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2019/06/03

サンバ・カンソーン二題(2)〜 エレーナ・ジ・リマ

1007845145https://open.spotify.com/album/7605mLWOh3U3f1bWhNvlk0?si=XB2MhZQIQbCsp7WFnEa1sg

 

エルザ・ラランジェイラのリイシュー盤を買おうとして、ディスクユニオン通販の同じページに掲載されていた同じ復刻レーベルの同じシリーズということだからついでに買ったブラジルの歌手エレーナ・ジ・リマの二枚。そのうち『a vos e o sorriso de Helena de Lima』(1961)の話をしておきたい。このひともいいサンバ・カンソーン歌手だなあ。

 

このアルバムを聴くと、エレーナは、たとえばエルザ・ラランジェイラと比較してクラシカルな感じがする。エルザよりも躍動感と表情に乏しいかもしれないが、端正で典雅だ。現代のサンバ歌手、そういえば、エレーナもこのアルバムで「ノティシア・ジ・ジョルナル」をやっているからと思ってニーナ・ヴィルチと比べたら、やっぱりエレーナにスピード感はない。なんだかもっさりしている。

 

でもこういったことは、必ずしも欠点にならないと思うんだよね。かえってエレーナの優雅さを際立たせることになっていて、しかもゆったりと夜のしじまに漂うような雰囲気を実にうまく表現できることにつながっているかと思う。伴奏を担当する RGE のオーケストラも似たようなクラシカルなムードだ。アレンジはポショかネルシーニョ。ストリングスの使いかたもいいね。

 

そんなエレーナだから、アップ・テンポで軽快にやるような曲よりも、スローでゆったりした曲のほうが似合っているし出来もいいように思える。このアルバムだと、たとえば1「ジ・アゴスト・ア・セテンブロ」、4「オウヴ、メウ・アモール」、5「ペルドナ、メウ・ベン」、11「カンソーン・ジ・アモール」なんか、特にいいね。

 

それらの曲では、歌に込める情感の表現法が格別ていねいで、ことばをしっかりこまかく扱って、大げさにならないようにクールに歌うのかと思いきやかなりエモーショナルに熱い思いを出して強く長く声を張ったりもする。フレーズにつける表情はやや一本調子かなと思わないでもないけれど、抑揚を大きめにとってエレーナなりの哀感や笑顔をうまく見せている。

 

そんなサウダージなバラードの数々で実力を見せるクラシカルなサンバ・カンソーン歌手エレーナ・ジ・リマだけど、アルバム中9曲目の「エウ・ソウ・エウ」だけは、ボサ・ノーヴァになっているんだよね。もっさりしたエレーナなのに、この曲ではこのリズムに乗ってはずむように軽快に歌いこなしているのが印象に残る。声も抑えてソフトに軽く発音しているのが、当時の新音楽ボサ・ノーヴァによく似合っているしね。思わぬめっけものだ。

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