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2018/12/08

カルメン 37

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ブラジルが誇る全世界的イコン、ペレとカルメン・ミランダ。カルメンの全盛期1935〜40年のオデオン録音完全集五枚組 CD セットは、このサイズなのにぜんぶ聴き終えるのがあっという間という驚異のすばらしさ。そんなブラジル EMI リリースの完全集ボックスから1937年のものだけそのままの順で抜き出すと、以下の26曲。この年がカルメンのピークだったと思う。カッコ内は録音月日。並びはレコード発売順だろう。五枚組だと、三枚目〜四枚目頭となる。

01. O Samba E O Tango (2/24)
02. Reminiscência Triste (2/24)
03. Saudade De Você (3/20)
04. Gente Bamba (3/20)
05. Cachorro Vira-Lata (5/4)
06. Imperador Do Samba (5/4)
07. Dance Rumba (3/25)
08. Em Tudo, Menos Em Ti (3/25)
09. Canjiquinha Quente (5/4)
10. Me Dá, Me Dá (5/4)
11. Quem É? (7/20)
12. Cabaret No Morro (7/20)
13. Primavera Da Vida (8/29)
14. Bahiana Do Taboleiro (8/29)
15. Fon Fon (9/17)
16. Camisa Listada (9/20)
17. Quando Eu Penso Na Bahia (9/17)
18. Eu Dei... (9/21)
19. Dona Geisha (10/13)
20. No Frêvo Do Amôr (12/3)
21. Vira P'ra Cá (10/13)
22. Quantas Lagrimas (12/3)
23. Você Está Ahi P'ra Isso? (12/14)
24. Pois Sim, Pois Não! (12/14)
25. Onde Vai Você Maria? (12/22)
26. Onde É Que Você Anda? (12/29)

1937年のカルメンは、すでにショーロっぽいサンバに舵を切っている。伴奏も、数曲オーケストラ伴奏のものがあるが例外で、すべてがオデオンのバンドかベネジート・ラセルダのコンジュントがやっている。カルメンのヴォーカル同様、軽やかにヒラヒラと舞い、スウィングしている。しかも高度な技巧がそれとはわからないほどの自然な有機性を持っている。

カルメンのヴォーカルそのものはもっと前から完成されていたが、歌った題材、伴奏楽団などとあいまって、最高の高みに到達していたのが1937年のオデオン録音だろう。まず、カエターノ・ヴェローゾが復活させた「サンバとタンゴ」で幕開けだが、カルメンのものはサビ=<タンゴ>部でリズムもタンゴになり、歌詞もスペイン語、伴奏にもバンドネオンが入っているという凝りよう。

しかしこんなのは序の口に過ぎない。4「Gente Bamba」、5「Cachorro Vira-Lata」、6「Imperador Do Samba」あたりになると、あまりのすばらしさに形容することばが見つからない。聴感上のイメージはサラリとしていて、きわめてスムースでナチュラルだけど、歌いこなしの見事さには舌を巻くしかない。しかもキメた表情なんかぜんぜんしておらず、あくまでキュートで可愛らしい。発声もことばの使いかたもフレイジングもリズム感もパーフェクト。すべてが極上だ。な〜んてチャーミングなんだ!カルメン!好きだ〜っ!

続く二曲、7「Dance Rumba」、8「Em Tudo, Menos Em Ti」はキューバ音楽が題材。ルンバなんだけど、キューバ音楽とブラジル音楽が同じくらい好きなぼくには楽しいことこの上ない。1930年代後半のブラジル歌謡におけるこういったものは、ややエキゾティックな雰囲気だったのだろうか?あんがいそうじゃなかったかも?という気がしないでもない。それほど革命前のキューバ音楽は全世界に多大な影響を与え浸透していた。

バイーア音楽要素(14「Bahiana Do Taboleiro」、17「Quando Eu Penso Na Bahia」)やフレーヴォ(20「No Frêvo Do Amôr」)といった、リオ・デジャネイロの(カーニヴァル・)サンバの世界からしたらややエキゾティックに響くかもというものだってすでにしっかり用意されている。しかもカルメンの歌唱は余裕たっぷりで、いささかのほころびも聴かれないのが驚異だ。カエターノはこのへんも意識して継承したと思う。

大編成オーケストラを伴奏につけたストレートなカーニヴァル・サンバだって文句なしだし、なんなんだろう、この1937年のカルメンは?ここまで完成されていてここまでの高みにあり、しかもそうでいながら近寄りがたさなどちっともまとわず、庶民的で親しみやすい可愛らしさをふりまいて、大人の、ちょっぴりきわどいセクシーさをも漂わせているっていう、こんな歌手が、古今東西性別問わず、ほかにいるとは思えない。

※ 参考プレイリスト

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