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2017/07/27

プリンスってニッチ?

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(いま耳が聴こえにくいので音楽の細かいことが分らないシリーズ 5)

少し前に発売されたプリンスの『パープル・レイン』拡大盤。僕はもちろん問答無用で四枚組の方を買ったのだが、届いたそれを聴いて(いまではない、いまは耳が聴こえない、届いてすぐ聴いたころの記憶)、結局、二枚目までで十分というか、それで完璧なかたちになるのだという結論に達し、iTunes では二枚目までを一つにしたプレイリストをつくってある。よしっ、僕、えらいっ!と思ってアマゾンで改めて見てみたら、まさにそうなっている二枚組を売っているじゃないか。な〜んだ、僕、アホやっ!

『パープル・レイン』の拡大盤については、耳がちゃんと聴こえるようになったらまた聴きなおし、しっかり書いてみたい。書きたいことがあるんだよね。

我慢できないからちょっとだけ先走ると、二枚目の未発表集一曲目「ザ・ダンス・エレクトリック」は完璧なファンク・チューンで、しかもそのグルーヴ、ノリは僕の大好きな『パレード』B 面トップの「マウンテンズ」にクリソツ。スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「スタンド!」からの影響である終盤のキー&リズム・チェンジは、「ザ・ダンス・エレクトリック」のほうにはないものの、11分以上もあって、快感が持続して最高なんだよね。しかもなんだかタマ(西アフリカのトーキング・ドラム)みたいな音が聴こえるぞ。

この未発表集一曲目が「お、これええよ、としまさん買いなさい」と、なかなか『パープル・レイン』拡大盤を買おうとしない僕にハッパをかけてくれた、二児の母である松山市在住の熱狂的プリンス・マニアの方に感謝します。しかし彼女の耳はやっぱりちゃんとしてるよなあ、さすがはプリンス狂じゃないかと感心してしまった。失礼な言い方になってしまったが。

ここまでぜんぶ記憶に頼って書いた。あぁ〜、早く耳聴こえるようにならないかな!

そんなわけでまだ耳があまりよく聴こえないので、『パープル・レイン』拡大盤についてではなく、その松山市在住の女性プリンス狂の方が以前から繰返している、こっちはやっぱりちょっとどうなんだ?と思うことについて、このあとちょっとだけ書いておこう。ごめんな。決して否定したいとか悪口言いたいとかではないんやで。ちょっとどうなん?と思うだけ。それを言いたいだけなんや。分ってくれ。

その女性に言わせればプリンスは「ニッチ」だということになるらしい。みなさんご存知のとおり、ニッチって隙間産業、小規模分野ってこと(もとは建築物にあるくぼみの意)。ってことはプリンスが好きで聴く、どんどん買うなんていう人間はそんなにたくさんはいない、どっちかというと少数派で、プリンスは決して大人気のスーパー・スターではない、ジャンジャン売れまくっているわけではないちょっとした日陰の存在的な音楽家 〜 こういうことになってしまうよなあ。

あぁ、しかしこう書いてみて、さすがにその松山市の女性もこんなふうにプリンスのことを捉えて「ニッチ」だと言っているんじゃないんだと、いま初めて気がついてしまった^^;;。なんて鈍感な僕…。だってプリンスがアメリカでも他国でも、もちろん日本でも、これだけ売れまくっている大人気音楽家で大金持ちで、マジョリティ側の人間で、決して小規模産業なんかじゃないということを、いくらなんでも捉えそこなっているとは絶対に考えられない。分っているはずだ。

ってことは、今日はもうこれ以下の文章は書かなくてもよくなったなあ。困った。まあいいや。頭のなかにあることをやっぱり綴っておこう。

思い出すのは僕が東京都立大学の英文学研究室の助手として勤務していた三年間(1988〜1990)のこと。そのころ、僕は薄給なのに、勤務が終ると後輩大学院生をなんにんも引き連れて、行きつけのとんかつ屋へ行き、全員にとんかつ定食の一番値段の高いやつとビール(僕は下戸なので飲まず、後輩だけ)を奢り、ぜんぶ奢ってやっているんだからというんじゃなく、僕は単なるおしゃべり好きで、誰かを相手にすぐ単独講演会を開催してしまうタチの人間なので、英文学を中心にいろんなことについて、僕だけがペラペラとウンチクを垂れまくっていた。

