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2019/08/11

サッチモの古い録音を聴いてほしい

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https://open.spotify.com/playlist/38Dtc4gJ9auQJwUA7driUi?si=K7D1y3hXQ0-f_Q8sOABGMA

 

本当にサッチモことルイ・アームストロングの全盛期1920年代後半〜30年代前半のオーケー時代のことは、その偉大さと楽しさと重要性をどれだけ強調してもしたりないほどなんですけど、それに反比例するようにどんどん忘れられつつありますよね。いまやだれもふりかえらないようになっています。ジャズ史上最も輝いていて、最も重要だった録音集なのに、そんなことでいいんでしょうか。

 

1925〜33年のオーケー(コロンビア系)・レーベル時代こそサッチモの全盛期で、このへんの音源はだいぶ前にレガシーが全集 CD ボックスを発売しました。10枚組。これこそ、至高の録音集なんですね。ジャズ・ファンや大衆音楽に興味のあるかたがたには必携のボックスと言えましょう。いまや中古しかないようですが、入手は可能みたいです。
https://www.amazon.co.jp//dp/B008S80PPG/

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しかし、10枚組という規模ですし、サッチモのことをあまり知らないひとにいきなりこれを買ってほしいとはなかなか言えない面があります。本来であれば、音源の発売権利を持つレガシーが、もうちょっと年代別に小分けにして、ベスト盤のようなものを発売すべきだとぼくは考えていますし、人類史でも類い稀なこの偉大な音楽遺産を管理しているレガシーには(啓蒙、教育という意味もふくめ)その責務があるんじゃないでしょうか。

 

ぼくとしてはいちファンにすぎないわけですから、その立場からできるかぎりのことを今後もくりかえしやっていきたいと思います。まずやるべきことは、書いたように年代別ベスト盤みたいにした音源集がだれでも簡単に聴けるような状態にしておくことです。それを Spotify のプレイリストとして作成しておきました。1925〜27年、28年、29〜33年という三種類です。28年分はセレクションではなく全集です。

 

・(1925〜27)https://open.spotify.com/playlist/1tjvR2nS8x09B5AfiYNPlg?si=eNuJdkg1TcGMVV9L8UbF0Q


・(1928)https://open.spotify.com/playlist/70iGg4fNSeTCrnpStbqm7X?si=yxj26FgDSHG9pBDdBcydow


・(1929〜33)https://open.spotify.com/playlist/0UUw0rmMZaLs6W2bNXio0k?si=Einf26tFQfaUojH6Bf-o8g

 

これらのセレクションの曲選出基準は、以前自分で書いた以下の三記事に書いてあるとおりです。これらの過去記事はそれぞれ解説文でもありますので、1920年代のサッチモと言われても五里霧中だなぁ〜というかたは、参考にしてみてください。

 

・「サッチモ 1925〜27」http://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/192527-bfc3.html


・「サッチモ 1928」http://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/1928-f5ad.html


・「サッチモ 1929 - 33」http://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/1929---33-d736.html

 

これらの文章にぼくの言いたいことはだいたい書いてありますので、今日は同じことをくりかえしません。このころのサッチモの音楽はエンターテイメントとして最高度に洗練され、ステージ芸人のようでありながら同時に究極のアーティストでもあるという、おそろしい高みにありました。

 

音楽とはリスナーを楽しませることこそ最大の目的であって、音楽家はそれに全力で邁進すべきであるという理想を、サッチモはデビュー期から貫いていました。1925年といえば、サッチモがフレッチャー・ヘンダスン楽団での修行時代を終え、自己のバンドを率いるようになった時期です。そこから数年間のサッチモの飛翔は、まさに敵なしの最上空を行っていたのであります。2019年現在のジャズ史全体でも、いまだにだれも敵わない頂点にあったのです。

 

トランペット(コルネット)演奏もヴォーカルも、まったく同じ次元でくりひろげていたサッチモのエンタメ=アート。聴いていれば、気分がウキウキし、楽しくて、なにかいやなこと、つらいことがあっても、それを忘れさせてくれる最高のリラックス剤となり、またうれしい気分ならそれを二倍、三倍にしてくれるよき友でもあるんですね。

 

「芸能ってのはお客さんに喜んでもらえなきゃしょうがない。でも、たどり着く頂点はアートと同じですよ」というのは相倉久人さんのことば(『相倉久人にきく昭和歌謡史』アルテスパブリッシング、2016)。これこそサッチモの真の偉大さを的確に言い表したものじゃないでしょうか。相倉さんはサッチモのことを語ったのではありませんが、サッチモにこそ、あるいは全大衆音楽の理想について、的を射た表現だと思います。

 

エンターテイメントを追求し、どこまでも徹底的に追求した結果、サッチモは本物のアートだけが持つピュアさ、高みにたどりついていました。そんな、真に偉大な音楽家がいちばん輝いていたピーク時期の録音集こそ、1925〜33年のオーケー・レーベルのものなんです。録音が古いからといって遠ざけていては、人生の大損ですよ。

 

ぜひ、ちょっとでも耳を傾けていただけたらうれしいなと思っています。

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