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2017/09/09

マヌ・ディバンゴみたいなアフロ・レア・グルーヴものが再発されたそうで

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またまた1970年近辺のスワンプ・ロックの話で申し訳ない。ホントこればっかりだよなあ。好きなんだからしょうがないだろう。これこそがきっかけでいろんな UK ロッカーたちが LA スワンプ路線どっぷりになってしまった<伝説の>ディレイニー&ボニー・バンド1969年冬の英ツアー。むかしから『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』という一枚のレコードでリリースされていた。すべてがここからはじまったという、LA スワンプ勢を起用した UK ロックこそがいちばん好きだという人間にはタマラナイ内容。

しかしながらなんだかエリック・クラプトンのアルバムみたいな扱いで、いままでずっと来ているよなあ。知名度が違うんだから、ディレイニー&ボニーの名前しか出さないのとでは売れかたがそりゃもうぜんぜん違うとは分るのだが、クラプトンはあくまでツアーに帯同したゲスト・ギタリストだ。まあたくさん弾きまくっているけれど。ちょっとだけ歌ってもいるが、あくまでこれはディレイニー&ボニーのバンドなんだからさっ。

そんなディレイニー&ボニー&フレンズの『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』だけど、2010年にライノが CD 四枚組で完全盤デラックス・エディションみたいなものをリリースした。アルバム・タイトルもそのまんま同じで、パッケージにも CD 盤面にも附属ブックレットのどこにもデラックスだとかコンプリートだとかいう文字はまったく見当たらないのだが、1969年12月1日のロイヤル・アルバート・ホール公演(一枚目)、2日のコルストン・ホール(二枚目)、7日のフェアフィールド・ホール公演の二回セット(三枚目、四枚目)を完全収録してある。

これが2010年にライノ・ハンドメイドから発売されたとき、僕はもちろん即買いだったのだが、しばらくして入手困難となってしまっていた。ずっとそれが続いていたから、新規参入組は困っていたと思うんだよね。そしてなんとこれが、今年2017年に再発されたんだそうだ。僕は買わないけれど、2010年のボックス・セットと、中身の音楽は完璧同じであるはずだ。パッケージングが少し違うのかもしれないが。まあそんなわけでこのボックス・セットの話を、いまごろちょっと書いておこう。だってね、マヌ・ディバンゴがあるんだもんね。

この1969年12月の UK ツアーをやったディレイニー&ボニー&フレンズ。メンバーを書いておく必要などないはずだが、どうかお願いだから書かせてほしい。ディレイニー(ギター、ヴォーカル)とボニー(ヴォーカル)のブラムレッツ、ボビー・ウィットロック(オルガン、ヴォーカル)、カール・レイドル(ベース)、ジム・ゴードン(ドラムス)、ジム・プライス(トランペット、トロンボーン)、ボビー・キーズ(サックス)、テックス・ジョンスン(パーカッション)、リタ・クーリッジ(ヴォーカル)。

ここまでが米 LA スワンプ勢で、これに UK 側からエリック・クラプトン、デイヴ・メイスン、そして秘密ゲストとしてフェアフィールド・ホール公演にだけジョージ・ハリスン、という三名のギタリストが参加している。

四枚の収録曲はここにぜんぶ書いてある。
さて、四枚組『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』は三日間の4セットを収録してあるわけだが、当たり前のこととして演奏曲目は大半同じでダブりまくる。僕やみなさんみたいに、こういったたぐいのロック・ミュージックが好きで好きでたまらないという人間ならば、計四時間以上流し聴きして本当に心地イイのだが、そうじゃなければ退屈の一言だろうと思う。演唱内容だってほぼ変わらないしね。

どういった音楽なのかも、もはや完全に説明不要で繰返す必要もない。ふつうは一枚もの『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』だけあれば充分だろう。四枚組はあくまで愛好家向けの、一種のメモラビリアみたいな意味合いもあるもので、愛でまくりたいという人間にしかオススメできない。だが!ちょっと待って!このなかには、この四枚組で初めて日の目を見たもののうち、相当に面白いという演奏だってあるのだ。その一つについてだけ少し書いておく。スワンプ・ロックという部分については、まったくなにも書かないつもり。

といいながらちょっとだけ最初に触れておくと、1970年リリースのレコード『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』は、大半が12月7日のフェアフィールド・ホール公演セカンド・ショウから採用されている。そうじゃないものはファースト・セットから「ウェア・ゼアズ・ア・ウィル、ゼアズ・ア・ウェイ」と、12月1日のロイヤル・アルバート・ホール公演から「アイ・ドント・ワント・トゥ・ディスカス・イット」だけ。だから四枚組ボックスでも、やっぱり四枚目こそが目玉なんだよね。

『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』四枚組。約一時間七分の四枚目も、ほかの三枚と同じようにはじまって、まったく同じ音楽をやるけれど、最大の問題はスペンサー・デイヴィス・グループ・ナンバー「ギミー・サム・ラヴィン」(ほかの3セットでも毎回ぜんぶやっている)が終わったあとの本編二曲目だ。曲題はなぜだか「ピグミー」。「ピグミー」はヴォーカルが一切ないインストルメンタル演奏で、それが八分以上続く。八分というのは四枚全部でもいちばん長いものなんだよね。

その「ピグミー」がすごいんだ。ふつう LA スワンプ系 UK ロックがお好きなリスナーのみなさんは、こんなもの相手にしないだろう。が!これがなんと、マヌ・ディバンゴのアフロ・ジャズ・ファンクなんだよね。マヌとはもちろんテナー・サックスを吹くボビー・キーズのこと。本当にマヌに聴こえるから、お疑いのそこのあなた、ぜひこれを聴いてみて!間違いないよ。
な〜んじゃこりゃ!ボビー・ウィトロックの弾くオルガンもファンク・マナーだし、カール・レイドル&ジム・ゴードンのリズムもそうだし、テックス・ジョンスンのパーカッションもアフロふうにスパイシーだけど、なんたってボビー・キーズのサックスがイイよなあ。中盤 4:47 あたりで、エリック・クラプトンのギター・ソロに続いて出るボビーのサックス・ソロが超絶カッコエエ〜!いつもは激熱テキサス・スタイルで吹くテナー奏者なんだけど、どうしてこんなマヌ・ディバンゴになっているんだぁ〜!しかしそのソロは 6:08 までとたった二分もないんだぜ〜。その後もちょろちょろっと出るものの、どうしてもっと長くソロを吹いてくれなかったんだ、ボビー?!10分、いや、せめて5分は吹いてほしかった。

マヌ・ディバンゴみたいなアフロ・ジャズ・ファンク愛好家のみなさんは、ディレイニー&ボニー&フレンズの『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』四枚組なんか、まったく眼中にないだろう。相手にしていないはずだ。逆にこれを買うロック・リスナーのみなさんも、「ピグミー」みたいなジャズ・ファンクになんか興味が薄いはずだ。この「ピグミー」なんかを、誰が聴いて誰が面白がるんだ?そう、僕なんだよね。

スワンプ・ロックのボックス・セットの話なんだが、今日、僕がいちばん言いたいことは、こんな「ピグミー」みたいな、マヌ・ディバンゴふうアフロ・ジャズ・ファンクのことだったんだよね。でもこれ一曲のためだけに、本当にこれ一曲しかないから、ほかはぜんぶお馴染のスワンプ・ロックだから、今年再発された四枚組の『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』を買ってくれとは言えないよなあ。

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