2023/01/27

インディゴ・ブルーな冬の哀感 〜 ディレク・チュルカン

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(2 min read)

 

Dilek Türkan / Akşamı Süzme Deniz
https://open.spotify.com/album/33e0NgVrgNqypp8WzNlFdv?si=znvnJxQMSGCvqzUS1jNPrw

 

スチャラカさんのツイートで知りました。
https://twitter.com/xiu_chang_po/status/1613141544546226179

 

トルコの古典歌謡歌手ディレク・チュルカンのニュースを、2018年作『An』以来聞かなくなっていましたよね。それは2020年に知ったものでしたから、もう三年近く。しかし21年に新作が出ていました。

 

それが『Akşamı Süzme Deniz』(2021)。これも充実した内容で、納得のいくアルバムです。その後も新曲はちょこちょこ出しているみたいですけど、アルバムではこれが最新でしょうか。

 

一部界隈ではそこそこ人気のディレクなのに二年前のアルバムにだれもなにも言わずで。そりゃあねえ(ショップでもないのに)盤がないと口にすらしないというヘンタイ・オヤジが多いってことは知っていますけどもね。ぼくだってスチャラカさんが話題にするまで気づきませんでしたから。

 

ともあれ『Akşamı Süzme Deniz』。やはりオスマン〜トルコ初期時代の古典曲を、従来的な少人数の楽器編成で、じっくりと哀切を込めてしかしほとんど声も張らずに淡々と歌っているのがいい。もともと宮廷音楽だったので、これもやっぱりサロン・ミュージックってことなんですね。

 

適度なラテン・リズムの活用もこの世界は古くから得意とするところ。基本(西洋音楽でいうところの)マイナー・キーの曲が多いものの、メイジャーとマイナーを行き来したり、あるいはたとえば10曲目みたいにさわやかなフィーリングをたたえた明るいメイジャー・ナンバーもあって。

 

そういうのが流れてくると、インディゴ・ブルーな冬の哀感をただよわせるアルバム全体の曇り空にさっと陽光が差したかのようで、とってもいいですね。こういう世界はレトロとかどうとかいうんじゃなくて、何百年もずっとこんな姿を変わらず維持しているんです。

 

人間のいだく気持ちが太古でも2020年代でもなんら変わりないように。

 

(written 2023.1.20)

2023/01/26

Z世代最強ドラマー!中村海斗登場

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(3 min read)

 

中村海斗 / Blaque Dawn
https://open.spotify.com/album/5AEfXYcsVxs4VzDImZtTJS?si=o9l4chTaTW6XWLsMBZX8NA

 

2001年ニュー・ヨーク生まれ育ちが栃木→群馬っていう新世代ジャズ・ドラマー、中村海斗(Kaito Nakamura Davis)のデビュー・アルバム『Blaque Dawn』(2022)がものすごいカッコいい。これも昨年12月21日リリースだったもので、なんときのう書いた和久井沙良のと同日だったみたい。

 

なんだか日本のZ世代ジャズ・ミュージシャンが続々デビュー・アルバムを出しているような、それもすべて注目に値する新感覚の充実ぶりで、そういう時代になったなあ〜と深い感慨をおぼえます。

 

アルバムは全曲カルテット編成。すべて海斗の自作コンポジションで、佐々木梨子(サックス)、壷阪健登(ピアノ)、古木佳祐(ベース)という面々。みんな同世代の若手でしょうか、一体となってグイグイ迫りくる勢いに圧倒されます。

 

四人とも饒舌なのが特徴で、ことに梨子の燃えあがるアルト・サックスはすばらしいものがあります。まるでイマニュエル・ウィルキンスじゃん、つまりアルトを吹くジョン・コルトレインだと聴きまがうほどの突出ぶり。健登の弾きまくりピアノも聴きごたえあるし(ときどき垂直系)、なんなんでしょうねこのバンド。

 

イマニュエル・ウィルキンスといえば海斗自身好きなんだそうですよ。たしかにコンポジションに間違いない痕跡があります。そしてなにより細かく手数多く多すぎるくらいに叩きまくるそのポリ・ドラミング・スタイルは、いままでのどんなジャズ・ドラマーでも聴いたことのない異次元のもの。

 

ホントまじこんなん聴いたことないよ!と口あんぐりなんですが、ここ10年くらいかな、USでも日本でも新感覚ドラマーが続出しているのを海斗はすべてふまえ、それらまるごとひっくるめてごっそりアップデートしてくれちゃったような、そんな叩きっぷりなんですよね。

 

個人的に強く惹かれたのは終盤7曲目の「U.R.B.」。アルバム中最長尺の11分以上あるし、これがクライマックスとみていいんじゃないですか。ここで聴ける四人のほとばしるパッションは筆舌に尽くしがたいものがあります。バンドを猛烈にグルーヴさせながらひとり異なるビートを同時進行で刻んでいる海斗のポリリズミック&ゆるぎないアプローチに悶絶。

 

そうでありながら決して重たくシリアスにならないひょうひょうとした軽みというかさわやかさが海斗のプレイにはただよっていて、ぼくこのひと現役日本人ジャズ・ドラマーではいちばん好きだぁ。そんなにたくさん聴いているわけでもないけど、海斗こそ最強の存在と断言しちまいたい。

 

(written 2023.1.25)

2023/01/25

和久井沙良のデビュー・アルバムがヤバいほど天才

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(2 min read)

 

和久井沙良 / Time Won’t Stop
https://open.spotify.com/album/0rQDHxRhpolHbzQYcB510w?si=mHxt_OMaSgC5paCOTe8Z6Q

 

bunboniさんに教わりました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2023-01-08

 

ジャズ・ピアニスト和久井沙良のデビュー・アルバム『Time Won’t Stop』(2022)がヤバい。カッチョエエ〜〜っ!ぼくが特にシビレているのは1曲目の「tietie」。ドラムスとギターが快感で、こればっかりなんども聴いちゃうな。さまざまなプレイリストに入れたし。

 

&ディープなグルーヴを聴かせる2曲目「Calming Influence」もゾックゾクするし、これらオープニングだけでこのアルバムは決まりですね。大西順子的にノリよくガンガン弾きまくるタイプのグルーヴィな音楽こそ沙良の本領だと思えます。このことは4、5曲目の小休止を経て後半部を聴いてもわかること。6、8曲目の勢いなんかすごい。

 

アルバムにほぼ全面参加のドラマー上原俊亮が細かなビートを聴かせるのもグッドで、完璧に新世代ジャズ・ドラミングのスタイルですよね。特にベース・ドラムの踏みかたがぼくは好き。1曲目の熱くカッコいいロック・ギターはイシイトモキ。

 

沙良はピアノとシンセサイザーを弾くだけでなく、全曲のコンポジション、アレンジをやっていて、それがジャズやクラシックだけでなくネオ・ソウル、ヒップ・ホップをしっかり踏まえたものだとわかるのがいいですね。しかもごく自然なフィールで体内に沁み込んでいます。

 

ラップやヴォーカルの使いかたもうまいし、しかもこんな天才作曲家でありながら融通のきく職人芸的で腕前の確かな即興演奏者でもあるっていう。アルバムもバラエティに富んでいるし、音楽家としてスケールの大きさを感じます。

 

(written 2023.1.21)

2023/01/24

台湾で爛熟したチルなジャジー・ソウル 〜 薛詒丹

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薛詒丹 / 倒敘
https://open.spotify.com/album/7a2iUG6isz5gYrX0JppnVG?si=t7uNsg1NTA2KlIgING1xkQ

 

Astralさんのブログで知りました。
https://astral-clave.blog.ss-blog.jp/2022-11-28

 

台湾人歌手、薛詒丹(ダン・シュエ)初のフル・アルバム『倒敘』(2022)が最高にたおやかでいい。最初にEPを紹介していたbunboniさんも書いたし、だから言うことなんて残っていないんですけども、自分なりの感想を軽くメモしておきます。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2023-01-06

 

世紀の変わり目あたりからずっと来ているジャジーなネオ・ソウル系の音楽で、おだやかな都会的洗練が高度にただようチルでおしゃれな一品。それが、昨年ごろからぼくも意識するようになりましたが台湾で爛熟しつつあるとの感を持ちます。

 

本作での個人的好物は、シルキー・メロウな2「飯後點心」、ドラマーの刻む細かいビートと小刻みなギター・リフが心地いい4「沙發危機」、なぜだかなつかしさ的なものがこみあげてくるような切な系メロディの10「倒敘」あたり。全編オーガニックな生演奏なのもグッド。

 

ヴォイス・カラーはちょっぴりビョークっぽいところもある歌手ですが、音楽性は違います。薛詒丹のこうした音楽は、ぼくのみるところ1980年代のフュージョン、AORあたりに源泉があって、その流れで来たスムース・ジャズやヒップ・ホップ通過後の新世代ジャズ、あるいはネオ・ソウルなどが、ここ数年ですべて一体となって溶け合って現在に至っているのではないかと。

 

特に台湾の新世代(薛詒丹、陳以恆、リニオン、レイチン、など)にいえると思うんですけど、多種な新世代音楽の融合はどの要素がどれだけの割合でどう溶け合っているか?がほぼわからない程度にまで渾然一体で消化されているのが特色。ジャズでありネオ・ソウルでありシティ・ポップであるっていう。

 

ですからはっきり分別しすぎないで、あるがまま素直に楽しむのが音楽の実態にそぐうことじゃないかなとぼくは思います。

 

(written 2023.1.10)

2023/01/23

マイルズのB面名作(2)〜『コレクターズ・アイテムズ』

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(4 min read)

 

Miles Davis / Collectors’ Items
https://open.spotify.com/album/7ala9fiogyYeZkXLvTZO9r?si=0-RxyubSTRGnWidaCBAPNg

 

これも1953年録音のA面と56年のB面(5曲目から)はなんの関係もないアルバムであるマイルズ・デイヴィスの『コレクターズ・アイテムズ』(1956)。変名でチャーリー・パーカーが参加しているという事実以外におもしろみがないと個人的には思うA面とは対照的に、B面三曲は立派な演奏なんです。

 

それら三曲をレコーディングしたセッションがちょっとおもしろいのは、その56年3月16日というとマイルズはすでにファースト・レギュラー・クインテットを結成済みで、正規録音もちょっとはしていたということ。

 

それなのにこのときだけバンドを使わず、ソニー・ロリンズ、トミー・フラナガン、ポール・チェインバーズ、アート・テイラーで三曲やりました。ロリンズ重用はつとに有名ですが、フラナガン(大好き)とはこれが生涯唯一の共演記録で貴重。

 

そんなこともあってか、つまんないな〜とぼくは感じるA面に比し、むかしからこのB面が個人的大好物。そりゃあもうこっちばっかりターンテーブルに乗せていました。53年だとまだビ・バップの余韻から抜け出せず模索中だったのが、56年なら立派に自己の音楽スタイルを確立していましたし。

 

三曲では、トップの「ノー・ライン」からしてハーマン・ミュートで鈴の転がるようなチャーミングな音色でもって軽快にスウィングするトランペッターの妙味に惹きつけられます。曲題は、テーマなしいきなりインプロではじまりそのまま終わるっていうものだからでしょう、おそらく。

 

オープン・ホーンで吹く二つ目の「ヴィアード・ブルーズ」は定型12小節。そして実はこのブルーズ、レギュラー・クインテットでやった同年五月ヴァージョンが『ワーキン』に収録されています。同じ曲ですが、あっちでは「トレインズ・ブルーズ」という曲題になり、作者もジョン・コルトレインにクレジットされています。

 

それと比較すると「ヴィアード・ブルーズ」のほうはテンポと重心が低く、しかもややコミカルというかユーモラスなファンキーさをただよわせているのが特徴。ブルーズのうまいフラナガンの持ち味も光ります。こっちのほうがぼくは好みです。

 

こうした中庸テンポでのファンキーさは『バグズ・グルーヴ』B面でも味だったもので、「ヴィアード・ブルーズ」のこうしたラインの上下をあわせ勘案すると、あるいはひょっとしてこれもロリンズの書いたものなんじゃないかと思ったり。マイルズにクレジットされていますけども。

 

三つ目のプリティ・バラード「イン・ユア・オウン・スウィート・ウェイ」。これこそ全体的にすぐれているこのB面のなかでも特に傑出していて、大学生のころからこれ一曲を溺愛してきました。やはりレギュラー・クインテット・ヴァージョンが『ワーキン』で聴けますが、ぼくの耳にはこっちのほうがいっそう美しく切なく響きます。

 

(written 2022.12.27)

2023/01/22

最近のお気に入り 2022〜23 冬

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(1 min read)

 

最近のお気に入り 2022〜23 冬
https://open.spotify.com/playlist/6GTVqv4eYB76hb9l4OQ94u?si=8a7c79cad6214d07

 

1)Rachael & Vilray / Is a Good Man Real?(US)
2)Kim Tae Chun / Christmas(韓国)
3)和久井沙良 / tietie(日本)
4)Mica Millar / Will I See You Again(UK)
5)J.J. Johnson / It Could Happen to You(US)
6)Sarah Kang / about time(韓国)
7)梅朵 / 今生有幸遇见你(中国)
8)Laufey / Valentine(アイスランド)
9)Crystal Thomas / Can’t You See What You’re Doing to Me(US)
10)Dilek Türkan / Pencerenin Perdesini(トルコ)
11)薛詒丹 / 沙發危機(台湾)
12)Miles Davis / In Your Own Sweet Way(US)
13)山中千尋 / Today Is Another Day(日本)
14)Chet Baker / That Old Feeling(US)
15)Lake Street Dive / So Far Away(US)
16)Emma Smith / I’ve Got My Love to Keep Me Warm(UK)
17)Linsey Webster / Stay with Me(US)
18)Eddie Condon / Beale Street Blues(US)
19)Angela Strehli / Ace of Spades(US)
20)Hailey Brinnel / I’ll Follow the Sun(US)

 

最近よく聴いているものってことですから、リリースは古いものもあります。

 

(written 2023.1.15)

2023/01/21

“一強” だった氷川きよしの休養で男性演歌界はどう変わるのか

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https://news.yahoo.co.jp/articles/4eb820f6d6b75df8bf862e67745511359af4daa4

 

2022年12月31日でもって一年間の休養に入った氷川きよし。どうなんでしょうね、動きが速く激しい芸能界からそんなに遠ざかったら、いかなきよしでも無事復帰できるかどうか、うんでも絶対的エースだったのでだいじょうぶかとは思っているんですけども。

 

きよしのスタイルといえば、ああいった新世代感を強くまといつつ&ポップスやロック・ナンバーも歌いはしたものの、提供される曲もヴォーカル・スタイルもトータルな世界観も、古くさい定型演歌イメージを保持していました。

 

つまり従来的なステレオタイプをひきずったままの(精神的)高齢演歌リスナーをも満足させられる存在でありながら、世代的にはまだ若く将来への希望も大きく明るかったのがきよし。消滅の危機に瀕しているといってもいいくらいな演歌界では最大の光でした。

 

ともあれ(一年間は)いないわけですから、「ポストきよし」方向へと男性演歌界が動きはじめていることは間違いありません。新たなムーヴメントはもうしばらく前からはじまっていて、すでにしっかりした流れを形成しつつあります。

 

きよしのような煌びやかで華やかな世界観提示にかわって、もっと日常的なふだん着感覚に根ざしたような新世代演歌シンガーたちはしばらく前から活躍するようになっています。山内惠介や三山ひろしなどは従来的な「王子さま」路線かもしれませんが、辰巳ゆうと、真田ナオキ、新浜レオン、中澤卓也らはストレート&ナイーヴなニュー演歌のイメージをふりまいています。

 

演歌でも、つくりこんだ世界というより、そのへんの玄関から出てきてそのまま電車に乗ってやってきた近所の身近なおにいちゃんというような、そんなフィーリングで活動しているのが新世代若手演歌歌手です。

 

そうした歌手たちは(演歌とは関係なかったはずの)AKB48的な「会いに行ける」系イベントを積極的に展開し、フレンドリー&ファミリアー感を強調しています。CDショップやショッピングモールなどで歌唱キャンペーンをやり、2ショット撮影&握手会をさかんに開催しています。

 

ファンの接しかたもそれにともなって変化するようになっていて、歌手や会社側の提供するネット活用のサービスについてくるようになっているんですよね。いまやソーシャル・メディア&サブスク時代で、演歌でも新世代はそれらを積極的に活用していますから、ファンもそれを楽しむようになっています。

 

こうしたことは、いまだサブスクに曲がなくソーシャルでの本人アカウントもないような旧世代、たとえば(女性だけど)水森かおりとそのファンなんかとは根本的にありようが異なります。ライヴ&テレビ&レコード or CDでっていうような時代は去りつつあるんですね。

 

演歌みたいに高齢ファンが中心になっているような世界では、もちろんそれらにぜんぶついていくのは厳しいと思っているかたもなかなかいて、たとえば昨年夏に中澤卓也の新曲が出ましたが、配信リリースからCD発売まで一ヶ月ありました。

 

だから最初はストリーミング/ダウンロードで新曲を楽しむしかなくて、卓也本人アカウントのコメント欄を読んでいても、「なかなかむずかしい、孫にやってもらった」と本音を寄せるファンもそこそこいましたから。スマホ一個あればカンタンにできちゃうじゃないかとぼくなんかはイージーに考えていますが、そういうもんじゃないみたいです。

