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2019/09/01

サロマン・ソアレスのピアノが鮮烈で、すごくいい

1007940169

https://open.spotify.com/album/0ebYjPAZ0LC8MvD2gtQbj6?si=dv9ZIVsyR62ThiSmT8xPeg

 

ブラジルの新進若手ジャズ・ピアニスト、サロマン・ソアレス(Salomão Soares)。今年リリースされた新作『コロリード・ウルバーノ』(2019.6.14)はピアノ・トリオ編成。ピアノ・トリオというフォーマットじたいには(ディスクユニオンさんが「うれしいピアノトリオ編成」などと言うにもかかわらず)あまり好感をいだかないぼくですけど、このサロマンの新作には賛美のことばしか浮かびませんね。実に鮮やかで見事なアルバムです。

 

聴き手をグイグイ引き込むチャームを持つこのアルバム『コロリード・ウルバーノ』。これがぼくの初サロマンでこれ以前の活動をまだ知りませんが、このピアニストは、ブラジル性みたいなことを打ち出すルーツ・コンシャスなひとというよりは、汎新世代ジャズのミュージシャンなんでしょうね。ブラジルやラテン音楽の多彩なリズム・ニュアンスを漂わせながら、同時にそれよりもニュー・ヨークの香りが強くしています(サロマンはサン・パウロ在住)。

 

ピアノ、コントラバス、ドラムスの三者一体となったこのサロマンのトリオ演奏のキモはリズムにあるとぼくは思います。それはあたかもパルス感覚のリズム表現とでもいうようなもので、こんなリズム・フィールをいままでのジャズ・ミュージシャンに感じたことはあまりありません。シャープで鋭くキレてて、サロマンの左手もすごいけど、特にドラマー、パウロ・アルメイダの叩きかたに先鋭さがありますね。いやあ、さわやかで、しかもとんでもなく鋭敏なドラミングです。

 

どの曲でもリズムは伸びたり縮んだりして自在に変化しますが、曲によっても多彩に変化するリズムは、このアルバムでは多くのばあい、同じ一曲のなかででもくるくるとチェインジします。めくるめくようなフィーリングがあるし、躍動感、スピード感、カラフルさがものすごいし、ブラジリアン・ルーツ・コンシャスなひとではないと言いましたが、こんなリズム表現はブラジル人にしかできえないものでしょう。いやあ、すごいなあ。特にサロマンとパウロ。

 

特にすごいなと感じるのが、1曲目「ポント・セーゴ」、3「アルマソン」、4「コロリード・ウルバーノ」、10「ナ・ビカ・ダ・マトリース」。快調に飛ばしているし、リズム表現があまりにもクッキリ鮮烈だと思うんですね。サロマンがひっぱりながらも、ベースとドラムスも一体化して突っ走る、でありながらタイトなリズム・チェインジをピタッとキメるその凄腕にうなります。こんなにリズムが自在に伸び縮みしているのに、よくここまで三人が息を合わせられるもんだと思いますよ。

 

個人的にはドラマーのパウロが、特にそのシンバル・ワークとリム・ショットが、お気入りなんですけど(ときどきアフロ・キューバンになっているし)、それよりもアルバム全編を通してきわだっているサロマンの弾くピアノ音の粒立ちのよさに耳を傾けるべきでしょうね。ピアノの音が立っているというか、クッキリとした鮮やかで清廉な歯切れいいサウンドで、これは指折りのトップ・クラス・ジャズ・ピアニストにしか出せない音ですねえ。きれいなピアノの音ですごいリズムを演奏していて、降参しちゃいました。

 

(written 2019.8.31)

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