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2018/07/20

『ソーサラー』『ネフェルティティ』に聴くマイルズ・ブーガルー

このマイルズ・デイヴィスのプレイリストには『E. S. P.』『マイルズ・スマイルズ』からも選んであるが、それらについてはいままでそこそこ詳しく書いてきているつもりなので省略し、今日は『ソーサラー』(1967.10)『ネフェルティティ』(1968.1)の二作だけに話題を限定して、マイルズ・ブーガルーのことをメモしておきたい、自分用に。

というのは、そういう聴きかたをすれば、ぼくにも『ソーサラー』『ネフェルティティ』はおもしろく聴こえるようになってきているということ。最近までどう思っていたかという話はしない。大学生のころからリズムが楽しい曲も含まれているぞとボンヤリ感じていたが、今年六月ごろから執拗に書いているレーベル公式プレイリスト『ブルー・ノート・ブーガルー』 #BlueNoteBoogaloo のおかげで鮮明になってきた。遅すぎ?

しかし『ネフェルティティ』には「ライオット」一曲しかない。でもこれ、かなりおもしろいよね。曲の作者はハービー・ハンコック。トニー・ウィリアムズのドラミングが、上記プレイリスト収録曲のすべてでもそうだが、変形ラテン・ビートを叩きだしているのが、とてもいい。「ライオット」でもかなりすごいよなあ。8ビートだけど、同時にメインストリームな4/4拍子も(主にハイ・ハットで)維持している。

「ライオット」でもほかのものでも、マイルズ、ウェイン、ハービーのソロ内容そのものをそんなには重視していない。ロン・カーターとトニー・ウィリアムズ二名の伴奏が鬼のようにカッコイイと感じて、そればかりに耳がいく。タイトなトニーと違って、ロンはどこを弾いてどこにいるのか、どこへ行きたいのか、フワフワしていて、よくわからない不穏な感じなのが、またいい。

『ソーサラー』には鮮明な変形ラテン・ビート、というかマイルズ・ブーガルーが三曲もある。そのうち「リンボ」(ウェイン作)は、しばらくのあいだブーガルーとは気づかない。このクラシカル・ワーク二枚でみなさんもぼくも最も強く感じている典雅で静的な感じではじまって、しばらく続く。

しかし二管でのテーマ演奏中からトニーがじょじょに熱を帯び、ソロ・パートに突入すると俄然8ビート・ブーガルーへと変貌するんだよね。それが続いているあいだは(ぼくは)気持ちいい。ロンはほんとなにやっているんだろう?どの曲でも、今日選ばなかったものだってそうだけど、浮遊感が強い。ここでのトニーはフリー・ジャズ・ドラミング的でもある。

「プリンス・オヴ・ダークネス」「マスクァレロ」(どっちもウェイン作)の二曲だと、どこからどう聴いてもブルー・ノート・ブーガルーと共通する、というかそのままじゃないか。8ビートの変形ラテンで、いやあ〜、カッコよく楽しいですよねえ〜。トニーのドラミングにはロック・ビート由来だと聴きとれる要素もあるぞ。ところで、この後のライヴで「マスクァレロ」は頻演されたけれど、どうして「プリンス・オヴ・ダークネス」はやらなかったのだろう?

こういったものを重視するのは、その後のマイルズの歩みを考えてのこと。アクースティックなレギュラー・クインテット演奏であるとはいえ、「スタッフ」(『マイルズ・イン・ザ・スカイ』)「フルロン・ブラン」(『キリマンジャロの娘』)などに直結しているし、『イン・ア・サイレント・ウェイ』『ビッチズ・ブルー』などの大傑作や、また1970年代のマイルズ・ミュージックのことを考えてふりかえれば、どなただっておもしろいとお感じになるんじゃないだろうか。

参考までに、公式プレイリスト『ブルー・ノート・ブーガルー』。
https://open.spotify.com/user/bluenoterecords/playlist/1OAOMYbP4EDgKstUio9FdD?si=Z1lFcI3_SP-_7NmC1xje1w

こっちはマイルズ・ブーガルー。
http://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-479a.html

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