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2015/09/23

Liberate your music, Prince!!

060711fwprince80

Unknown











それにしてもレー・クエンは、(おそらく)全てのアルバムが丸ごとYouTubeに上がっているので、CD買わなくてもいいんじゃないかと思ってしまうなあ。しかもそれがオフィシャルだったりするから、以前スチャラカさんも言ってたけど、商売する気あるのかと思ってしまう。

僕はヴェトナム語が分らないし、よく2in1でアップされてたりするので、どの動画がどのアルバムなのかというのが、イマイチ分らなかったりするけど、ただ聴いている分には、どれも素晴しい。これだけいいんだから、やっぱりフィジカルでほしいと思う僕は、古い人間なんだろうか?

既にリリースされて何年も経つ過去作を丸ごとアップするというのは、よくあることだけど、レー・クエンの場合は、2015年の最新作も、オフィシャル・チャンネルがアルバム丸ごとYouTubeに上げちゃってるもんなあ。そのおかげで、CDが買えなかった頃から、たっぷり何度も聴けたけど。

こんな具合だから、CD買う人が減っちゃうってのは理解できる。そのうち、録音音楽はすべて無料で流通するような時代が来るかもしれないなあ。音楽家や歌手の収入源は、ライヴ活動や、あるいはもっと別のなにかの方法で獲得するようになるかもしれない。

アマゾンなんかでの過去作品CDの超格安価格を見ていると、そんな時代はもうすぐそこにまで来ているのかもしれない。その点、今の時代の音楽家にしてはプリンスなんかは、かなり古い考えをしているんじゃないかとしか思えないよねえ。

とはいえ、プリンスは僕より数歳年上だから仕方がないのかなあ。でもスタジオ・アルバムにしろライヴ音源にしろ、片っ端からYouTubeに上がるのを削除しまくるというのは、ちょっとどうかと思うぞ。かえって新たなファン獲得のチャンスを逃していると思ってしまうなあ。

プリンスはどうも音源の所有について、かなり時代遅れの認識を持っているんだろうとしか思えない。今はみんなで共有する時代だ。あんなにムキになって動画共有サイトを否定するのは、僕の知る限りプリンスだけ。そのせいで、ブログやTwitterやFacebookでプリンスの音源を紹介したいと思っても、ほぼできない。そんなことするなら、自分の公式サイトで全部試聴できるようにしてくれよ。

だからプリンスの音楽を他人に紹介したいと思ったら、CDをコピーしてCDRに焼いて渡すしかない。みんなそうしているはずだ。そのうち、みんな金取始めるかもしれないぞ(笑)。そうなったらまずいだろうが、プリンスさんよ。

だって、やっぱりお金のない10代や学生にとっては、CD買ったりライヴに行ったりってのは、なかなか大変なんだぞ。それが今やYouTube等の動画サイトなどで試聴できるので、それがきっかけで好きになって、その結果CD購入に繋がるということも多いんだ。現に僕なんかはそうだけどなあ。

まあプリンスの場合は、新たなCD購入層が拡大しなくてもいいと思っているのかもね。だって彼やマドンナは、もう一生働かなくても楽に食べていけるだけの大金を稼いじゃってるもんなあ。今後一枚もCD売れなくたって全く困らないはず。僕なんかは、それだったら今後無料でCD配ってくれと思うけど。

もちろんレー・クエンみたいに今までのすべてのアルバムをオフィシャルで丸ごと全部YouTubeに上げちゃうってのも極端ではあるけど。彼女の場合、いろんなライヴ音源も公式で上がっているし。そこまでとは言わないけど、プリンスさんには、もうちょっと考え直してほしいという気持がある。

今みたいにインターネットが普及するだいぶ前から、ジャム・バンドや、元々その起源とも言える古参バンド(グレイトフル・デッドやオールマン・ブラザーズ等)は、ライヴ録音自由、フリー・トレードだったんだけどなあ。音楽は「みんなのもの」という思想。プリンスは、「自分のもの」と思ってるんだろうなあ。

音楽に限らず文化作品は、それを創った人だけに所有権があるのではなく、みんなで共有してみんなで楽しむものだという思想は、もちろん前からあったんだけど、インターネットの爆発的普及で、それが一層世界中に広まったよねえ。作品は個人の創造的産物だという発想は、考えてみたら近代西洋のものだ。

近代の西洋以前は、文学でも美術でも音楽でも、文化作品は個人の天才に拠るものというより、社会的価値と伝統の産物だという思想の方が有力だった。音楽でも、個人の天才に創造性の起源を求めるという考え方は、近代に西洋クラシック音楽が成立して以後のものだ。そんな時代はもうとっくに終っている。

そういう近代西洋の考え方が爆発的に世界中に普及してしまったために、いまだに西洋以外でもこの考え方から脱却できない場合が多いけどね。20世紀半ばに既にこの思想は終っているというのは、僕は主に文学研究の場面で学生時代に学んだ。その後、音楽リスナーとしても、ネットを始めた1995年から実感している。

ポピュラー音楽の世界でも、遅くともその頃には、良心的な音楽家やよく考えているリスナーは、音楽は社会的産物でみんなのものだと思っていたはずだ。そして、そういう思想は元々米国大衆音楽でも、戦前のカントリー・ブルーズの時代には当り前だった。ブルーズ曲などは、殆ど全てが共有財産。

別に米国戦前カントリー・ブルーズだけでなく、そもそも世界中で連綿と受継がれてきた民俗伝統音楽は、音楽共同体の社会的共有財産で、誰かのミュージシャン個人に帰属するような意識はなかったはず。それが19世紀末頃になってポピュラー音楽に変容しても、そんな認識が強かっただろう。

そういう大衆音楽が、個人の天才的創造によって産み出される個人的産物のように思われるようになったのは、やっぱり20世紀初頭の、米国ティン・パン・アリーの作詞作曲家システムの成立(厳密には、ティン・パン・アリーは、19世紀末の楽譜出版制度から)によるもの以後だったのではないかという気がする。そこには、近代西洋音楽の文化思想が強く影響していたはずだと、僕は思っている。

元々終っていたそんな近代西洋の考え方に、完全にピリオドを打ったのがインターネットの爆発的普及だった。プリンスさんには、そういう時代の音楽家として、是非考え方を改めていただきたいと思う。そして音楽をみんなで共有して楽しむことが、逆にプリンス個人のファンを増やすことにも繋がるはずなのだ。

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