 

新世代演歌歌手は(性別問わず)、ド演歌ではない耳なじみいい曲と歌唱法を選択しているというのも、音楽的には大きいこと。このブログでいままでさんざんくりかえし力説してきたことですが、従来的な濃厚劇的でエモーショナルな演歌ワールドは、きよしが最後の存在だったとみるべきなのかもしれません。

 

むかしながらの演歌がなくなってしまうのかとさびしさをおぼえるファンがいるかもしれませんが、ルーツをたどれば古典演歌だってもともといっときの流行にすぎなかったもの。大衆音楽の世界は時代の変遷とともに姿を変えていくのが健全です。諸行無常。

 

(written 2023.1.18)

2023/01/20

ファンク・ブルーズ五題(5)〜 ウィル・ジェイコブズ

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Will Jacobs / Goldfish Blues
https://open.spotify.com/album/37ch8gg8aeKqab8LwgCPO4?si=zmJI6S2ESmup8dk7BVx5gg

 

2022年のデビュー・アルバム『ゴールドフィッシュ・ブルーズ』リリース時点で29歳の新人ブルーズ・ギターリスト&シンガー、ウィル・ジェイコブズ。なんでも10代のころから地元シカゴのローカル・シーン&ヨーロッパでは活躍してきたとのこと。

 

このアルバムもPヴァインの『P-VINE recommended BLUES & SOUL feat. STAN MOSLEY』プレイリストで知ったんだとばかり思っていたからシリーズにつらねたんですけど、どうも違うみたい。そのプレイリストに本作からの曲はないです。

 

じゃあどこで気づいたのかって、もうすっかり忘れちゃいましたゴメンチャイ。いちおうファンク・ブルーズとのシリーズ題につなげてみたものの、ウィルの本作はファンキーというよりぐんと軽くあっさり風味。淡白なポップ・フィールもあります。

 

本人のヴォーカル&ギターのほかはベースとドラムスしかいないトリオ編成で、かなりシンプルで整理されたサウンドだっていうのもそんな印象に拍車をかけています。それでも4、8、10曲目など正調ファンク・チューンもあるにはあって。

 

ファンクといってもディープさはなく、わりと軽めなんですけどね。エレキ・ギターの音色だってほとんど飾らずファットでごてごてした感じにせず(エフェクター類をあまり使っていないはず)、素直なストレート・サウンドにチューンナップしてあるのも淡白系ブルーズとの印象を強めている一因。

 

そうそうギターといえばですね、本作ではどの曲でも二本、三本と同時に聴こえるんですが、あきらかにウィルの一人多重録音だっていうのが疑いなく明白にわかってしまうっていう、ここまでそれがはっきりしているギターリストもめずらしいんじゃないですかね。

 

聴きやすいファンク・ブルーズだっていうか、そもそもが暑苦しくむさい世界なんですけど、本作はまったく印象が違います。聴き手によってはこんなのダメだものたりないよという感想が浮かぶでしょうが、ここ一、二年あっさり薄味系の音楽こそフェイバリットになってきたぼくにはこういうのもときにはいいな思えたり。

 

(written 2023.1.8)

2023/01/19

ファンク・ブルーズ五題(4)〜 サード・コースト・キングズ

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(2 min read)

 

Third Coast Kings
https://open.spotify.com/album/3vTo93HPZchFgdKcW9XwVs?si=IWJa1Z4zQaCBevrUaIBLKQ

 

これまたPヴァイン製プレイリスト『P-VINE recommended BLUES & SOUL feat. STAN MOSLEY』で知ったもので、サード・コースト・キングズの『サード・コースト・キングズ』(2012)。ほとんどジェイムズ・ブラウン・マナーのファンク・ミュージックで満たされています。

 

米ミシガン州のバンドなのは間違いないみたいですが、同州デトロイト発とするもの(CD販売サイト)とアン・アーバーとするもの(Wikipedia)が併存しています。公式サイトでは “Metro Detroit area” が出身活動地だということになっていますから、たしかにアン・アーバーも近接していますよね。

 

アルバム・トータルで聴くと正直やや一本調子で、しかもアマチュア・バンドくさいゴチャゴチャ感も否めない面があると思うんですが、じっさいこのバンドはアルバムなら2曲目に収録されている「ギヴ・ミー・ユア・ラヴ」を2010年に7インチでリリースして、それ一発で知られるようになったみたいです。

 

ただし、それとか4、6曲目とか一般にこのバンドの代表作とみなされているらしいヴォーカル・ナンバーよりも、アルバムで多数を占めるインスト曲のほうが個人的には好み。よりグルーヴィですし、聴きやすいし、ギターとドラムスがJBスタイルで、たとえば1、3、5曲目あたりカッコいいです。

 

ちょっぴり雑なところもかえって味で、ホーン・アンサンブルにしろきちんときれいに重ならないとかピッチがあいまいだとかいうのが勢いというかパワー、拡散力を産むことにつながっているとも聴こえます。そういうのってアフロビート・バンドなんかでも散見されるフィーリングでしょう。

 

ファンクとかってそうした押しまくる勢いみたいな部分で勝負するといったところもあるんじゃないかとぼくは思っているし、グルーヴ・ミュージックだからそれでいいかなと思います。デリケートでていねいな音楽じゃないですけど、それを求めるものじゃないですよね。

 

(written 2023.1.4)

2023/01/18

ファンク・ブルーズ五題(3) 〜 イーストサイド・キングズ

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Eastside Kings / テキサス・ファンキー・ブルース最前線
https://open.spotify.com/album/66vmErRZu8DGwDIphPDMiZ?si=_hk_qdIvSjupwwMy7ncMPQ

 

これもPヴァイン製のサブスク・プレイリスト『P-VINE recommended BLUES & SOUL feat. STAN MOSLEY』で知ったもの。イーストサイド・キングズとは個人的に初耳で、アルバム題はなぜかの日本語『テキサス・ファンキー・ブルース最前線』(2016)。日本企画アルバムなんでしょうか。

 

テキサス州オースティンのイースト・サイド出身メンバーがやっているからこのバンド名があるみたいで、リーダーはオルガン奏者&シンガーのピー・ウィー・カルヴィン。ふくめ総勢七名で編成されています。Spotifyにあるアルバムは『テキサス・ファンキー・ブルース最前線』一個だけ。

 

カヴァー曲にもちょっと特色のある作品で、なかでも特に2「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」、7「クライ・トゥ・ミー」、13「ブギ・チルン」あたりはぼくでも知っているくらいな有名スタンダード。それをグルーヴィ&ファンキーに料理しています。

 

それらもオリジナル曲もふくめ、全体的にいかにもテキサスらしいシャッフル・ビートが多く、なかには典型的ジャンプ・ナンバーみたいに仕上がっているものもあり。21世紀の作品ですけど、このへんローカルに根づいたブラック・ミュージックの伝統は不変なんでしょうね。

 

タイトなファンク・チューンやなつかしめフィールのインスト・ナンバーだってあるし、聴いていてとにかく文句なしに楽しい。ブルーズ系のアメリカ黒人音楽、特に1940〜60年代あたりのそれがお好きなファンのみなさんであれば、ぼくと同じように愉快な時間をすごすことができるはず。

 

(written 2023.1.3)

2023/01/17

ファンク・ブルーズ五題(2)〜 クリスタル・トーマス

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Crystal Thomas / It’s The Blues Funk!
https://open.spotify.com/album/5O2aONk6KwqBhP8GEOPhqV?si=aG9_5577TlSYcbgXO7uv3Q

 

きのう書いたスタン・モズリーの新作リリースをきっかけに、発売元のPヴァインがサブスク・プレイリスト『P-VINE recommended BLUES & SOUL feat. STAN MOSLEY』を作成公開しました。これが楽しいので、よく聴いては参考にしています。Spotifyでは2個しかライクがついていません(うち1個はぼく)。
https://open.spotify.com/playlist/1Z9xYaYKThGv91CFFmaMJR?si=6898b06064704a84

 

それで知ったクリスタル・トーマスのアルバム『It’s The Blues Funk!』(2019)がめっちゃカッコいいのでビビっちゃうくらいなんですね。まさにグルーヴィな豪速球ファンク・ブルーズ一直線で、アルバム題なんかその自信に満ちあふれていますよね。

 

トラックリストに共演者としてチャック・レイニーとラッキー・ピータースンの名前が出ていますが、チャック・レイニーってあれですかキング・カーティスやアリーサ・フランクリンなどともやったあのベーシスト?そうですねそのひとしかいませんね。

 

ラッキー・ピータースンはハモンド・オルガン&ピアノで、そのほかにドラムスとギターだけっていうシンプルな編成の生演奏でグイグイ攻めてくるパワーに圧倒されます。インストルメンタルの8曲目でトロンボーンを吹いているのは、その道でも知られたクリスタル自身でしょう。

 

アルバムは1曲目からもうカッコよすぎて、こりゃいいね!とヒザを叩き快哉を叫ぶ痛快なグルーヴィさ。イントロや間奏のギター・ソロもすばらしくノリいいし、バンドもねえ、従来的なファンク・ブルーズの枠内にすっぽりおさまっていて新しさなんかはないんですけど、ここまで熟練のブルーズを聴けばそんなもん必要ねえって気分。

 

2曲目以後も同じ。特にファンクネスがたぎっているようなタイトなグルーヴを聴かせる4、6(JBみたい)、7、8曲目あたりはなんど再生しても最高の快感。クリスタルのヴォイス・カラーには好嫌が分かれる部分があるかもですが、バンドの演奏にはだれも文句つけられないでしょう。

 

もしこれが2022年のリリース作品だったら、年末のベスト9に入れたかったくらいです。ファンク・ブルーズ史上でみても傑作の一つでしょう。

 

(written 2023.1.2)

2023/01/16

ファンク・ブルーズ五題(1) 〜 スタン・モズリー

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(2 min read)

 

Stan Mosley / No Soul, No Blues
https://open.spotify.com/album/2h7BgA3IliA1QQmvFo37d1?si=TzHBZDwiTZSWPVzZDqZ-cA

 

Pヴァインなどが全面展開しているからですが、2022年暮れ以来日本におけるブルーズやアメリカン・ブラック・ミュージック・ファンの話題をさらっている感もあるスタン・モズリーの新作アルバム『No Soul, No Blues』(2022)。ぼくもシビレています。妹尾みえさん経由で知ったんでした。日本企画作。

 

かつてマラコでも活躍したスタンはブルーズも歌えるソウル歌手といったところでしょうか。本新作はファンク・ブルーズのアルバムみたいに仕上がっていて、そんなところもたいそう好み。タイトなリズムとホーンズがめっちゃカッコいい。

 

スタンのヴォーカルはソウル歌手らしいふくらみを感じさせるもので、シャウト型で鋭角的にガンガンくるというよりはふわっとした印象が(本作では)あります。ちょっぴりニュー・ソウルっぽい?ここは日本人ブラック・ミュージック・リスナーのみなさんと意見が違うところでしょう。

 

それにこのアルバムで個人的にいちばん好きなのは、やわらかくジャジーな6「Undisputed Love」なんですもんねえ。グリッサンドするホーン・アンサンブルもレイド・バックしているし、こういうのが気持ちいい人間ですから、いまは。それでもファンキーな感覚は濃厚に漂っています。

 

アルバム全体のサウンドはゴツゴツしていて迫力があるし、ヴォーカルは「気合」と呼ぶしかないようなフィーリングに満ちているし、ストレートなブルーズらしいものはほとんどありませんが、ソウルフルなファンキーさが横溢していて、ガッツのある(従来的な意味で)ホンモノのブラック・ミュージックをこそ求めているという向きには歓迎されるはず。

 

(written 2023.1.1)

2023/01/15

こういうのが好き!〜 レイチュル&ヴィルリー

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(3 min read)

 

Rachael & Vilray / I Love A Love Song!
https://open.spotify.com/album/0j551HTufOYW6EJ9CQwNrD?si=fncdmoGxTBSbFUVOYSN53Q

 

萩原健太さん(経由の能地祐子さんにも)に教わりました。
https://kenta45rpm.com/2023/01/13/i-love-a-love-song-rachael-vilray/

 

金曜日お昼に知って以来もうすっかりこればっかのヘヴィ・ローテイション。三日間で20回は聴いたな。正直ゾッコンで、これだよこれ、こういうのがぼくの好きな音楽なんだ、待ってました!と快哉を叫ぶ内容のレイチュル&ヴィルリー新作アルバム『アイ・ラヴ・ア・ラヴ・ソング!』(2023)。

 

そう、これ2023年のニュー・リリースなんですよね。それでもってなんともレトロで、ロック勃興前の1930〜40年代を意識したスウィング・ジャズなポップス一直線。とうとうぼくみたいな嗜好の人間にとって「いまだっ!」っていう時代が到来したのかなあ〜。無性にうれしい。

 

まだ一月なのに2023年間ベスト1はこれにしたいっと思うほどなんですが、ヴィルリーというソングライター&ギターリストは初耳でした。レイチュルとは以前書いたレイク・ストリート・ダイヴのレイチュル・プライスそのひと。いやあ、ここまでノスタルジア・ジャズ向きとはねえ。幼いころはドリス・デイになりたかったらしいです。

 

12「Goodnight My Love」だけがカヴァーで、ほかはどれもヴィルリーの筆になるオリジナル・ソング。それがどこからどう聴いてもレトロ路線まっしぐら。ティン・パン・アリーの時代にテレポートしたような感覚横溢なんですが、これどうなってんの。21世紀にこんなソングライターいたんだね。ヴォーカルも取ります。

 

レイチュルのまろやかでセクシーな声もいいし、そもそもヴィルリーの書くものには難曲も多いのに、歌いこなしが天才的にスムースで、最初からこれを歌うために生まれてきたんだみたいなナチュラルなたたずまいなのがすばらしい。

 

伴奏はたぶん九人編成くらいのサウンドですねこれ。リズム四人+ホーン五管くらいかな。それもサロンふうで、まさしくレトロ・コンテンポラリー。サックスとクラリネットのジェイコブ・ジマーマンがアレンジもやっていて、なんだかビッグ・バンドみたいになめらかリッチでふくよかに香るっていうのもマジック。

 

歌詞はけっこうねじれていてユーモアに富みアイロニカルだと、それもあってアメリカ人ファンはこの音楽が好きなんだと、いう話も読みますが、個人的にはそこにあまり耳を傾けておらず、ただただおおむかしのハリウッド・サウンドみたいなメロディ・ラインとサウンド、そしてゴージャスでありかつアット・ホームなメロウ・アトモスフィアに酔っているだけであります。

 

なお「レイチュル&ヴィルリー」という表記は、公式アカウントのプロフに発音ガイドが載っているので従いました。
https://www.instagram.com/rachaelandvilray/

 

(written 2023.1.15)

2023/01/14

最高に楽しいクリスマス・ミュージック 〜 キム・テチョン

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(2 min read)

 

Kim Tae Chun / Santa Don’t Knock at Your Window
https://open.spotify.com/album/7jOBfcsGt90M6vi6ImcfyA?si=WxJT07QuT6qyvj1540w41Q

 

bunboniさんに教わりました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-12-25

 

クリスマス・ミュージックの季節じゃなくなりましたが、年中いつ聴いても楽しいものはやっぱり楽しいってわけで、韓国人音楽家、キム・テチョンの『Santa Don’t Knock at Your Window』(2014)がとってもいい。アルバム題も曲題もハングルですが、サブスクだと英題も併記されていますのでそっちを使いました。

 

ハワイアンふくめのアメリカン・ルーツ・ミュージックで仕立てあげたクリスマス・ソング集で、プサンを拠点とするキムはアクースティック・ギター弾き語りのカントリー・スタイル。それでぐいぐいスウィングするノリいい音楽を聴かせるんですよね。

 

1曲目からもうほんとめっちゃ楽しくて、サウンドはギターを中心とするリズム・セクションで組み立てられています。それがもうほんと極上。投げやりでちょっぴり邪悪に突き放したようなキムのヴォーカルもいい。がちゃがちゃからみながら入ってくるバック・コーラスだって痛快。

 

この1曲目と4曲目が個人的にはこたえられない大好物。やっぱり軽快なスウィング感がたまらないんですよね。キムはハワイアンなスライド・プレイも全編で聴かせていて、それだってうまいですよ。アルバム・タイトル曲の2なんかはちょっとスクリーミン・ジェイ・ホーキンスを思わせるムードだったり。

 

キリスト教会ふうのオルガン・サウンドをバックに歌われる5曲目に続くアルバム・ラストの6はおなじみ「きよしこの夜」。キムはハミングだけで歌詞は歌わず、ハワイアン・スタイルのギター・スライド・プレイに徹していて、まるでライ・クーダーなどアメリカン・ルーツ系のギターリストみたいですよ。

 

(written 2023.1.9)

2023/01/13

松山庶民派グルメ五選

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(2 min read)

 

クリニック通院とかヘア・サロン、ネイル・サロンその他でふだん市街地(松山市駅周辺、銀天街、大街道あたりなど)に出ると利用するレストランが五つほどあるので、ちょこっとご紹介がてらメモしておきたいと思います。

 

