« ジャズ歌手アリサ・フランクリン | トップページ | 「メス・アラウンド」とブギウギ・ピアノ »

2015/10/20

ギル・エヴァンスの最高傑作

Gilevansliveatthepubli532804

 

587d46df25953e8f2d4cf36a138d95fb

 

 









ギル・エヴァンスの『ライヴ・アット・ザ・パブリック・シアター』CD二枚組(元はバラ売りのLP二枚)は、聴くと分るけど、一曲毎にぶつ切りで編集されているのだが、いつの日か、これをライヴ・ステージでの様子そのままでコンプリート盤にして出してくれる日は来るのだろうか?

 

 

検索すると、「完全版」と銘打ったものが売られているけど、それは従来の二枚組CDの末尾に未発表曲を一曲追加しただけのもので、それ以外は曲順も従来のまま。当時のステージを完全再現・収録したものではない。「完全版」という言葉はちょっとどうなんだろう。現行二枚組CDを聴いても、ライヴ現場での曲順は分らない。

 

 

『ライヴ・アット・ザ・パブリック・シアター』のプロデューサーは、シンセサイザーで演奏に参加して重要な役割を果している菊地雅章なので、彼に聞けば、元のライヴを収録したオリジナル・テープの在処などが分るのではないかと思っていたが、その菊地も亡くなってしまった。僕はライヴ・ステージそのままを再現した曲順で聴きたいんだがなあ。

 

 

アルバムになったものを聴くと、一枚目一曲目の「アニタズ・ダンス」が、現場でもオープニング・ナンバーだったとしか思えないけど、これも確証はなにもない。聴いた感じの僕のヤマカンでしかない。また、殆どの曲の終りで、次の曲に繋がるフレーズをギルがエレピで弾いている途中で、フェイド・アウトしてしまう。

 

 

『ライヴ・アット・ザ・パブリック・シアター』は、最初は一枚物LPとして1980年に出たもの。一聴、大傑作と確信したし、『スイングジャーナル』誌でも、その年のディスク大賞金賞を、チック・コリア&ゲイリー・バートンのチューリッヒ・ライヴ二枚組と分け合った記憶がある。最初から評価はかなり高かった。

 

 

今ではCD二枚組になっているけど、LPでは二枚目の方は一年か二年遅れて、続編としてリリースされた。調べてみたら82年のリリースになっている。これも素晴しかった。特にB面のジミヘン・ナンバー「ストーン・フリー」と、続くミンガスの「オレンジ色のドレス」は、最高だとしか言いようがない。

 

 

僕はミンガスの「オレンジ色のドレス」がたまらなく大好きで、この曲はギルのビッグ・バンドがやる時は、いつもテナー・サックスのジョージ・アダムズをフィーチャーしてたけど、『パブリック・シアター』では、ロフト系のフリー・ジャズ・トロンボーン奏者ジョージ・ルイスをフィーチャーしている。

 

 

そのジョージ・ルイスのフリーなソロが素晴しく、彼に惚れてしまっただけでなく、そのヴァージョンではギルのリズム・アレンジが絶妙で(ミンガスの元のオリジナルが少しそんな感じ)、途中で急速調になったり、その1/2のテンポになったり、なかなか面白い。この曲の最高のヴァージョンだろうと思う。

 

 

ギルのバンドがやった「オレンジ色のドレス」といえば、普通はジョージ・アダムズ・フィーチャーのヴァージョンを思い浮べる人が多いはずだし、YouTubeにもそういうのしかなかった。例えばこのRCA盤、昔は愛聴していたけど、僕の知る限りCDにはなっていない。

 

 

 

CDになっているものでは、数ヶ月前に村井康司さんのライナー付きで再リイシューされた『プリースティス』(1977年録音)に、やはりジョージ・アダムズをフィーチャーした「オレンジ色のドレス」が入っている。貼ったRCA盤は78年録音で、78年から既にリズムのアレンジは、『パブリック・シアター』ヴァージョンと似た感じになっている。

 

 

パブリック・シアターでの1980年録音でも、ジョージ・アダムズがいれば、彼がソロを取っていたんだろう。ギルのバンドは、バンドといってもレギュラー・メンバーはおらず、スタジオでもライヴでも、その都度都合の付く有志が集るという感じだった。いつも来る常連は数名いたけど、レギュラーというわけではなかった。

 

 

だから、1980年のパブリック・シアターでは、やむを得ずジョージ・ルイスが吹いたんだろうけど、そのソロが、テンポ・チェンジと相俟って素晴しいし、ホーン・アンサンブルの色彩感などを含めても、RCA盤をはるかに凌ぐ出来だ。

 

 

 

このライヴ盤でのジョージ・ルイスといえば、一枚目の「ゴーン・ゴーン・ゴーン」も素晴しい。これ、マイルス・デイヴィスとやった1958年の『ポーギー&ベス』で、ギルの書いたオリジナル曲の「ゴーン」と同曲。プロデューサーの菊地雅章の強い意向で、この曲名表記になったらしい。

 

 

 

その他、『プリースティス』のタイトル曲でも素晴しいソロを吹くアルト・サックスのアーサー・ブライスが、まるで口寄せの儀式みたいな見事なソロを聴かせる「ヴァリエイションズ・オン・ザ・ミズリー」も見事だ。

 

 

 

というわけで、既にお分りの通り、これらの『ライヴ・アット・ザ・パブリック・シアター』からの音源は、全て僕がYouTubeにアップしたもの。全くアップされていなかったのでねえ。「ゴーン・ゴーン・ゴーン」だけ、既にあったけど、パーソネル等の録音データが一切書いてなかったし。

 

 

やっぱりどう考えても、『ライヴ・アット・ザ・パブリック・シアター』が、ギル・エヴァンスの最高傑作だとしか、僕には考えられないんだよなあ。だからこそ、現行の編集済みのものではなく、現場でのライヴ模様を完全再現した、真の意味でのコンプリート盤が出ないかと熱望しているんだけどなあ。

« ジャズ歌手アリサ・フランクリン | トップページ | 「メス・アラウンド」とブギウギ・ピアノ »

ブルーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ギル・エヴァンスの最高傑作:

« ジャズ歌手アリサ・フランクリン | トップページ | 「メス・アラウンド」とブギウギ・ピアノ »

フォト
2024年2月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29    
無料ブログはココログ