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2019/01/01

いいね、パット・マシーニー『レター・フロム・ホーム』

ぼくの大好きなパット・マシーニー。1989年のゲフィン盤『レター・フロム・ホーム』もいいよねえ。以前、ゲフィン移籍第一作『スティル・ライフ(トーキング)』のことを書いたけれど、『レター・フロム・ホーム』はその次の作品。音楽的にも似ているというか、続いているというか、まぁおんなじだけど、こんな路線の音楽が大好物なんだから、金太郎飴でどんどん来ればひたすらいい気分なだけだよ。つまり、ヒューマン・ヴォイスを活用したブラジリアン・ジャズ・フュージョン。

『レター・フロム・ホーム』もパット・マシーニー・グループでの演奏で、ペドロ・アズナール&アーマンド・マーサルをくわえたレギュラー・メンツ計六人。人声で音楽に大きく貢献しているのは、やはりペドロ。このころのパット・マシーニー・グループにおける、ある意味、肝だった。リーダーたるギタリストや相棒のライル・メイズ以上にサウンドの色彩を支配していると、お聴きになればご納得いただけるはず。

そんなペドロの声を大きくフィーチャーし、ラテン〜ブラジリアンな躍動感を持ったリズミカルなナンバーが、『レター・フロム・ホーム』でもやはりぼく好み。アルバム・ラストのタイトル曲は、しかしまったく正反対で、ライルが美しくピアノ(そのほか)を弾く静謐なナンバー。ペドロのヴォーカルもなし。アルバム全体では、躍動をクール・ダウンするコーダのような役割なのかなと思う。

それとはちょっと違うかもだけど、ペドロの声もあるし、でも、8「ドリーム・オヴ・ザ・リターン」と10「ヴィダーラ」はやや近いゆったりナンバー。かなりダイナミックではあるけどね。さて、ここまで書いた三曲以外、アルバム『レター・フロム・ホーム』はぜんぶ快活に跳ねる軽快な楽曲で占められているのがこりゃまたぼく好みなのだ。楽しいったら楽しいな。

1曲目「ハヴ・ユー・ハード」からアクセル全開で飛ばしているのが快感だ。アフロ・ラテンな3「ベター・デイズ・アヘッド」(パーカッション陣活躍)、これまたアフリカンな4「スプリング・エイント・ヒア」は曲題どおり?やや翳哀のある曲想がこりゃまたいい。ややブラジル音楽のサウダージっぽい?6「5-5-7」もちょっとそうかな。

その次の7曲目「ビート 70」はひたすら楽しいビートの効いたダンス・チューン。これはまったく典型的なパット・マシーニー節丸出しともいうべき曲想とリズムとメロディ。パットの作品でならいくらでも見つけられるあたりまえなものだけど、上でも書いたように好きなものをどんどん続けて聴けば気持ちいい。

11曲目「スリップ・アウェイ」がこのアルバムの白眉かもしれない。かなりヒットしたというか、たしかなにかの賞をもらったんだっけ??「ビート 70」同様いかにもなパット・マシーニー・スタイルだけど、よく練られたメロディ・ラインとアレンジ、曲の展開など、寸分も隙のない仕事をパットがしている。ペドロのヴォイスは(たぶん)ぜんぶ書かれたラインを歌っていると思う。

毎度毎度の繰り返しだけど、かなり弾きまくれるギタリスト、パット・マシーニーにして必ずしも弾きすぎず控え、曲の構成とアレンジに重きを置いて綿密に練り上げ、それをグループの六人に有機的に役割を振り当てていると、聴けばわかるのが好感度大なのだ。しかも聴きやすくとっつきやすく、わかりやすくてポップだ。さらにセンティメンタル。シンフォニックにスケールも大きいし、いいと思うよ、パット・マシーニーの音楽って。

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