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2018/12/22

オピカ・ペンデ(1)

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二日連続です。

2011年にダスト・トゥ・デジタルからリリースされたジョナサン・ウォードの『オピカ・ペンデ』四枚組。これがなんであるか、アフリカ音楽に興味があるかたがたにはまったく説明不要だ。問答無用、絶対必須のコレクション。今日はディスク1と2について、ちょちょっと短く個人的感想メモを記しておく。ちゃんとしたことは、たとえば荻原和也さんの『ポップ・アフリカ 800』7ページめをご覧いただきたい。

『オピカ・ペンデ』は、まず一枚目で北アフリカ地域の音楽からはじまる。2011年に最初にディスクをトレイに入れ再生ボタンを押したとき、ありゃ、これはアラブ音楽じゃないか、ってことは北アフリカ地域だな、でもここはふだんあまり「(いわゆる)アフリカの」音楽には含めないばあいも多いけれど…、と思ったのだった。個人的にはサハラ以南よりもマグレブ地域のアラブ・アンダルース音楽に重心を移していたので、これはうれしかった。

『オピカ・ペンデ』にはインド洋の音楽まで収録されている。つまり、ジョナサン・ウォードとしては、地理的な意味で総体としての<アフリカ>の音楽をまんべんなく網羅したいという意図があったんだろう。実際、CD 四枚にかたよりなく選ばれていて、しかもたったひとりのプライヴェイト・コレクションでこれが実現しているのは、まったくの驚異(脅威)と言うほかない。

CD1の北アフリカ地域篇でも CD2の西アフリカ地域篇でも、ぼくは知らない名前が多い。聴けば、音楽そのものはなじみがあるものが多いけれど、不明となっている演者もあったりして、それらでもぼくでも知っている有名歌手の録音と比べて遜色ない。しかもこれが20世紀前半の録音なのだ。驚くべき豊穣さ。

そして、北アフリカ音楽でも西アフリカ音楽でも、現在アフリカン・ポップス(に前者は含まないことが多いけれど)としてぼくたちが楽しんでいるものの多くが、すでにこの『オピカ・ペンデ』にはある。すくなくとも祖型は整っている。あたりまえな話なんだけど、この時代から連綿と受け継がれ、それが(米欧由来の楽器と手法も導入しつつ)ポップ化して、いま聴けるかたちになっていったんだろうと容易に想像できる。

しかし、勘違いしてはならない。そういったモダン・アフロ(&マグレブ・)ポップへの下敷きとして『オピカ・ペンデ』があるのではない。このボックスに収録されている78回転レコードの音源そのものが、楽しく質が高く豊穣なのだ。

個人的に、ディスク1と2とでは、1990年代末以来すっかり肌になじんでいる北アフリカのアラブ系音楽よりも、二枚目収録の西アフリカ篇のほうに強く惹かれる。北アフリカ篇で聴けた憂い、それはアンダルース由来の翳りかもしれないが、ふだんはそういったものに引き込まれることの多いぼくでも、『オピカ・ペンデ』ではサハラ以南の音源のほうがおもしろく楽しい。

特にラテン・アメリカ音楽、はっきり言っちゃってキューバ音楽だけど、その影響が濃く聴けるのもディスク2の愉快さだ。つまりそれほどラテン音楽が本当に大好き。1曲目の Mbongue Diboue Et Son Ensemble による「Tu Nja Tengene Elie」からして、なんらかの木製打楽器で3・2クラーベを刻んでいるもんね。クラーベの魔力たるや!

その後、ハイライフやパームワイン・ミュージックを中心に進んでいるかなと思うんだけど(それらの話はぜんぶ省略)、一弦フィドルのソロ演奏で聴かせる4曲目 Yankori Beibatane「Air De Haoua」(ニジェール)があったり、5曲目 Richard Ábé Brown Band「Bārā Sānābo Bārā」(ナイジェリア)ではムビラ+パーカッション+歌の構成が楽しい。23曲目カメルーン人のだれかによる「Musique De Danse」はムビラ+パーカッションのインストルメンタルで、ミニマル・ミュージックな反復に酔ってしまう。

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