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2017/06/14

山本リンダ現象

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と呼んでいいものがあるように思うんだけどね。違うかなあ?どなたかが「山本リンダ現象」という言い方をしていたのをチラ見したようなぼんやりした記憶があって、しかし完全に忘れてしまい、どういう文章だったのかもはや記憶がない。だから言葉だけ拝借して、僕なりの考えを書いておきたい。

僕の言う山本リンダ現象とは、要するに<アクション歌謡>ということなんだ。僕のハジレコ、すなわち初めてのレコード(=初めての女)が山本リンダ1972年の「どうにもとまらない」だったのはなんども繰返している。個人的初体験云々はどうでもいいとして、この一曲で日本歌謡史の流れが変わったところがあるんじゃないかと思うのだ。曲というよりも、正確にはテレビの歌番組などで歌い踊る山本リンダのあの姿、ありようが変えたのだ。

山本リンダの初ヒットは1966年の「こまっちゃうナ」(遠藤実)だけど、これはいわゆるカマトト路線。舌ったらずで可愛い子ちゃんを演じているものだった。これも僕はテレビで観聞きしていた幼少時分の記憶がはっきりあるのだが、66年だと僕は四歳だなあ。だから発売時のリアルタイムではなかったんだろう。

最近思うところあって買った山本リンダのベスト盤 CD(だって全部シングル曲だからベスト盤一枚で充分)で聴きなおすと、「こまっちゃうナ」もこれはこれでかなり面白いように55歳現在の僕には聴こえる。実際これがかなりヒットして年末の NHK『紅白歌合戦』にも初出場したようだ(がその記憶はない)。

だけれども日本中に大旋風を巻き起こすのは、やはりガラリ180度イメチェンして、セクシーなアダルト・シンガー路線に転向しての第一作、1972年の「どうにもとまらない」だったよなあ。当時僕は10歳。衝撃だった、テレビ番組で、あのヘソ出しルックで激しく踊り狂いながら歌う山本リンダの姿が。10歳の小学生にあのセクシーさが理解できたとは到底思えないので、なんだか分らないがとにかくすごく面白い、おかしいとか、そんな感じ方だったんだろう。

だからドーナツ盤を当時買って、いまも CD を買って持っているけれど、ああいったアクション歌謡は「音」だけ聴いていても面白さは伝わりにくいと思うんだよね。いや、CD でいま聴きなおしていて、音だけでもかなり楽しいのだが、それだけでは僕の記憶も蘇らないし、日本歌謡史上で山本リンダが成し遂げたものも分らないと思う。ので、ちょっと一つご紹介しておこう。例えばこの「どうにもとまらない」を。
どうですこれ?1972年だからねえ。山本リンダも派手だが、同じくらい派手なラテン・コスチュームに身をつつみ激しくコンガを叩きまくっているのが、ラテン・パーカッショニストにしてバンド・リーダーのダン池田。ダン池田とニューブリードは、僕の世代の歌番組ファンには決して忘れられない名前だ。このラテンなリズムはどうだろう?ラテン・リズムを賑やかに使ったアクション歌謡。こういうのが少し後のピンク・レディーや、またその後のモーニング娘。(特に最高傑作1999年の「LOVEマシーン」)などなどへつながったように思う。最初にやってみせたのが山本リンダ。ひょっとして、現在までも秋元康がプロデュースするガール・ポップ・グループも?

しかしこの YouTube 動画での「どうにもとまらない」は、音楽だけ取り出すと、オリジナル・シングル・ヴァージョンの方がもっと凄いんだぞ。特にラテン・リズムと、それを表現するために使われているパーカッション群がね。シングル・ヴァージョン(はたぶんご紹介できないんだろう)では、まず打楽器だけの激しい乱れ打ちではじまる。山本リンダがワン・コーラス歌い終わってからの中間部にも打楽器オンリーの派手なアンサンブル・パートがある。歌詞はモロあれのことしか歌っていない。1972年によくこんなものを堂々と歌えたもんだ。しかも「こまっちゃうナ」の人だったのが。あまりにも扇情的。

「どうにもとまらない」がとんでもない大ヒットになったので、その後、山本リンダは続々と同系統のシングルを発売し(全て阿久悠&都倉俊一コンビ)、テレビの歌番組に出演してはセクシーないでたちで情熱的に激しく踊り狂いながらセックスのことばかり歌い、日本中のお茶の間を、まさに「困っちゃう」ようなことにしてしまったのだ。1970年代前半の僕んちもその一つ。僕が食い入るように、まさに食いつかんばかりに見つめていたら、いきなりチャンネルを親に替えられたりしたもんなあ。わっはっは。

