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2017/07/03

マライアのアンプラグド・ライヴが大好き

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いやホント僕の世代の音楽好き、特に熱心なマニアというようなみなさんのなかにマライア・キャリーのファンは少ないと思う。だけれども僕はかなり好きなのだ。といっても僕の好きなマライアは1990年代初期だけ。91年の『エモーションズ』と、続く92年のライヴ盤『MTV アンプラグド EP』だけ。その前にデビュー作があるが、僕は聴いていない。『MTV アンプラグド EP』以後は買うようになったが、その93年の『ミュージック・ボックス』からあとは、個人的にはどうもイマイチ。完全なる個人的趣味嗜好だけでの話だ。

僕が最初に買ったマライアは1992年の『MTV アンプラグド EP』。それまでマライア・キャリーという若手アメリカ人女性歌手が売れているぞと聞いてはいたものの、ふ〜ん…と横目で睨んでいただけで、まあはっきり言うとどうでもいい(と思っている人々がいまでも大半だと思う)と思っていたのだが、僕はあの MTV アンプラグド番組のファンなのだ。といっても番組そのものじゃなく、収録された音源が CD でリリースされるもののファンだっただけ。以前も言ったように全部 DVD もある(はず)なのだが、一つも持っていない僕。でも CD でならいろんな MTV アンプラグド盤を持っている。ローリン・ヒルのとかもそのうち書くかも。

そんなことで、なんの興味も持っていなかったマライア・キャリーだけど、そっか、MTV アンプラグドのライヴ CD が出たのかと、このライヴ企画そのもののファンで、CD はほぼすべて根こそぎ買っていた僕は、マライアの『MTV アンプラグド EP』も、どんなもんだろう?と興味を持って買った。EP なのでかなり尺が短く29分しかないのだが、こ〜れ〜が!特に一曲目の「エモーションズ」が!凄いのなんのって!
マライアが MTV アンプラグドに出演しようと決めたのは、スタジオ録音作品で聴けるあの超高音部のさえずり声、メカニカルなようでいて、まるで野鳥の声のように優しく聴こえる、あのウィスル・レジスターは、スタジオ作品ならではの加工品なのではないか?生声そのものではないのではないか?ライヴでは披露できないだろう?というような、どうやらそんな悪口があったのも大きな理由だったらしい。それでライヴ・パフォーマンスをやると決めたそうだ(と、たったいま調べて知った。僕はスタジオ作品はあとになって買ったのだから)。

そんな悪評というか非難は全く当たっていないということが上でご紹介した『MTV アンプラグド EP』一曲目の「エモーションズ」だけでも分っていただけるはず。それはそうと関係ないかのような話に行くが、マライアのこういった発声や歌い方は、レバノンのヒバ・タワジに実に大きな影響を与えている。いろんな人が言っているし、僕も以前かなり強調した。そんな部分は今2017年の新作『ヒバ・タワジ 30』では影を潜めがちだが、その前2014年のデビュー作『ヤ・ハビビ』になんか、そのままマライアの丸コピーみたいな部分すらあったもんね。だが、僕を含め誰がいくらこの事実を強調しても、ヒバの熱心な聴き手のみなさんはマライアに興味なんか示さないねえ。

僕は好きなものは好きなんで。だからマライアのこともはっきり好きだと言っている。上でご紹介した「エモーションズ」でピアノを弾いているのがデイヴィッド・コール。この名前にならピンと来るブラック・ミュージック・ファンの方も多いはず(マライアも父親がアフリカ系ベネスエーラ人だが)。ロバート・クライヴィレスとのコンビである C+Cミュージック・ファクトリーの知名度があるからだ。C+Cミュージック・ファクトリーは、デビュー作1990年の『マライア・キャリー』から手がけているウォルター・アファナシエフに依頼され、次作『エモーションズ』を全面的に共同プロデュースしている。プロデュースにはマライアも参加。

