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2019/06/11

ドナルド・バードのレア・グルーヴ全盛期 〜『ストリート・レイディ』

71mrljnjakl_sl1400_https://open.spotify.com/album/7Iw2Tx6Jh0Y8iKEVfx7Sua?si=lJSdFdJBRQycPUuUfuQt2g

 

ひとりで1990年代にタイム・スリップしつづけているような気分のここ数日。ドナルド・バードの『ストリート・レイディ』(1973)も、ぼくの持つ CD には「ブルー・ノート・レア・グルーヴ・シリーズ」とバ〜ンと銘打ってあって、たしかにそうだよなあ、あのころこういったのがもてはやされていたもんねえ。CD リイシューそのものがレア・グルーヴ・ムーヴメントに乗ってのものだったんじゃないかなあ。

 

さて、『ブラック・バード』のことを書いたから、その次に大きなことは1979年のエレクトラ盤『ドナルド・バード・アンド・125th・ストリート、N.Y.C』になるんじゃないかと思うけど、そのあいだに個人的にグッとくるものが二枚あるので、それぞれ単独でとりあげてちょっとだけメモしておきたい。まずは『ブラック・バード』の次作『ストリート・レイディ』のこと。

 

『ストリート・レイディ』は前作に比べるとやや食い足りない感じがするのも事実。そしてジャズ・ファンクよりもふつうのフュージョンに寄っているようなサウンドだよね。ワン・リフ中心に組み立てていたワン・グルーヴのタイトさ、ファンキーさが薄れて、もっとやわらかめの方向に向いているように聴こえる。したがって、ちょっとジャジーさは復活したと言えるかも。

 

ぼくにとっての『ストリート・レイディ』は、なんたってマイルズ・デイヴィスの愛聴盤だったという事実でもって認識されている。わりと有名なんじゃないかな。それなもんで、マイルズの遺作『ドゥー・バップ』の4曲目「ハイ・スピード・チェイス」では、曲「ストリート・レイディ」からのサンプルが使われている。トラックをつくったイージー・モー・ビーも明言している。
https://open.spotify.com/track/00JSeHZVBL0bwKZ7GL0jYu?si=jnICO51lQSCp9g0UBQsyog

 

聴き比べれば、あぁ〜な〜んだ、とわかっちゃうけど、ぼくが最初に『ドゥー・バップ』を聴いた1992年当時、まだドナルド・バードの「ストリート・レイディ」を知らなかったから、なんてカッコいいトラックなんだ、イージー・モー・ビーってすごいんだな、って感心しきりだったよ〜。

 

いま、アルバム『ストリート・レイディ』全体を聴きかえしても、やっぱり曲「ストリート・レイディ」が突出してすばらしいと思える。アルバムの白眉だね。この曲はピアノを中心とするバック・トラックだけ先にできあがっていて、その上に楽器ソロやヴォーカルを乗せたものだと思うけど、ラリー・マイゼルのサウンドやリズム・メイクの冴えを感じるよね。前作『ブラック・バード』の手法だったボトムス中心のワン・リフはここにはない。「ストリート・レイディ」ではジャジーな演奏に近いフィーリングだ。

 

それはアルバム全体に言えること。『ブラック・バード』が異質で異様に鈍黒く輝いていただけかもしれないが、ああいったヘヴィなリフ一発の反復で組み立てる手法は、次作『ストリート・レイディ』ではほぼ聴けない。代わって、ジャジーなスポンティニアスさに軸足を戻しているかのようだ。だからファンクというよりソフト・フュージョンに聴こえるんだね。『ストリート・レイディ』だってしっかり組み立てられているけれど、できあがりがどう聴こえるかにラリー・マイゼルは気を配ったんだろう。

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