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2018/02/14

ジャズ・ファンクなプリンスのグラウンド・ビート

Spotify で見ると18禁みたいな歌には EXPLICIT の表示が出るからわかりやすいなあって、以前言ったような言っていないような、どっちだっけ?しかしプリンスのアルバム『カム』は、一曲目の「カム」と四曲目の「ルース!」だけが EXPLICIT 表示で、ほかのものにそれがないっていうのはちょっとヘンだよねえ。アルバムのほぼ全編、露骨にわいせつなのになあ。

しかしそんな18禁音楽みたいなプリンスの『カム』について、どこがそうなのか、これが EXPLICIT でこれがどうして EXPLICIT じゃないのかなんて解説することはできない。エロさは聴けばだいたいみなさんおわかりのはず。英語の聴解云々でそれがわかりにくいとおっしゃる人なんかも本当はいないはずだ。

この『カム』がリリースされた1994年ごろは、プリンスとワーナーがちょうどもめている真っ最中で、それでこんなまるで墓碑みたいなアルバム・ジャケットになったのかなあって思うんだけど、しかし僕たち一般の素人リスナーには、音楽家とレコード会社のいざこざなんざ、なんの関係もない。ただ発売にこぎつけられたものを聴いて、おもしろいかおもしろくないかを判断するだけで、そこに音楽家としての、あるいは会社側の、事情とか倫理みたいなものを持ち込まれてもよくわからないんだよね、僕はね。

プリンスのアルバム『カム』におけるエロさ抜きの純音楽的なおもしろさ(ってなんだろう?)は、僕にとっては一曲目「カム」、二曲目「スペイス」、九曲目「レットイットゴー」、この三つに尽きる。簡単に言えばジャズ・ファンクっぽくて、しかもまるで UK 発のグラウンド・ビートみたいじゃないか。だから僕は1994年にこれを買って(於渋谷東急プラザ内新星堂)最初に聴いたときから、そんな理由で好きだった。

プリンスを中心にお聴きになっているみなさんに <グラウンド・ビート> っていうタームがどれだけ通じるのか推測しにくいんだけど、1980年代末ごろから英国にソウル II ソウルっていうユニットがあって…、って以前からなんどか書いている僕のかつての大好物なので、ひょっしてご存知ないかたは、以下をご一読いただきたい。
この記事で紹介してあるソウル II ソウルの音楽を聴いて、その直後にプリンス『カム』の二曲目「スペイス」を聴いていただきたい。僕の言いたいことはおわかりいただけると思う。とてもとてもよく似ている。発表年は、もちろんソウル II ソウルのほうが先だ。プリンスのアルバム『カム』収録曲の録音年月が、例によって正確には判明しないのだけど、やっぱり影響はあったんじゃないかなあ。

一曲目「カム」もちょっとグラウンド・ビートっぽいよね。しかしソウル II ソウルにはなくプリンスにはっきりしているのは、ホーン・セクションの使いかただ。プリンスの曲「カム」は、だけじゃなくアルバム『カム』全編をとおしそうなんだけど、ホーン・アンサンブル・リフの使いかたがジャジー。しかも JBズみたいなファンキーさ。ねっ、似てるでしょ。

曲「カム」もそうだし、ほかのトラックもそうだけど、コード感がなく、ほぼワン・コードでチェンジせず、ひたすらワン・グルーヴで綴られて、しかもむやみに盛り上がったりせずワンネスの継続、あせらずジワジワゆっくりとした持続こそがファンクの極意だと言わんばかりじゃないか。いや、音楽の話です。

いっさい激しさのない継続性が、プリンス『カム』の最大の特徴なのだ。それでグラウンド・ビートを(おそらくはソウル II ソウルを聴いて拝借して)用い、ホーン・セクションを見事に使ってジャズ・ファンク仕立てにしてあるんだと思うんだけどね。

あとはやっぱり九曲目の「レットイットゴー」。この曲のベース・ラインはスライ&ザ・ファミリー・ストーンの「サンキュー・フォー・トーキン・トゥ・ミー、アフリカ」(『暴動』)に似ているが、しかしフルートなどの木管もうまく使ったプリンスのほうには、スライのそれとはまた違ったクールさがあって、ジャジーで最高だ。しかもキャッチーで耳をひきやすい。

いいね、これら三曲、「カム」「スペイス」「レットイットゴー」。ジャジーなホーン・セクションとグラウンド・ビートふうなビートの効いたファンクネス。ファンク・ミュージックとして聴く際のプリンスの諸作中では、僕はあんがいいちばん好きかもしれないなあ。『ザ・ブラック・アルバム』がいちばん好きだというときの気分とはまたちょっと違うものがあるんだ。

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