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2018/11/03

OKI ソロ at 松山ナイト 2018.10.31

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アイヌの OKI さんのソロ・ライヴが、なんと松山市内で行われるというので、ハロウィンの夜に出かけてきた。場所はかなり小さなカフェ?スウィーツ・バー?そんな手狭なところで、19:30の開演時に客はぜんぶで12人。本当にこじんまりとした雰囲気だったけれど、OKI さんの音楽はとんでもない、大きなスケールを感じさせるひろがりを持っていた。






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当夜は『サハリン島のトンコリと物語』と題されていて、といってもぼくはなにも知らない世界なのだけど、OKI さんは一曲一曲それがどんなものか、どんな文化的・人間的バックグラウンドを持ったものなのかなどなど、ていねいに解説しながら、トンコリを弾き歌っていた。その演唱に(プリミティヴで?)広大なスペイシーさを感じたのだった。第一部のラスト・ナンバーはムックリ演奏だった。




二部構成のライヴは19:30開演予定どおりにはじまって、二部とも約一時間程度との予告。お店のかたの事前のお話では、遅くとも21:30には終わると思いますとのことだったけれど、約15分間の休憩をはさんでの第二部が熱を帯び、特に、みんなで輪唱をやるワークショップ・パート(三曲やった、あなたひとり声デカイですよ、と面と向かって言われちゃった)が盛り上がり、その前にやった第二部1曲目の「サハリン・ロック」からノリノリで、ワークショップが終わっての当夜のラスト・ナンバーも激アツで、ぜんぶ終わって店内が明るくなって腕時計を見たら、22:30が近づいていた。三時間やった計算じゃん。

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トンコリは二本用意されていた。チューニングを違えてあるのだろう。また一本のトンコリでも、次の曲に入る前にチューニングを(ペグ?と呼んでいい?ものをまわし)変えたりもしていた。トンコリは全弦解放で弾く楽器なので、そこだけ取ると表現の幅が狭いかのように思えるのを補う目的もあって OKI さんもそうしているのだろう。ライヴのあいだずっと OKI さんの手もとを見ていたんだけど、解放弦を細やかでしなやかな指さばきではじいていた。


しかし、OKI さんのトンコリ演奏は、その出てくるサウンドを耳にすれば、とても表現の幅が狭い楽器だとは思えない多彩なカラフルさ。特にご自身でも言っていたけれど、メロディを自在に弾ける楽器じゃなくてリズム表現に重きを置くものなので、ということなのか、なにも知らない素人のぼくが聴いても、一曲ごとにチェンジするリズム・パターンの豊かさには目(耳?)を見張る。グルーヴが自在。「この曲のリズムは…」との説明のことばを全曲の前後で強調していた。

一曲のあいだ、基本、OKI さんは同じパッセージをずっと反復している。それにすこしづつニュアンスの変化をくわえながらリピートし、聴き手をトランス状態にもっていくという、つまりミニマル・ミュージックの創りかただった。音色のせいもあってか、ぼくはジンバブエはショナ族のムビラ演奏を連想した。連想っていうか、これ、音楽の種類としては同じものだよね?アフリカとアイヌの親和性。

第一部では OKI さんも客もまだちょっと緊張して硬かったかもな?とぼくは感じていたんだけど、第二部オープニングの野趣あふれる「サハリン・ロック」のグルーヴでもってそれは消え、客も大きく手拍子であわせ、OKI さんがシャウトするたびにぼくは大きな掛け声を入れた。終わってワークショップ・コーナーに入ってしばらくしてから、「あなた、さっきからノッテますね、音楽やってるんですか?この機材の写真撮ってたし」などといじられて、うれしかった。


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開演前に写した機材写真二枚。スタンド・マイク中段に取り付けてある操作パネル(OKI さんいわく「これはヒミツだから、写真は5000円もらいます」)のつまみは、よく触ってまわしていた。主に電気アンプリファイド・トンコリの音量調節かなあ?足元のフット・ペダル操作によるエフェクター類も、かなり頻繁かつ細やかにやっていて、リヴァーブやエコーやゴーッっていう風?嵐?のような音みたいな効果をトンコリ・サウンドに付与していて、本当におもしろかった。

第二部に入ってからは、OKI さんがひとり弾くトンコリや、弾かずに手拍子だけで、歌ったり客と合同で輪唱したりして大いに盛り上がり、現場がかなりの熱量を帯び、OKI さん独演唱でも客席との一体感が強く感じられ、客の熱や好レスポンスは至近距離の OKI さんにフィードバックされ、いっしょになって高い場所にのぼりつめていったと、ぼくは感じたんだけど。

いや、ぼくだけじゃない、ときおりぼくがチラ見していた11人の客も、手拍子や輪唱をしないときでも、同様のうれしそうで楽しそうな表情を浮かべては、からだをゆすったり手でリズムをとったりしていたよ。

しかしそんな客の興奮と、このまま帰ったんでは寝つきにくいかもという心理を見透かしたかのように、アンコールで出てきた OKI さんは子守唄(と言っていた)をやり、ヒプノティックになだめすかすような落ち着いた静かな演奏と歌で、見事にクール・ダウンまでもしてくれたのだった。

すばらしい一夜だった。音楽のグルーヴとはなにか?それを身をもって生体験できた。最高に楽しかった。

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