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2017/04/19

ドリフターズをちょっとだけよ

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僕にとっては「ルビー・ベイビー」の人たちであるドリフターズ。例のアトランティック・ジャズの CD 五枚組ボックス・アンソロジー 『オマージュ・ア・ネスヒ』のラストに、隠しトラックとしてそのオリジナル・ヴァージョンの「ルビー・ベイビー」が収録されているくらいだもんなあ。あくまでアトランティックのジャズ部門責任者だったネスヒ・アーティガンへのオマージュ・アルバムで、ジャズ曲ばかり並んでいるのに、ラストに、それもどこにも全く記載のない隠しトラックとしてドリフターズのそれを収録しているのはどうしてなんだろう?

そのあたりのアトランティックの深謀遠慮というか意味合いは僕には分らないが、ドリフターズといえば「ルビー・ベイビー」だという僕の気持は、なにもその『オマージュ・ア・ネスヒ』で聴いてはじまったものではない。まずこの曲を知ったのは、ロック好きのみなさんなら多い例だと思うのだがドナルド・フェイゲンの『ザ・ナイトフライ』でカヴァーされていたからだ。それが最初のきっかけで、曲を書いたジェリー・リーバー&マイク・ストーラーのソングライター・コンビを追いかけるようになり、最初に歌ったドリフターズのことも知った。

といっても、日本にもいかりや長介らのあのザ・ドリフターズがあって、同じ名前なので紛らわしい(ので、表記の際はいつもどうするか迷って、僕の場合いかりや長介のグループの方にだけ「ザ」を付けている)のだが、そもそもこの日本の音楽コント集団だって、アメリカのヴォーカル・コーラス・グループからそのまま名前を拝借したんだそうだ。日本語でネット検索する際は困るんだよね。

それほど一時期は日本でも知名度があって大人気だったってことだよね。そういえば僕の嫌いな越路吹雪まで「ラスト・ダンスは私に」を歌っていたよなあ。大学生の頃深夜の FM ラジオ番組で聴いた。確か二時間程度の特番で、越路のライヴ・コンサートの模様(あるいはレコード?)を録音放送したのだった。いまではひどい歌手だなと確信しているが、あの頃はなかなかいいじゃんと聴えていたのだった。だいたい日本語で歌う日本の女性シャンソン歌手は…(以下略)。

とにかくそれくらい一時期の、というかある世代の日本人にも(アメリカの)ドリフターズはよく知られていたんだなあ。だから僕はその世代ではないけれど、ラジオ番組などでなんとなく耳にすることがあったかもしれない。がやはり意識するようになったのは、アメリカ黒人音楽を熱心に聴くようになってからで、いろいろと知ると、どうも1950年代後半〜60年代初頭あたりでは最も人気のあった黒人ヴォーカル・グループで、避けて通れない人たちみたいだ。

それなのに僕の持つドリフターズ名義の単独盤 CD はたったの一枚。ワーナーが2005年にリリースした『ダンス・ウィズ・ミー:ザ・ドリフターズ・コレクション』で1954〜66年までの録音セレクション全20曲。たったこれだけなのかよ、僕の持っているドリフターズは。ダメだなあ。CD で五枚組くらいのボックスがあるようで、それでだいたいの姿が分るみたいなので、そのうち買おうっと。

ドリフターズの場合、現在でも存続しているらしいのだが、メンバー交代があまりにも激しくて原型を全くとどめていないので、もはや(あの頃の)ドリフターズと(名前だけ)同じものだとは誰一人認識していないはず。このグループ名でヒットを飛ばし、ドゥー・ワップ〜リズム&ブルーズ〜ソウル界のヴォーカル・コーラス・グループとして輝いていたのは、大雑把に言って二つの時期。クライド・マクファター時代とベン・E ・キング時代だ。

クライド・マクファター時代はさほど商業的に成功しなかったらしい。ベン・E ・キング時代である1958〜60年(とその後数年間)こそが、ドリフターズが最も成功した時期だ。元々ドリフターズはクライド・マクファターのバック・コーラス・グループとして結成されたのが最初で、マクファター時代にも「マニー・ハニー」「サッチ・ア・ナイト」「ハニー・ラヴ」などは売れた。特に「マニー・ハニー」はカヴァーしている人が多く、なかでもエルヴィス・プレスリーが歌ったので、ロック・スタンダードみたいになっている。

これはいかにも1956年頃のエルヴィスが歌いそうな、歌ったらピッタリ似合いそうな曲だよねえ。クライド・マクファター時代のドリフターズは、僕の持つ『ダンス・ウィズ・ミー:ザ・ドリフターズ・コレクション』に「サッチ・ア・ナイト」一曲だけが収録されている。マクファターってかなりピッチの高いテナー・ヴォイスだから、なに一つ知らなかった僕は、女性歌手が客演しているんだと勘違いしていたくらい。

さて最初に書いたように僕(だけじゃないはず)の一番好きなドリフターズ・ナンバーである「ルビー・ベイビー」は、『ダンス・ウィズ・ミー:ザ・ドリフターズ・コレクション』にも収録されているが、これは1955年のレコードなので、54年に脱退したクライド・マクファターはおらず、しかも58年にベン・E ・キングが加入する前だ。誰がリード・シンガーなのかというとジョニー・ムーアなんだよね。これも売れた。
同じくジョニー・ムーアがリードをとる「フールズ・フォール・イン・ラヴ」もヒットしたようで、僕の持つ『ダンス・ウィズ・ミー:ザ・ドリフターズ・コレクション』にも収録されている1956年のレコード。この曲と「ルビー・ベイビー」、そして(クライド・マクファター時代の)「マニー・ハニー」と(ベン・E ・キング時代の)「ゼア・ゴーズ・マイ・ベイビー」については、ライノがリリースした例の『ザ・ドゥー・ワップ・ボックス』でも僕は持っている。

