« カッコよくて気持ちいいビート感 〜 プリンス『ダイアモンズ・アンド・パールズ』 | トップページ | 2018年2月4日の岩佐美咲に聴いた成長と(演歌の)未来 »

2018/02/07

プリンスのゴスペル・ファンク 〜 『グラフィティ・ブリッジ』

昨日、1990年ごろからかな?しばらくのあいだプリンスが率いていた新バンド、ニュー・パワー・ジェネレイションのことを書いたでしょ。ロージー・ゲインズがいるやつ。あれはずっと前のリヴォルーションのアップデイト版だったってことかなあ?でもリヴォルーション時代でもニュー・パワー・ジェネレイション時代でも、スタジオ録音作はプリンス一人の密室作業で仕上げたものがかなりあるみたいだよね。

それで今日は新バンド、ニュー・パワー・ジェネレイションの初お目見えとなった1990年作『グラフィティ・ブリッジ』のことを書こうと思う。プリンス主演の同名映画云々は一切省略するしかない。サウンドトラック盤とかいう意味づけもぜんぶカットして、たんなるいち音楽作品として聴いていくしかない。だってね、あの映画、まあこの人のは前からそうですが、ツマラ〜ン。

音楽アルバム『グラフィティ・ブリッジ』。重要性が低いとか散漫、冗長だとかいう言葉をネット上でちょっと見るけれども、それはあれじゃないかなあ、プリンス(とそのバンド)だけでやった曲と、そうでないゲストを参加させていやったのが半々くらいの割合で混じっていることと、もう一つ、CD 時代に本格対応ということで約70分とトータル再生時間が長いことと、この二つが原因なんじゃないかと思う。

前々からの繰り返しになるけれど、LP 時代から僕は二枚組偏愛主義者で、だから再生時間が長く、しかもまるでおもちゃ箱をひっくり返したようなヴァラエティに富む色彩の音楽作品が大好き。プリンスの『グラフィティ・ブリッジ』は CD 一枚だけど、約70分だから LP だったら二枚組になる。

自身やバンド・レギュラーだけでなくゲスト参加が大勢いるというのも、しかしじっくり見ていくとそんなには多くもないよね。かつてかかわっていたバンド、ザ・タイム、プリンスも敬愛するであろうジョージ・クリントンとメイヴィス・ステイプルズ(僕の世代と嗜好だと、この二名は知名度超高)、クインシー・ジョーンズも目をつけた当時の超若手シンガー、テヴィン・キャンベルと、だいたいこれだけだもんね。

ザ・タイムとプリンスがかなり深い関係にあるのは書いておく必要がないだろう。ミネアポリス・ファンクみたいなサウンドで、アルバム『グラフィティ・ブリッジ』でも四曲、ザ・タイムがやっている。3曲目「リリース・イット」、9曲目「ラヴ・マシン」、11曲目「シェイク!」、13曲目「レイテスト・ファッション」。なかでは「リリース・イット」があまりにもカッコイイ。こんなカッコいい音楽、やってたっけ、ザ・タイムって?特にドラミングがいいなあ。ファンクそのものだ。

正直言って、個人的にはアルバム『グラフィティ・ブリッジ』一枚ぜんぶを通していちばんグッと来るのが、その「リリース・イット」で、ノリもいいし、どうしてこんなにカッコイイんだぁ〜!って思ってしまってなんども繰り返し再生してしまう。スピーディで斬れ味抜群でホント素晴らしい。

ザ・タイムの「リリース・イット」があまりに快感なもんだから(11曲目の「シェイク!」もいいんだが、9「ラヴ・マシーン」はモーニング娘。のほうがイイよね、違う曲だけど)、これじゃあプリンス本人やバンドがかすむぞと思っていると、やっぱりそんなことはぜんぜんなかった。アルバム・オープナー「キャント・ストップ・ディス・フィーリング・アイ・ガット」は、軽くポップで(ちょっぴりオールディーズな)ロックンロール・ナンバーで、まるでデビュー期のプリンスみたいだが、音の質感はたしかにかなり違う。