ぼくがいつも食べる定番メニュー価格の安い順に。場所はいずれもGoogleマップでさがせます。

 

1)キッチン・ライオン(カレー)千舟町

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ぼくが愛媛大学生だった約40年前からずっと同じ場所で営業を続けている老舗カレー・ショップ。安価でおいしい。カレーひとすじで、食後のコーヒーすらありませんが、カフェは周囲にいくらでもある立地。とにかく味が安定しています。現金のみ。

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2)麺家なかむら(ラーメン)大街道わき三番町

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プロ野球ヤクルト・スワローズが松山で試合などやると選手たちが食べにくる人気店(店内にサイン色紙など多数)。鶏ガラだしの塩ラーメンがとろけるほど絶品。狭い店内、無愛想なマスターですが、味は最高なので。要前日予約。現金のみ。

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3)とんとん(トンカツ)大街道

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松山No.1のトンカツ店でしょう。揚げものメニューは豊富ですが、いつも伊予いも豚のリブロースカツ御膳(ごはん、お味噌汁、キャベツ、香の物)を食べています。トンカツは香り高くジューシー。クレジット・カード可。

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4)かどや(おさかな)大街道

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海産物豊富な宇和島に本店があり。お店のイチオシは鯛めしですが、加熱していない生の切り身が食べられないぼくはいつも焼き魚を。やや暗めにアレンジされた店内照明もおしゃれで趣味よくクラッシー。なおかつ価格は庶民的。クレジット・カード可。

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5)うな一(うなぎ)市駅近く湊町

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うなぎは庶民料理じゃありませんねゴメンナサイ。大洲に住んでいた2018年10月にOKIソロ・ライヴで上松し見つけたビル二階の小さな関東風うなぎ屋さん。当時は女将さんがやっていて、その笑顔とおしゃべりとお人柄にすっかり魅了され通うように。いまでは息子さんが受け継いで、味も向上しています。ペイペイ可。

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(written 2022.12.10)

2023/01/12

ぼくにとっての最大のわさみん効果

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(3 min read)

 

とは、岩佐美咲を知って好きになったことを経由して、関連する演歌・歌謡曲方面への懐古的な興味がフル復活したこと。懐古だけでなくコンテンポラリーな新世代にも親しむようになったし、わさみんがどうこうっていうよりそっちのほうがぼくにとってはほんとデッカいことなんです。

 

じっさいわさみんはシングルのカップリングやアルバムで多数の演歌・歌謡曲スタンダードを歌っているし、ライヴ・イベントでもそう。だから自然とそれらの元歌手を聴くようになると思いますよ。そんな際いちいちCDやレコード買わなくても、思いついたらその場ぱぱっとサブスクで聴けるというのもマジ大きいです。

 

テレビやラジオ(の番組はもう聴いていないんだけど)でもわさみんはやっぱり演歌・歌謡曲系の歌手と共演することが多いし、そんなこんなで、美空ひばり都はるみ 〜 宇多田ヒカルや椎名林檎 〜 YOASOBI、オフィシャル髭男dismまで歌いこなすわさみんについていくと、とうぜん古今のJソングにくわしくなるはず。

 

音楽にかんしては根が貪欲なたちですから、わさみんヴァージョンで飽き足らず、オリジナルはどんなだっけ?ほかにどんなヴァージョンがあるの?とか、サブスクだと歌手名でも曲名でも検索できてサービスにあるやつはぜんぶ一覧で出てきますから、あらいざらい聴くようになりました。

 

インターネットのソーシャル、特にTwitterですけどわさみん関連、たとえば所属している長良プロダクションや徳間ジャパンはもちろんフォローしているし、関連する演歌・歌謡曲系アカウントをかなりたくさん追いかけるようになってみたら、それで情報がどんどん流れてくるんですよね。

 

結果知るようになった歌手や曲、アルバムは、そりゃもうたっくさんあって、ちょっとおもしろそうかも?とあたまにかけらでも浮かべばそのままSpotifyで検索し、パッと聴ける。ないものもけっこうあるけど(水森かおりはなぜ一曲もないの?)あるものをかけて、聴き込めばそれなりに感想がうかび、文章化につながったり、つながらなくても人生が充実するようになりました。

 

それがここ七年ほどブログで展開している演歌・歌謡曲関連記事の正体。「すべて」源泉をたぐればわさみんきっかけで直接間接的に知り聴いてみたっていうのが理由ですよ。一見わさみんに関係していなさそうでも。探究心旺盛なぼくの性格もあるでしょうが、わさみん推し活の自然な成りゆきだと思いますね。

 

(written 2022.12.30)

2023/01/11

充実のサンバ・パゴージ 〜 ロベルタ・サー

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(2 min read)

 

Roberta Sá / Sambasá
https://open.spotify.com/album/0CMOYF41lPS0w3Lf0GX3Hn?si=4Ik0i-8VQU-pmgecfSQ99Q

 

ジャケットはこんなでアレですけど、ロベルタ・サー(ブラジル)の最新作『Sambasá』(2022)はEPっぽい短さながら充実のサンバ・パゴージで、真っ向勝負。手ごたえあります。

 

ここまで正統的なサンバをロベルタが全面的かつストレートに歌うんですからうれしいですよね。もとから飾らない素直なヴォーカルが持ち味の歌手なので、素材とアレンジ/プロデュース次第でここまで良質な音楽ができあがるということでしょうね。

 

ナイロン弦ギター&カヴァキーニョを中心にした弦楽器群+パンデイロ、タンボリン、スルドその他といった打楽器群でサウンドが編成されているあたりもオーセンティックなサンバのマナーに沿ったもの。そこにアコーディオンやピアノなどがくわわります。

 

ブラジル音楽独自のサウダージが横溢しているのもうれしいところ。1曲目のコーラス部分からもそれはわかります。ロベルタが歌う主旋律はクッキリあざやかに上下するメロディ・ライン。それを重くせずあっさりと軽くふわっとつづっているのがぼくには最高なんですね。

 

2曲目はピアニストがアコーディオンを弾くのとリズムの感じとあわせ、やや北東部ふう。4曲目でゼカ・パゴジーニョ、6でペリクレスという二名のパゴージ界重鎮がゲスト参加して渋いノドを聴かせているのもいい。それら二曲ではサウダージもきわまっている感じです。特に6「Sufoco」。

 

(written 2022.12.29)

2023/01/10

UKレトロ・ソウルのライジング・スター 〜 ミカ・ミラー

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(2 min read)

 

Mica Millar / Heaven Knows
https://open.spotify.com/album/1Y9V7wuiJFJGZe5eGuMuMb?si=e3BcoXlYRR-TWn4FyFolLA

 

マンチェスターの新人レトロ・ソウル歌手、ミカ・ミラーのデビュー・アルバム『ヘヴン・ノウズ』(2022)は昨夏のリリースだったもの。これがわりといいんですよね。ハチロクの三連ビートを基調にした米南部ふうなゴスペル・ソウルもなかにはあって、ぼくなんかには最高。ミカはUKじゃ注目新人としてそこそこ話題になっている存在です。

 

特にグッと胸をつかまれたのがハート・ブレイキングで痛切なトーチ・ソングの8「Will I See You Again」。これがなにかのプレイリストから流れてきたことがぼくがミカを知ったきっかけでしたからね。この曲も三連の米サザン・ソウルふうで、泣いているような歌詞といい切ないメロディといい、ほんとに沁みます。

 

ある意味現代の名曲、名トーチ・ソングに仕上がったんじゃないかとすら思う「Will I See You Again」も、ソングライティング、アレンジ、プロデュース、演奏、ヴォーカルなどすべてだれにも頼らずミカひとりでこなしていて、それはアルバム全体がそう。

 

アルバム・タイトル曲の4「Heaven Knows」も、それから10「Stay」も、なつかしい三連サザン・ソウル・スタイル。その他すべての曲がむかしふうで、2022年の新作なのにヒップ・ホップやネオ・ソウル、現代R&Bを通過した痕跡がぜんぜんなし。全編70年代ふうのソウル・ミュージックで満たされているっていうようなレトロ具合です。

 

(written 2022.12.28)

2023/01/09

ジャズ入門ガイドにもいい最高のブルー・ノート・アルバム 50

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(4 min read)

 

https://www.udiscovermusic.jp/stories/the-50-greatest-blue-note-albums?amp=1

 

「最高のブルーノート・アルバム50枚」というのを数日前にuDiscovermusicが発表していました。なぜなら1月6日はブルー・ノート・レコーズの創立記念日でしたから。今年で社史84年目。最もアイコニックなジャズ・レーベルなのはもはやだれも疑わないでしょう。

 

記事文は短いもので、本体は下位から順に50作を紹介しSpotifyリンクを貼ってある部分にあります。しかもリストは音楽家名とアルバム題だけシンプルに書いてあって、一言の解説もなし。立派な見識と思います。

 

ジャズ好きなら見たこともないなんていう作品は一つもないはず。ですからみなさんごらんになって、納得するなり異論を持つなりすればいいことで、リンクされてあるSpotifyリンクを踏んで聴いたりCDでさがしてもいいし、めいめいのやりかたで楽しんでいただきたいと思います。

 

21世紀的新世代ジャズといえるものはロバート・グラスパーが選ばれているだけで、かろうじてカサンドラ・ウィルスンもその先駆けかといったこの二つだけ。ほとんどが1950〜60年代に録音発売されたレコードなのは、やっぱりこの会社、アルフレッド・ライオンが現役だった時代こそっていうことなのかもしれません。

 

50作のセレクション、上位に来ているものとちょっと気になるものはちょこちょこ聴きなおしましたが、めっちゃひさしぶりだったものもあります。たとえば一位の『サムシン・エルス』(キャノンボール・アダリー&マイルズ・デイヴィス)も15年ぶりくらい。Spotifyにあるのはオリジナルのモノラル版ですね。

 

これをふくめ、三位までがマイルズ関連であるというのもなんだか興味深いような。このトランペッターとアルフレッドは個人的親交があったものの、作品をたくさんレーベルに残したというほどでもないのに、それでもこうなるっていうのは存在感ゆえでしょうか。

 

こうしたブルー・ノート・ジャズの傑作群に大学〜大学院生のころはそりゃあもう胸を躍らせていたもんでした。夢中でレコード買いまくっていたなあ。そのうちCDで買いなおしたのは七割くらいで、そんでもってサブスク時代になって以後はなんでもあるので(ブルー・ノートは例外なくぜんぶある)おおいに助かります。

 

ちょっと気になれば所有していなくともパパッと聴けて楽しいし、今回のuDiscovermusicの50作セレクションでだってそうです。それでちょっとした感想も浮かぶし、現在未来の私的音楽ライフ形成に役立つので、マジでありがたいこと。

 

それに約10年前ごろからのソーシャル・メディア時代に、この老舗ジャズ・レーベルは完璧対応しているというのもすばらしいところ。個人的にいつも見ているのはTwitterとInstagramだけですが、その他のプラットフォームにもアカウントがあるはず。ニュー・リリースや発掘ものなど、そのほか折に触れて投稿があってハッと思い出したり発見したり。

 

ソーシャル・メディアとサブスクへの対応、この二点は2020年代においてレコード会社が展開してほしい必須のことがらなんで、長い歴史を持つブルー・ノートもそこへきっちり寄せてきているのはみごとですね。ベテランばかりでなく若い新規ファンも獲得しやすいですし。

 

ぼく的にイマイチ好みじゃないとかさほど熱心には聴いてこなかったっていうものもセレクションのなかに多少ありますが、これを契機にまたふたたびチャレンジしていますし、それでいままでにない自分へと変貌することもできるかもしれません。みなさんもぜひ。

 

(written 2023.1.8)

2023/01/08

聴きどころはブラウニーのブリリアンスとホーン・アレンジメントの妙 〜『The Eminent J.J. Johnson Vol.1』

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(2 min read)

 

J.J. Johnson / The Eminent J.J. Johnson Vol.1
https://open.spotify.com/album/4TxTaew1OPodAmKE1ICoIC?si=xRmIPE7jQD2Tbn68Nj2r9w

 

ブルー・ノートの公式ソーシャル・アカウントが紹介していたので、いま『The Eminent J.J. Johnson Vol.1』(このかたちでの発売は1989年)を生まれてはじめて聴いていますが(えっ?)、これめっちゃいいですね。どうしていままで聴く機会がなかったんでしょう、有名作だからアルバム題とジャケットはかなりよく見ていたのに。

 

サブスクにあるこのアルバムは2001年盤CDに沿ったもの。末尾の別テイク三トラックを外せば、10インチ盤オリジナルLP『Jay Jay Johnson with Clifford Brown』(1953)と同じ六曲で、曲順は違えども、これはこれで整理されていて聴きやすく、いいと思います。

 

トロンボーン、トランペット、サックス三管の重なりや動き、リズムとのからみあいなど緻密にアレンジされているのがわかりますが、だれが譜面書いたんでしょう、たぶんピアノで参加しているジョン・ルイスですかね、メンバーのなかでこういうのやれそうなのは。マイルズ・デイヴィスの九重奏団でだってアレンジャーの一人でしたし。

 

ソロ・パートにくると、なんたってトランペットのサウンドがあまりにブリリアントで、そこだけクッキリ浮き出ているように聴こえます。さもありなんクリフォード・ブラウンですよ。1953年6月のセッションですが、なんだか突出したあざやかさ。現在過去未来、これだけ吹けるトランペッターはほかにいないはず。

 

特に3「ターンパイク」ではソロ・リレーの一番手でブラウニーが出て、もうそれだけでいいほうに曲の印象が決まってしまうような、そんなみごとさ。このトランペッターはタンギング技巧がすばらしくて(全ジャズ・トランペッター中私的No.1)、そのおかげでフレイジングがくっきり歯切れいい快感をもたらし、最高です。

 

なんだかおかげでJ.J. ジョンスンもジミー・ヒースもソロはかすんでしまうほどですが、このアルバムの聴きどころはブラウニーのブリリアンスとホーン・アレンジメントの妙にあるんですから、これでおっけ〜。大好きな曲5「イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー」はJJのワン・ホーン吹奏で、美しく淡々とメロディをつづっているのがまたいいですね。

 

(written 2022.12.20)

2023/01/07

軽いBGMとして聴きたいレトロ・ポップス 〜 サラ・カン

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(2 min read)

 

Sarah Kang / how i remember
https://open.spotify.com/album/01NnWmqdwaZPdIzU5elnOS?si=TPMsd3SUQKmndHk-Kyuvyg

 

こないだなにかのプレイリストを流していて耳を惹いた韓国人シンガー、サラ・カン。そのとき聴こえてきたのは「about time」で、これがレトロ・ジャジーで完璧な好みだけど、と思いたぐって、最新作『how i remember』(2022)にたどりつきました。

 

アルバム全体では、レトロといってもオーガニックではなく打ち込みとデジタル・シンセを多用していますけど、ソングライティングがむかしふうにジャジーだしスウィートでメロウなヴォーカルもそう。ビートやサウンド・メイク(とアルバム・ジャケット)はロー・ファイっぽいですね。

 

そもそもロー・ファイってレトロ指向な音楽なわけで、 サラの本作も随所でアナログ・レコードを再生するときのパチパチっていう針音ノイズがわざとミックスされていたりするし、そういう装いで聴かせる音楽だっていうのがよくわかり、ぼくの好みにピッタリ合うんですよね。

 

「about time」は完璧な1930年代のスウィング・ジャズ・ポップスを意識した2/4拍子ですし、そのほかの曲もどこまでもレトロ。バック・イン・タイムっていうか、こういうのがいま流行だからそれに乗ってちょっとやってみただけの音楽家かもですけどね。『how i remember』っていうアルバム題もほんのりレトロ趣味に言及しています。

 

曲はサラも参加している共作が多く、トラックリストのところに載っているコラボ・ネームを見るとどうも日本人っぽいつづりのローマ字もあります。多くの曲がそうした共作でできあがっていますが、サラの名しか記載がないものはひとりでトラック・メイクもやっている模様。

 

音量をさほど上げず、室内でなにかをしながらの軽いBGMとして流していればいい雰囲気で、そういう接しかたをするもんですよ、ロー・ファイとかレトロ・ポップスって。

 

(written 2022.12.24)

2023/01/06

マイルズのB面名作(1)〜『ウォーキン』

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(4 min read)

 

Miles Davis / Walkin’
https://open.spotify.com/album/2aiYquTSYZ6xdi1gyHHR76?si=RpZruuLHSayIHgyeo6z-CQ

 

CDやサブスクでは「(片)面」なんてありませんが、シングルでもアルバムでもレコードでは通常A面こそが売り、メインというか主力商品を投入するもので、B面はおまけみたいなもん、裏面、という認識が一般的ですよね、届け手も聴き手も。

 

だからそれを逆手にとってあえてB面にちょっとおもしろそうなものを入れてみたり、両A面扱いにしたり、マニアックな聴き手も注目したりっていうことがむかしからあると思います。好きなら全面聴きたいというのが本心でもありますし。

 

それにある時期以後みたいにアルバム全体で一貫した統一性、流れなんてものがまだなかった時代、LPレコード登場初期には、無関係のセッション音源を寄せ集めた、いはばコンピレイション的なものが多かったという側面もあって、A面B面でガラリと様子が違うなんてのもあたりまえでした。