しかしセックスのことなんか知るわけもない小学生の僕でも、あんな山本リンダの姿に夢中になって、親にいきなりチャンネルを廻されても(そう、むかしは廻したんです、チャンネルは、テレビもラジオも)まったくめげず山本リンダを追いかけて、歌番組をどんどん見まくっていた。そっか、僕の年上女好きドスケベ症はあの頃に養われたものだったのか…。とにかく、歌ばかりでなくああいった振り付けを憶えて、以前から言うように小学校の教室の後ろとか、場合によっては学校のプール・サイドや、遠足で出かけた先などでも、そのまんま披露していた。歌い踊っていたのだ、クラスメイト相手に。みんな笑っていたけれど、なかには「弟子入りしたい」などとワケの分らないことを言い出すヤツもいたんだよ。

僕の一番の得意レパートリーだったのが「どうにもとまらない」ではなく、1973年の「狙いうち」。うらら〜、うらら〜、というあの歌がメチャメチャ印象的で、これこそ僕が一番真似していたリンダ・レパートリーだったのは、僕が就職してから松山であった小学校の同窓会でも、僕の顔を見るなり「戸嶋、うらら〜、うらら〜」と言いながら近づいてきたドイくん(漢字で書くことはできない)がいたことでもはっきり分る。しかしこの曲もセックスのことしか歌ってないなあ。11歳がそのまんま歌っていたなんて…。この曲は当時の映像が見つからないから、現在のものを貼っておく。リンダさん、ご活躍中ですから。振り付けは同じだ。こういうのを真似していたんです、僕は。
また八代亜紀&藤あや子二名がカヴァーするのも見つかったので、すごく短いけれど、ご紹介しておく。僕の場合藤あや子さんはそうでもないんだけど、八代亜紀さんはど真ん中直球ストライク僕好みの年上女性なのだ。
山本リンダは、1973年12月リリースの「きりきり舞い」(はやや地味だが)がオリコン28位だったあたりを最後にヒットを飛ばせなくなって、その後も同路線のセクシー・ダンス・チューンがあるものの売れなくて、忘れられていくようになった。「こまっちゃうナ」の純情路線に戻ったかのようなものすらある。個人的には<初めての女>ですがゆえ〜、忘れられるわけもなく、踊りの振り付けはもはや瞬時に披露することができなくなっているものの、歌い踊るあのセクシーさと、そしていまではこっちの方が強く印象に残るラテン・リズムの活用(スペインの闘牛風フラメンコ調も一つある)は、いまでも非常に強く染みついている。

山本リンダ本人はヒットを出せなくなって忘れられたもの、その後の日本歌謡界ではこの手のアクション歌謡路線がすっかり定着し、1976年に「ペッパー警部」でレコード・デビューしたピンク・レディーもこの種の世界の申し子だったと言えるはず。この二人は80年に解散するが、それまでヒットを飛ばしまくった、なんてもんじゃなく、やはり日本の大衆音楽界で絶大な影響力を持った(いまでも持っている?)。その他いちいち例を挙げていると枚挙にいとまがないほど多いじゃないか。

すると、そんなアクション歌謡の第一号みたいだった山本リンダが日本歌謡史で果たした役割を、もっと大きく再評価してもいいんじゃないだろうか?しかもですね、リンダは「こまっちゃうナ」のカマトト路線で松田聖子をも先取りしていたわけだよ。僕がいま持っているリンダのベスト盤のラスト13曲目には、テクノ/ハウスにリミックスした「NERAI-UTI」が収録されている。やったのが DARK MATTER PROJECT って、誰だこれ?そういや、近田春夫もなにか一曲、リンダをとりあげていたよねえ。ピンク・レディーのベスト盤も同時に買ったんだけど、いま聴きかえすと、リンダの方が面白い。決して<初めての女>だったからという思い入れだけで言っているわけではないつもり。

全盛期のピンク・レディーとか、おニャン子クラブとか、いっときのモーニング娘。(やぐっちゃん=矢口真里さんが在籍した頃は僕も熱心に応援していた)とか、あるいは最近の AKB48やその他のガール・グループがお好きなみなさん!どうですか?1972/73年の山本リンダは?

最後に。やぐっちゃん(矢口真里さん)をそろそろ本格復帰させてあげてもいいんじゃないだろうか?例の不倫騒動の件で完全に干されてしまって、その後ちょっとでもテレビ番組に出演すると、途端に「あんな不倫女をテレビに出演させるとはナニゴトですか!?」などとのクレームが殺到するらしい。そんなご清潔な倫理観を振り回すのが一番汚らしいんだぞ。日本中みんなご立派になりくさりやがって。僕はやぐっちゃんのあのちょっとセクシーで、そして明るい笑顔を見たいんだ。

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コメント

伊勢佐木町で40年前あいました
わたしも小倉の生まれです

リンダさんの生ステージをごらんになったんですね。うらやましいかぎりです。

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