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2017/09/13

ヴェトナム女性歌手実力ナンバー・ワン?のベスト作?

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あいかわらずヴェトナム歌謡完全無知状態が続いている僕だけど、これをどうして買ったのか分らないのだが、女性歌手フーン・ラン(Hương Lan) の2014年作『Tạ Ơn Mẹ』を僕は持っている。なんでもアメリカ西海岸に拠点を置いて活動しているらしい。妹のフーン・タンがわりと知られているかもしれないような様子だけど、そっちも僕はぜんぜん知らない。この姉妹、姉の『Tạ Ơn Mẹ』が今年二月にエル・スールに入荷したのを買っただけで、いまだにその一枚だけしか聴いていない。フーン・ランについての Wikipedia があるが、ヴェトナム語だからいまの僕には読めない。
なにを歌っているのかサッパリ分らないのだが、フーン・ランの『Tạ Ơn Mẹ』はかなりいい内容だ。アメリカ西海岸で作品創りということで、ほかのアルバムは、なんでも洩れ聞く話によれば打ち込み系などの電子楽器サウンドがやかましいなどということになっているらしく、ヴォーカルの力量は文句なしなのにサウンド・プロダクションがなあ〜…と言われているんだそうだ。『Tạ Ơn Mẹ』一枚だけしか聴いていない僕に言う資格ゼロだが、そんな部分が微塵もないアルバムで、こ〜りゃいいね。

『Tạ Ơn Mẹ』は、収録の10曲、すべて地味目の伴奏。中心がアクースティック・ギターで、あとはヴァイオリンと、それからアコーディオンかハーモニカか、とにかくそんな撥音構造の楽器音、場合によってはストリングス・アンサンブルと、かなり控え目なバック・コーラス陣。いちおうドラムス(は打ち込みか?)とエレベも入ってはいるのだが、ほぼ聴こえないに等しいとまで言いたいほどの脇役ぶり。

そんなサウンドで、ひたすらフーン・ランの、味わい深い極上ヴォーカルのみにフォーカスしたようなアルバム『Tạ Ơn Mẹ』。こりゃ最高の一枚だ。これ以外のこの人のアルバムも興味があるところなんだけど、どんなもんなんだろう?お聴きになっている方は例外なく、これまでのアルバムはオススメできる内容ではないのだとかで、その原因は彼女の歌ではなく、バック・アンサンブルにあるのだとか。みなさんそうおっしゃっているので(ということは、僕の場合、『Tạ Ơn Mẹ』を聴いてこりゃイイネと思ったあとに調べて読んだ)、う〜ん、それだったらあまりにももったいない。『Tạ Ơn Mẹ』で聴く限りでは、本当にヴェトナム女性歌手実力ナンバー・ワンと言いたいほどなのに。

レー・クエンやヴィ・タオあたりよりも、一人の女性ヴォーカリストとしての実力はフーン・ランのほうが上かもれないよなあ。そしてこれら三名になにか共通する要素が非常に濃いように感じるのは、もともとそんな曲ばかり歌っているということなのか?そんな音楽世界に立っている存在たちなのか?あ〜るいは、ひょっとしてヴェトナム語で歌うときの、この言葉の発音が持つ、なんらかのしっとり湿ったようなものがあるってことなのか?ヴェトナム語がまだまったく一言も分らないが、ほかの言葉で歌われる抒情歌謡とはなにかが違っている。そしてその違いが生み出す特質は、上記三名のヴェトナム女性歌手はみんな共有している。あと、北ではなく南ヴェトナムの音楽世界という部分もあるのだろうか?どうなんでしょう?どなたか教えてください。

分らないことだらけで暗中模索状態なんだけど、フーン・ランの『Tạ Ơn Mẹ』は本当に素晴らしい。主役女性歌手の声にシットリと湿った落ち着きがあって、歌い廻しも決して昂ぶったり激しく情感をぶつけるようなことがない。じっくりゆっくりと優しく、そんな感じで切なくリリカルな表現をする。そして伴奏サウンドもそれを支える控え目な脇役に徹していて、耳障りに出しゃばる部分、歌を邪魔する部分がまったくない。

こんな世界は、僕の場合、若いころだとまったく馴染めなかっただろうなあ。55歳なのにまだまだ幼稚な男子高校生みたいな僕だけど、最近はこんな音楽「も」、本当にイイと心の底から実感するようになった。いやホント素晴らしんだよね、フーン・ランの『Tạ Ơn Mẹ』。エル・スールのサイトでは再入荷待ち状態になっているので(しかし、僕はマジでどうしてこれを買ったのだろう?)、その筋には人気があるってことだよなあ。

その筋じゃない方々、またヴェトナム女性抒情歌謡世界のファンのみなさん、またそんな世界が好きだけど、レー・クエンのハスキーで重たい歌い廻しはちょっと苦手かも…とおっしゃる向き(がけっこういらっしゃる)、その他あるいは、どこの国のどんな音楽でも、ポップでありかつ賑やかに跳ねすぎず、しっとり落ち着いたフィーメイル・ヴォーカル・アルバムをなにか一枚、とお探しのあなた、推薦盤ですぞ、フーン・ランの『Tạ Ơn Mẹ』。ぜひに。

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