「ラ・パローマ」とハバネーラの魅力
数ヶ月前に、スーザ・バンドの「ラ・パローマ」をYouTubeにアップロードした(なかったので)。画像の方はなんの芸もないSP盤レーベルの画だけど、なかなかいい演奏だし、三分ちょっとなので、是非聴いてみてほしい。https://www.youtube.com/watch?v=VOunR0Ac0hE
マーチ王として有名なスーザは、セバスチャン・イラディエール作曲の「ラ・パローマ」を何度も繰返し録音しているようだ。SPレーベルだけでも画像検索すると何種類も出てくるけど、音源は、アップした1910年のヴィクター録音(Victor-16529)しか僕は持っていない。中村とうようさん編纂の『アメリカン・ミュージックの原点』に収録されているもの。
それにしても、YouTubeへのアップロードは、三年前に三つほどやった時と比べると、随分と簡単になったなあ。三年前との違いは、YouTubeページに”Upload”ボタンができたこと。これをクリックして、作ってローカルに保存してある動画ファイルを指定するだけでアップロードできてしまう。
そしてアップロードしたら、タイトルと説明を書くだけ。ちなみに、僕がYouTube用の動画作成に使っているのは、Macに最初から入っているiMovie。しかも最新ヴァージョンではなく、旧ヴァージョンのver.9.0.9。旧ヴァージョンといっても、2014年のヴァージョンだけど。
はっきり言ってiMovieだけは、ver.10になって、はるかに使いにくくなってしまった。そもそもそのver.10が出てインストールした時、旧版がフォルダに入って保存されそっちも残ったということが、なにかを物語っているような気がする。改悪だったよなあ。
今回も、最新のiMovie(10.0.8)でやってみようと思って、ちょっとやってみたけど、分りにくくてすぐに諦めちゃったんだよなあ。そもそも音源と画像とのドッキング方法がよく分らなかった。旧ヴァージョンだと実に簡単。
今回アップロードしたスーザ・バンドの「ラ・パローマ」は、一応英語で簡単な説明を入れておいたけど、日本語でも書いておこうかとちょっとだけ思った。でも日本語の説明入れても、読む人いるのかなあ?三年前にアップロードしたマイルス・デイヴィスの音源三つにしても、Analytics見ると、ほぼ外国からのアクセスばかりだし。ちなみに、僕のYouTubeアカウントのアイコンは、ブログのアイコン(Twitterアイコン)と同じにしてあるので、一瞬で僕と分ると思います(笑)。
まあそれはともかく、最近、「ラ・パローマ」とか「シボネイ」とかの、古いキューバの曲(「ラ・パローマ」の方はスペイン人作曲家の作品だけど)を聴きたくなって、CDをいろいろ引っ張り出したり、YouTubeで検索して、結構聴いている。魅力的だよねえ。
イラディエール作曲の「ラ・パローマ」は、一説によると、もっとも録音(カヴァー)の多いポピュラー・ソングとして、ギネスブックに認定されているそうだ。僕の知っている範囲では、ビートルズ(ポール)の「イエスタデイ」もむちゃくちゃ多いはずだけど、どっちが多いんだろう?
ちょっとググってみたら、やっぱりビートルズの「イエスタデイ」か「エリナ・リグビー」が一番カヴァーが多いという調査結果が出てきた。でもこれ、英語使用者によるものということなんじゃないかなあ?どうなんだろう?「ラ・パローマ」は元々スペイン語の歌詞だけど、英訳詞も古くからあるけどなあ。
まあ、「イエスタデイ」なのか「ラ・パローマ」なのか、どっちが録音回数が多いのかは、正確なことは誰にも分らないはずだけど、僕個人が現在魅力を感じているのは、圧倒的に「ラ・パローマ」の方だなあ。でもググっても、カヴァーした歌手や演奏家一覧というのは出てこないなあ。誰かまとめてくれ。
ちなみに、僕は2005年に中村とうようさん編纂の『アメリカン・ミュージックの原点』で、スーザ・バンドの「ラ・パローマ」を聴いて以来、すっかりこの曲に惚れてしまい、この曲だけをやっているいろんな歌や演奏だけを集めた、ドイツのレーベルから出ている全六枚のシリーズCDを持っている。全六枚計100曲以上、全部「ラ・パローマ」だけという。
ビートルズの「イエスタデイ」のカヴァーだけを集めたCDとかって、あるのだろうか?かなり高い確率でありそうではあるけど。ところで”Yesterday”っていう名前が入っている曲やアルバム、映画、小説など、むちゃくちゃ多いので、これだけで探すと、いろんなのが出てくる。堀ちえみも出る。
ところで、とうようさんの『アメリカン・ミュージックの原点』では、その二枚目にスーザ・バンドの「ラ・パローマ」(1910)と、ジェリー・ロール・モートンのソロ・ピアノ録音「ティア・ファーナ」(1924)が続けて並んでいて、かなりはっきりとしたとうようさんの意図が感じられるのだ。
ジェリー・ロール・モートンの「ティア・ファーナ」も、ミドル・テンポで左手がハバネーラ風に跳ねていて、世界最初のハバネーラ曲とも言われる「ラ・パローマ」と似たような感じ。モートン自身はそれを”Spanish tinge”と呼んでいた→ https://www.youtube.com/watch?v=n-UPZr4-xvM
そして、これもとうようさんが指摘してたと思うけど、カーラ・ブレイの「リアクショナリー・タンゴ」(1981)も同じ感じだよねえ。まあこっちはハバネーラというより、曲名通りタンゴだけど、タンゴのリズムだってハバネーラから派生したもんね。https://www.youtube.com/watch?v=HO3-jvdVLQ4
要するにとうようさんが言いたいことは、19世紀末の「ラ・パローマ」に始るハバネーラの流行が、おそらく世界のポピュラー音楽発生に関わる重大事だったのではないかということだった。そして、これは1981年のカーラ・ブレイから、2001年のロス・スーパー・セヴンの「シボネイ」まで続いているものなのだ。
ロス・スーパー・セヴンの『カント』でラウル・マロが歌う「シボネイ」も最高なので、ご存じない方は是非ちょっと聴いてみてほしい。ヴォーカルとドラムスとピアノだけというシンプルな編成で、リズムの骨格とメロディの素晴しさが浮き出ていて、僕は大好き→ https://www.youtube.com/watch?v=SLhNQaaSB9k
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