しかし、あの(東急東横線都立大学駅前にあった)とんかつ屋での講演会。間違いなく毎週、というか場合によっては二日に一回程度もやっていたんだけど、ホントどこにそんなお金があったんだろう?本当に毎回毎回全員に奢っていたけれど、不思議だ。いまでもそうだけど、僕は誰かなにかをする、食事を奢ったりなにかをプレゼントしたりなどなど、どんどんしてしまう人間で、やることじたいが自分の快感なだけだから、相手がそれで喜ぶどうかなどはまったく眼中になく、だからましてやリターンなんかぜんぜん求めない。そんな発想じたいが頭のなかにない人間なのが僕。

しかしホントあれ、毎週数回も、不思議だなあ。当時の僕(は東京都の公務員)がもらっていた月給なんて、確か20万円あったかなかったか程度だったはずだ。それで自分は自分のレコード(や CD)をどんどん買い、そして本職である英文学作品や研究書も買いまくっていた。まあ英語の原書は、研究職にある人間だからということで、都立大学の英文学研究室に出入りしていた取次の丸善に丸ごと全部借金していたんだろうなあ。出世払いみたいなことで。

その上でどんどん大勢に奢りまくるって、マジでどこからそんなお金が出てきていたのか、いま振り返ってもサッパリ理解不能だ。単にお山の大将的なことを気取っていい気分になっていたんだろうけれどね。

プリンスとは無関係な廻り道に入ってしまった。そのとんかつ屋での食事会という体裁の講演会だけど、たまに二人とか三人程度になることもあって、あるとき大学院在学中の後輩女性と二人でとんかつを食べることになり、その女性(ニシダさん)は英文学徒にしてアマチュア・ヴォーカリストでもあるので音楽の話になって、1980年代末だから当時人気のあったマイケル・ジャクスンやマドンナや、その他いろんな英語圏の歌手のことをしゃべり、そしてとうとう話がプリンスに及んだのだった。

するとその後輩女性は、プリンスなんて大嫌いです、すごく気持悪いんです、まるで爬虫類みたいじゃないですか!?と、僕が大のプリンス好きであると言っているにもかかわらず、そう言い放ってしまったのだ。あのとき初めて、そっかぁ〜、人によってはあの感じは爬虫類的気持悪さに見えてしまうんだな、特に女性にとってはそうかも?と認識した。

どうだったんですか?EPO の曲などをアマチュア・バンドで歌っていたというニシダさん?あの爬虫類的な気持悪い感触、と人によっては見えてしまうものは、裏返せば極上のセクシーさということじゃないかと僕は思うんだけどね。

まあセクシーさといっても、プリンスの場合かなりの粘着質で、しかもかなり変態的(僕が音楽とセックス関連で「変態」と言うときは褒め言葉なので、僕に向けられてもそう受け取る)だから、しかもそれがルックスだけじゃなく歌い方や演奏にも露骨に表現されているから、それらが総合的にあいまって、やはり人によっては生理的に無理、受けつけられないということになってしまうかもなあ。

プリンスはそんな人なわけだから、「万人受け」は決してしない音楽家で、しかしだいたい万人に受け入れられる音楽家なんて果たしてこの世に一つでも存在するのか?と思ったりもするけれど、例えば引き合いに出すのはどうかと思うけれど、イギリスのビートルズみたいな受け取られ方はプリンスにはありえないとも思う。

そのビートルズにしてからが、やはり嫌いだ 、買わないという人が、それも大の音楽愛好家のなかにだってたくさんいると僕は知っているから、そうなると、ようやく話を戻せるけれども、やっぱりプリンスは「ニッチ」なのか?あんなに大人気で、いつでもどこででも聴けそうな『パープル・レイン』ですら隙間産業で小規模分野なのか?

あと、もう一つ、自分が心から本当に愛しているというものや人の場合、こんなに素晴らしく輝いている存在はみんなに知ってほしい、みんなに愛されるようになってほしい、どんどん人気が出てほしいと強く願う一方で、その反面、自分だけのものにしたい、誰にも邪魔されないよう、自分だけが愛でることができるように隠しておきたい、百歩譲ってひそやかな内輪の愛好対象というにとどめておきたい 〜 こんな気分もあるんじゃない?

この一枚の紙の表裏みたいな相反する気分、アンビヴァレンスって、う〜ん、やっぱりあるんだろうなあ。プリンスがニッチだと言う松山市在住の女性プリンス狂二児の母の気持は僕には分らないが、まあなんとなくね、ちょっと考えてみました。としまさんのブログは長文すぎるけん読めんといつも言うとるけれども、どう?ぜんぶ読めた〜?

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