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2019/07/26

ウォークマンが登場した1979年以後、ぼくらの音楽ライフは二度と同じじゃなくなった

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今日の文章は、ピッチフォークのこのツイートとリンク先の記事にインスパイアされて書きました。
https://twitter.com/pitchfork/status/1148849358059843584

 

いまではあたりまえな音楽の携帯、持ち運び。いつでもどこででも、電車やバスのなかでもホテルの部屋でも、カフェでもレストランでも、ウォーキングやジョギングしながら、自分のお気に入りの音楽を聴けますよね。たぶんいま30歳代以下の世代のみなさんであれば、えっ?!そうじゃないことなんてあるの?音楽は持ち運んでどこででも聴けるものですよね!と1ミリも疑っていないんじゃないかと思うんです。でも、それらなにもかも、1979年までは不可能なことだったんですよねえ。

 

そう、音楽リスナーにとっては「すべて」を1979年発売開始のウォークマンが変えたのです。ぼくはこのソニー製商品の登場を克明に憶えています。その年、ちょうどジャズにどまはりして、夢中で音楽レコードを、大半はジャズですけど、どんどん買って自宅に持ち帰ってはカセットテープにダビングする(のは自室のラジカセで聴きたいがため)日々を送っている真っ最中でしたから。毎日通っている大学の生協の購買部に、ある日、ウォークマンが並んだんですよ。一年生(西日本では一回生という)のときです。

 

もちろん当時のウォークマンはカセットテープを聴くものでした。書きましたように音楽のカセットテープなら数多く持っていた身としては、これを自室だけでなくカバンに入れて大学まで持って行って、教室のなかや食堂や図書館でででも、とにかくどこででも聴けるんだと思えば、買うのに躊躇はなかったですね。そんなに高価なものじゃなかったように思いますし。

 

そのころ、つまり1970年代末〜80年代(前半ごろまで?)はちょっとしたウォークマン・ブームみたいなものがあって、とにかくソニーのこれは売れたんです。日本であまりにも売れたがためなのか海外進出も果たし、Walkman は携帯音楽プレイヤーの代名詞になりましたよね。あのころ、Walkman なんていう英語はおかしいぞなどという専門家のことばも飛び交っていたとかすかに記憶していますが、アホなことです。なんだって売れまくれば定着します。

 

ぼくの大学生活四年間は、ジャズとそのほかの音楽と、英語で読む海外小説、主にミステリと、映画と、まさにこの三つでできていたんですけれども(つまり実に植草甚一さん的)、一回生のときに買ったウォークマンを本当にどこにでも持ち歩いていました。スキマ時間スキマ時間で音楽カセットを聴いていたんですね。な〜んだ、約40年が経過したいまでもちっとも生活が変わっていないじゃないですか(苦笑)。いまは iPhone なだけで。

 

1979年発売型のウォークマンは乾電池駆動でした。当時はまだモバイル・バッテリーなども一般的実用品ではありませんでしたから、当然そうなるでしょうね。それにケーブルでヘッドフォンをつなげて聴くんですね。いまはヘッドフォン、イヤフォンも Bluetooth の無線接続が普及していますので(といっても電車内や街中ではまだまだ有線接続のかたも多い様子、というのも iPhone を買うとデフォルトで付属しますので)、そこは時代が変化しました。

 

とにかく、音楽を携帯できる、いつでもどこででも聴ける。このことが実現したのは革命的だったんです。片時たりとも音楽から離れたくない音楽キチガイにとっては、喉から手が出るほど渇望していたことでしたが、現実的には叶わぬ夢だったんです。その果たせぬ夢を、1979年発売開始のソニーのウォークマンが実現してくれたんです。ぼくらにとってウォークマンは神の道具のようでしたよ。

 

ジャズ喫茶や自宅リビングではレコードで聴きまくり、それをカセットテープにダビングし自室のラジカセで聴き、そのテープ数本をカバンに入れて外出し、大学やその他、いや、だいたい大学構内でかな、ウォークマンを使ってヘッドフォンで聴くという、そういった音楽生活を送っていたわけなんですね。特に大学内で数時間の空き時間や勉強時間ができるときは、そりゃもうウォークマンが欠かせませんでした。ほ〜んとウォークマン様さまでした。

 

そうやって大学四年間をウォークマンとともに過ごしたぼくも、進学のため上京したらしばらくして CD メディアの登場を目の当たりにすることとなり、そしてポータブル CD プレイヤーが発売されるようになりました。CD は LP と違ってメディアそのものが携帯しやすいので、(カセットなどに移さなくても)そのまま持ち運びながら聴けるということですよね。

 

個人的には、しかし CD も外出先で聴きたいときはカセットにダビングしてウォークマンをちょっとのあいだ使っていましたが、すぐにポータブル MD プレイヤーを使うようになりました。音質的には同じようなものだったでしょうが、テープと違って巻かない MD(ミュージック・ディスク)は扱いが簡便で、曲の頭出しなんかも容易でした。ぼくの周囲では MD をダビングや交換用のメディアとしていたひとが多かったんですけど、MDって日本でしか流行らなかったんでしょうか?音楽新作商品としても一時期 MD が音楽ショップにありましたけどねえ。

 

というのも、上でリンクしたピッチフォークの記事ではウォークマン → 携帯 CD プレイヤー → iPod → スマートフォンの順で記載されているからです。ぼくや周囲が iPodを使うようになったのは21世紀に入って数年経ってからで、そのためにパソコン用の iTunes アプリも出ましたね。同時期だったでしょうか、そもそも iTunes は iPod に音楽を入れるためのものとして Apple が開発したんだったように記憶しています。

 

iPod の登場は、1979年のウォークマンの登場と同じくらい革命的というか衝撃的で、CD の音楽をデジタル・ファイルにして、それを入れた携帯機器で聴くという生活は、いまに至るモバイル・ミュージック・ライフの礎を築いたものでしたよね。iPod の出現と普及が、いまのぼくたちのデジタル音楽携帯生活の土台を形成したんだと思います。iPod は、コンピューター・ハード&ソフト・メーカーだった Apple が、コンピューター製品じゃないものを作り売った最初でしたからねえ。

 

iPod はもはやほぼ廃れてしまったように見えていますけど、現在みんながやっている、スマートフォンで音楽を聴く生活スタイルは、その起源をず〜っとたどって考えてみますと、ピッチフォークの記事がそう位置付けたように、1979年にソニーからウォークマンが発売されたことに大元があるのは間違いないように思います。

 

つまり、2019年に至っても続くこのぼくらの音楽リスナー生活は、なにもかもすべて、1979年のウォークマンがつくってくれたのだと、ソニーのウォークマンこそが大革命だったのだと、そう言えるでしょう。個人的にはちょうどピッタリ同じ年に熱狂的音楽愛好者に転じたわけですから、ソフト&ハード両面で、なんだかとっても感慨深いというか、これはたんなる奇遇とは思えないシンクロナイズですよ。

 

ソニーのウォークマンは、このブランド名をそのままに、現在でも携帯型デジタル音楽プレイヤーとして活躍しているみたいです。

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