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2018/07/14

さりげない哀しみ 〜 パウロ・フローレスの2016年作

アンゴラのパウロ・フローレス。2016年の『Bolo De Aniversário』、2017年の『Kandongueiro Voador』と立て続けに新作がリリースされているが、ぼくが(CD を)買ったのはどっちも今年になってからこと。前者はなぜか Spotify になくエル・スールにも入荷せず、しかしアマゾンで実に楽に買えたというのもなんだか不思議…、でもない?

今日は『Bolo De Aniversário』の話だけほんのすこし、したいのだが、わりといい作品だなと思っている。全体的にダンサブルな曲が多く、快活ではあるけれど、しかし陽気か?というと、ぼくはそうとは感じない。ポルトガル由来のサウダージなのか、あるいはこれはパウロ独自の個性なのか、哀感がアルバム全体にうっすらと漂っている。2017年作『Kandongueiro Voador』ではそれがフル展開されているので、比較すればたしかに明るく聴こえる。

『Bolo De Aniversário』。全11曲、やはり生楽器演奏中心かな、と思って聴き、クレジットも見ていると、あんがいそうでもない。コンピューターを使ったプログラミングも随所で聴きとれるし、プログラマー名の記載もある。そんな曲や部分でも、しかしパウロはうまく有機的に活かすことができているなと感じる。

特にリズムの創りがデジタルなものであることが垣間見える。上物のホーン・セクションなんかはやはり生演奏楽器のようだ。たとえば9曲目「Just」は打ち込みのチープなビートだけど、その上に乗るピアノとパウロのヴォーカルの哀感は、背後が安っぽい感じだからこそ、かえっていっそう悲観として強く感じる、こともある、かも。

またクレジットがぼくにははっきりせず、音を聴いても判断が難しいアルバム・ラスト11曲目「Bolo De Aniversário」。これは生演奏ビートか?打ち込みビートか?わからないが、かなりいい曲だなあ。ビート感は強く快活だけど、パウロの声と歌は泣いている(ように感じるけれど)。フルートが入るのが効果的だ。

曲調じたいはやはり陽気に跳ねるものが多いことはたしかなんだけど、この旋律の動き。それに強い(一般的なものなのかパウロだけのものか、判断できない)サウダージ、というか哀感が流れているように思う。が、そうでない明るめの曲もありはする。

2曲目「Trabalho」(大編成ホーン群が活躍)、3曲目「Rumba Anos 80」(アコーディオンが印象的だが、teclas ってのがそれ?)、4曲目「Semba Vadio」(パーカッション群によるイントロ部もいい)、7曲目「Isso É Que É Economia」(ソプラノ・サックスが印象的なカリブふう) は、明るく陽気な曲だけど、底抜けか?っていうと、必ずしもそうとは感じない。パウロの声から悲哀を消し去るなんて、どうやったってできないのだった。

アルバムで個人的に最も強く印象に残った佳曲は、1曲目「Semba Pra Luanda」、5曲目「Recolher Obrigatório」、10曲目「Farrar」の三つ。これらでは強靭なビートに乗せて、サラリとさりげないが、だからこそかえって心にじんわり沁み込む哀しみがこもっているのを、ぼくは聴きとっている。

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