 

マイルズ・デイヴィスの『ウォーキン』(1957年発売)だってそう。A面のブルーズ二曲こそが時代を画する傑作だというみなされかたをしてきましたが、B面の三曲は別なセッションからの音源なんですよね。そして、実はそっちも(そっちこそ?)チャーミング。

 

バンド編成もムードもA面とはだいぶ違う『ウォーキン』B面の三曲はクインテット編成。アルト・サックスにデイヴ・シルドクラウト(ってだれだかいまだによく知らない、ほかでも見ないし)、リズムはA面と同一でホレス・シルヴァー、パーシー・ヒース、ケニー・クラーク。

 

バップ系の熱いもりあがりこそが命のA面に比し、B面の「ソーラー」「ユー・ドント・ノウ・ワット・ラヴ・イズ」「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」には冷ややかなクールネス、温度の低さ、淡々としたおだやかさがあって、そういうところこそ好きですよ、いまのぼくは。A面が非日常とすれば、B面には日常的な室内楽っぽさがあります。

 

ボスがトランペットにカップ・ミュートをつけているのも(A面はいずれもオープン)そんなムードを醸成している一因です。くわえてA面に比べB面はビート感というかグルーヴが水平的でなめらか。スウィングするというよりす〜っと横に流れていく感じ。それは三曲ともドラマーがブラシしか使っていないことにも原因があります。

 

曲はですね、「ソーラー」がこのセッションのために用意されたマイルズ・オリジナルで、これしかしかなりの有名曲ですよ。なんたってこの音楽家の墓石にはこの曲の譜面が刻印されているくらいだし、じっさいSpotifyデスクトップ・アプリでみるとアルバム中再生回数も最多(600万回弱)。

 

「ユー・ドント・ノウ・ワット・ラヴ・イズ」はサックス抜きのワン・ホーン・バラード。イントロでホレス・シルヴァーが弾くちょっぴりいびつに跳ねるフレイジング(はこのピアニストが得意とするところ)に導かれ、しかしテーマ吹奏に入るとビート感は平坦なものになります。

 

その上をリリカル&メロディアスに吹いていくマイルズのプレイがとっても魅力的だと思うんですよね。バラディアーとしてまだ若干の未熟さも散見されますが、すでに数年後フル開花する持ち味の片鱗は、いやかなりか、覗かせているとぼくは聴きますね。

 

あんがいカップ・ミュートの音色が蠱惑的に響くという面だってあります。このジャズ・トランペッターはいうまでもなくハーマン・ミュートこそが生涯のトレードマークだったんですが、そうなる前はチャーリー・パーカー・コンボ以来ずっとカップ・ミュートを使っていました。

 

(written 2022.12.16)

2023/01/05

ASD(=ぼく)に理解できないこと

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(2 min read)

 

・事実や正しさだけを最優先しないこと(みんななぜ?)
・ひとの気持ち(ぜんぜんわからない)
・他人の立場になって考える(なぜできないかと言われる人生だった)
・ギヴ&テイク(あげるだけ/もらうだけ)
・空気(読めない)
・世間(気にしたことがない)
・義理と人情(ってなんだっけ?)
・気遣い(やりかたわからず)
・タテ社会(生きづらい)
・本音と建前、ウラとオモテ(区別できない、すべて本音)
・うわべ(内実と違ったりすることがあるらしいね)
・思っても言わないこと(ストレートに言ってしまう)
・根まわし(いきなり本論をぶつける)
・社交辞令(言わないし、言われたことも額面どおり受け取る)
・忖度(悪だと思っている)
・落としどころ(ってなにを決めるの?)
・ソフト・ランディング(人生いつも難着陸)
・パズル、クイズ(イライラするばかり)
・正論だけ堂々と述べても通らないことがある(なぜ?)
・他人はウソをついたり本当のことを言わないばあいもある
・言外のふくみ

 

~~~

一方いいところもあるんですASDには↓

・語彙が豊富
・ファクト重視のコミュニケーション傾向
・論理思考が得意
・とことん突きつめて考える
・記憶力がいい
・言語スキル、特に筆力が高い
(相互コミュニケーションは大問題だけど、一方的発言は得意なのだ)
・細かいところに気づく能力
・興味のある一つのことをやり続ける集中力と持続力
・正直である
・常識にとらわれない発想力
・単調な作業を飽きずにできること
・根気や精密さのいる作業への適性
・見た目が若いこと

 

(written 2022.12.14)

2023/01/04

レイヴェイが好きというならベイカーも(チェット川柳)

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(3 min read)

 

Chet Baker Sings
https://open.spotify.com/album/5JJ779nrbHx0KB2lBrMMa4?si=9WXWrA-OR4yFMTlLJFH9Cw

 

『Laufey Digs Jazz』プレイリストでいちばんたくさん選ばれていたのはチェット・ベイカーで五曲。レイヴェイは自分のアルバムでも「Just Like Chet」という自作曲をやっているし、間違いなくチェット・ベイカー好きでそれが最大のインスパイア源ですよね。こないだはエイモス・リーもチェット・ベイカーへのトリビュート・アルバムを出しました。

 

この事実、ほんとうはちょっとあれだったんですよねえ、ぼくには。大学生のころ最初に聴いたときからずっとチェットはどのアルバムもなんか苦手で、特にヴォーカルがどうしても性に合わないっていうか、長年ガツンとくるブラック・ミュージック・シンガーこそフェイバリットでしたから。

 

がしかしそれでも愛するレイヴェイが好きというのなら…と、使ったお箸まで舐めたいくらいな心情があるもんで、最近趣味も変化してきたしで、ちょっと気を取りなおして、まずは『Laufey Digs Jazz』に選ばれていたチェットの五曲を抜き出してまとめ、聴きはじめました。

 

なかでも二曲選ばれている1956年の名作『チェット・ベイカー・シングズ』がひときわ心地いいように聴こえました。約40年間なんど聴いてもピンとこなかったのに、推しの力ってホントおっきいですよ。オープニングの「ザット・オールド・フィーリング」なんて、いまやたまらない快感です。

 

こういったちょっと軽めのビートが効いた調子いいナンバーこそぼく的には本アルバムで最高の好み。でもたくさんはなくて、ほかに「バット・ナット・フォー・ミー」(これもいいね)と「ゼア・ウィル・ネヴァー・ビー・アナザー・ユー」「ルック・フォー・ザ・シルヴァー・ライニング」だけ。

 

こうした曲ではヴォーカルもいいし、薄味で涼やかな軽いオープン・トランペットもちょうどいい味つけに聴こえるし、全体的になだらかでおだやか。いまいち乗り切れない内気な恋愛をさっぱり淡々とつづっている様子は、まさにレイヴェイ的。スウィング、ドライヴしているというほどではなく、まったりもしすぎていない中庸さ、それが気分ですよ。

 

だからどっちかというと暗さ、沈んだブルーな色香がただよっているバラード・ナンバーは、いまのぼくにはまださほどでもなく。といっても曲によりますが、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」「ライク・サムワン・イン・ラヴ」「アイヴ・ネヴァー・ビーン・イン・ラヴ・ビフォー」あたりはもっと時間がかかりそうです。

 

(written 2022.12.23)

2023/01/03

Getz / Gilberto+50と原田知世

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(3 min read)

 

v.a. / ゲッツ/ジルベルト+50
https://open.spotify.com/album/3QTVKtmhzL0jKuKZy4ltXj?si=nmAhWbyhT7uEE9kYs4q5hA

 

『ゲッツ/ジルベルト』(1964)のことをいままではケッと思ってきましたから、50年目に全曲をそのままの曲順でカヴァーしたトリビュート・アルバムなんてねえ…と敬遠していたというか正直いって聴かずにバカにしていたというにひとしい『ゲッツ/ジルベルト+50』(2013)だったんですが(でもそのころなぜかCDは買った)。

 

いくら大好きな原田知世プロデューサー、伊藤ゴローの手がけた音楽だとはいえ、う〜〜ん、…と思っていたところ、きのうも書きましたように(レイヴェイ経由で)『ゲッツ/ジルベルト』がとってもステキな音楽だと還暦にしてようやく理解した身としては、ひょっとしてと思って『ゲッツ/ジルベルト+50』もじっくり聴いてみる気分になりました。

 

2013年というと日本でも現在みたいにレトロ&オーガニック路線のポップスはまだそんな大きな潮流になっていなかったはずですが、『+50』をいまの時代に聴くと、完璧なるその先駆けだったと思えます。つまり100%このごろのぼく好みの音楽ってこと。

 

やっぱりボサ・ノーヴァとはいえないと思うんですが、その要素のあるジャジー・ポップスで、おしゃれでスタイリッシュでおだやかソフトなJ-POPというおもむき。いうまでもなくゴローがプロデュースする知世がそんな世界を代表する存在なわけです。知世は『+50』にも一曲だけ「ヴィヴォ・ソニャンド」で参加しています。英語詞。

 

先駆けといってもゴローが知世をプロデュースするようになったのは2007年の『music & me』からのこと。すでにこのとき現在につながる傾向はしっかりありました。しかしこうしたちょっとボサ・ノーヴァっぽいジャジー・ポップスこそが知世&ゴロー・ワールドのカラーなんだ、その源泉みたいなのがここにあると、『+50』を聴いて感じます。

 

近年の日本の(コンピューター打ち込みをサウンドの主軸としない)オーガニックなおだやかポップスは、べつにゴローがつくりだしたとかパイオニアだとかいうわけじゃないでしょうが、『+50』を聴いて直後に知世などかけると、あまりにも酷似しているというかルーツがどのへんにあったかはっきりしているんじゃないでしょうか。

 

個人的には知世ラヴァー(正確にはゴロー・プロデュースものにかぎる)で、そんな世界にすっかり心身の芯まで染まっている身としては、『+50』を聴きながら、あぁこれだよこれこれこそぼくの好きな音楽のスタイルじゃないか、なんだ『ゲッツ/ジルベルト』だったんだ、レイヴェイもそうであるようにゴロー・ワールドもだ、と得心しました。

 

(written 2022.12.15)

2023/01/02

ぼくの『ゲッツ/ジルベルト』愛を言明できる時代にようやくなった

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(3 min read)

 

João Gilberto, Stan Getz / Getz / Gilberto
https://open.spotify.com/album/2W6Hvrtg2Zpc9dW4aBDbdP?si=ZSkUsEjaT-mV3LIcvq3S7w

 

それで、これもレイヴェイが好きだということで、ただそれだけの理由(だけでもないんだけどほんとは)で、聴きなおし見なおすようになったジョアン・ジルベルト&スタン・ゲッツの『ゲッツ/ジルベルト』(1964)が、なんだかんだいってやっぱいいよね。

 

このブログでも以前はボロカス書いてしまいましたが、この手の音楽がまさかここまで復権してくるとはねえ、そのころ想像していませんでした。迂闊にものは言えないもんです。ちょっと前その記事にアクセスが多かったのはそういうことだったんですね。

 

レイヴェイも「プラ・マシュカ・メウ・コラソン」を選んでいたし、じっさいこういったあたりの、決してハードにスウィングもしない、おだやかに静かにそっとやさしく中低音域でささやきかけてくるような雰囲気を持った音楽こそ、現行レトロ・ジャズ・ポップス・シーンのというかレイヴェイ・ミュージックの主源流。

 

ですから「ドラリス」なんかもいいし「デザフィナード」(は「デサフィナード」が標準表記だけどジョアンの歌で発音を聴いてみて)もすばらしいです。さほどスウィンギーじゃなくじっとたたずんでいるような陰キャ・ムードがいいので、「イパネマの娘」「ソ・ダンソ・サンバ」あたりはそうでもありません。

 

サロン・ミュージックふうの密室性と広がりを同時に香らせている録音というか音響も実にいまっぽく、レイヴェイなんかそのへんまで本アルバムからコピーしているんじゃないかと思うほど。そしてムーディでおしゃれですし。

 

自室や雰囲気のいいカフェでラテやカプチーノを楽しんでいるときに聴くにはこれ以上なくピッタリくる音楽で、骨がないとかガツンとこないとかブラジル音楽がわかっていないとかいままでさんざん言われてきて、ぼくもちょっとそう思っていましたけど、いまとなってはすべて手のひら返したい気分。

 

『ゲッツ/ジルベルト』はきれいで良質な音楽ですよ。「ホンモノ」のボサ・ノーヴァ、ブラジル音楽じゃないかもしれませんけど、これはムーディでちょっとおしゃれな雰囲気のいいジャズ・ポップスですから。そこにボサ・ノーヴァ・インフルーエンストな要素が混ぜ込まれているだけの。

 

(written 2022.12.14)

2023/01/01

ホンモノ/ニセモノといった二分価値観とは違う世界 〜 レイヴェイ・ディグズ・ジャズ

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(5 min read)

 

Laufey Digs Jazz
https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWTtzPKJEaTC4?si=9132ccc459c44265

 

レイヴェイが好きなので関連もどんどん聴いているわけですが、こないだSpotifyに『Laufey Digs Jazz』というプレイリストが出現しました。レイヴェイほか現行レトロ・ジャズ・ポップス歌手たちの源流ともいえる古めの曲を集めたもの。

 

“Laufey shares her jazz favorites” と書いてあるので、Spotifyとレイヴェイがコラボしての企画かもしれません。ひょっとしてレイヴェイ自身の選曲っていう可能性が、いやたぶんそうに違いないと思わせる実感が、ふだんこの歌手のプライベートなInstagram投稿を見ているので、しっかりあります。

 

このプレイリストを流していていちばん強く感じるのは、ドライヴィな快速調が一つもなく、ふわっとソフトでおだやかで静かで室内楽な陰キャものばかりだということ。レトロ・ムードなんてのはいうにおよばず、こうした(ロックとはかすりもしないような)古めのジャズ・ソングこそ現行レトロ・ジャズ・シーンの源流になっているっていうの、もはやだれも疑わないことでしょう。

 

もうひとつとっても重要なことがわかります。それはいままでぼくら「ホンモノ」志向のジャズ聴きがケッと思ってきたような、つまりニセモノっぽいというかつまらないものと断じて遠ざけてきたような音楽が、ここではしっかり息づいているということ。

 

レトロ・ジャズ・シーンにおいてそうした「フェイク」が復権しつつあるというか、たとえば本プレイリストにも選ばれているヴァーヴ時代のビリー・ホリデイ、カクテル・ピアノ、『ゲッツ/ジルベルト』とか、おしゃれでムーディだけど骨がない、もし好きと言おうもんならわかっていないねとみなされてきたようなもの、そういうのが確固たる輝きとポジションを持つようになっています。

 

ある意味それらもホンモノと考えられるようになってきたというか、ホンモノ/ニセモノといった二分価値観とは違う世界がここにあります。つまり現行レトロ・ジャズ・シーンの主役になっているレイヴェイはじめ若手ジャズ歌手にとっては、紙で読むような玄人筋の本格古典評価なんてのは見たことないわけで。そんなの関係ないっていうか、サブスクでべたっとぜんぶならべて距離感の濃淡をつくらず聴いているみたい。

 

それでもって(周囲の、過去の評価にまどわされず)自分の耳で聴いて、心地いい、楽しい、くつろげると感じた音楽だけをみずから選びとっていて、自分でも書き歌う音楽のベースとしているわけなんですよね。ショップでレコードやCD買う際には棚にならべるための他者判断がどうしてもあらかじめ介在しますが、サブスク聴きの普及でそれが薄くなりました。

 

特にボサ・ノーヴァふうというか、つまり(従来的な見かたでは)フェイク・ボサ・ノーヴァなんですけど『ゲッツ/ジルベルト』みたいな音楽が、現行レトロ・シーンにおいてしっかり再評価されているということは、このアルバムがいいと思う人間はブラジル音楽がわかっていないとされる価値観で生きてきた人間には軽いショックですらありました。

 

ブラジル音楽、ボサ・ノーヴァと考えようとするから『ゲッツ/ジルベルト』やそれ系のちょっぴりスタイリッシュなボサ・ノーヴァ・インフルーエンストなアメリカン・ポップスなんかくだらないとなるんであって、そんな要素を軽くとりいれてみただけのムーディなジャズ・ソングとして、実はゆっくりおだやかにくつろげる良質ポップスだとわかってきます。

 

ジョアン・ジルベルトやアントニオ・カルロス・ジョビンが全面参加しているもんだからそのあたりの評価であれこれ言われますけれども、レイヴェイや2020年代のレトロ・ジャズ・シーンにいる新世代歌手たちにとっては、それもまたムードがあって楽しいリラクシングな音楽なんですよ。クラシック系の一部室内楽やスウィング・ジャズなどと同列で。

 

(written 2022.12.12)

2022/12/31

世間でいうレトロ・ポップスとぼくの好きなレトロ・ポップスは違う

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(4 min read)

 

Retro Pop
https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DXcTieYAg7jq1?si=4098e2c3ce954e96

 

上の写真はSpotify公式のレトロ・ポップ・プレイリスト。聴いてみてわかるのは、こうした近ごろ流行りの世間でいうレトロ・ポップスと、ぼくが好きでブログでどんどん書いているレトロ・ポップスにはズレがあるということ。

 

世間でいうレトロ・ポップスとは要するにレトロR&Bのことなんですよね。特に1980年代ものかな、そのへんのR&Bを意識した音楽で、世紀の変わり目ごろからのネオ・ソウル隆盛が70年代ニュー・ソウルの復権運動だった(デジタル打ち込み主流音楽への反動もあり)のに比べ、そこからさらに時代が進んだところへのあこがれの眼差しということです。

 

それでも上の画像どおりジャケットのふちの紙がこすれてかすれたようなデザインに配信だけどわざわざなっているのでもわかるように、たしかに過去への、アナログ時代への、それも中古レコード盤で聴くような世界への回帰というか、いまふうのリバース(rebirth)現象なんです、レトロR&Bも。

 

そのあたり当時のR&BにもレトロR&Bにもそんなには強い愛好気分のないぼくが心底大好きでどんどん記事にしている「レトロ・ポップス」は、ちょっと別なもの。ぼくのいうレトロ・ポップスとは、つまりレトロ・ジャズのことです。1920〜50年代前半的な、ディキシーランド・ジャズ、スウィング・ジャズ時代への遡及を聴かせる現代ポップ歌手たちこそが好み。

 

具体名をあげればレイヴェイ、ダヴィーナ&ザ・ヴァガボンズ、サマーラ・ジョイ、ルーマー(の主な素材は70年代ものだけど)、サマンサ・シドリー、エマ・スミス、メグ(民謡クルセイダーズ)、キャット・エドモンスン、ヘイリー・タック、ノナーリア(インドネシア)など。

 

共通しているのはロックンロール・ビッグ・バンがあったその前の時代へのレトロ現象だってこと。だからロックともR&Bとも縁がなく、爛熟黄金時代だったジャズやそれ系ポップスの曲や演唱スタイルをひたすらなぞって21世紀に再現しているわけです。そういったいまどきの音楽こそ好きなんです。

 

そうしたレトロ・ジャズ・ポップスとはどういった音楽で、21世紀に誕生し隆盛になっている理由や背景とか、個人的にどこがどんなふうに好きかなど、いままでも散々書いてきたことなので、過去記事をぜひお読みください。このへんとか↓

 

「ジャジーなレトロ・ポップスが、いまドープ ver.1.0」
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2021/12/post-b45f60.html

 

あるいはこれ↓

「ジャズにおけるレトロ・トレンドとはなにか」
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2022/09/post-7d3478.html

 

きょう一番上でご紹介したSpotifyの「Retro Pop」プレイリストはレトロR&Bのセレクションなんですけど、それでも一曲レイヴェイが選ばれたりもしていますし、そのほかにもぼくの趣味にあうレトロ・ジャジーなものがちょこちょこふくまれています。

 

そのあたりきっちり区別しすぎず、過去へのあこがれと遡及を聴かせるコンテンポラリー・ポップスをおおざっぱにくくって「レトロ」と呼んでいるのがこのごろの傾向なのかもしれないですね。いずれにしても若者に特有の気分で、日本でだってZ世代に昭和レトロが流行しているのは同一基軸の現象なんですね。

 

(written 2022.12.17)

2022/12/30

ベスト・アルバム 2022

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(2 min read)

 

My Best Songs 2022
https://open.spotify.com/playlist/6dVHmu1vZhUQyYf9c2GojA?si=10f4dca563ec43c2

 

評価とかデータ面じゃなく、個人的印象や愛好フィールの強さで順に並べてあります。

 

1)Laufey / The Reykjavík Sessions(アイスランド)

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もう息の音までも好き。
https://open.spotify.com/album/6ETdl4OHcpXhMQdLWstM2G?si=gs_QJo-KSIi2FIFGaFV1mA

 

2)Patricia Brennan / More Touch(メキシコ)

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2021年はじめから応援しているヴァイブラフォン奏者の新作は、今年のジャズでNo.1の内容になりました。
https://open.spotify.com/album/68FjddVbbxBB0qI58Lsqu6?si=ac9Jr2aTR1u4iYWtYySuKQ

 

3)孙露 / 忘不了(中国)

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こうした静かなおだやか系ポップスこそ、いまのぼくの最愛好品。鄧麗君のカヴァーも二曲あり。
https://open.spotify.com/album/1UL8CRnyaqwSlBjWvodInI?si=HenCuYTHTc2PlwoHedZH8A

 

4)L8ching / Dive & Give(台湾、2021)

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都会的洗練(=退廃)のきわみ。特に4曲目での異要素接合ぐあいにはほんとうに感心しました。
https://open.spotify.com/album/1Zl1TH7j0cZEHf03ScvES2?si=NdYTMf7RQ76ZIDv77b4C6Q

 

5)原田知世 / fruitful days(日本)

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語らずとも知れたいちばん好きな歌手というか音楽。
https://open.spotify.com/album/4qEzXvDAgusrcMi5O5dWr7?si=8sJ__GuSQPqU6gA7L6z-wA

6)Rumer / B Sides & Rarities Vol.2(アメリカ)

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これもよく聴きました。やはりレトロ&オーガニック路線のアメリカン・ポップスで、2020年代のトレンドをかたちづくっているもの。
https://open.spotify.com/album/0CNhXKYx4kOOZrelgXiGUr?si=qJmylaz3TtegWuqWJ7N7Vg

 

7)Nduduzo Makhathini / In The Spirit of Ntu(南アフリカ)

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今年のジャズ新作ではパトリシア・ブレナンと並び抜きに出ていましたね。夏ごろまでは年間一位にしようという気分でした。
https://open.spotify.com/album/3UnSb3V4gzrt2ofjYfsLDl?si=Twe5_04IQ1iWOYOKh_Y8cQ

 

8)大西順子 / Grand Voyage(日本、2021)

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ピュアな肉体派の快感を追求したがんがんくるジャズ・ピアノ。こういうのに出会うといまだゾクゾクします。
https://open.spotify.com/album/6gzWFN7EHXqlNTvP7iKLP3?si=dEGMOVMfRUWlAh6XkAf0fg

 

9)Here It Is: A Tribute to Leonard Cohen(アメリカ)

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コロナ時代ならではの現代的形象をまとったレナード・コーエン・ソングブック。沈鬱だけど、暗さとないまぜの鈍く輝くあざやかさがあり。
https://open.spotify.com/album/7dcCXRBgb3p86KCg4ZUTff?si=FL_ziiEnQpGM0zCuhZMDRQ


