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2015/09/25

サッチモの最高傑作は「ディア・オールド・サウスランド」だ

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アマゾンで、またルイ・アームストロングの1920年代ホット5&ホット7の録音集をオーダーしてしまった。この25〜28年のサッチモ音源、CDでもう何種類持っているのか分らないくらい買っている。コンプリート集を含め何種類もリリースされていて、見つけたらその度に買ってしまう。一体何種類買ったら気が済むんだ?

 

 

サッチモの頂点は、衆目の一致する通り、「ウェスト・エンド・ブルーズ」や「タイト・ライク・ディス」に代表される1928年録音だろうけど、個人的には27年の「ポテト・ヘッド・ブルーズ」や「ウェアリー・ブルーズ」なんかの方が好きだったりする。クラリネットがジョニー・ドッズだし。ブルーズ・ギタリストのロニー・ジョンスンとスキャットで渡り合う「ホッター・ザン・ザット」も、大学生の頃から大好き。僕は今でも27年録音の方をよく聴く。

 

 

そして、僕が最高傑作と思っているサッチモの演奏は、全員が推す「ウェスト・エンド・ブルーズ」でも「タイト・ライク・ディス」でもない。バック・ワシントンの弾くピアノだけの伴奏で吹いた1930年録音の「ディア・オールド・サウスランド」なのだ。これこそが、サッチモの全生涯で一番優れた一番感動的な演奏だ。いまだに何度聴いても、聴く度に泣きそうになってしまう。

 

 

 

1930年代後半には大人気で一世を風靡したベニー・グッドマン楽団も、36年に録音している(発売は39年)有名曲で、デューク・エリントンも、楽団とピアノ・ソロの両方で録音していたり、実に多くのヴァージョンがある有名曲なんだけど、僕が聴いた範囲内では、このサッチモの1930年録音を超える「ディア・オールド・サウスランド」は存在しない。

 

 

この1930年の「ディア・オールド・サウスランド」が収録されているCDセットは、僕の知る限り二つだけ。一つは1990年に東芝EMIから出て既に廃盤の『黄金時代のルイ・アームストロング 1925-1932』。僕がこれを買ったのは、リリースの翌年くらいだったはず。長年これで聴いていた。

 

 

もう一つは2012年にレガシーから出た10枚組の『Okeh Columbia & RCA Victor Recordings 1925-1933』。これは現在も生きている。僕が知る限りでは、米コロンビア本家が、この時期のサッチモの録音集を完全な形でまとめて出したのは、これが初めてのはず。

 

 

調べてみたら、まとまった一つのボックス・セットでなければ、他にも何種類か、この時期のサッチモ音源をまとめたものがあるみたいだけど、僕が買って持っている全集は、その二つだけだ。今では版権が切れているので、本家コロンビア以外でも、復刻専門レーベルなどからも出せるはずだしね。

 

 

要するに、サッチモの1920年代後半〜30年代前半の全盛期を集大成したボックスは、日本でのリリースがはるかに早かった。米コロンビア本家は、ホット5やホット7の録音はまとめて出したことあるけど、僕の大好きな30年の「ディア・オールド・サウスランド」は、CDでは長年リイシューしていなかった。

 

 

東芝EMIのボックスの方は、今はもう廃盤で入手困難で、中古盤が超高値だし、今聴いたら音がだいぶショボイので、探して買うことは全くオススメしない。さっき書いた2012年のレガシーのボックスでは、徹底したリマスタリングが行われていて、音質も大幅に向上しているので、断然そっちがオススメ。

 

 

まあ1930年の「ディア・オールド・サウスランド」一曲のために、そんな10枚組なんていう大きなボックスを買ってほしいとは言えないけどね。素晴しい演奏ではあるけど。一般に全盛期とされている20年代後半のホット5とホット7の録音だけなら、もっと気軽に買える録音集が何種類も出ている。

 

 

だからコンプリート・ボックスを買えとは言えないので、さっき貼ったYouTube音源で、30年の「ディア・オールド・サウスランド」を聴いてほしい。大学生の頃通っていたジャズ喫茶のマスターも、これが一番好きだと言っていた。というか、僕がこれを知ったのは、そのマスターのおかげだった。

 

 

その頃、LPでどんな形で29年以後のサッチモの録音がリイシューされていたのか、実は僕は知らない。そのジャズ喫茶でかけてくれるので、それで聴いていただけで、自分ではそれは持っていなかった。おそらく僕がサッチモを知った頃には、既に無かったのかもしれない。

 

 

僕が大学生の頃LPで持っていたサッチモの1920年代コロンビア(オーケー)録音集は、『サッチモ 1925-1927』という1925〜27年の録音をセレクトしたのが一枚、1928年の録音を全部まとめた『ルイ・アームストロングの肖像1928』というのが一枚。この二つしか持っていなかったもんなあ。

 

 

ググったら、二枚ともジャケット画像が出てきた。25〜27年の録音セレクト(全集ではない)がコレ↓

 

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そして1928年録音(こっちは全集)がコレ↓

 

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どっちも大学生の頃、擦切れるほど繰返し聴いた愛聴盤だった。

 

 

『〜の肖像』っていうタイトルのLPレコードは、昔CBSソニーからたくさん出ていて、サッチモ以外にも、ベシー・スミスとかビリー・ホリデイとかレスター・ヤングとかカウント・ベイシーとかミルドレッド・ベイリー等々、いろいろ戦前ものがリリースされていたなあ。コロンビア系SP音源のLPリイシュー名盤シリーズだったね。

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コメント

サッチモの「ホット5&ホット7」この頃の音源、確かに色々出てますが、みんな音源はダブっているんですか?私も
http://www.amazon.com/The-Complete-Five-Seven-Recordings/dp/B00004WK37/ref=pd_rhf_ee_p_img_1?ie=UTF8&refRID=0KXYFTRZ2A6WTSGFTZD2
を持ってますが、上の紫に金ラベルのBOX(10枚組)に手を出そうかどうか迷ってます。やっぱり買いですかね。

TTさんがリンクを貼っている四枚組はもちろん僕も持っています。サッチモの全盛期1925〜28年のコンボ録音は、これでコンプリートです。他にも何種類か出ていて、僕は出るたびにほぼ全部買っちゃうというアホなんですが、九割方はダブるものの、ほんのちょっとずつ違うんですよね。そして記事本文で書いてあるレガシーの10枚組で、戦前のコロンビア系録音は、コンボものもビッグ・バンドものも、そしてそれら以外も、全部含めてコンプリートになります。ですから、ほんのちょっとずつ違ういろんな安いものを買っていくのはバカバカしいことなんで、一気にその10枚組で全部コンプリートに揃えちゃった方が、お財布的にも楽でしょう。

私が持っている「ディア・オールド・サウスランド」の音源は、下記で買ったmp3です。
http://www.amazon.co.jp/Best-50-Tracks-Louis-Armstrong/dp/B003FU3GGC/ref=sr_1_16?s=dmusic&ie=UTF8&qid=1453879516&sr=1-16&keywords=Best+Of+-+50+Tracks
確かに「ウェスト・エンド・ブルーズ」は耳に残りましね。私が最初に好きになったのは「Struttin' With Some Barbecue」です。

TTさん、「ディア・オールド・サウスランド」、いいでしょう?「ストラッティン・ウィズ・サム・バーベキュー」は、1927年のサッチモのなかでも、名演に数えられています。個人的には「ポテト・ヘッド・ブルーズ」や「ウェアリー・ブルーズ」などの方が好きですが。

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