじゃなくて、やっぱり R-18 じゃないか。

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