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2019/05/18

グナーワ大学 2019

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ONB(オルケストル・ナシオナル・ドゥ・バルベス)での活動で名を知ってすっかりファンになったアジズ・サハマウイ。彼のユニヴァーシティ・オヴ・グナーワ三作目が、今2019年にリリースされたばかりの『ポエティック・トランス』だ。これはかなりいい内容のアルバムだよね。グナーワ大学、一作目も充実していたが(このブログでもくわしくとりあげた)、この三作目はそれを上回っているかもしれない。

 

『ポエティック・トランス』で個人的にことさら気に入っているのは、ルーツ・グナーワ色を土台に置きつつ大衆音楽化しているもので、具体的には5曲目「Gang Sound of Mbirika」、7曲目「Soudani ya yémma」、9曲目「Sotanbi」だ。なかでも9曲目はポップ化もしていない生のグナーワといった趣で、これがいちばん好き。ディープでいいんだよね。

 

このあたりはモロッコの儀式グナーワが好きだという趣味嗜好からくるものだから、みなさんには共感していただきにくいかもしれない。それでも「ソタンビ」でカルカベ(金属製カスタネット)よりもドラム・セットの音を前に出し、エレベやエレキ・ギターも入れたりして、腐心してわかりやすくしようとしている。リード・ヴォーカルとバック・コーラスのコール&レスポンスは伝統マナーそのままだ。

 

もし『ポエティック・トランス』ではじめてグナーワっていうようなものに触れるという向きがおありならば、この9曲目でゲンブリとヴォーカルだけにして、ドラムス、エレベ、ギターを抜き、そこにカルカベをもっと大きく入れたら、それがだいたいディープなルーツ・グナーワの音楽像なのだと考えていただきたい。ぼくはそういった音楽が大好きなんだ。アジズだって、演奏終了後に思わず叫び声をあげているんだから、やはりこういったものこそが本領なんだと思う。

 

そんなアルバム・ラストの「ソタンビ」にはグナーウィとしてのアジズの心意気みたいなものが表現されていて、このアルバム『ポエティック・トランス』ラストに置かれた白眉のワン・トラックとなっているんじゃないかな。そのほか、5曲目、7曲目もグナーワ・ベースのポップ・ミュージックで、これらは比較的聴きやすいかも。

 

5曲目「ギャング・サウンド・オヴ・ムビリカ」でゲンブリ演奏がはじまってしばらくして、お腹に来る地を這うようなエレベが聴こえてきた瞬間に背筋がゾクゾクするし、アジズのヴォーカルもコール&レスポンスのコーラス隊も充実している。ここでもドラム・セット入り。途中からンゴニとトランシーなエレキ・ギターがからんで間奏をつくるあたり、このバンド、グナーワ大学のありようを発揮したものと言えるだろう。おもしろい。

 

ンゴニは、グナーワ大学において以前から頻用されていて、バンド名に反し音楽に西アフリカ色をもたらすことになっているのだが、アジズのユニヴァーサルな音楽企図が見えて、ぼくは好感を抱いている。それとエレキ・ギターをからめるなど、全体的に(プロデューサーのマルタン・メソニエのおかげもあるけど)種々音楽要素のフュージョン色が強いのも、結果的には大成功だ。

 

7曲目「スダニ・ヤ・イェマ」では、まずゲンブリ独奏が出て、それにヴォーカルのコール&レスポンスだけがからんでいくから、最初思わず「オオ〜〜ッ!」と喜んでいたら、ポップなドラムス演奏が入り、エレベ、エレキ・ギターと入ってきて大衆音楽化する。特にこの曲ではドラムスの音が大きく、演奏も派手だ。

 

すると、途中から派手でやや長尺なエレキ・ギター・ソロも出て、そこはまるでハード・ロックさながらだから、この7曲目を最初から聴いているとグナーワ・ロックみたいな感じにも聴こえるね。聴きやすくていいと思う。最初ディープなルーツ・グナーワふうにはじまって、瞬時にポップ・ミュージック化して、どんどん高揚していくさまを聴かせる構成は、アジズもさることながらマルタンの貢献を感じる具合だ。

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