2曲目のタイトルが「ニュー・パワー・ジェネレイション」で、CD 附属ブックレットの記載でもレギュラー(になる)バンドの面々の名前がある。僕の大好きなロージー・ゲインズもいるなあ。ヴォーカルとキーボードの両方で貢献しているみたいだ。この曲も完璧なファンク・チューン。出だし、エレキ・ギターでクチュチュ〜ンってやるのが、まごうかたなきプリンス印だ。

そんな典型的プリンス・ファンクの曲題をレギュラー・バンド名にしたわけだから、ニュー・パワー・ジェネレイションとは、1978年レコード・デビューのプリンスが1990年代に入ってファンク宣言をしたってことかなあ?しかもですよ、曲「ニュ・パワー・ジェネレイション」には黒人ゴスペルのニュアンスだってあるんだ。僕はそう感じるんだけど、そうでもない?

曲「ニュー・パワー・ジェネレイション」にゴスペルを感じるのが僕だけだとしても、メイヴィス・ステイプルズが大きくフィーチャーされているもの、たとえばメイヴィス一人で歌う14曲目「メロディ・クール」なんかには、だれだってわかる鮮明なゴスペルふうなアーシーで力強い肯定感があるよね。しかもこの14曲目、リズムは強靭なファンクだから、さながらゴスペル・ファンクみたいなもんじゃないか。

メイヴィスは、16曲目「グラフィティ・ブリッジ」でも(テヴィン・キャンベル&プリンスといっしょに)歌っている。この曲はゴスペルのマス・クワイアがやるバラード調のものに似ていて、歌詞もなんだかメッセージ性が強くて、宗教的というんじゃないが、なんだか強く語りかけているようなものじゃないか。そして歌詞云々もさることながら、これがアルバム・タイトルにもなって、しかも大編成コーラスと派手めなサウンドでグイグイ迫るドラマティックな一曲だということが重要。うん、こりゃたしかにアメリカの黒人キリスト教会でのサーヴィスの盛り上がりかたに似ている。

続くアルバム・ラスト17曲目「ニュー・パワー・ジェネレイション(パートII)」にもメイヴィスがいる。たしかに2トラック目と同じ曲のようだけど、サウンドの仕上がりはかなり違う。いちばん違うのはヴォーカリストがたくさん大々的にフィーチャーされていることだ。メイヴィスだけでなく、テヴィンもいればプリンスやバンドの面々も歌い、さらに T.C. エリスのラップが爆発している。これもゴスペル・ライクなヴォーカルをファンクなリズムに乗せたもの。

こんなゴスペル・ファンクともいうべきトーンが、アルバム『グラフィティ・ブリッジ』を貫く芯のようになっているだろうというのが、この音楽アルバムに対する僕の見方なんだよね。つまり、ちょっと言ってみれば、11年後の『ザ・レインボウ・チルドレン』を先取りしたものだったんじゃないかな。

そうだから、”ど”ブルーズみたいな4曲目「ザ・クエスチョン・オヴ・U」がこんなふうな、まるで B.B. キングがやりそうなゴスペル・ブルーズ仕立てになっているのも納得できるし、また P ファンクの総帥ジョージ・クリントンを迎えての7曲目「ウィ・キャン・ファンク」(これ、もとは「ウィ・キャン・ファック」で、昨年リリースの『パープル・レイン』拡大版二枚目にそれが収録されている)がこんな感じだったり、それと切れ目なくメドレーで来る8曲目「ジョイ・イン・レペティション」が徐々にジワジワと、しかし間違いなくどんどんと熱を帯びて高揚するのも、それらぜんぶ納得なんだよね。

« カッコよくて気持ちいいビート感 〜 プリンス『ダイアモンズ・アンド・パールズ』 | トップページ | 2018年2月4日の岩佐美咲に聴いた成長と(演歌の)未来 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: プリンスのゴスペル・ファンク 〜 『グラフィティ・ブリッジ』:

« カッコよくて気持ちいいビート感 〜 プリンス『ダイアモンズ・アンド・パールズ』 | トップページ | 2018年2月4日の岩佐美咲に聴いた成長と(演歌の)未来 »

フォト
2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