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2017/11/19

ポップで聴きやすいザッパのデビュー・アルバム



フランク・ザッパのアルバムってぜんぶ Spotify にあるんだね。いままで探したものはぜんぶあったので、ほかのものもきっとあるんだろう。これはいい。いまでは CD の入手がやや難しめになっているものがあるんだそうだし(数年前、Twitter で『ザ・イエロー・シャーク』CD 新品が、路面店でもネット通販ショップでもぜんぜん見つからないと嘆くクラシック音楽ファンのかたがいらっしゃった)、またそうでなくたって、ザッパにおそれ?をなして近づかなかった音楽リスナーが、その音楽にアクセスできる最も簡便な方法じゃないか。CD などを買わなくたってちょっと試聴さえしてもらえれば、先入見、偏見だって消し飛ぶん可能性が高い。

さて、ザッパのデビュー・アルバム『フリーク・アウト!』(といっても、ザ・マザーズ・オヴ・インヴェンションとしかジャケットには記載がない)を、日本でまず褒めたのは中村とうようさん。そして植草甚一さんだ。一般にかなりとっつきにくいものだと勘違いされているかもしれない。たしかに歌われている歌詞内容はポップじゃないばあいが多いかもだけど、個々の曲じたいはけっこうポップで明快で分りやすく、メロディも流麗でキレイで、聴きやすいように思うよ。

だからザッパが変人だとか、その音楽は難解だとかってのは、やっぱり先入見、色眼鏡なんだよね。『フリーク・アウト!』だってけっこうポップで、キャッチーさすらあるもんね。しかもその土台にはアメリカ黒人ブルーズ、ドゥー・ワップ、リズム&ブルーズがしっかりと流れていて、そういう部分はこのデビュー・アルバムでだってしっかり聴きとれるよ。歌詞内容だって、他愛のないラヴ・ソングもけっこうある。

そういう部分から話をすると、全体の4曲目「ゴー・クライ・オン・サムバディ・エルスズ・ショルダー」。これはふつうのなんでもないラヴ・ソングだ。しかもドゥー・ワップ・ナンバー。君は一年ぶりに戻ってきたけれど、僕は君のことをもう愛していないから、だれかほかの人の肩で泣いてくれっていう、女をフる内容なのかなあ?でもえらく楽しそうだよなあ。曲はホントなんでもないポップなザッパ自作のドゥー・ワップ・ソングだ。

6曲目の「ハウ・クド・アイ・ビー・サッチ・ア・フール」もドゥー・ワップ調のリズム&ブルーズ・ナンバーで、きわめて分りやすいラヴ・ソング…、っていうか失恋歌。う〜ん、哀しく切ない。君の愛を得ていたころは本当に嬉しかったけれど、いまやそれも失って涙を拭いているなんてっていう、そんな歌…。でも曲の調子にそんな悲哀感はない。左チャンネルのマリンバはだれだろう?いい効果を出していて、少しあとからのルース・アンダーウッドが、ザッパ・バンドでこんなのを本格化することになる。

6曲目がマリンバ(ほんとだれ?)がいい感じに聴こえるポップ・ソングなら、続く7曲目「ウーウィ・ズーウィ」もそう。これもザッパ自作のドゥー・ワップ・ソングなんだよね。かなり分りやすくとっつきやすい。ここまで書いた三曲ぜんぶポップでキャッチーで明快で、ごくごくふつうの他愛のないポップ・チューンこそが好きなリスナーでも抵抗感ゼロのはず。だからさぁ〜、ちょっと聴いてみてよねっ。いちばん上で Spotify のリンク貼ってあるから〜。

ドゥー・ワップふうの自作ポップ・チューンはその後もどんどん続いて、8曲目「ユー・ディドゥント・トライ・トゥ・コール・ミー」、9曲目「エニイ・ウェイ・ザ・ウィンド・ブロウズ」、10曲目「アイム・ナット・サティスファイド」、11曲目「ユー・アー・プラバブリ・ワンダリング・ワイ・アイム・ヒア」(はちょっとあれだ、少しあとからの滑稽なヴォーカル風味もすでに出ているが)。それからさかのぼって5曲目の「マザリー・ラヴ」。これらぜ〜んぶごくごくふつうの明快ポップ・ソングなんだよね。サーフ・ロックっぽいような要素すらあるもんなあ。

な〜んだ、ザッパの『フリーク・アウト!』ってけっこうなポップ・アルバムなんじゃないか。少なくとも全15曲中ポップ・ソングがいちばん数が多い。また、アルバムのオープナー「ハングリー・フリークス、ダディ」は、まあやっぱり歌詞内容はちょっとあれだけど(ってか英語が理解できないと分らない部分がすこしあるなあ、たしかにザッパは、う〜〜ん)、曲はカッコよく颯爽としたもので、しかもポップなメロディを持っていて、それから左チャンネルで聴こえるザッパの弾くエレキ・ギターもブルージーで上手い。

2曲目「アイ・エイント・ガット・ノー・ハート」、3曲目「フー・アー・ザ・ブレイン・ポリス?」も、ちょっとだけ抽象化されたブルーズ楽曲みたいなもので、ブルーズといえば、12曲目の「トラブル・エヴリ・デイ」はもろのブルーズだよなあ。ブルージーなハーモニカだって入っているのだが、これってレイ・コリンズかなあ?ってことはこの曲のリズム&ブルーズっぽいリード・ヴォーカルもレイなのか?たぶんそうだよね。はじめて自覚した(^_^;)。

その「トラブル・エヴリ・デイ」が、『フリーク・アウト!』オリジナルの二枚組アナログ LP では、二枚目のトップだったらしい。問題はそのあとに続く、現在では3トラックになっている(って、それ以前は実感がない僕だけど)「ヘルプ、アイム・ア・ロック」「イット・キャント・ハプン・ヒア」「ザ・リターン・オブ・ザ・サン・オブ・モンスター・マグネット」だ。

それら三曲は、主にドラマーが表現するリズムはかなりキャッチーで明快でノリやすいものなんだけど、その上でサウンド・コラージュが繰り広げられていて、ふつうのポップ・ソングしか聴かない人だと、こりゃいったいなにやってんの〜〜??ってなるんじゃないかと思う。特に15曲目なんか12分以上もあって、現代音楽みたいな感じだし、ムジーク・コンクレートでもあって、ポップ/ロック・ファンなら、みんなこんなの嫌いだよなあ。ビートルズにも一曲だけあるけれど、やっぱりあれもみんななにも言わないもんな。

あっ、ビートルズといえば、今日の話題であるザッパ『フリーク・アウト!』と、その英国の、というよりも世界で最も有名な四人組との関係は、でもしかし書く必要はないんだろう。ボブ・ディランとの関係はどうだろう?『フリーク・アウト!』がロック界初の二枚組レコードだという声もあるけれど、発売順だとディランの『ブロンド・オン・ブロンド』のほうが約一ヶ月だけ早い。ディランのは1966年5月16日。ザッパのは6月27日発売だ。誤差、というかほぼ同時みたいなもんか?

まあでもザッパはディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」シングル(1965年7月20日発売)を聴いて感動し、これで世界が変わらなかったらウソだ、自分が音楽家になってやることはなくなったと思い、しかしどうやら変わりそうもないので、やっぱり自分もレコード・デビューすることにしたというような人なので。だからディランの動向には鋭敏だったはずだと思うんだけどね。同じ国の同じ世界にいたわけだしさぁ。

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