あの『ザ・ドゥー・ワップ・ボックス』。CD で四枚組が全三巻もあって、合計再生時間が12時間を超えるので、絶対に全部まとめてなんか聴けない。一巻たりとも一度もそんな聴き方をしたことがない。そもそも7インチ・シングルしか存在しない世界で、フランク・ザッパや山下達郎みたいにそれを収集する気などない僕は、CD アンソロジーでは最も充実しているそのボックス三巻を買いはしたものの…。まあちょこちょこと曲単位で取り出して聴いてはいる。

ベン・E・キング時代のドリフターズ。キングはドリフターズに加入してからこそ初めて名前が知られるようになった歌手だ(けど、いまではたぶん「スタンド・バイ・ミー」のイメージが最も強いはずだ、一般には、ジョン・レノンのおかげで)。キングが加入した際に、ドリフターズのマネイジャー、ジョージ・トレッドウェル(がグループ名の使用権利を保有)がメンバー全員を総取替えしてしまったらしい。キング時代以後もそんなことが続いている。

ベン・E ・キング時代にドリフターズが大ヒットを連発したのは間違いないことなので、僕の持つアンソロジー『ダンス・ウィズ・ミー:ザ・ドリフターズ・コレクション』でもその時期の曲が一番たくさん収録されている。アルバム名にもなっている「ダンス・ウィズ・ミー」(1959)や、その他「ゼア・ゴーズ・マイ・ベイビー」(59)「ディス・マジック・モーメント」(59)「ラスト・ダンスは私に」(60)などなど。音源を貼っておこう。

「ダンス・ウィズ・ミー」https://www.youtube.com/watch?v=iH9idecrBkQ
「ゼア・ゴーズ・マイ・ベイビー」https://www.youtube.com/watch?v=ehFWRG5gHyI
「ディス・マジック・モーメント」https://www.youtube.com/watch?v=bacBKKgc4Uo
「ラスト・ダンスは私に」https://www.youtube.com/watch?v=n-XQ26KePUQ

こんな魅力的な歌をチャーミングに歌ったベン・E ・キング(ホント、独立後の「スタンド・バイ・ミー」以外も聴いてください)とドリフターズ。この1958〜60年こそがこの人たちが最も輝いていた時期に間違いない。しかし60年5月にキングが脱退するものの、その後はどうでもいい、聴かなくていいのかというと、そんなことは全くないもんね。なんたってキャロル・キング&ジェリー・ゴフィンのソングライター・コンビが書いてドリフターズが歌った「アップ・オン・ザ・ルーフ」は1962年のアトランティック盤レコードだからなあ。僕は大好きなんだよね、あの曲。僕の持つ『ダンス・ウィズ・ミー:ザ・ドリフターズ・コレクション』にもあるよ。
泣けるなあ、この曲。いろんな意味で(というかはっきり言うと歌詞だが)。彼女自身も歌ったが、そもそもは自分のために書いたのではないキャロル・キングの曲では一番好きだ。実際いろんな音楽家が、フュージョン・バンドのスタッフまでもが「アップ・オン・ザ・ルーフ」をカヴァーしているのは、作者自身のものもさることながら、やっぱりドリフターズ・ヴァージョンの魅力じゃないかなあ。

さてさてしかし僕の持つワーナー盤アンソロジー『ダンス・ウィズ・ミー:ザ・ドリフターズ・コレクション』は1966年の曲まで収録されているにもかかわらず、どっちもかなりヒットした63年の「オン・ブロードウェイ」と64年の「アンダー・ザ・ボードウォーク」がどうしてだか収録されていない。この二曲さえ収録されていればさほど大きな文句を言わないで済むのだが。う〜ん、まあそもそもたった20曲収録の超簡便な一枚物だけしか持っていない僕が悪いのではある。

「オン・ブロードウェイ」https://www.youtube.com/watch?v=yPYRtjxYEH8
「アンダー・ザ・ボードウォーク」https://www.youtube.com/watch?v=EPEqRMVnZNU

それはそうと「オン・ブロードウェイ」のリード・シンガーはルディ・ルイスみたいだが、1962年の「アップ・オン・ザ・ルーフ」と64年の「アンダー・ザ・ボードウォーク」のリードを誰が歌っているのか知らない無知な僕に、どなたか教えてください。

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コメント

としまさん、こんばんは
ドリフターズは芸歴が長くセルフ・カヴァーも何回かしているみたいですが、
自分の持っているCDによると「アップ・オン・ザ・ルーフ」は62年6月28日録音リードはルディ・ルイス
「アンダー・ザ・ボードウォーク」は64年5月21日録音リードはジョニー・ムーアとなっています。多分オリジナルだと思いますが。

えすぺらんささん、教えてくださってありがとうございます。助かりました。僕もそのうち、そのあたりがちゃんとしっかり書いてあるドリフターズのアルバムを買うつもりです。

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