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2015/09/10

アルバム・ジャケットで買ったもの/買わなかったもの

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チュニジア(フランス)のドルサフ・ハムダーニ、トルコのヤプラック・サヤールと並んで、現役バリバリの女性歌手では、最も好きな一人であるヴェトナムのレー・クエン。いろいろと繰返し聴いてみて、今までのところの最高作は、結局2012年作のコレかもしれないなと感じ始めている→ http://www.youtube.com/watch?t=14&v=SB5-qG32mnU  僕が一番好きな2014年作と似ているよねえ。どちらもヴェトナム民俗色は強くない。

 

 

2012年作の方は、ジャケット(上掲左)がイマイチ好みではないので、なかなか買わなかったんだよなあ。2014年作の方は、もうジャケットが最高に素晴しくて、見た瞬間傑作に間違いないと確信したくらいだったけど。やっぱりそういうことってあるよなあ。

 

 

高校生の頃も、チャールズ・ミンガスの『道化師』(の最初の「ハイチ人の戦闘の歌」)を植草甚一さんが凄く誉めてて、それで買おうと思ってレコード屋に行って、ジャケット(上掲右)見てやめたんだよなあ。あのジャケットはミンガスを全く知らない17歳にとっては、ちょっと遠慮したい雰囲気があった。

 

 

何を隠そう、高校三年の時に初めてジャズを聴いてみようと思ったきっかけが、植草さんのそのエッセイ(タイトルは忘れちゃった)。その中で植草さんは、MJQの『ジャンゴ」とミンガスの『道化師』とマイルスの『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』の三つを、入門者向けとして推薦していたのだった。

 

 

それでその三つをメモしてレコード屋に行ってはみたものの、ミンガスの『道化師』だけでなくマイルスの『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』もジャケットが怖くて買うのをやめた(今でこそカッコイイと思ってるけど)。それで、MJQの『ジャンゴ』だけ、ジャケットが気に入ったので買って帰った。

 

 

どうもその頃は、僕は『ジャンゴ』みたいな文字中心でデザインされたアルバム・ジャケットが好きだったみたい。その時、一枚だけではなんだからと探して、トミー・フラナガンの『オーヴァーシーズ』もジャケットが大いに気に入って、一緒に買ったのだった。あれも文字だけをあしらったデザイン。

 

 

昔はアトランティックなどよりブルーノートのジャケット・デザインが大好きだったのも、そういう文字を効果的にあしらったデザインが多かったせいだったのかもしれないなあ。そういう趣味は、ジャズのLPばかり買ってた時期だけのものだったけど。

 

 

ミンガスの『道化師』もマイルスの『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』も、最初はジャケットでビビって買わなかったものの、ジャス喫茶で聴いたら凄くいいので、それで気に入って結局買ったわけだけど。でも、ジャズに限らず、どんなジャンルでも、ジャケットで敬遠しちゃうものってあるね。

 

 

24歳の時に初めて買ったワールドミュージックのLPであるキング・サニー・アデの『シンクロ・システム』は、ジャケットも凄く魅力的だった。CDでは一度もあのオリジナル・ジャケットでリイシューされていないのが本当に残念。2in1の奴なら小さく映ってはいるけど、あれじゃあちょっとなあ。

 

 

ついでに言うと、あのキング・サニー・アデの『シンクロ・システム』みたいな歴史的傑作が、『オーラ』との2in1以外は廃盤のままっていうのは、いったいどういうわけなんだ?いつでも誰でも買って聴けるようにしておかなくちゃダメでしょ。新規リスナーが入ってきにくいじゃん。イカンよなあ。

 

 

だいぶ前に荻原和也さんもブログで書いてらしたけど、キング・サニー・アデの『シンクロ・システム』を、デラックス版かなんかにして、音もリマスターして、アイランド盤のオリジナル・ジャケットでCDリイシューできないものかなあ。今、僕が持っているCDも、オリジナル・ジャケットじゃないし、音質もイマイチ。

 

 

ご存じない方のために。『シンクロ・システム』のオリジナル・ジャケはコレ↓

 

 

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そして現在僕が持っているマンゴ盤CDがコレ↓

 

 

Mango

 

 









バート盤2in1がコレ↓


Burt

 

 








ちょっとYouTubeを見てみたら、『シンクロ・システム』の音源をアップしているものの多くが、マンゴ盤CDのジャケットを使っている。その一方で、アイランド盤オリジナル・ジャケを使っているのも一部ある。知らない人が初めてYouTubeで見たら、ちょっと混乱するんじゃないかなあ。

 

 

ジャズやロックの過去名盤の世界では少なくなってきたけど、ワールドミュージックの世界では、ジャケットを変えてリイシューされるなんてことが、当り前にある。『シンクロ・システム』みたいな歴史的名盤ですらそうだから。まあジャズやロックでも、同じジャケで色味が違うなんてことはザラにあるけど。

 

 

もっともジャズの名盤の場合、戦前のSP音源は、「オリジナル」というのは曲単位のSPのことなので、その後のどんなLPもCDも、全て編集盤でしかなく、オリジナルではない。LPやCDではオリジナル・ジャケットは存在しない。そういうわけで、今でも様々に編集されていろんなジャケで出てる。

 

 

もちろんジャズだけではなく、ブルーズでもポップスでもワールドミュージックでもクラシックでも、戦前のSP時代から録音作品がある世界では、全部そうだけど。なかにはそういうSP音源を集めて出したLPやCDリイシューの中にも、リイシュー・ジャケット名盤ってものがあるね。

 

 

まあいろいろ言ってるけど、結局言いたいことは、最初に戻るけど、レー・クエンの2014年作『Vùng Tóc Nhớ』のジャケットが素晴しい(中身も最高!)ということ。というわけで、それをTwitter公式のヘッダー・フォトにしてみたけど、そうすると、これがなんかイマイチだからやめた。

 

 

言うだけじゃあれなんで、そのレー・クエンの『Vùng Tóc Nhớ』のジャケットを貼っておこう↓

 

 

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僕は、エル・スールのサイトで最初にこれを見た瞬間に惚れ込んでしまい、そして貼ってある音源を聴いたら、完全に骨抜きになってしまった→ https://www.youtube.com/watch?v=_ryz6o2HE8k

 

 

あと、今年の作品では(今のレー・クエンのは昨年の作品だけど、日本に入ってきたのは今年)、セネガル人歌手ファーダ・フレディの『ゴスペル・ジャーニー』なんかも、アルバム・ジャケットを見た瞬間に、傑作に違いないと直感できるものだったね↓

 

 

Faadafreddy

 

 

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