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2018/11/07

音楽の楽しみ 〜 デスカルガ

デスカルガ(Descargas)とはジャム・セッションのこと。ラテン・ミュージック、特にキューバのミュージシャンたちのあいだで使われることばだ。それはどんなものなのか、どれほど楽しいのか踊れるか、を端的に示したアンソロジーが、今2018年発売の仏フレモー&アソシエ盤『キューバ・ジャズ:ジャム・セッション - デスカルガ 1956-1961』三枚組。

こ〜れが!だいたい似たような、というかほぼ同じような音楽がどんどん続けて全55曲計四時間弱流れくるけれど、ま〜ったく聴き飽きるということがない、ばかりか楽しさが増すばかり。ここまでメッチャ楽しい音楽アルバムがかつてあっただろうかというくらい、超絶楽しいのだ。いやあ、デスカルガって、ほ〜んとイイですよね!

アンソロジー『キューバ・ジャズ:ジャム・セッション - デスカルガ 1956-1961』は、オリジナルのレコードをそのまま連続収録して並べたもので、ブルーノ・ブルム編纂のフレモー&アソシエ盤としては珍しいと思うのだが、これはたぶん、そうしたほうがデスカルガの享楽をたっぷり味わえるという意図のもと、やっていることなんだと、聴けばわかる。もとのレコード形態ではぼくは一曲も聴いたことがないけれど、間違いないと感じる。

デスカルガなどと呼んでみても、それはしょせんソンのモントゥーノ部の延長だ。だから、マンボにもサルサにも近い。というかこのフレモー&アソシエ盤には、ほぼ100%マンボ or サルサと呼んでさしつかえないものだって収録されている。マンボもサルサもだいたいモントゥーノの発展形なんだから当然だ。ってことはすべてはソンのアフロ形態のなかにあって、それがジャム・セッションに展開したのがデスカルガってことかなあ。

でも北米合衆国のジャズ・ミュージックで聴けるジャム・セッションのたぐいとは大きな違いも聴かれる。それはまず第一にリズムの快活陽気な躍動感がデスカルガでは強い。さらにアド・リブ・ソロ内容の展開も、デスカルガではジャズほど複雑高度ではない。もっとこう、グッとシンプルでわかりやすい親しみやすさで演奏されている。そこがいいんだ。

またこの三枚組でもそうだが、ヴォーカルが入るばあいも短い同一パッセージの単純メカニカルな反復で、モントゥーノの持つそんなアフロ特性を如実に反映したものとなっているのも、ジャズとの大きな違いだ。ヨーロッパふうに上下する<ふつうの>メロディ展開が歌のラインにすら、ない。楽器演奏にも当然あるわけない。ただ、メカニカルな反復あるのみ。

な〜んだ、じゃあアホみたいな音楽じゃないか、と考えるのは、西洋音楽の枠内でしかものをとらえていない証拠だ。(純)ジャズ・リスナーのなかには多いのだろうか?一定の短い同一パターンを延々と反復する、一種のピストン行為でたかまっていく、エモーショナルにもりあがり、演奏者も聴衆も快感を得る、というのは、ジャズのなかにでも、たとえば1940年代のジャンプ・ミュージックにはあった表現様式だ。

しかしそれだってまだまだ遠慮がちに、つまりヨーロッパ方面のみなさまがたに気を遣いながらやっていたことだったと、今日話題にしている三枚組『キューバ・ジャズ:ジャム・セッション - デスカルガ 1956-1961』を聴くと、わかってしまう。キューバ音楽のこんなハッピーなアフロ特性、すばらしいものじゃないですか。

どっちが音楽的に高度だとか、どっちがより洗練されているだとか、よりむずかしいだとか、そんなふうなものごとの思考基準が消えてなくなるような、つまり音楽エンターテイメントにおいてはなにがどう楽しく騒げて盛り上がれるかだけを判断要素にして演奏し聴き踊ればいいじゃないかという、そんな見事な境地が、デスカルガにはあるね。

ブルーノ・ブルム編纂のフレモー&アソシエ盤アンソロジー『キューバ・ジャズ:ジャム・セッション - デスカルガ 1956-1961』、ただたんにひたすら楽しくハッピーだ。ただそれだけ。それでじゅうぶんじゃないの〜。

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