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2015/10/23

『ザ・デュークス・メン』

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エピック盤の『ザ・デュークス・メン』というアルバムのことを以前少しだけ書いたけど、デューク・エリントン楽団の花形サイドメンを中心にしたスモール・コンボ録音は、戦前では1936年から1940年にかけて、コロンビア系レーベルを中心に、CDにすると全部でおよそ七枚分くらいあるようだ。

 

 

それら戦前のスモール・コンボ録音は、『ザ・デュークス・メン』に収録されている音源も含め、ジャズ系復刻専門レーベルのMosaicが、まとめてボックス・セットにしてリリースしていたけど、僕は持っていない。いつか買おうと思いながら躊躇している間に、売切れてしまったみたい。

 

 

『ザ・デュークス・メン』は、僕は大学生の頃、いきつけのジャズ喫茶で聴かせてもらって、凄くいいと思って、自分でLPがほしいと思ったけど、入手できなかった。あの<エピック・イン・ジャズ>のシリーズは、当時アナログ盤は既に入手困難なものが多かったはず。殆ど買えなかった。

 

 

というわけなので、僕が<エピック・イン・ジャズ>のシリーズを全部買揃えたのは、CDリイシューされてからだ。『ザ・デュークス・メン』もそう。CDリイシューされる前は、そのいきつけのジャズ喫茶のマスターに頼んでLPを貸してもらって、自分でカセット・テープにダビングしたのを、聴いていた。

 

 

『ザ・デュークス・メン』、全部で16曲入っているのだが、その中で大学生当時に聴いて一番いいと思ったのが、バーニー・ビガード名義録音の「キャラヴァン」だった。 作曲者のファン・ティゾルのトロンボーンが、かなりいい感じ。バックのリフもいい。

 

 

 

僕より上の世代は「キャラヴァン」は、ヴェンチャーズで知っているという人が多かったらしいけど、僕はその世代ではない。まあそのヴェンチャーズ・ヴァージョンを子供の頃に聴いていたのかもしれないが、全く憶えていない。ジャズを聴くようになって、おそらく『マニー・ジャングル』で知ったはず。

 

 

エリントン+チャールズ・ミンガス+マックス・ローチのトリオ編成でのその「キャラヴァン」は、初めて聴いたら、どこがいいのかさっぱり分らず(というか『マニー・ジャングル』というアルバム全体が、当時はなんだかよく分らなかった)、曲の構造もよく掴めなかった。

 

 

 

初めていいと思った「キャラヴァン」は、『ザ・ポピュラー・エリントン』に入っていたもの。 3-2でクラベスが入るリズムも分りやすいアフロ・キューバン調だし、これでこの曲を好きになって、エリントン自身による他のいろんなヴァージョンも楽しめるようになった。

 

 

 

それでも『ザ・デュークス・メン』のヴァージョンを聴いた時は、これぞ決定版だ、こういう「キャラヴァン」を聴きたかったんだと感動したものだった。これが初演であるということを知ったのは、だいぶ後のことだったけど。作曲はファン・ティゾル一人のものだろう。例によってボスがいっちょ噛みしてるけど。

 

 

ファン・ティゾルはプエルトリコ出身。二十歳までプエルトリコに住んでいたので、「キャラヴァン」みたいな曲調も得意だったはず。ご存知の通り、この頃は楽団員の書いた曲は、登録の際ボスも参加しておくというのが通例だった。コンボ中心のモダン・ジャズの時代になっても、少しそんな感じがあったけど。

 

 

『ザ・デュークス・メン』に入っている曲のうち、「ブルー・レヴァリー」は、もっと前に、ベニー・グッドマンの例の1938年カーネギー・ホール・コンサートのライヴ盤(LP二枚組)に入っていたのを聴いていた。あの演奏には御大エリントンの他、クーティー・ウィリアムズも参加している。

 

 

そのベニー・グッドマン1938年カーネギー・ホール・コンサートでの「ブルー・レヴァリー」には、  エリントンとクーティーが入っているとはいえ、クラリネットを吹いているのはベニー・グッドマン。なかなかやるじゃん。この頃までの彼はよかったんだ。

 

 

 

というわけなので、「ブルー・レヴァリー」だけは、『ザ・デュークス・メン』を聴いた時に、改めて追体験するような気持だった。1938年ベニー・グッドマン・カーネギー・ホール・ヴァージョンも、クーティー・ウィリアムズによるワーワーミュートを中心とした、あの独特のエリントン・サウンドをまあまあ表現していると思う。

 

 

『ザ・デュークス・メン』収録の、エリントン楽団員によるオリジナルの「ブルー・レヴァリー」はこちら。 ブラスのワーワー・ミュートを使った、いわゆるエリントン・ジャングル・サウンドは、やっぱりこっちの方がよく分るなあ。

 

 

 

ベニー・グッドマン1938年カーネギー・ヴァージョンの方は、ブラスがクーティー・ウィリアムズ一人なんだけど、『ザ・デュークス・メン』の方は、クーティーに加え、トロンボーンのトリッキー・サム・ナントンも入っているからねえ。それにしても、『ザ・デュークス・メン』CDには、パーソネル等のデータがちゃんと記載されていないなあ。

 

 

ついでに言うと、その『ザ・デュークス・メン』収録の1936年「キャラヴァン」で、CDになっているもののうち、一番音がいいのは、『ザ・デュークス・メン』のものではなくこの三枚組→ http://www.amazon.co.jp/dp/B000620N40/ どうしてこんなに?と思うほど違うね。しかし、米コロンビアは、いつになったら戦前エリントン全集を出すんだ?ヴィクターもデッカも、とうの昔に出しているぞ。

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