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2019/07/13

ミジコペイのスムースなシンコペイション

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https://open.spotify.com/album/0cBvFiydjZLqHO5dZL454n?si=aj75pNPmQxipUgXHvkLiBg

 

トニー・シャスールのライヴ盤二枚組はしっかり聴いていたものの、ミジコペイのアルバムは今回はじめて耳にしてみたぼくです(DVDは不便ですから)。2019年の『クレオール・ビッグ・バンド』。アルバム題どおり、ビッグ・バンド・ジャズのサウンドですね。それも旧来的な伝統のビッグ・バンドのそれで、目新しいところはありません。でもそういったことがこのアルバムにちょうどいいくつろぎをもたらしているので、ポイントは高いと言えましょう。

 

伝統的ビッグ・バンド・ジャズだと言いましても、それでもやはりミジコペイならでは、という部分はしっかりあります。ぼくにとっては二点。ひとつがトニー・シャスールをはじめみんながどんどん歌うこと。もう一点はこのリズムです。ストレートなメインストリーム・ジャズのビートの格好をしているものも多いんですけど、それだけじゃなく、いかにもカリブのバンドというだけあるシンコペイションを効かせているものがありますね。それでニンマリするんです。

 

たとえば、この新作のなかでの最有名曲は3曲目の「スターダスト」ですけれど、ストレートな4/4拍子系じゃないでしょ。ガチャガチャと跳ねていますよ。そこが実にいいと思うんです。ヴァースをふたりが歌い終えてリフレイン部に入ったら、ドラマーが強いシンコペイションを叩いていますでしょ。旧来的なビッグ・バンド・ジャズで「スターダスト」みたいな曲を、というと古くさ〜くなってしまいそうですけど、このリズムのおかげでそうはなっていないわけですね。

 

こんなカリビアン・リズムの活用法はこのアルバムの至るところで聴けて、ぼく的にはミジコペイ最大のポイント、長所となっているように思うんです。「スターダスト」では歌が終わってピアノ・ソロになっても、やはりリズムは強く跳ね、背後のホーン・リフもスタッカート気味に入っていますしね。なめらかさも際立っていますけど、突っかかって跳ねるような要素がありますよね。そこがいい。

 

こういったことが、しかしアルバム『クレオール・ビッグ・バンド』ではひとつながりのスムースさで表現されていますので、スーッと聴きやすく、聴き手は意識しないで流してしまうだろうと思います。そのおかげで、これはただのふつうのジャズ・ミュージックじゃないか、という感想を抱くばあいも多いんじゃないでしょうか。それでいいと思うんですけど、このアルバムの音楽の心地よさの源泉は、特にクレオール系音楽に親しんでいる身からしたら、そんなリズム・シンコペイションにもあるなと考えていますよ。

 

リズムのちゃかちゃかっていう跳ねかたは、このアルバムの多くの曲でどんどん聴けますので、みなさんもさがしてみてください。上で書いた、ヴォーカル・ナンバーが多いのでぼくなんかは好きという点は、しかし旧来的なジャズ・ファンのみなさんには共感していただきにくいのかもしれませんけどね。また、『クレオール・ビッグ・バンド』はスタジオ録音作ですが、全編とおしてライヴ一発録りみたいな雰囲気があるというか、そんな音響なのも特長といえます。

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