~~~

(参考)再生回数順の2022年新作リスト

1)原田知世 / fruitful days(日本)
2)Rumer / B Sides & Rarities Vol.2(アメリカ)
3)岩佐美咲 / アキラ(日本、2021)
4)Edu Sangirardi / Um(ブラジル)
5)Laufey / The Reykjavík Sessions(アイスランド)
6)Laufey / Everything I Know About Love(アイスランド)
7)Steve Dawson / Gone, Lone Gone(カナダ)
8)Flora Purim / If You Will(ブラジル)
9)Nduduzo Makhathini / In The Spirit of Ntu(南アフリカ)

※ そしてこれらよりずっと過去作を聴きました。

 

(written 2022.12.3)

2022/12/29

リズム&ブルーズ/ポップ・クラシックスへのレトロなオマージュ 〜 レイク・ストリート・ダイヴ

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(2 min read)

 

Lake Street Dive / The Fun Machine: The Sequel
https://open.spotify.com/album/5O41WrYns4BBDOtvVx1JFM?si=c1BLik8mTtq_kt451aTtgg

 

あるときふと流れてきた「ソー・ファー・アウェイ」(キャロル・キング)に惹きつけられ、知っている既存ヴァージョンのどれでもないし…、と思って見てみたらレイク・ストリート・ダイヴとの名前。はじめて出会いました。

 

調べてみたらボストン出身で、そこそこキャリアを積んだ名のあるバンドみたいです。その「ソー・ファー・アウェイ」はアルバム『The Fun Machine: The Sequel』(2022)に収録。ジャケット・デザインでも暗示されているとおり往年の有名ポップ・ソングのカヴァー集で、選曲も音楽性もちょっぴりレトロ。

 

全六曲、オリジナル歌手を記載しておきます↓

1 ポインター・シスターズ
2 ディオンヌ・ワーウィック
3 シャニア・トゥウェイン
4 キャロル・キング
5 ボニー・レイト
6 クランベリーズ

 

レイク・ストリート・ダイヴはフロントで歌うレイチェル・プライスのソウルフルでちょっぴり気だるそうなレイジーなヴォーカルがなんともチャーミングで、といっても男声がリード・ヴォーカルをとっている曲もあります。サウンドはメンバーの生演奏で構成されていますね。

 

個人的に特に強く印象に残ったのは、ですから4「ソー・ファー・アウェイ」(パラパラと点描するエレキ・ギターもいい)と、1「オートマティック」、それから3「ユア・スティル・ザ・ワン」(男声ヴォーカル)あたり。三つ目の曲知らないなと思って調べてみたら、ポップ・カントリーの歌みたいですよ。

 

シンプルでなんでもないようなバンドの演奏も、しっかりした技術に裏打ちされているうまいもの。レイチェルのコクのある声と歌いこなしにはそこはかとなくセクシーさもただよっているし、コーラス・ワークだってチャーミングで、曲次第ですけど今作は古典的リズム&ブルーズ/ポップへのレトロなオマージュということで。

 

(written 2022.12.25)

2022/12/28

「でもぼくのためじゃない」〜 my favorite torch songs(英語圏篇)

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(3 min read)

 

my favorite torch songs
https://open.spotify.com/playlist/2zfyPmq1QYn4vPQwYqS4J7?si=99e52bb774c54f20

 

いちばん好きな失恋の歌はプリンスの「ナシング・コンペアーズ・2・U」。そのほか好きなトーチ・ソングばかり15曲集めて約一時間のプレイリストにしておきました。つらく切なく美しくて崇高で、実にいいですよねこの世界。

 

1 Prince / Nothing Compares 2 U
2 Laufey / Let You Break My Heart Again
3 Mica Miller / Will I See You Again
4 Chet Baker / But Not for Me
5 J.J. Johnson / It Could Happen to You
6 Carmen McRae / It’s Like Reaching for the Moon
7 Billie Holiday / These Foolish Things
8 Laufey / Falling Behind
9 Miles Davis / It Never Entered My Mind
10 Derek & the Dominos / I Looked Away
11 Willie Clayton / I’d Rather Go Blind
12 Allen Toussaint / Long, Long Journey
13 Billie Holiday / Solitude
14 Frank Sinatra / One for My Baby
15 Derek & the Dominos / Thorn Tree in the Garden

 

離別や失った恋ばかりでなく、はなからうまくいかない恋、届かない恋、片想い、妄想、内気な臆病さ、失意の予測、諦観と落ち着き、懐古、曇り空など、トーチ・ソングの内容はさまざま。

 

セレクションを一曲一曲説明はしませんが、2、8レイヴェイ、3ミカ・ミラーあたりは一般的にまだ無名どころでしょうね(後者なんかぜんぜん?)。11ウィリー・クレイトンもひょっとしてそうかな。

 

ウィリーを選んだのには理由があって、大好きな失恋歌「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」を入れたかったんですが、本命スペンサー・ウィギンズのがサブスクにないんですよね。それでウィリーのを。これもいいです。

 

それら以外は説明不要。失恋ソングといっても、そんな深刻で悲しく落ち込むようなものよりも、うんそれもいいんだけど、曲調はわりと明るく楽しげにスウィングしているものが多いような気がします。そんでもって孤独で気高い。

 

それが個人的に好みだというばかりでなく、そもそもトーチ・ソングの世界とはそういうもの。歌詞にあまりのめり込みすぎないインストルメンタル・ジャズに長年親しんできたからっていうのもありそうですけどね(といっても今回はそんなに選ばなかった)。

 

個人的にはアロマンティックゆえ、これといった大きな恋愛も失恋も人生でしてこなかったんですが、そういう歌を聴いてなんとなくファンタジー気分にひたったりするのは快感で大好き。他人事ですけど、没入しすぎない距離感も音楽には大切です。

 

(written 2022.12.25)

2022/12/27

過去に無法地帯だったYouTubeで

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(4 min read)

 

Miles Davis / Star People
https://www.youtube.com/watch?v=PsXqBdkaZbU

 

2010年にやりはじめ、いままでいくつアップロードしたかわからないYouTube音楽ファイル(ぜんぶで100やそこらじゃない)。そのうちコメント数最多なのがマイルズ・デイヴィスの曲「スター・ピープル」(1983)で、93個(2022年11月22日時点)。音楽への賞賛の声ばかり。

 

再生回数ならドクター・ジョンの「アイコ・アイコ」が約23万回でトップなんですが、そっちで見たって「スター・ピープル」は第三位の7万4千回ですし、どうしてこんなに人気なんでしょうね。ドクター・ジョンのほうは逝去と回顧で一気に再生数が伸びた感じでした。

 

「スター・ピープル」をアップロードしたのは2015年9月18日となっています。ブログをはじめた直後の時期で、筆力のおぼつかないぼくなんか音源共有の必要があるんですね。サブスク・サービスはまだなかったから、YouTubeでさがして見つからないものは自分でファイルつくって上げていました。

 

ブログ開始後のぼくのYouTubeチャンネルはそんなのばっかりで、すべては文章による説明力不足を補う目的で音源ファイルを貼っておきたいということでした。サブスクが普及し活用するようになって以後は自分でやる必要がなくなり。権利関係のしっかりしている正規サービスですし。

 

権利関係、なんてことを言いだしたら、ですからもちろんぼくは他者に権利があるCD商品音楽ばかり無断でアップしていたわけなので、グレーどころか真っ黒け。じっさいプリンスなどものによっては権利者に見つかってクレームされYouTube当局に強制削除されたものだってありました。

 

グレー(っていうかブラック?)な存在のままでいるのも個人的にイヤになってきて、権利関係の整った音源を、プライベートなブログだけど紹介したいという気持ちが強くなってきましたし、それになによりやっぱりサブスク・サービスの普及がぼくのなかではとってもデッカい。これで安心してご紹介できるなって。

 

そんなわけなんで、マイルズとかは(プリンスも多くのドクター・ジョンも)すべてがサブスクに乗っているんですから、なんだったらそっちでさがして聴けばいいでしょっと思うんです。なにもどこのだれだかわかんない日本人の無断アップロードで聴かなくたって。あるいはCD買うとか。

 

そのへんはですね、ひょっとしてやっぱり音楽もタダ聴きできるぶんにはなるたけそうしたい、その点サブスクはちょっとあれじゃないかとか、そういうふうにお考えになっているみなさんが世界中にあるいはたっくさんいるのかもしれないですよね。

 

もちろん今日ここまで書いたぼくのあたまにあるのは過去に無法地帯だった時代のYouTubeであって、最近は権利関係をちゃんとするようになりましたし、音楽家やレコード会社などが公式に作品を紹介したり新作を発表したりする場ともなっていますので、いまや事情は違っているんですけども。

 

ぼくの「スター・ピープル」だって、正規にこの音楽の権利を保有しているSMEへのリンクがいつごろか貼られているし、そのほか(ブートレグ音源以外は)どれもだいたい同様ですから、1再生いくらっていう勘定で権利保有者にお金が行くことになっているんだろうと思うんです。

 

だから、いいんですけど。YouTubeでどんどん聴いてもらって。アップローダーがぼくですけどね。

 

(written 2022.11.22)

2022/12/26

ステファン・フィールで 〜 エリア・バスチーダ

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(4 min read)

 

Èlia Bastida / Tribute to Stéphane Grappelli
https://open.spotify.com/album/26BlMn31cs7svG0qevEIV5?si=_BjSSE26SpauPrdPiZbx0g

 

エリア・バスチーダは1995年バルセロナ生まれ、岩佐美咲や中澤卓也と同い年で、いはゆるZ世代の一員です。四歳からヴァイオリンをはじめてクラシック音楽の修練を積み、17歳でジャズ・バンドに加入したそう。

 

公式ホーム・ページによれば主な影響源はチェット・ベイカー、スコット・ハミルトン、アート・ペッパー、デクスター・ゴードン、ソニー・スティット、ステファン・グラッペリ、サラ・ヴォーン、レスター・ヤング、エリス・レジーナ、ジョアン・ジルベルト、シコ・ブアルキ、フレディ・ハバード、クリフォード・ブラウン、ビル・エヴァンズ、エラ・フィッツジェラルドなど。

 

2017年以後すでにいくつもアルバムを出してきているようですが、最新作『Tribute to Stéphane Grappelli』(2022)は題名どおり偉大な影響源にささげた内容。いいですねこういうの。基本ギター&ベースとのトリオ編成で、曲によりドラムスも参加しています。

 

MJQの「ジャンゴ」だってやっているし(それも二回)、ってことはつまりフランス・ホット・クラブ五重奏団がやったようなああいった音楽を指向しているのかなと思うとすこし違って、トラディショナルなストレート・ジャズをベースにクラシカルな方向性に寄った内容を展開しています。

 

地金がクラシック・ヴァイオリンなんだろうという気がしますが、それでもステファン・グラッペリへの敬意は音色とフレイジングのはしばしに表現されているのがわかって好印象。常に気品高く、決して俗な感じにならない音楽家ですね。

 

おだやかに落ち着いた平坦な音楽で、こういう雰囲気はレトロ&オーガニックな路線が支持されるようになって以後分野を問わず拡大しているものです。劇的で大げさなところのとれたなだらかな老境に入りつつある現在のぼくの心境にはピッタリ。

