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2018/02/06

カッコよくて気持ちいいビート感 〜 プリンス『ダイアモンズ・アンド・パールズ』

プリンスのレギュラー・バンド史上屈指のサブ・シンガーというかコ・リード・シンガーだったと僕は思っている女性ロージー・ゲインズ。ロージーがプリンスの新バンド、ニュー・パワー・ジェネレイションに参加していたのは1990〜92年あたりかなあ?いっしょに歌ったもののなかでいちばんいいのは「ナッシング・コンペアーズ・2・U」だと思う。
これが収録されている唯一の CD アルバムが『ザ・ヒッツ/B ・サイズ』。この1993年リリースのベスト盤で僕ははじめてロージーの声を聴いた。そしてシネイド・オコーナーによるオリジナル・ヴァージョンにどうしてだかイマイチ馴染めなかった僕は、この、失った愛を想って泣く曲がこんなにも素晴らしいんだってこともはじめて知った。

このヴァージョンの「ナッシング・コンペアーズ・2・U」は、僕の知る限り『ザ・ヒッツ/B ・サイズ』にしか収録されていないので、ただのベスト盤(と B 面コレクション)じゃないかと侮れないんだよね。それにしてもこのトーチ・ソング、プリンス本人によるものはあともう一個しかなくて、それもライヴの『ワン・ナイト・アローン...ライヴ!』。これも三枚組だし、廃盤になって以後は中古価格が高騰しているようだ。二つのヴァージョンとも素晴らしいので、もっと買いやすくなればいいのになあ。傑作曲だけにね。

『ザ・ヒッツ/B ・サイズ』を買ったころは、ちょっとだけプリンスから離れていて、レギュラー・バンド、ニュー・パワー・ジェネレイションのことも名前を見ていただけだった。だからロージー・ゲインズのことも知らなくて、上の「ナッシング・コンペアーズ・2・U」演奏終了後にプリンスが名前を呼んで紹介しているでしょ、それで、あぁこの女性シンガーはロージー・ゲインズっていうんだなと知っただけ。でもどんな人だか、バンドのレギュラーだとかも知らなかった。附属ブックレットをちゃんと読むと、1992年1月27日、ペイズリー・パークでのライヴだと書いてあるじゃないか。

そんなロージー・ゲインズ在籍時代のニュー・パワー・ジェネレイションで録音したプリンスのアルバムでは、やっぱり1991年の『ダイアモンズ・アンド・パールズ』がいちばんいいってことになるよね。いや、次作の、このタイトルのやつかな。通称『ラヴ・シンボル・アルバム』。いまではちょっとメンドくさい↓

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でもこのアルバムにロージー・ゲインズはいないから、結局『ダイアモンズ・アンド・パールズ』でしかプリンスとロージーのからみあいを本格的に聴くことはできない。もったいなかったような気がするが、ロージーは歌だけじゃなく鍵盤楽器などマルチな才能の持ち主で、彼女は彼女のソロ・キャリアを優先したかったんだろうね。

日本録音の曲も複数あるらしい『ダイアモンズ・アンド・パールズ』。アルバム三曲目のタイトル・ナンバーが、1982年の『1999』ラストの「インターナショナル・ラヴァー」から来ているものだというのは明白で、みんなが言っているから省略。それよりも曲「ダイアモンズ・アンド・パールズ」のこのメロディがいいよね。美しい。プリンスが書いた美メロ・バラードのなかでも屈指の名曲…、と呼ぶ人もかなりいる…、が、僕はイマイチそうでもない。でも綺麗だっていうことは心から納得している。素晴らしい曲だ。

バラードといえば、このアルバムには、かなり傾向の異なるものが12曲目にあって、「インセイシャブル」。これもむかし馴染みの路線で、どうもプリンスはアルバムに最低でも一曲はこういったファルセットで歌うネットネトの粘着セックス・ソングを入れるという決めごとでもあったのだろうか?絶対一個はあるよね。僕はこっちの「インセイシャブル」のほうが「ダイアモンズ・アンド・パールズ」よりも好きだ。

