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2018/03/19

色が変わるようにコードは変わる

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調性変化とは色調変化だ。調性体系はコード(和音)だけじゃないが、まあなんでもだいたいコードみたいなもんなので(えっ?!)、今日はとりあえずコードと言うことにする。乱暴だけど、許してください。

ずいぶん前、といっても Twitter 上のやりとりでのことなので十年も前のことじゃないのだが、あるセミ・プロのジャズ演奏家のかた(たしかリード楽器奏者だったはず)が、楽器をやらない素人さんたちは、コードが変わったとか、II→IV とか、ブルーズ進行とか循環とか、わかるもんなんでしょうか?という、悪意のない素朴な問いかけをなさっていたことがある。

僕への問いではなくみんなに向けてお書きだったのだ。僕は答えなかったのだが、もちろんなんの楽器を触ったこともない素人音楽リスナーだって、コード・チェンジはわかるもんなのだ。聴くだけで、わかる。これは間違いない。なぜかって僕がそうだから。いちおうギターだけは触ったりした経験があるが、僕程度の楽器経験ではゼロに等しい素人なのだ。

それにそもそもギターを触るようになる前から音楽のコードの聴こえかたは同じだった。あっ、いま変わったぞとか、戻ったとか、こことここは同じコードだとか、ブルーズ進行だとか、そんなのはちっとも楽器を触ったことがなくたってみんなわかる。リズム変化もサウンド変化も当然わかる。何小節進んだとかも数えるだけだから、小学校低学年の算数と同じだ。だいたい音楽の考えかたって数学的だよね。

こういったこと、特にコード(と言っているが、モードでもなんでもトーナリティの)の変化は聴いて瞬時にだれでもわかるのは、色の変化と同じだからだと僕は思うんだよね。視覚障害がなければ、たとえばライヴ・コンサートを観聴きしていて、照明がパッと変わった瞬間に気づくでしょ。それと同じでコードの変化も聴いていれば、チェンジした瞬間にだれでもわかる。

ライヴ・コンサートの舞台照明がパッとチェンジするのを引き合いに出したのは偶然の思いつき。でも書いてみてハッと気が付いた。意味があることだよなあ。 ああいったステージ・ライティングの演出は、演唱される内容にあわせて計画されていると思うからだ。一曲終わったら白色系で明るくなったり、次の曲でまた違った色を使ったり、さらに一つの曲のなかでも(コードを含む)パターンが変化するところ、たとえばサビに入るところで照明の色をサッと変えたりするじゃないか。

ふつうの歌もののサビでコードが変わらないなんてことはまずありえない。ひょっとしてゼロ%じゃないの?コードの変化で曲のトーンに変化を持たせ、だからそこでステージの照明の色も変えて、コード・チェンジにともなう曲調変化をより一層鮮やかに観客に聴かせたい、見せたいという演出だよね。音楽コンサートではあたりまえのことなので、ジャズとかクラシックとかそういったステージ演出があまりないものを除けば、みなさん経験がおありのはず。

和音の変化が色の変化だというのは、自室かどこかで録音物を聴いているときでも同じことを感じるはずなんだよね。コードが変わった瞬間に(心情)風景が変化するじゃないか。見た目じゃなくて聴界の風景がパッと変化する。ばあいによっては視界も変わる。「あっ、変わったね」ってだれでも気づく。それが和音変化。(耳に)差し込む光の色が変わったんだから、素人だろうとみんなわかることなんだ。

もちろん素人には色の変化の「中身」はわからない。科学的になにがどうなって目に入る色が違って見えるのかはわからないんだ。それでも見えかたが変わったことじたいには気がつく。音楽のコードの変化も、響きの違いはだれだって気づくものだけど、構成音がどう変化したからっていう楽理的なことはわからない。わかる必要などないと僕は思うんだよね。

これはある有名ジャズ・トランペッター MD さんが言っていたことなんだけど、リスナーは私たち演奏家みたいにコードやモードやエレクトロニクスなど音楽の専門的なことについて知識は持っていない、だからこそ(私の)音楽を聴いて驚いたりビックリするんだ、音楽を聴いて驚きを体験できるなんて素晴らしいことじゃないか、と。

この発言は、しかし、音楽的な専門知識がなくたって、聴いて驚けるはずだ、つまりコードやモードやそのほかなんでも、つまりサウンドのありようや変化は、一般の素人リスナーたちだって聴きとれて体感できているはずだ、聴いてわかるからこそ驚きを感じるんだからみんな「理解して」いるはずだという大前提に裏打ちされているよね。

コードやモードの構成音が具体的にわからなくたって、あっ、変わったぞ、ここのコードとあそこのコードは同じだ、これはブルーズのコード進行だとか、こういったたぐいのことはすべて色調変化なんだから、だれだって感じとることができるもので、楽理的に理解できなくたって、聴きとれればいいんだよね。

コード・チェンジで色の変化を感じとる。たとえば照明の色が変わるように、あるいは紙や布や絵の具の色を変えるように、次の日には違う色や形の洋服に着替えるように、和音変化による気分(ムード=モード)の変化を感じとる。それが音楽家じゃない僕の聴きかただ。そしてただそれだけのことで、長調、短調、ブルーズ、スパニッシュ、アラブなどなど世界の調性の違いや同一性は聴いてわかるのだ。(ステージ上の照明などの)色の違い、同一性なんだから、そりゃみんな気づくさ。

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