 

ジャズとクラシックだけでなくブラジル音楽好きを本人は公言していますが、本アルバムを聴くかぎりではブラジルっていうよりカリブ方面へのアプローチが濃く出ているような感じです。それは意識してというよりスペイン人だから自然とラテン性がにじむということかもしれません。

 

特にカリビアンなラテン・ジャズ(・クラシック)っぽさが鮮明なのが4、5、8、13曲目あたり。ヴァイオリン・スタイルはどこまでも典雅ですが、リズムにはっきりした愉快さ楽しさがあります。ボレーロ(だけどアバネーラっぽい)、スウィング、カリビアン・ダンス、ファンクなど。

 

なかでも8「ダンス・フォー・ステファン」のリズムとか13「グラッペリア」のファンクネスなんてすばらしいですよ。どっちもステファン・グラッペリの名前が曲題に入っているわけですから、ことさトリビュートを意識して書いた自作なんでしょう。現代的な相貌をとったグラッペリ・ミュージックとも解釈できます。

 

いっぽうでJ・S・バッハの曲にジャジーなビートを付与して演奏したり(3)、また9「ネイチャー・ボーイ」なんて有名ポップ・ナンバーがクラシカルなヴァイオリン独奏曲みたいになっていたりするのも、エリアの一面でしょう。ヴォーカルを披露する曲もあります。サックスもやるそうですが本作では聴けず。

 

(written 2022.12.22)

2022/12/25

戦後録音のなかではNo.1ディキシーランド・ジャズ 〜 エディ・コンドン

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(3 min read)

 

Eddie Condon / Jam Session Coast-to-Coast
https://open.spotify.com/album/7AG4Cw4RDYvgmmYS66Xc5o?si=5ZVYShLuSsW3HZZ-pEwqqg

 

同じ音楽のことばかりなんども書いてゴメンニャサイほんとうに心底好きなんだエディ・コンドンの『ジャム・セッション・コースト・トゥ・コースト』(1954)。これ、最初にこのブログで記事にしたころはまだサブスクなかったので、外せないと思う重要曲は自分でファイルつくってYouTubeに上げたのをリンクしていました。

 

このレコードでのコンドン・バンドの演奏はA面だけで(B面は別の西海岸バンド、コンドンらは東海岸)、しかも最高にチャーミングだと思えるのはラストのジャム・セッションを除く冒頭三トラックだけ。それらは真なる極上品ですよ。戦後録音のなかではNo.1ディキシーランド・ジャズでしょう。

 

YouTubeファイルに付くたくさんのコメントを読んでいると、このレコードを当時買ってそのまま愛聴し続けているというアメリカ人年配ファンのかたが、たまたまYouTubeでぼくのそれを見つけてうれしくなってコメントしてくださっているというケースが多く。

 

そうですよね、ぼくみたいに(比較的)若い、しかも日本在住の日本人がこんな古いアメリカン・ジャズが好きで好きで、みずから進んでファイルまでつくってアップロードしているんだから、本場(ではいまだ至るところでこの手の音楽は生演奏されている)の古株ファンからしたら「こいつだれ?」ってなりますよねえ。

 

冒頭三トラックのうち、二つ目がとってもきれいでチャーミングなプリティ・バラード三曲のメドレーでうっとりするし、1・3トラック目はドライヴするスウィンガー、それもめっちゃ楽しくて、自室のなかでかけていても踊りだしてしまうし、思わず笑顔になって気分もアップ、イヤなことなんかすっかり忘れちゃうっていう、これぞ大衆エンタメ音楽の真髄ですよ。

 

Spotifyをやるようになった最初のころはこのアルバム入っていなかったと思うんですが、じきに聴けるようになったのがこれ(上と同じ)↓
https://open.spotify.com/album/7AG4Cw4RDYvgmmYS66Xc5o?si=hL7SMzfySQ-UvlChXn63UA

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でもこれなんでこんなジャケットなんでしょうね。同じデザインで古典ジャズ音源がたくさんサブスクにありますから、なにかの復刻シリーズなんでしょう。いっぽうオリジナル・ジャケをきれいに整理して(整理しすぎだけど)、同じ音楽だけどべつなものもSpotifyに最近あります↓
https://open.spotify.com/album/4pvnCA7OPlyFpIfq4nVJaV?si=FZHjRu1yQmmjsG_WF2ZqGw

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ジャケだけ見たらこっちのほうが雰囲気だぞと一瞬思ったんですけど、なんと音質的に問題ありなんですね。聴けたもんじゃないかと思うほど悪い。二つを聴き比べれば違いは瞭然としています。ですからもしこのアルバムをサブスクで聴いてみようかなとお考えのかたは、ぜひ前者のジャケのやつをさがしてください。オリジナルのレコードやリイシューCDに近いのはそっちです。

 

(written 2022.12.18)

2022/12/24

エマ・スミスのレトロ・ジャジーなクリスマスもいいね

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(1 min read)

 

Emma Smith / Snowbound
https://open.spotify.com/album/0ExyRBD1gjGW2OUeKYecrJ?si=TXWDrro1QvqyxF22ROEwSw

 

以前一度書いたロンドンのレトロ・ジャジーなポップ歌手、エマ・スミス。最新EP『スノウバウンド』(2022)はクリスマス・ソング集です。リリースがちょっと遅かったっていうか、今年のぶんはもうレイヴェイので書いちゃったけど、エマのこれも楽しい内容なのでスルーできず。軽く触れておきます。

 

全五曲、いずれもよく知られたスタンダードな古典的クリスマス・ソングで、日本でも親しまれてきたものが多いです。エマの本作でのレンディションは基本オーソドックスなメインストリーム・ジャズのスタイルに沿ったものですが、ところどころハッとさせるおもしろさがあり。

 

オルガン・トリオ+テナー・サックスという典型的モダン・ジャズ・コンボを伴奏につけていて、オープニングのおなじみ「赤鼻のトナカイ」はなんとファンク・チューンに変貌していますからね。かなりタイトでカッコいい。エマってこういうのもできる歌手なんだと知りました。

 

2曲目以降はジャジー&かなりブルージーに。サックスとハモンド・オルガンのムーディなサウンドが目立っている内容で、エマも雰囲気たっぷり。ナイト・ムードなバラード二曲、スキャットをまじえながら4/4ビートでスウィングするストレート・ジャズ、三拍子12小節3コードのブルーズ。

 

(written 2022.12.21)

2022/12/23

クリスマス with レイヴェイ

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(3 min read)

 

Laufey / A Very Laufey Holiday
https://open.spotify.com/album/0NXOmjbsRluHO8QLpZFEBd?si=QJVktP83QWm-kIC5R_cuuA

 

毎年クリスマス・イヴにはクリスマス・ミュージックのことを書いていますが、今年は愛するレイヴェイ(アイスランド)の歌うそれで楽しみます。個人的心情ではレイヴェイ・イヤーでしたし、じっさい大きくブレイクしたし、愛好度もいちじるしく増したというわけで。

 

レイヴェイがこないだリリースしたクリスマス・ソングは「ザ・クリスマス・ウォルツ」(2022)。最初これ一曲だったのが、その後カップリング・ナンバーも追加されました。曲はフランク・シナトラのためにサミー・カーンとジュール・スタインが書いた、初演は1954年のシングルB面。その後スタンダード化しました。

 

レイヴェイの「ザ・クリスマス・ウォルツ」は、まずじわっと入ってくる瀟洒なストリングス・サウンドではじまります。弦楽は最初と最後に出てきていろどりを添えていますが、データがないのでどこのオーケストラかなんてことはわかりません。

 

ただいま(11月)欧州ツアーのまっただなかでレイヴェイがこれをリリースできたということは、あるいはひょっとして(わからないけど)故郷レイキャヴィクのアイスランド交響楽団という可能性があるかもしれません。10月末に同地で共演コンサートを行ったばかりですし、そのとき実家にしばらく滞在していたようですから。

 

レイヴェイのライヴはほぼ常にひとりでの弾き語り中心で、ときたまサポート・メンバーがつくケースがありはするものの、いずれにしても「ザ・クリスマス・ウォルツ」で聴けるような大規模弦楽と行動をともにするチャンスはほとんどありません。いつも陰キャなベッドルーム・ポップっぽいのがレイヴェイ。

 

「ザ・クリスマス・ウォルツ」だって、弦楽が聴こえていない時間はやはり弾き語りで、自室で録音したような響きを中心に構成されていますよね。終盤こどものヴォーカル・コーラスと、しめくくりにそのまま「メリー・クリスマス!」とみんなで元気に叫ぶ声が入っています。

 

カップリングの「ラヴ・トゥ・キープ・ミー・ウォーム」は2021年12月にシングル・リリースされていたものをそのまま流用。ドディーとのデュオ・ヴォーカルで、こっちもチャーミングです。やはり季節感ピッタリな冬の歌ってことで選んだのでしょう。

 

(written 2022.11.20)

2022/12/22

「(あのうまいやつを)淹れてくれ」

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(3 min read)

 

写真は2018年2月に買って以来ずっと愛用しているカリタのコーヒー・ミル。これ以前は手まわしで挽くハンド・ミルを使っていましたが、どうしても粉の大きさに多少のムラができてしまっていました。ハンド・ミルでは避けられないものですが、超微粉は雑味の原因になるので。

 

とはいえ、2018年に買ったということはわりと最近ですよね。長い人生それまでずっとハンド・ミルを使ってきたわけで、それで満足していなかったというのでもありません。その前なんかお店で挽いてもらってパウダーにしたのを持って帰っていたくらいですから。

 

焙煎豆のままで買ってきて淹れるたびに挽くようになったのは、実はそんな前の話でもなくて、たしか世紀の変わり目ごろのこと。ミルは渋谷東急ハンズで買ったと思います。職場が渋谷にあったので、その帰り道でハンズに立ち寄ったんでした。

 

淹れる直前に豆から粉にするようにしてからは、できあがりのコーヒー液の風味がぐんと向上するようになったというのを当時実感していました。カリタの(業務用スペックの)電動ミルを買ったのがぼくにとってはコーヒー人生二度目の革命で、それ以後はホントおうちカフェ・タイムが楽しくって。

 

ペーパー・ドリップでコーヒーを自作するようになったのはたしか大学生のころから。高校生時分にわりといいインスタント・コーヒーを買って愛飲していて、もっと本格的な味を!と追求するようになったんだったと思います。それで紙のガイド・ブックとかを買って(当時ネットはない)いろいろ調べました。

 

両親や弟たちと同居している時代だったので、自分用のコーヒーをつくる際にみんなのぶんも同時にドリップして「うまい」と称賛されていたのはおぼえています。弟二人はそんなにコーヒーほしがらなかったんですが、両親がコーヒー好きでした。「(あのうまいやつを)淹れてくれ」とせがまれることもしばしば。

 

上京してひとり暮らしになってはじめて自分にだけコーヒーをていねいに淹れるという日々になりましたが、その後10年弱で結婚して二人暮らしになりましたから、今度はパートナーのぶんもいっしょにつくることになりました。どっちも働いていましたから時間が合わないときはしょうがなかったんですけど。

 

離別してからもコーヒー・メイクをやめるなんてことはなく、その後はふたたび自分用に一人分だけつくって飲むという日々が現在まで続いています。間違いなく死ぬまでずっとこのままひとりなので、だれかのためのコーヒーをいっしょに淹れるっていうことは今後ないでしょう。

 

お店出せばいけるんじゃないかなんて言われることもときどきあるコーヒー・ライフでしたが。

 

(written 2022.12.13)

2022/12/21

だらだら流し聴きで気持ちいい 〜 トム・ペティ at フィルモア 97

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(4 min read)

 

Tom Petty and the Heartbreakers / Live at the Fillmore, 1997
https://open.spotify.com/album/1XtnMkxeV9wdELLvBZxktL?si=inzl22NsTx6HS1fKbAvgtw

 

トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの『ライヴ・アット・ザ・フィルモア、1997』(2022)。これも大部なボックスもののようで、フィジカルはおろかサブスクですらそうしたものへの興味が消え失せつつあるぼくなんかケッとか思って、縁はないだろうとたかをくくっていたんですけども。

 

それでもちょっと気を取りなおして、なにを聴いてもいいヒマな時間がたっぷりあったのでだらだら流し聴いてみました。そうしたらとても心地いいんですね。なんでしょうかこれ。どこがそんなに?というと、古典的なロックンロール・スタンダードを当時のスタイルのままでたっくさんカヴァーしているところ。

 

ロカビリーだってあれば、ヴェンチャーズみたいなインストものあり、ブルーズ、カントリーなどもりだくさんで、さながらロック系アメリカン・ミュージック史の見本市みたいになっています。三時間半もあるからじっくり腰を据えて向きあうには長すぎるんですが、BGMとして流し聴きしていればいい雰囲気なんですね。

 

ただなんとなくやってみたというんではなく、この1997年の一ヶ月間にわたるフィルモア・ウェスト・レジデンシー公演20回(録音されたのはラスト6回)でのトム・ペティには、はっきりした意図があったんじゃないかと思わせるロック・クラシックス・トリビュート的な内容です。ぼくみたいな常なる古典派人間にはうれしいところ。

 

とにかく全体の半数以上がカヴァーなんですから、ボブ・ディラン/ビートルズ以後自作自演オリジナル至上主義でやってきたロック界ではめずらしいこと。ですから、もちろんスペシャルなライヴ・シリーズだったというのがあったにせよ、トム・ペティ自身なにかクラシックスを意識した面がこのときはあったと思うんですよね。

 

チャック・ベリー、リトル・リチャード、ボ・ディドリー、J.J.ケイル、ローリング・ストーンズ、リッキー・ネルスン、ゼム、ゾンビーズ、ヴェンチャーズ、ブッカー・T&ザ・MGズ、キンクス、グレイトフル・デッド、ザ・バーズ、ボブ・ディラン、レイ・チャールズ、ビル・ウィザーズなどなど。

 

なんと007映画の主題歌だったジョン・バリーの「ゴールドフィンガー」までやっているし、さらにはジョン・リー・フッカー本人をゲストでむかえての三曲なんか、ある意味このアルバムの私的クライマックスともいえる高揚感。フッカー御大はいつもどおり淡々と自分のブルーズをやっています。それとは別にロジャー・マグイン(とトムは発音)が参加するパートもあり。

 

どれもこれも、聴くとはなしにぼんやり流していてアッと感じるおなじみのギター・リフなんかが耳に入ってきたときのなんともいえない快感、その刹那思わず笑顔になって、本作だと大半そんなカヴァーだらけだからよろこびが持続するっていうか、トータルで聴き終えて充分な満足感があるんです。

 

このライヴが行われた1990年代にはシックスティーズなロック・クラシックス再評価・回帰機運が顕著でしたし、もちろんあのころはそうしたあたりがどんどんCDリイシューされていたからなんですけど、1950年生まれのトム・ペティにとってはリアルタイムで青春期の情熱を燃やした音楽の数々でもあったはず。

 

じっさいトラヴェリング・ウィルベリーズなんかにも参加していたし、そうしたロック・クラシカルな音楽性はこのひと本来の持ち味に違いありません。このフォルモア・ライヴだとそれがオリジナル曲ではなく、インスパイア源だった古典的カヴァー・ソングで鮮明に表現されているといった感じ。

 

(written 2022.12.11)

2022/12/20

嫌いになったもの

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(20 sec read)

 

コンプリート・ボックス
デラックス・エディション
レガシー・エディション
スーパー・デラックス・エディション
アニヴァーサリー・エディション
コレクターズ・ボックス
エクストラ・ボーナス
オルタネイト・テイク
アルティミット・ヴァージョン
スーパー・ゴールデン・エクストラ

こういうのをサブスクで聴かせないボブ・ディラン

 

(written 2022.12.7)

2022/12/19

AOSJ 〜 リンジー・ウェブスター

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(2 min read)

 

Lindsey Webster / Reasons
https://open.spotify.com/album/4Uy2jz9YCDn6yoiK5CxuN4?si=B82KmF78QXSnlR3FX1FL4w

 

萩原健太さんに教わりました。いつもありがとうございます。
https://kenta45rpm.com/2022/12/16/reasons-lindsey-webster/

 

スムース・ジャズ・チャート(on ビルボード)常連の歌手、リンジー・ウェブスター最新作『リーズンズ』(2022)は、アダルト・オリエンティッド・スムース・ジャズみたいなもんでしょうね。ドナルド・フェイゲン/スティーリー・ダン的なサウンドというか。

 

スタイリッシュな音楽で大好きなんですけど、特にホーン・セクションの組み立てとあしらいかたがとってもおしゃれで都会的。幕開けから三曲ジャズが続きますが、4曲目はわりとソウルフル。しかもこれはいはゆるグラウンド・ビート(ソウル II ソウル)です。

 

これを聴いてもわかりますが、グラウンド・ビートって3・2クラーベの感覚が独自のハネとなって活きていますよね。1980年代末から好きできたのはそれも理由なんでしょうか。リンジーのこれでは、その上でさらにランディ・ブレッカーのフリューゲル・ホーン・ソロとケヴ・チョイスのラップまでフィーチャーされているという。

 