僕が持っているマライアのスタジオ・アルバム五枚のなかでは、その1991年の『エモーションズ』が一番好きだし、出来も一番いいんじゃないかと思う。ダンス・ビートを中心に、マライアの持味であるドラマティックなバラードも配し、キャロル・キングと共同で書いたゴスペル・バラード風な「イフ・イッツ・オーヴァー」もあったり。しかも C+Cミュージック・ファクトリーがプロデュースするダンス・チューンは、ややレトロな1970年代風にも聴こえるものだ。その典型が、これまたやはり一曲目の「エモーションズ」。
『MTV アンプラグド EP』ヴァージョンの「エモーションズ」でマライアに惚れた僕だけど、それでその曲のオリジナルが入っているというのですぐに買った前作のアルバム『エモーションズ』だけど、1990年代当時の僕にとっては、スタジオ・オリジナルはイマイチに聴こえていた。だが、いまじっくり聴きかえすとどっちもかなりいいなあ。緻密なサウンドの完成度は言うまでもないが、ポップでダンサブルなフィーリングもスタジオ・ヴァージョンの方が上かも。

ただ非常に大きな違いは、『MTV アンプラグド EP』ヴァージョンの「エモーションズ」には、スタジオ・オリジナルでは聴けないゴスペル・クワイアが参加していることだ。スタジオ・ヴァージョンにもヴォーカル・コーラスはあるけれど薄く弱く、ほんの軽い味付け程度だ。ところが MTV アンプラグド・ヴァージョンでは、冒頭のデイヴィッド・コールが叩くピアノに導かれ、ゴスペルのマス・クワイアが大きくフィーチャーされている。ドラマーがスティクを鳴らしてビートを刻みはじめるまでのテンポ・ルパート部分で、その女性クワイアをバックにマライアが自由に泳いでいるのが素晴らしい。「ハ〜ッイア〜〜ッ!」と叫ぶあたりで、あぁ、僕はこの人が好きなんだだと確信した。テンポ・インしてからの歌い方のフレジングとドライヴ感と迫力も素晴らしい。

『MTV アンプラグド EP』で披露している七曲(たったの七曲かよ…どうしてもっとやってくれなかったんだ?)の多くは、やはり先行するスタジオ作品『エモーションズ』からのレパートリーが多い。一曲目だけでなく、二曲目の「イフ・イッツ・オーヴァー」(私の最大の憧れの一人、キャロル・キングと一緒に書いたものです)、五曲目の「メイク・イット・ハプン」(私の最新シングル曲です)、七曲目の「キャント・レット・ゴー」(ありがとう、まだ去りたくないです)。

僕にとって『MTV アンプラグド EP』のポイントが高くなる大きな要因は、六曲目の「アイル・ビー・ゼア」だ。問答無用のジャクスン5。マライアも曲紹介でしゃべっている 〜 次の曲はとてつもなく素晴らしいジャクスン5で有名なものです、私のかなりのお気に入り、みなさんもそうだったらいいんですけれど、「アイル・ビー・ゼア」といいます 〜 とマライアが言い終わると、やはり客席から歓声があがる。当然だ。
ジャクスン5・ヴァージョンにあるマイケルのパートを歌うマライアの声は、ものすごくチャーミングなんだ。歌詞もあんな内容だしなあ。ジャーメインのパートを歌っている男性はトレイ・ローレンス。ピアノはデイヴィッド・コールではなくウォルター・アファナシエフが弾いている。それにしても、この当時のマライアがここへ来てくれるんなら、僕は躊躇なく電話しちゃうなあ。

ところで、いまネットで調べてみて初めて知ったが(だって CD 商品にはどこにも記載がないから)、このマライアの『MTV アンプラグド EP』でパーカッションを担当しているのはサミー・フィゲロアじゃないか。この人はマイルズ・デイヴィスの1981年復帰作『ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン』でやっていたパーカショニストだ。シカゴ人脈を起用した二曲を除き全面的に叩いている。それなのに、ライヴ・ツアーをやるカム・バック・バンドではミノ・シネルになったのはどうしてだったんだろう?

また先行するスタジオ作品『エモーションズ』で見事なプロデュース・ワークを聴かせる C+Cミュージック・ファクトリーのデイヴッド・コールがピアノを弾くのは、『MTV アンプラグド EP』では「エモーションズ」「サムデイ」「メイク・イット・ハプン」の三曲だけ。「メイク・イット・ハプン」では、ウォルター・アファナシエフも同時参加してオルガンを担当。それら以外のピアノはすべてウォルター・アファナシエフだ。ベースもギター型のアクースティック・ベースの音。ストリングスやホーンも参加。電気楽器は番組企画通り一つもない。

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