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2018/10/25

アクースティック・ツェッペリンでの愛好曲

レッド・ツェッペリンのアクースティック・ソングということで、いまのぼくがいちばん好きなのは『III』の B 面とか四作目の「限りなき戦い」などもいいけれどそれよりも、『フィジカル・グラフィティ』おしりのほう(二枚目 B 面だった)の二曲、「ブギ・ウィズ・スチュ」「ブラック・カントリー・ウーマン」なんだよね。

しかしこれはオリジナル・レコード収録曲と限定すれば、という話であって、現行のデラックス・エディション(はどのアルバムも二枚組以上)収録曲にまでひろげれば、『コーダ』三枚目にあるボンベイ・オーケストラがやった「フォー・ハンズ」「フレンズ」も、かなりの愛好曲というか演奏解釈ということになる。うん、あのふたつ、かなり好き。

ツェッペリンがアクースティック路線の曲をやるときには、ジミー・ペイジがもとから持つあんな志向・嗜好もあって、ブリティッシュ・トラッド/フォークなロック・ソングになっているばあいが多かった。それは一作目から四作目までずっと基本的にはそう。『III』の B 面でフル展開したあと、四枚目の「限りなき戦い」「天国への階段」「カリフォルニア」の三大傑作に結実したのだと言えるはず。ときにケルト神話と結合することもあった。

ツェッペリンのなかにある、そんな英&愛トラッド/フォーク要素がアクースティック・ロックに結合したものについては、また別な機会に考えてみたいので今日はおいておく(ってか、そもそも書けるのか、ぼくに?)。現在のぼくの好みでだけ、上で触れた四曲+αについてだけ、ちょちょっとメモしておきたい。いやあ、ほ〜んとあのへんが大好きなんですよ〜。

『フィジカル・グラフィティ』(旧二枚目 B 面)の「ブギ・ウィズ・スチュ」と「ブラック・カントリー・ウーマン」。これは録音現場での会話をはさみ、まるでメドレーのようなつながりになっている。その流れも実にいいよね。「ブギ・ウィズ・スチュ」のほうでホンキー・トンクなピアノを弾くのが、曲題どおり(ローリング・ストーンズの)イアン・スチュワート。こういったバレルハウスふうブギ・ウギ・ピアノのうまい人だ。

弦楽器はギターとマンドリンが同時に聴こえるので、ジミー・ペイジとジョン・ポール・ジョーンズがそれぞれどちらかを弾いているんだろう。どっちがどっちみたいな判別ができる耳は持ち合わせていないが(ジョンジーがマンドリン?)、四枚目のアルバムにあった「限りなき戦い」とちょっと似た弦楽器編成だ。ギター&マンドリンのからみあいもそれと同じく楽しい。曲想は180度違っていて、「ブギ・ウィズ・スチュ」のほうは、たんなる即興ブルーズ・ジャムだ。

ジョン・ボナムの叩くドラムスの音はひしゃげたロー・ファイな音に加工してあるが、ここではそれがいい雰囲気で、打鍵ハンマーに鋲でも打ったようなピアノのサウンドとあわせ、バレルハウス〜ホンキー・トンクな曲想をよく表現している。そう、こういったのは1920〜30年代のブルーズ・ピアノ・ミュージックなんだよなあ。そういうのが大好きなもんだから。ここまでよく再現してくれてうれしい。スチュのアイデアだったのかなあ?

ギター&マンドリンのからみあいといえば、飛行機がどうしたとかいう会話をはさんで流れてくる「ブラック・カントリー・ウーマン」もそうだ。これにかんしてはジョンジーがマンドリンというクレジットがある。彼はベースもオーヴァー・ダブしている。イントロ部からのペイジのギター弾き出しで変拍子を使ってあるとわかるんだけど、ボンゾは最初それに合わせるのにちょっぴり戸惑って、ベース・ドラムスのペダルを踏む拍を演奏途中で変更している。でもスネアなどのおかずも入れはじめてからはいい感じにスウィングしているよなあ。気持ちいい。

さらにロバート・プラントがハーモニカを吹くのがこの「ブラック・カントリー・ウーマン」ではいいフィーリングをかもしだしている。途中からぶわ〜っと入ってきて、まるで1950年代のシカゴ・ブルーズでも聴いているかのような心地よさ。曲調にふくらみももたらしているのがナイス。ハーモニカで、少しづつ変えながら同一フレーズを重ねてぐいぐい進むあたりなんか、快感だ。ヴォーカルと重なっているので、オーヴァー・ダブだね。

『コーダ』にある「プア・トム」のこともちょっぴり書いておこうかな。おそらくは『III』用の録音セッションでやった曲かもしれないが、ツェッペリンがアクースティック・サウンドをやったすべてのなかで、この曲だけがビートの効いたアップ・テンポ・グルーヴァー。このバンドにしては珍しい。やはりハーモニカが入る。これがお蔵入りしていたのは理解できる。どのアルバムのどこにも入る曲じゃない。

『コーダ』デラックス・エディション(2015)三枚目の「フォー・ハンズ」(フォー・スティックス)と「フレンズ」。これは1972年10月にインドのボンベイ(現ムンバイ)で現地人演奏家たちを起用してのセッションで録音されたなかのふたつ。約二年半前に詳述した。
いやあ、楽しいなあ、ツェッペリンにあるこういったインド傾向の曲を、現地インドの演奏家にやらせてフル展開するのって、最高じゃないですか。「フォー・ハンズ」のほうにはペイジもプラントも参加していないけれど、でもオーケストラ・アレンジはペイジが手がけた可能性がある。「フレンズ」にはギターとヴォーカルが聴こえるので、それが両名だろう。

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