かと思うと続く5曲目はスティーリー・ダンそのまんまなナンバー。特にホーン・アンサンブルのカラーなんかは完璧なるコピーともいえる内容で、ひょっとしてフェイゲンがペンをとったんじゃないの的な。ポップなフィーリングもあるし、これも好きだなあ。

 

そもそもがあのへんのフュージョンとかAORとか関連諸方面の音楽は、当時からリズム&ブルーズ〜ソウルに立脚してこそ成立していたわけで、はなからソウル・ジャズだったというか多ジャンル接合的だったもの。

 

そう考えればリンジーの本作も「なんだスムース・ジャズじゃん」とケチをつけられる理由なんてなく、ふんわりメロウでおしゃれな表層サウンドの下に、実は21世紀的新世代感を身につけているというかこの手の音楽はむかしからそうだったというか。

 

11曲目でフィーチャーされているニコラス・ペイトンのトランペットだってなかなか渋くて味があるし、アルバム全体でグルーヴがタイトでソリッド。ふくらみすぎずシャープにまとめているなというのはリンジーのヴォーカルについても言えます。

 

(written 2022.12.19)

2022/12/18

演歌好き

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(4 min read)

 

My Favorite 演歌スタンダーズ
https://open.spotify.com/playlist/70noNUpuIMBpidBrXoSTLX?si=ef42455bda8e4176

 

もう間違いないので、臆せず正直に言っておきたい、ぼくは大の演歌好き。邦楽のなかでは圧倒的に演歌がNo.1。17歳で米ジャズにハマって以後は長年遠ざけていたものですけれど、思い出したきっかけはやっぱり2017年にわさみん(岩佐美咲)が好きになって応援するようになったこと。

 

ぼくら世代のジャズ狂なんかが演歌好き、それも根っからのそれだというのを告白するのは、ちょっぴり勇気がいることなんですよ。でもブログなんか演歌関係の記事が増えてきて、こいつそうなんだなと周囲に疑いなく思われているだろうと確信するようになりましたので。そもそもが筆致だって違うもんねえ。

 

演歌聴いてりゃ楽しいんだもんなあ。ぼくが好きと感じる演歌は、2010年代以後的な第七世代じゃなくて、いやそれもマジ好きだけど、もっと古典的な1980年代くらいまでのものがいちばん。都はるみ、八代亜紀、石川さゆり、藤圭子、森進一、北島三郎、そのへんです。

 

そういった演歌なら、聴いて快感で、テーマを見いだし考えて楽しくて、文章書くのもらくちんスムース、すいすい書けて、これ以上ぼくの琴線に触れる音楽があるのか?と思うほど(言いすぎ)。

 

そのあたりすべてサブスク(ぼくのメインはSpotify)にあるっていうのもぼく的には意味の大きなこと。実をいうと生まれてこのかた演歌のレコードやCDを買ったことは一度もないんですね。ヒットしているものはすべてテレビジョンの歌謡番組で聴けましたから。それが17歳までのぼくの音楽ライフでした。

 

それを60歳近くになってとりもどしたっていうのは、もう圧倒的にサブスクの力が大きい。検索すればパッと見つかって、自室でもお散歩しながらでもカフェでもレストランでもクリニックの待合室でも、その場で即聴けるっていうのがどれほど大切なことか。もしサブスクがなかったら、ここまで演歌好きの血が甦らなかったのは間違いないですから。

 

共感しているのはもちろん歌詞部分じゃありません。そっちはですね、いま聴くとどうにもならないっていうか、このジェンダー平等が求められる時代にありえない男尊女卑フィール満載で、そこを意識しはじめたらとうてい演歌なんて聴けません。民謡もそうで、そもそもそうした現代感覚を求める世界じゃありませんから。

 

いいなと思うのは陰影のくっきりしたあざやかなメロディ・ラインとか、おなじみのコード進行とかサウンド・メイクとか、ラテン・ミュージック由来の跳ねるビート感とか。北島三郎の「まつり」だって変形クラーベ(1・2)ですから。

 

歌手もみんなうまいし、発声が鮮明で節まわしも楽しい。これはちょっと…みたいなことをふだんよく言うので好ましくないと思ってんじゃないかとかんぐられていそうなぐりぐり濃厚な強いコブシやヴィブラートだって、きらいなんかじゃなく大好き。八代亜紀のそれなんかよだれが出るくらい。

 

古典演歌好きっていうのは、ひょっとしたら古典落語好きとか、ティン・パン・アリーのアメリカン・ポップ・スタンダードをジャズ系歌手がそのままストレートに歌うのが好きとか、つまり一種の伝統芸能愛好ということかもしれないですね。

 

とにかく演歌は聴いて気持ちよく楽しくワクワクする。それだけ。

 

(written 2022.11.27)

2022/12/17

“The Teddy Wilson expanded” discography

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(6 min read)

 

The Teddy Wilson expanded
https://open.spotify.com/playlist/3mlZIEPzdEg5H0CoIhoeBd?si=7d605ac70c694636

 

1 Blues in C Sharp Minor (C 1379-1, Brunswick 7684)

Chicago, May 14, 1936, Teddy Wilson and His Orchestra: Roy Eldridge (trumpet), Buster Bailey (clarinet), Chu Berry (tenor sax), Teddy Wilson (piano), Bob Lessy (guitar), Israel Crosby (string bass), Sidney Catlett (drums)

 

2 Mary Had A Little Lamb (C 1376-1, Brunswick 7663)

ibid., RE (also on vocal)

 

3 Too Good To Be True (C 1377-2, Brunswick 7663)

ibid., TW (also on organ)

 

4 What A Little Moonlight Can Do (B 17767-1, Brunswick 7498)

New York City, July 2, 1935, Teddy Wilson and His Orchestra: Roy Eldridge (t), Benny Goodman (cl), Ben Webster (ts), Teddy Wilson (p), John Trueheart (g), John Kirby (sb), Cozy Cole (d), Billie Holiday (vo)

 

5 Miss Brown To You (B 17768-1, Brunswick 7501)

ibid.

 

6 Warmin' Up (C 1378-1, Brunswick 7684)

Chicago, May 14, 1936, Teddy Wilson and His Orchestra: Roy Eldridge (t), Buster Bailey (cl), Chu Berry (ts), Teddy Wilson (p), Bob Lessy (g), Israel Crosby (sb), Sidney Catlett (d)

 

7 Sweet Lorraine (B 17916-1, Brunswick 7520)

NYC, July 31, 1935, Teddy Wilson and His Orchestra: Roy Eldridge (t), Cecil Scott (cl), Hilton Jefferson (as), Ben Webster (ts), Teddy Wilson (p), Lawrence Lucie (g), John Kirby (sb), Cozy Cole (d)

 

8 Sugar Plum (B 18317-1, Brunswick 7577)

NYC, December 3, 1935, Teddy Wilson and His Orchestra: Richard Clarke (t), Tom Mace (cl), Johnny Hodges (as), Teddy Wilson (p), Dave Barbour (g), Grachan Moncur (sb), Cozy Cole (d)

 

9 It's Like Reaching For The Moon (B 19495-2, Brunswick 7702)

NYC, June 30, 1936, Teddy Wilson and His Orchestra: Jonah Jones (t), Johnny Hodges (as), Harry Carney (cl, bariton sax), Teddy Wilson (p), Lawrence Lucie (g), Jonh Kirby (sb), Cozy Cole (d), Billie Holiday (vo)

 

10 Christopher Columbus (B 18829-1, Brunswick 7640)

NYC, March 17, 1936, Teddy Wilson and His Orchestra: Frank Newton (t), Benny Morton (tb), Jerry Blake (cl, as), Tom McRae (ts), Teddy Wilson (p), John Trueheart (g), Lennie Stanfield (sb), Cozy Cole (d)

 

11 All My Life (B 18832-1, Brunswick 7640)

ibid., Ella Fitzgerald (vo)

 

12 (If I Had) Rhythm In My Nursery Rhymes (B 18613-1, Brunswick 7612)

NYC, January 30, 1936, Teddy Wilson and His Orchestra: Gordon Griffin (t), Rudy Powell (cl), Ted Mcrae (ts), Teddy Wilson (p), John Trueheart (g), Grachan Moncur (sb), Cozy Cole (d)

 

13 Why Do I Lie To Myself About You (B 19497-2, Brunswick 7699)

NYC, June 30, 1936, Teddy Wilson and His Orchestra: Jonah Jones (t), Johnny Hodges (as), Harry Carney (cl, bs), Teddy Wilson (p), Lawrence Lucie (g), John Kirby (sb), Cozy Cole (d)

 

14 Guess Who (B 19499-2, Brunswick 7702)

NYC, June 30, 1936, Teddy Wilson and His Orchestra: Jonah Jones (t), Johnny Hodges (as), Harry Carney (cl, bs), Teddy Wilson (p), Lawrence Lucie (g), John Kirby (sb), Cozy Cole (d), Billie Holiday (vo)

 

15 Here's Love In Your Eyes (LA 1159 A, Brunswick 7739)

Los Angeles, August 24, 1936, Teddy Wilson and His Orchestra: Gordon Griffin (t), Benny Goodman (cl), Vido Musso (ts), Lionel Hampton (vibraphone), Teddy Wilson (p), Allen Reuss (g), Harry Goodman (sb), Gene Krupa (d), Helen Ward (vo as Vera Lane)

 

16 Sailln' (B 20292-2, Brunswick 7781)

NYC, November 19, 1936, Teddy Wilson and His Orchestra: Jonah Jones (t), Benny Goodman (cl as John Jackson), Ben Webster (ts), Teddy Wilson (p), Alan Reuss (g), John Kirby (sb), Cozy Cole (d)

 

17 Right or Wrong (I'm With You) (B 20410-1, Brunswick 7797)

NYC, December 16, 1936, Teddy Wilson and His Orchestra: Irving Randolph (t), Vido Musso (cl), Ben Webster (ts), Teddy Wilson (p), Alan Reuss (g), John Kirby (sb), Cozy Cole (d), Midge Williams (vo)

 

18 Tea For Two (B 20412-2, Brunswick 7816)

ibid., omits MW

 

19 I'll See You In My Dreams (B 20413-1, Brunswick 78169)

ibid.

 

20 He Ain't Got Rhythm (B 20568-1, Brunswick 7824)

NYC, January 25, 1937, Teddy Wilson and His Orchestra: Buck Clayton (t), Benny Goodman (cl), Lester Young (ts), Teddy Wilson (p), Freddy Green (g), Walter Page (sb), Joe Jones (d), Billie Holiday (vo)

 

21 Fine And Dandy (B 20914-1, Brunswick 7877)

NYC, March 31, 1937, Teddy Wilson and His Orchestra: Cootie Wiilams (t), Johnny Hodges (as), Harry Carney (cl, bs), Teddy Wilson (p), Allan Reuss (g), John Kirby (sb), Cozy Cole (d)

 

22 I'm Coming, Virginia (B 21037-1, Brunswick 7893)

NYC, April 23, 1937, Teddy Wilson and His Orchestra: Harry James (t), Buster Bailey (cl), Johnny Hodges (as), Teddy Wilson (p), Allan Reuss (g), John Kirby (sb), Cozy Cole (d)

 

23 Yours And Mine (B 21118-2, Brunswick 7917)

NYC, May 11, 1937, Teddy Wilson and His Orchestra: Buck Clayton (t), Buster Bailey (cl), Johnny Hodges (as), Lester Young (ts), Teddy Wilson (p), Allan Reuss (g), Artie Bernstein (sb), Cozy Cole (d), Billie Holiday (vo)

 

24 I'll Get By (B 21119-1, Brunswick 7903)

NYC, May 11, 1937, Teddy Wilson and His Orchestra: Buck Clayton (t), Buster Bailey (cl), Johnny Hodges (as), Lester Young (ts), Teddy Wilson (p), Allan Reuss (g), Artie Bernstein (sb), Cozy Cole (d), Billie Holiday (vo)

 

25 Mean To Me (B 21120-1, Brunswick 7903)

ibid.

 

26 I've Found A New Baby (B 21220-1, Brunswick 7926)

NYC, June 1, 1937, Teddy Wilson and His Orchestra: Buck Clayton (t), Buster Bailey (cl), Lester Young (ts), Teddy Wilson (p), Freddy Green (g), Walter Page (sb), Joe Jones (d)

 

27 Foolin' Myself (B-21217-1, Brunswick 7911)

ibid., Billie Holiday (vo)

 

28 Coquette (LA 1383 A, Brunswick 7943)

LA, July 30, 1937, Teddy Wilson and His Orchestra: Harry James (t), Benny Goodman (cl), Vido Musso (ts), Teddy Wilson (p), Allan Reuss (g), Harry Goodman (sb), Gene Krupa (d)

 

29 Ain't Misbehavin' (LA 1408 C, Brunswick 7964)

LA, September 5, 1937, Teddy Wilson Quartet: Harry James (t), Teddy Wilson (p), Red Norvo (vibraphone, xylophone), John Simmons (sb)

 

30 Honeysuckle Rose (LA 1431 A, Brunswick 7964)

ibid.

 

31 Just A Mood (Blue Mood) (Part 1) (LA 1429 A, Brunswick 7973)
32 Just A Mood (Blue Mood) (Part 2) (LA 1430 A, Brunswick 7973)

ibid.

 

33 You Can't Stop Me From Dreamin' (LA 1405 B, Brunswick 7954)

LA, August 29, 1937, Teddy Wilson and His Orchestra: Harry James (t), Archie Rosati (cl), Vido Musso (ts), Teddy Wilson (p), Allan Reuss (g), John Simmons (sb), Cozy Cole (d)

 

34 When You're Smiling (B 22194-3, Brunswick 8070)

NYC, January 6, 1938, Teddy Wilson and His Orchestra: Buck Clayton (t), Benny Morton (trombone), Lester Young (ts), Teddy Wilson (p), Freddy Green (g), Walter Page (sb), Joe Jones (d), Billie Holiday (vo)

 

35 I Can't Believe That You're in Love with Me (B 22195-4, Brunswick 8070)

ibid.

 

36 Don't Be That Way (B 22613-1, Brunswick 8116)

NYC, March 23, 1938, Teddy Wilson and His Orchestra: Bobby Hackett (cornet), Pee Wee Russell (cl), Tab Smith (as), Gene Sedric (ts), Teddy Wilson (p), Allan Reuss (g), Al Hall (sb), Johnny Blowers (d)

 

37 If I Were You (B 22822-2, Brunswick 8150)

NYC, April 29, 1938, Teddy Wilson and His Orchestra: Bobby Hackett (co), Jerry Blake (cl), Johnny Hodges (as), Teddy Wilson (p), Allan Reuss (g), Al Hall (sb), Johnny Blowers (d), Nan Wynn (vo)

 

38 Jungle Love (B 22825-2, Brunswick 8150)

ibid, omits NW

 

(written 2022.12.4)

2022/12/16

ぼくのヴィンテージ・ジャズ愛 〜 The Teddy Wilson expanded

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(4 min read)

 

The Teddy Wilson expanded
https://open.spotify.com/playlist/3mlZIEPzdEg5H0CoIhoeBd?si=bc0d487eb5e546ec

 

かつてCBSソニーから発売されていたLP二枚組『ザ・テディ・ウィルソン』をもとに自作した2018年7月末のSpotifyプレイリスト『The Teddy Wilson expanded』がそこそこ好評だというのを実感しています。この手の1930年代ジャズとしては異例の10個ライクがついていますから。

 

CBSソニー盤の二枚組レコード『ザ・テディ・ウィルソン』(何年発売だっけ?)とその収録全33トラック32曲にかんしては、以下の過去記事をごらんください。すべて書いてあります。
https://hisashitoshima.cocolog-nifty.com/blog/2018/08/post-5fcf.html

 

なぜ自作プレイリストかって、そりゃLP『ザ・テディ・ウィルソン』は日本でしか発売されず、その後は一度もCDリイシューされていないし配信なんかにもちろんないんですよ。だけど二枚組のソースになっていたSP音源じたいはサブスクにあるからっていうんで、一曲一曲ひろっていってつくりました。

 

そうしたいほど1930年代スモール・コンボ編成のスウィング・ジャズが大好きで大好きでたまらなく、そのなかでも『ザ・テディ・ウィルソン』こそ最愛好だったというか、そもそもぼくがヴィンテージ・ジャズ愛をいだくようになった大きなきっかけがこのレコードでした。

 

いまではもうすっかりサブスク生活が板についているので、なんとかそっちでも同じのが聴けたらいいな〜っていう、そういう個人的な動機で作成し公開したら思いのほか好評で、『ザ・テディ・ウィルソン』なんていまだ忘れられないのは自分だけなんじゃないかと感じていたところ、あんがいそうでもなかった。うれしい。

 

それをベースにして個人の趣味で『拡大版』に追加したのはビリー・ホリデイの五曲。いずれもビリーのアルバムに収録されているがため『ザ・テディ・ウィルソン』には選出されなかったんですが、もとのセッションも当時のSPレコードもテディ・ウィルスン名義の同一ですからね。ビリーの歌がことさらいいものだけ選って分けたという事情でしかないので。

 

それらだってビリーのヴォーカルはほかのもの同様1コーラスだけ、残りは楽器演奏で、そこが極上な逸品をみすみす除外する理由なんてぼくには見つかりませんでした。テディのピアノはもちろんベニー・グッドマン(cl)やレスター・ヤング(ts)など名演ぞろいですから。

