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2018/10/02

思うようにはならないものだ

という意味の原題(You Can't Always Get What You Want)を持つローリング・ストーンズの「無情の世界」(これも気に入らない邦題だけど、原題が長いのでやむなく使う)。ビートルズ「ヘイ・ジュード」への返歌なのかも。シングル発売されたりアルバム『レット・イット・ブリード』に収録されているオリジナルはそうじゃないが、ライヴでは常にギター・ソロのショウケースとなってきた。それが本当に大好きだ。だから、オリジナルのスタジオ録音ヴァージョンは、個人的にイマイチ。ギター・ソロを聴きたい。というかいつもそれしか聴いていない。

ほかにも持っていて漏れがあるんだけど、ぼくの持つストーンズの「無情の世界」を、スタジオ・オリジナルを含め録音順に並べたプレイリストが以下。収録アルバムと収録年月、場所を書いておく。長年、この曲のストーンズ公式ライヴ・ヴァージョンは、『ラヴ・ユー・ライヴ』のものしかなかったはずだけど(その次が『フラッシュポイント』のかな)、いまでは充実してきている。Spotify で見つけられないものは、YouTube リンクを書いておいた。

1) Let It Bleed(1968,10)
2) Ladies & Gentlemen(1972.6, Texas, USA)
3) The Brussels Affair(1973.10, Europe)
4) L.A. Friday(1975.7. Ca. USA)
5) Love You Live(1976.6, Paris, France)
6) Hampton Coliseum, Live, 1981(1981.12, Virginia, USA)
7) Live At Leeds Roundhay Park 1982(1982.7, Leeds, UK)
8) Flashpoint (1989.11, Florida, USA)

書いたようにスタジオ・オリジナルをあまり聴かないのでライヴ・ヴァージョンに話をしぼると、ソロを弾くミック・テイラー時代、ロニー・ウッズ時代と、ほぼいつもずっと演奏され続けてきている。ストーンズではロニー時代がいちばん長いということに結局なったので、その数はかなり多い。公式発売ヴァージョンと限定しなければ、無数にあるはずだ。

ロニーがソロを弾くストーンズ公式の「無情の世界」は、ぼくもさらにたくさん持っていて、上のプレイリストにぜんぶは選ばなかった。数が多いのと、同じような時期のライヴ収録だと内容もかなり似通っていて差がないんだ。ぜんぶは必要ない。それでも1975年のと76年のは両方入れた。そうするべきだと思ったから。

じゃあロニー時代の「無情の世界」(のギター・ソロの話しかしないが)のことから書こうかな。やはり1975年、76年のものが頭抜けてすばらしい。76年のパリ・ライヴから短く編集されて『ラヴ・ユー・ライヴ』に収録されているものが、ロニーといわずミック・テイラーといわず、最もおなじみのものだ。かなりいいよね。『ラヴ・ユー・ライヴ』の「無情の世界」におけるロニーのソロがいいというのは、定評みたいになっている。

『L.A.フライデイ』(は、ストーンズ公式ダウンロード音源しかぼくは持っていない)になっている1975年のツアーのときも『ラヴ・ユー・ライヴ』と同じくキーボードでビリー・プレストンが参加していて、「無情の世界」でもシンセサイザーでビヒャ〜とまるでストリングス・セクションに似せたような幕をたてこめるのがいい雰囲気。スタジオ・オリジナルの(特に少年合唱隊の)雰囲気をちょっぴり再現している。フレンチ・ホルン(アル・クーパー)のサウンドは、現在までライヴによって似せたりまったくなかったり。

1975、76年のツアーというと、ロニーはまだバンドに参加して日が浅かった(というか75年のときはまだ正規メンバーじゃなかったんだっけ?)せいか、認めてもらおうとしてのことかどうなのか、どんな曲でもかなり気持ちを入れてがんばってソロを弾いている。相当弾きまくっているというに近い。その代表作が「無情の世界」だ。

1975年のでも76年のでも(これ、ソロ内容はやはりほぼ同じだなあ)、ソロの途中で短く細かいフレーズを反復しながらグイグイ盛り上げるあたりの構成は、立派なブラック・ミュージック・マナーだ。<ちゃんとした>ソロ展開を、という一部のリスナーさんたちは、こういうの軽蔑なさいますが、「アフター・アワーズ」や「フライング・ホーム」など1940年代のジャンプ・ミュージック以来の伝統であります。一般大衆の気持ちの盛り上がりをバカにしないでください。

そんな立派なソロを聴かせてくれていたロニーなんだけど、「無情の世界」でのソロも、1981年や82年のツアーから以後は、ペース・ダウンしてしまう。はっきり言いますが、おもしろみが消えた。バンドの定常番頭となれて安心してしまったということなのか?あるいは別な理由なのか(腕が落ちたとは思わない)、曲じたいはいつどこで演奏しても差が生まれえないものだからソロで聴かせてきたんだと思うのに、これじゃあなぁ〜。あぁだらしない。あのころのロニー、カム・バック!

1975、76年ツアー時の「無情の世界」におけるソロがあんなに美味しい感じになっているのは、その時点で公式には未発売でも、バンドで正式録音したライヴ・テープ、すなわちミック・テイラーが弾きまくる1972、73年ツアーのテープを、ロニーも聴かせてもらっていたからなんじゃないかとぼくは推測している。そうか、ここまでやるんだ、こうじゃないとストーンズでソロを弾いたということにはならないんだと、そう思って気持ちを引き締めたんじゃないかなあ。

ロニーがそうまで思うほどすごいミック・テイラーがソロを弾く「無情の世界」。1972年ライヴの『レイディーズ・アンド・ジェントルメン』、73年の『ザ・ブリュッセル・アフェア』と、公式発売は二種類だけど、どっちも最高だよ。ぼくとしては73年ヴァージョンに軍配をあげたい。好きで好きでたまらないんだ。あのミック・テイラーのソロがさ。音色も、よりまろかやでコクがある。フレジング展開は、やはり72年も73年も似てはいるが。

「無情の世界」という曲は、歌詞内容や曲題に反するかのように、曲想は爽やかで荘厳で気高い雰囲気を強く漂わせているものだけど、バンド全員の演唱もそうならギター・ソロ内容だってそれを具現化している。ロニー・ヴァージョンも出来のいいものはそうだけど、ミック・テイラーのソロのほうがそんな調子をより鮮明に表現できている。

特に『ザ・ブリュッセル・アフェア』(も、ストーンズ公式配信のものでしか聴いていない)での「無情の世界」におけるソロには舌を巻くしかない。録音状態がいいのでギターの音色もよくわかる。ミック・ジャガーが歌い終えるやいなやワン・ノート二音で入ってすぐに細かいフレイジングで展開する出だしで、もう心奪われてしまう。その後も鳥肌もののソロ展開。

個人的に残念なのは、ソロ後半からテナー・サックス(トレヴァー・ローレンス)に交代してしまうこと。10年近く?前、公式サイトから『ザ・ブリュッセル・アフェア』をダウンロードして最初に聴いていて、「無情の世界」のギター・ソロに、なんて立派なんだ!と感激しながら聴き惚れていたらサックス・ソロにスイッチしてしまって、とっても残念な気分だった。

できれば最後までミック・テイラーで行ってほしかったなぁ。

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