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2019/06/18

アメリゴ・ギャザウェイがリミックスしたマイルズ「ラバーバンド・オヴ・ライフ」がカッコイイ

180315_miles_rsd_rubberbandhttps://open.spotify.com/album/4iHtBFo4si4ke896dw2yHJ?si=f0JtSy_uQb6vxpspcthV2Q

 

今日の文章はいままでに書いたこれらの記事を下敷きにしています。
http://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2018/04/post-b4d9.html
http://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2019/06/post-c5c347.html

 

マイルズ・デイヴィスの『ラバーバンド』フル・アルバムのリリースが公式発表されましたので、2018年11月末のデジタル配信『ラバーバンド EP』にはあったのに漏れるものについて、この際ちょっとメモしておきます。上のアルバム5トラック目の「ラバーランド・オヴ・ライフ(アメリゴ・ギャザウェイ・リミックス)」のこと。これは2019年9月6日リリース予定のフル・アルバムには含まれず、また2018年4月に出たアナログ12インチ EP レコードにもありませんでしたから、いまのところ、あるいは今後も?フィジカルなし、配信かダウンロード限定でしか聴けないものです。

 

しかしながら、そのアメリゴ・ギャザウェイがリミックスした「ラバーバンド・オヴ・ライフ」が超クールじゃないですか〜。なんともいえずカッコイイ。ぼくは大好きなんです。配信アルバム『ラバーバンド EP』の計5トラックのなかでこれがいちばんイイと思っているんですけどね。アメリゴ・ギャザウェイの名はマイルズ・ファンにはなじみが薄いでしょうけど無名人じゃないので、ご存知なかったらちょっとネット検索してみてください。

 

配信『ラバーバンド EP』とリリース予定のフル・アルバム『ラバーバンド』(の予告内容)を比較してみますと、前者にあって後者にも収録されるのは、前者2トラック目の「ラバーバンド・オヴ・ライフ(Feat. レディシ)」と4「ラバーバンド」(は1985年のオリジナル・ミックスです)のふたつ。このふたつ以外はフル・アルバムに入りませんが、ラジオ・エディットや2018年ヴァージョンのインストルメンタルは不要との判断は理解できます。

 

しかし配信 EP ラストのアメリゴ・ギャザウェイ・リミックスはそ〜と〜カッコイイので、しかもこれはアナログ12インチ EP にもなかったし、ということはもはやずっとフィジカル化しないままになるんでしょうか?あまりにももったいないんじゃないでしょうか?こんなにもクールですのにねえ。ストリーミングかダウンロードの『ラバーバンド EP』をお聴きになったならば、多くのかたが同様の感想をお持ちになるのではないでしょうか、最高にカッコイイと。

 

アメリゴ・ギャザウェイ・リミックスは、昨年発売された「ラバーバンド・オヴ・ライフ」のほかの3ヴァージョンとかなり様子が異なっています。それら3ヴァージョンで最も印象的であるボトムス(ベース・ドラム&アップライト・ベース!)の低音部を抜き、サウンドの分厚い感じも消してスカスカにし、ほかのヴァージョンではあまり目立たなかったギター・カッティングをサウンドの中心に据えています。

 

しかもそのギター・カッティングは、アメリゴ・ギャザウェイ・ヴァージョンにしかありません。だから彼が弾いたかだれかに弾かせたかで、新たに付与したものでしょう。全体的に風通しのいい骸骨サウンドとあいまって、その空間を E♭m7 / A♭7 / D♭m7 / G♭7 と四つのコードで刻むエレキ・ギター・リフがチリングですよねえ。も〜う、本当に大好き!

 

あ、コードのことを書きましたので、その点だけちょっとほかのトラック含め書いておきますね。1985年オリジナルの「ラバーバンド」のキーは Dm です。Dm 一発と書いてある文章も見ますけどそれは違います。マイルズがオープン・ホーンで吹くパートがサビというかフックみたいになっていて、そこだけ G♯m に転調します。そこ以外はハーマン・ミュート・プレイですよね。

 

配信『ラバーバンド EP』にあるほかの4トラック、すなわちリメイクされた「ラバーバンド・オヴ・ライフ」は、この転調を消してサビもなくし(オープン・ホーン・サウンドはあり)、全体をワン・グルーヴで貫いて、しかもキーを E♭m に上げ、それ一発でトラック全体を統一しています。アメリゴ・ギャザウェイもこの E♭m ワン・コード一発感は維持しつつ、上で書いたような四つのギター・コードを展開しているわけなんですね。

 

低音部のこともちょっと書きましたので、ついでに触れましょう。1985年のオリジナル「ラバーバンド」に弦ベースは入っていません。そのかわりシンセサイザー・ベースがぶんぶん弾かれていますよね。それ以外の四つ、2018年ヴァージョンでは弦ベーシストがいますが、それがアクースティックなアップライト・ベースを弾いているんですよねえ。ちょっとわかりにくいですが、耳を傾けてみてください。

 

アメリゴ・ヴァージョンではいきなりそのアップライト・ベースの音ではじまりますので、ここはわかりやすいんですけど、マイルズの声に続いて本演奏がはじまったらベースはやっぱりあまり聴こえなくなります。ドラムスの音も極端に減らして、これたぶんハイ・ハットを叩くサウンドだけになっていますよね。音量だって小さいので、アメリゴが手がけた「ラバーバンド・オヴ・ライフ」にベースとドラムスはほぼなし、としてもいいくらいです。

 

そんな風通しのいい空間的なサウンドのアメリゴ・ヴァージョンでは、四つのコードをカッティングするエレキ・ギターとマイルズのトランペットとの事実上のデュオ演奏でトラックが進行するというに近い部分がありますね。事実そうなっている、つまりギター・カッティングとマイルズのトランペットだけという時間はけっこうあります。それにエレピとレディシの声がからんでいるといった感じでしょうか。

 

スカスカ・サウンドでボトムスもないからなのかどうか、アメリゴ・ヴァージョンには奇妙な浮遊感があります。ほかの「ラバーバンド・オヴ・ライフ」がずっしりと沈み込むようなヘヴィさ、ダウナーさを最大の特徴としているのとはかなり様子が異なっていますよねえ。どっちがいいとかいう問題じゃなく、どれもぼくは好きなんですが、アメリゴ・ヴァージョンにはぼくを惹きつけてやまない something else を感じるんです。なんでしょうね、それは?やはりエレキ・ギター・カッティングが好きだというだけの嗜好でしょうか?とにかく聴いていて気持ちいいです。えもいわれぬ快感なんですね。

 

アメリゴ・ギャザウェイ・リミックスでは、マイルズのしゃべり声をいくつもサンプリングして挿入しているのも特徴です。マイルズが晩年に主演したオーストラリア映画『ディンゴ』からのセリフを持ってきています。イントロ部で聴こえる「よろしかったらちょっとお聴かせしましょうか」(If you don’t mind, we’d like to play something for you.)は間違いありません。なかなか見事なアメリゴのアイデアじゃないですかね。アウトロ部での「どうでしたか?」(Did you like the music?)、女性の声で「こんなすごいもの聴いたことありません」(It was the best thing I've ever heard.)も、映画『ディンゴ』からでしょう。

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