 

こういうの、大学生のころから好きだった音楽ですが、ここのところ熱が再燃しているのはあきらかに近年のレトロ・ジャジーなポップス大流行の波にぼくも完全に乗っているからです。そうした最近の歌手たちはみんな1920〜40年代スタイルのクラシカルなジャズに範をとっていますからね。

 

そういった新作音楽をどんどん聴いているうち、(ぼくのなかで)元祖的な存在だったともいえる『ザ・テディ・ウィルソン』みたいなアルバムのことも思い出すようになり、こっちは当時のレコーディングがそのまま生きているわけですからレトロというよりヴィンテージといったほうが正確なんですが、愛好心情としてはレトロな感覚もあるんです。

 

※ 『The Teddy Wilson expanded』、ディスコグラフィーは明日

 

(written 2022.12.4)

2022/12/15

うつがひどいころ、こうだった

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写真は2011年のもの

 

(1 min read)

 

・食べられない寝られないは基本
・汗がくさい
・寒い(夏でも)
・咳が出る
・あくびもなぜか
・なにもかもめんどくさく感じられ、ひたすらボンヤリだらだらしている
・仕事がうまくできなくなる、失敗だらけ
・音楽が聴こえづらいので音量が上がる
・口のなかが乾く
・飲食物の味がヘン or わからない
・においもあまりわからず
・熱いものを飲んだり食べたりできない
・食欲とは違うナゾの空腹感はある
・けど調理中 or 完成した料理を眼前にするとオェッとなってしまう(えずく)
・ゆっくりならそこそこ食べられる
・朝ごはんはまずムリ
・食べたものの消化に時間がかかる
・食後の歯磨きでえずく、ばあいによっては戻してしまう
・体重が増える
・歯磨き、洗顔、ひげそりができなくなる(のでお風呂タイム以外でやらなかった)
・何時にしようと決めても、お風呂になかなか入れない
・部屋のそうじができない

・発症するにも回復するにも時間がとてもかかる

 

(written 2022.12.7)

2022/12/14

ナベサダ in 南ア 〜 マッコイ・ムルバタ

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(2 min read)

 

McCoy Mrubata / Hoelykit?
https://open.spotify.com/album/4ogL5p7CSOR7rDWvnUPcN0?si=ed5QXQN3TUSMG-elwqJC2g

 

bunboniさんのご紹介で知りました。感謝ですね〜。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-11-27

 

っていうのは1曲目がもろ「オレンジ・エクスプレス」そのものじゃないかっていうことだけじゃありません。マッコイ・ムルバタ(南アフリカ)の『Hoelykit?』(2000)は全体的にフュージョン・アルバムだと思うんですよね。

 

それも渡辺貞夫さんが『マイ・ディア・ライフ』でポップ・フュージョン路線に転向するちょっと前、1970年代前半〜なかごろにやっていた音楽にそっくり。フュージョンというのはもちろんジャズとアフリカ音楽の、ってことです。

 

いうまでもなくマッコイが貞夫さんっぽいというのは順序が逆であって、こうしたアフリカン・ジャズがまずあって、なんどかの現地訪問でそれを学んだ貞夫さんが自分の音楽にとりいれたということ。マッコイの本作も南ア・ジャズの伝統を受け継ぎ、現在活況の同国新世代ジャズ・シーンへとそれをつなげた傑作でしょうね。

 

個人的に特にグッと胸に迫るのは終盤8曲目からの三連続。ジャズ〜フュージョンらしさ満開で、貞夫さんがどのへんのアフリカン音楽から吸収したかモロわかりな、つまり言い換えればぼくみたいに貞夫フュージョンからまず聴いていたファンには既聴感ばりばりで、親しみやすく。

 

なかでも8曲目での熱いジャジーなソロの連続にはトキメキます。4/4ビート・パートと8ビート・パートを行き来するリズム・アレンジもいいし、その上でフリューゲル・ホーン、サックス、ピアノ三名のソロもはじけています。ピアノのアンディル・イェナナは印象に残ったので、名前をおぼえておきましょう。

 

世界的にみても1980年代のフュージョン・ミュージックが多ジャンル混淆的な21世紀新世代ジャズのいしずえを築いたことは明白なんですが、マッコイの本作も、現在の南ア新世代ジャズの活況を考えるとき、その先駆けとなったことは疑えないですね。そんなこと言わなくたって、これじたい楽しいですし。

 

(written 2022.12.7)

2022/12/13

ウェザー・リポート in バイーアみたいな 〜 レチエレス・レイチ

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(2 min read)

 

Letieres Leite Quinteto / O Enigma Lexeu
https://open.spotify.com/album/52Vs6AyLKN7Fzw22WKsUzl?si=4mEOIBeaRzqypZ6j9PuSqg

 

ブラジルの故レチエレス・レイチ。キンテートでの2019年作『O Enigma Lexeu』は<ウェザー・リポート in バイーア>みたいなアフロ・ブラジリアン・フュージョンの傑作だっていうんでおおいに胸をおどらせて聴いてみたら、違わぬ内容でたいへん感動しました。

 

作編曲のレチエレスが管楽器を担当するほか、鍵盤、ベース、ドラムス、パーカッションというバンド編成。特にパーカッショニスト(ルイジーニョ・ド・ジェージ)の存在が大きいと、本アルバムを聴けばわかります。まさにバイーア的というかアフロ・ブラジリアンなリズムの躍動と色彩感を表現しています。

 

最初の二曲はおだやかな70年代初期リターン・トゥ・フォーエヴァー路線のピースフルなものなのでそのへんイマイチわかりにくいんですが、3曲目からがすばらしい。その「Patinete Rami Rami」なんかのけぞりそうになるほどのリズムの祝祭感で、これホントにパーカッショニスト一人だけ?と疑いたくなってくるくらいリッチでカラフル。

 

その後は終幕までずっとそんな感じで、たしかにこりゃバイーアで録音されたウェザー・リポートだっていうおもむきです。もちろんジョー・ザヴィヌルだって、特に70年代中期以後は中南米やアフリカの音楽にしっかり学んで吸収していたんですが、ここまで本格的なのはさすがブラジル当地のミュージシャン。

 

レチエレスのフルートやサックス、ルイジーニョの超人的なパーカッション技巧にくわえ、マルセロ・ガルテルのピアノやフェンダー・ローズも好演。和音楽器を使わないバンドもやっていたレチエレスですが、今作では自由に弾かせてアルバムのキー・ポイントになっています。

 

2019年に知っていたら、間違いなくその年のベスト5に入った傑作でしょうね。

 

(written 2022.11.29)

2022/12/12

充実のラテン・アメリカン・フュージョン 〜 アレックス・アクーニャ

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(3 min read)

 

Alex Acuña / Gifts
https://open.spotify.com/album/192HeBhoDbIK9F0rjsyqF3?si=UIUIs-fiT0GcDPTK_4bBHg

 

御多分に洩れずウェザー・リポートで知ったペルー出身のドラマー、アレックス・アクーニャ。1980年代なかごろには一度渡辺貞夫さんの全国ツアーに参加して活躍、それも印象的でよく憶えています。

 

17年ぶりの個人リーダー名義新作『ギフツ』(2022)は、やっぱり基本ウェザー・リポートっぽい “あのころ” のフュージョンが中心。こうした音楽をリアルタイムからずっと聴いてきましたが、当時あんだけボロカス言われたのがいまではすっかりクラシカルに響くっていうのはおもしろいですね。

 

フュージョンもそれなりに貫禄が出てきたということか、本作でも聴けるアレックスあたりの姿勢、不動のドラミングなど聴いていれば、決して軽視したり無視したりしていい音楽じゃないぞとわかります。すくなくともぼくは当時からのフュージョン・ラヴァーで、いまだその愛好はしぼみません。

 

新作はドラムス&パーカッションのアレックスのほか、鍵盤(ベネズエラ)、ギター(ペルー)、ベース(プエルト・リコ)、サックス(ペルー)、トランペット(USA)が基本編成。曲によりチェロやバック・ヴォーカリストも参加しています。ラテン・アメリカン・フュージョンとでもいえる布陣でしょう。

 

聴き進み、3曲目でオッ!となりました。なんとキャノンボール・アダリーのゴスペル・ジャズ・ナンバー「マーシー、マーシー、マーシー」なんですよね(ここでは「マーシー、マーシー」と記載)。やっぱりウェザー・リポート時代の恩返しっていうかコンポーザーである故ジョー・ザヴィヌルへのトリビュート的な意味合いなんでしょうか。

 

ラモン・スタグナロのファンキー&ブルージーなギター・プレイが目立っているできあがりで、これもいいなあ。エレピが弾く例のアーシーでキャッチーなリフはそのままに、キャノンボール・ヴァージョンに比しぐっと明るいポップさを増した印象で、宗教的敬虔さみたいなのは消えていますが、軽やか&さわやか。

 

アルバムにはもう一つ有名ジャズ・ナンバーがあって、7曲目「ワン・フィンガー・スナップ」。ハービー・ハンコックのオリジナルからガラリ様変わり、4/4拍子パートも適宜おりまぜながらのポリリズミックなパーカッション陣が活躍するラテン・フュージョンにしあがっているのはビックリ。

 

また「マーシー、マーシー、マーシー」の次に来る4曲目は、哀切なハーモニカ・サウンドがメロディをつづる美メロ・バラード。それに続く5曲目はストレート・フュージョンのようにはじまりますが、中盤でなぜか突然トレスが炸裂、その後は一転して歌も入るキューバン・サルサに展開するっていう。

 

その他聴きごたえがじゅうぶんあって、しっかりしたさわやか満足感を残す充実の内容。いままでのアレックスのソロ・アルバムのなかでみてもいちばん納得のいく内容ではないでしょうか。

 

(written 2022.11.26)

2022/12/11

これまたレトロ・ジャズ・シンガーの新星 〜 ヘイリー・ブリネル

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(3 min read)

 

Top Tracks for Hailey Brinnel
https://open.spotify.com/playlist/5pxcmYsW6Xn1SmQsx1WmMo?si=1f59c442a4cb4290

 

ビートルズの「アイル・フォロー・ザ・サン」をコントラバス一本で歌っているのに偶然出会い、それがチャーミングなので好きになり、検索してどんどん聴くようになったヘイリー・ブリネル。米フィラデルフィアを中心に活動している音楽家みたいです。

 

Spotifyで聴けるものをすべて聴いてみたら、ヘイリーは1920年代ディキシーランド・ジャズのスタイルを(いまどき)フルに実現していて、自身はトロンボーンとヴォーカル。アルバムはまだ一つしかないんですが、シングル単位でサブスクにそこそこあります。

 

公式ホームページがあって、それの「Music」の項で見えた『Top Tracks for Hailey Brinnel』というSpotifyプレイリストがとってもいいんですが、でもそのHP専用ということか自分でさがしても見つけられなかったので、同じになるようにサービス内で作成しなおしたのがいちばん上のリンク。

 

ぜひこれで聴いてみてほしいんですが、いかにヘイリーがレトロ・スタイルの持ち主かってことを。それを2020年代に再現しているからストレートに100年さかのぼった感じですよね。

 

レパートリーも、ビートルズは例外的に新しいほうで、ほかはティン・パン・アリー系のスタンダードや似たような知られざる古い曲ばかり。バック・バンドの演奏だって完璧オールド・スタイルで、ヘイリーの指向を汲んでいるんでしょうね。

 

トロンボーンのほうが本分なのか歌の音程はややあいまい気味だったりするケースも散見されますが、「I’m Forever Blowing Bubbles」(これは唯一のアルバム題にもなっている)後半での展開とか、なんたって「Show Me the Way to Go Home」のオールド・スタイルなすばらしさとか、いずれもダヴィーナ&ザ・ヴァガボンズが出てきた約10年前を連想させる古風なサウンド。

 

ダヴィーナはいま考えたら登場がちょっと早かったというか、こんなにもレトロ・ジャズが時代の潮流になってくる前にシーンに出現したもんだから、あのころは一部好事家のあいだでしか話題になりませんでしたよね。

 

そこいくとヘイリー・ブリネルは時代の流れに乗ってノスタルジーをふりまきながら現れたので、もちろんまだほとんど知られていないという存在ではありますが、このまま順調に活動を続けてほしいと思っています。今後を見守りたい存在。

 

レトロレトロといったって、ポップ・ヴォーカル、歌ものの世界はむかしからそんな大きく変わっているわけじゃなく、ジャジーな生演奏でやるかぎりはずっとこんなスタイルがエヴァーグリーンで来たんだとみることもできますし、いまでも生きる不変の楽しさをヘイリーだって表現しているだけかもしれませんしね。

 

(written 2022.12.6)

2022/12/10

躍動的な新世代ブラジリアン・リリシズム 〜 アレシャンドリ・ヴィアーナ

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(2 min read)

 

Alexandre Vianna Trio / Música para Dar Sorte
https://open.spotify.com/album/5aFx0XIgAbce9ZuVQkNReI?si=DvFzJ8LsRfW97-C7tmwLUA

 

ブラジルはサン・パウロのジャズ・ピアニスト、アレシャンドリ・ヴィアーナのトリオ最新作『Música para Dar Sorte』(2022)がすばらしい。近年のサン・パウロはブラジルというより南米随一のジャズ都市で、いい音楽をどんどん産み出していますよね。

 

アルバム・タイトルになった7曲目にも典型的に表れているように、伝統的なジャズ・サンバをモダナイズしたような内容になっているのが大の好み。躍動的なビート感と、それでいて決して荒くはならないおだやかさ、上品さが同居しているのはとってもいいです。

 

紹介していたディスクユニオンの説明ではキース・ジャレットなどの美メロ系ということも書かれてあったんですけど、ジャレットがどうにもイマイチだからそれでは惹かれず。たしかにアレシャンドリも歌うような抒情派っていうかリリシズムがピアノ・プレイの持ち味なので、その意味では納得です。

 

そんなリリカルな部分がうまい具合に現代的ジャズ・ビートで昇華されていて、ぼくの耳にはイキイキとした泉のように水がこんこんと湧き出てくるようなグルーヴ感こそが印象的なアルバムで、ドラマー(ラファエル・ロウレンソ)の活躍もみごとだと思えます。

 

そのへんのバランスっていうか美メロ・リリシズムと(ジャズ・サンバ由来の)躍動感の融合に最大の特色があるジャズ傑作アルバムじゃないでしょうか。

 

(written 2022.11.24)

2022/12/09

給食がぼくのトラウマだった

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(3 min read)

 

高校生になったら昼食はお弁当になりましたから悩みから解放されたんですが、小中学校のときは強制的に給食で、ぼくは偏食人間だったからお昼ごはんタイムが憂鬱でした、毎日。食事って楽しいもののはずなのに、つらかった。

 

なにが食べられなかったの?なんて、そ〜りゃとにかくいっぱいあったから説明なんてできません。とにかくとんでもない偏食人間でした(いまはちょっとマシになっていると思う)。だれでも多少食材や味つけの好嫌はあると思うのに、学校価値観の世界では<偏食 = ダメ、許されない>となってしまいます。

 

献立表があってあらかじめ決まった固定メニューを必ず残さず食べなくてはならない、食べなかったらその日の昼食は抜きということになってしまう学校給食の世界ってなんなのか?小学生なりに不思議というかある種の理不尽さ、不条理を感じていました。

 

あんなにも給食タイムが苦痛だったのは、食べられないものが多く出たからっていうことより以上に、なにより小学校時代の担任教師の給食指導法に大きな原因がありました。いま考えたら指導や教育でもなかったと思うんですが、強く叱られて、食べないお皿を手に持たせ教室の後ろにずっと立たせるんです「食べるまでそのまま立っていろ」と言って。

 

ときどきは他クラスの生徒にも見せつけるように(すっかり冷えたお皿を持ったまま)教室の外の廊下に立たせ、午後の授業に参加させてもらえず、放課後になってみんなが下校しても帰してもらえず、じっと立たせたままだったりもしました。お皿じゃなく水の入ったバケツを持たされたことだってあります。おかしいでしょう。

 

ぼく世代が小学生のころは、旧日本軍式で育った年配教師がまだ残っていて、そんなやりかたがひろく学校現場で行われていましたよね。前段で書いたような方式がそうなんだというのは小中学校も卒業してのち、テレビ・ドラマとかで戦中事情を描いたものを見るようになって、「あぁこういうことか」と理解するようになったからです。

 

そんな懲罰方式で苦手なものを食べられるようになるわけもなく、ってかそもそも偏食って大人になってからですらだれかに指導されてなおるものなんかじゃないし、だれだって多少の偏食はあるし、ぼくはその程度がひどくきわだっていたんで目をつけられていたんですけど、だから学校給食というシステムじたいが非人間的でしょうね。

 

飢餓状態にあっても口をつける気にならないものを、いくらおいしいからと周囲に言われても、教師にどんな指導をされても、食べられるようになんかなんないです。歳を重ね食の嗜好が変化したので、ナチュラルに偏食傾向が自動修正されるようになってきているのであって、学校における押しつけ教育はほんとうによくない。

 

(written 2022.11.12)

«ジャズとリズム&ブルーズのクロスするあたりで 〜 ハロルド・ヴィク

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