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2018/06/16

アラブ歌謡現役トップ歌手の恋愛歌集?

イラクのカエサルとまで呼ばれるトップ歌手で、アラブ圏を代表するスターに違いないカゼム・アル・サヒル。彼が2016年9月にリリースした『ザ・ブック・オヴ・ラヴ』(Kitab Al Hob)がかなりいいんだよね。このアルバム題は、バート・バカラックの有名曲を意識したのかな?関係ないのかな?音楽的には関係なさそうな気がするが、アラビア語の歌詞を聴いても意味がわからないぼくにとっては、恋愛歌集なのかな?という想像のきっかけにはなるものだ。

恋愛歌集なのかどうなのか、結局わからないけけど、わかっていることはそんな歌詞はぜんぶニザール・カッバーニの書いたポエトリーだってこと。これはジャケット裏にもブックレット裏にも記載がある。ニザール・カッバーニはシリアの偉大な詩人だ。恋愛詩もあるので、やっぱり…、う〜む、どうなんだろうホント?

ところで附属ブックレット、というかペラ紙一枚だからリーフレットか、それには特に詳しいことはいっさい書かれていないのだ。開くとカゼムが大写しになった写真があるだけで、曲情報も演奏者のこともわからない。音さえあればいいんだっていうんなら、やっぱりネット配信で十分??CD で買ったぼくはたんなる物欲主義者??

だから、カゼムの『ザ・ブック・オヴ・ラヴ』でのこの伴奏サウンドは、まあ聴いた感じ、たぶん生演奏のオーケストラによるものなんだろうっていう推測しかできない。一番目立つのがストリングスで、次いでパーカッション群。イラクの、というかアラブ歌謡でよく使われるローカルな楽器のような音も聴こえる。パーカッションは、というかリズムは、ひょっとしてコンピューター・プログラミングも混ぜてある可能性くらいならあるよね?いわゆるドラム・セットは使われていないみたいだ。

そんな(100%かどうか自信がないが)生演奏のパーカッションズや、またその上に乗るストリングスの奏でるリズムも、どこまでアラブ・ポップスのものなのか、どこからがラテン音楽由来なのか、ちゃんと判断できない。ずっとまえからアラブ歌謡にもラテン・リズムの影響は濃く、完全に溶け込んでいるので。

リズムはラテン・ミュージック由来のシンコペイションで、細かく刻みながらも大きく跳ねて躍動し、フロントの歌手(や楽器奏者)にノリとスペースを与え、歌ったり演奏するメロディはアラブ音楽のスケールにもとづく魅惑的なうねる翳と哀しみがあるものっていう 〜 こういった一種の理想形が、ここカゼムの『ザ・ブック・オヴ・ラヴ』にはある。

しかも主役歌手カゼムの声のトーンがすばらしい。アラブ歌謡現役トップ歌手だけあるっていうスケールの大きさを感じるもので、こりゃあ聴き惚れるよなあ。コブシまわしもアラブ古典様式で、しかしくどくなりすぎない程度のポップな軽みやモダンさが聴きとれる。

そんなこんなで、シリアの詩人の書いたものにイラクの歌手がメロディをつけて歌ったもので(オーケストラ・アレンジがだれなのかは記載なし)…、っていうローカル色をはるかに大きく超えた、ユニヴァーサルなポップ・ミュージックとしての魅力を、カゼムの『ザ・ブック・オヴ・ラヴ』は放っているように思う。全11曲、歌詞の意味がわからないが、イマイチなトラックなんて、楽しめない時間なんて、ないもんね。

壮大でドラマティックな展開を聴かせたかと思った次の曲では軽くフワリと舞ってみせたり、クラシカルなタッチだなと思わせると同時にモダンにポップだったり、ヴォーカルもシリアスさを感じさせたりちょっとおどけるようだったりなど、多彩だ。それでも全体的にはカエサルと称されるだけはあるっていう壮麗さで貫かれていて風格がある。

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