しかしながら僕にとってのアルバム『ダイアモンズ・アンド・パールズ』の魅力はこういった美メロや粘着セクシーではなくって、ハードにゴリゴリ来たりファンキーだったりスウィンギーだったりジャジーだったりするビート・ナンバーにある。1曲目「サンダー」、2「ダディ・ポップ」、5「ストローリン」、7「ゲッツ・オフ」、9「ジャグヘッド」。そしてなんたって10「マニー・ドント・マター・2ナイト」と11「プッシュ」だ。

こう書くと数も多いから、ファンク〜ハウス〜ヒップ・ホップ系のハードなビート・チューンが、アルバム『ダイアモンズ・アンド・パールズ』の中心なんだろうね、やっぱり。いちばんゴリゴリなのは「ゲッツ・オフ」と「ジャグヘッド」かな。1曲目「サンダー」はハウスっぽいけれど、メロディ・ラインはかの名曲「ウェン・ダヴズ・クライ」にソックリだ。つまり、お経。「サンダー」のほうにはエレキ・シタールも入っている。

エレキ・シタールはプリンスもわりとよく使うもので、ふだんはセクシーなラヴ・バラードのその甘い雰囲気を盛り上げるために入れていることが多いと思うんだけど、この『ダイアモンズ・アンド・パールズ』の「サンダー」ではエキゾティックに聴こえる。ちょっぴり中近東ふうな感じだよね。中近東ふうといえば、エレキ・シタールは入っていないが、ウードやダルブッカのある「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ」(同名アルバム、1985)もそんな路線だ。

プリンスがやるアラブ〜インド系の楽曲で一つ文章をまとめられないかと以前から考えていて、ひっくり返して聴きなおしてはそんな曲を一個一個拾っているのだが、あんがい数が少ないんだよね。まだいまのところは四曲しか見つかっていない。だからたぶんこれは書けないかもな。ごめんなさい。『ラヴ・シンボル・アルバム』にもっとあるような気がしていた。

それはいい。アルバム『ダイアモンズ・アンド・パールズ』にあるハードなビート・チューン。2曲目「ダディ・ポップ」はドラミングのこの感じが大の僕好みで、しかもかなりポップな曲でいいなあ。ロージー・ゲインズとデュオでさくさくっと仕上げたようなイッチョ上がりみたいなお手軽なキャッチーさもいい。でもロージーはちょろっとエロいこと言ってるね。

5曲目「ストローリン」は、以前プリンスのジャズ・ナンバー関連の記事で書いたつもり。ゴリゴリにハードな7「ゲッツ・オフ」と9「ジャグヘッド」は、1991年時点でのプリンス流ヒップ・ホップなんだろうね。ちょっと時代の後追いをしていたような感じもあるけれど、それから「ゲッツ・オフ」のほうはまだかなりファンクに寄っているけれど、それでも僕は大好きだなあ。

10曲目「マニー・ドント・マター・2ナイト」と11「プッシュ」が、僕的にはアルバム『ダイアモンズ・アンド・パールズ』でいちばんの聴きもの。だ〜いすき!特に「マニー・ドント・マター・2ナイト」なんだなあ。このミドル・テンポのグルーヴ感やドラミングなど、ホント〜ッに好き!歌詞は一種のメッセージ・ソングだけど、そんなことよりこのビートやノリがいい。特にドラミング。それを聴いているだけでキモチエエ〜。ドラムス・トラックだけ抜き出して聴きたいくらいだ。

11曲目「プッシュ」は、エレキ・ギターのカッティングが気持ちいいジェイムズ・ブラウン系のファンク・チューン。ヒップ・ホップ風味も混ぜてある。これもビートだけ聴いている僕。だ〜ってね、もうそれだけで気持ちいいんだもん。JB ファンクをベースにヒップ・ホップを混ぜ、さらに昨日も書いたラテンなジャズ(・ファンク)のスパイスをまぶせる 〜 こんな曲創りがこのあとどんどん増えていくプリンスなのだった。

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