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2015/11/26

サンタナと渡辺貞夫

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僕はあんまりサンタナの熱心なリスナーとは言えない。現在CDで持っているのは、カルロス・サンタナ名義が一枚、カルロス・サンタナ&ジョン・マクラフリン名義が一枚、そしてバンドのサンタナ名義のがたったの六枚だけだもん。

サンタナで初めて聴いたアルバムは、ご多分に漏れず1970年の『天の守護神』(Abraxas)だった。でも大学生の頃、最初に聴いた時は、中身の音楽には特にこれといった強い印象も受けず、ただマティ・クラワインによるアルバム・ジャケットだけに感銘を受けた。

というのも、マティ・クラワインはマイルス・デイヴィスの『ビッチズ・ブルー』や『ライヴ・イーヴル』のアルバム・ジャケットも手がけており、熱心なマイルス・ファンの僕はそれらの異様なジャケットに非常に惹かれていたから、同じデザイナーによる『天の守護神』のジャケットも好きになったのだった。

でもそれくらいのことで、音楽自体にはさほどの感銘も受けなかったのだ。大学生の頃、サンタナの演奏で一番強い感銘を受けて繰返し聴いていたのは、何年の録音かサッパリ分らないけど、FM放送でエアチェックした来日公演の模様で、なぜかというと渡辺貞夫さんが客演していたから。

大学生の頃、FM東京に『マイ・ディア・ライフ』という渡辺貞夫さんを主にフィーチャーした、毎週土曜日深夜の番組があって、僕は愛媛県松山市在住だったんだけど、系列局のFM愛媛でも流れていたのを、毎週聴いて録音してもいた。ある時、サンタナの来日公演に飛入りした日の録音が流れたのだった。

僕の目当はサンタナではなく渡辺貞夫さんだったんだけど、いざ聴いてみると、サンタナの演奏も凄くよかった。録音年もなにも記録していなかったんだけど、僕が大学生だったのは1980〜83年だから、その中のいつかの時期の来日公演だったはず。その時エアチェックしたカセットを繰返し聴いた。

そのエアチェック・カセットも今はどこかに行ってしまい見つからないから、曲目なども確認できないけど、記憶では番組は、渡辺貞夫さんが入ってくる直前の「オイエ・コモ・ヴァ」から流していた。そしてカルロス・サンタナの紹介で渡辺貞夫さんが登場すると、「ネシャブールの出来事」がはじまった。

その「ネシャブールの出来事」が素晴しかったんだなあ。『天の守護神』で聴いていたはずの曲なのに、様子が全然違っていて、『天の守護神』ヴァージョンでは五分程度の曲だけど、その時のライヴでは渡辺貞夫さんの長いアドリブ・ソロもあって、15分くらいの長さになっていた。

カルロス・サンタナのギター・ソロもよかったし、誰だったのか憶えていないけどエレピやオルガンのソロ(オルガンだけだったかも?)もよかった。「ネシャブールの出来事」という曲にこれで惚れた。元々テンポ・チェンジと転調が印象的な曲だけど、その時のライヴでも、渡辺貞夫さんがテンポが変る度に違ったソロを吹いていたなあ。

他の曲は殆ど憶えていないんだけど(ああ〜〜、あのエアチェック・テープ、早くデジタル化しておけばよかった!)、「アクアマリン」とかもあったかなあ。「ネシャブールの出来事」以外で唯一憶えているのが、アンコールでやったスタンダードの「スターダスト」。カルロス・サンタナが歌った。

要するに、渡辺貞夫さんはこの時のサンタナ公演の最終盤に登場し、アンコールまで付合った。その時の番組のMC(小林克也)によれば、渡辺貞夫さんのライヴの楽屋をカルロス・サンタナが訪問した返礼として、貞夫さんもサンタナの楽屋を訪れて、それで急遽その日のライヴで吹かないかとなったらしい。

まあそんなわけで、とにかく45分程度(一時間番組だから、正味はその程度のはず)のそのエアチェック・カセットだけをサンタナの公式アルバムよりも愛聴していて、それで最初聴いた時はあまりピンと来なかったサンタナのこともかなり考え直して、改めてアルバムを聴いたり、別のレコードも買ったり。

それでいろいろと聴いてみて、本当にサンタナ(やその他カルロス・サンタナ個人のアルバムも)を好きになったのは、CDで買い直してからなんだけど、一番好きになったのが1971年の『サンタナIII』だった。ラテンなリズムが賑やかで楽しいし、ニール・ショーンとのツイン・ギターもいいよねえ。

いつもいつもマイルス・デイヴィスに話を絡めて恐縮だけど、カルロス・サンタナは、マイルスからバンドのレギュラー・ギタリストにならないかと二回誘われて二回とも断っている。一度目はジョン・マクラフリンの後任(といっても、マクラフリンはレギュラー・メンバーではなかったが)として1971年頃。

二度目は、1981年のマイルスのカム・バック・バンドにと誘われたらしい。カルロス・サンタナ自身の回顧によれば、一回目の71年の時は、まだマイルスのバンドで弾く自信がなく、二回目の81年の時は、聴衆は自分ではなくマイルスを求めているわけだからと断ったとのことだ。

一度でいいからマイルスとカルロス・サンタナとの共演を聴いてみたかった気はするなあ。マイルスもラテン・リズムが大好き、というかそもそもジャズやジャズ系の音楽はラテン音楽との相性が非常にいいし、カルロス・サンタナのギターも、マイルスの音楽によく似合うんじゃないかと思うんだよなあ。

僕は熱心なジャズ・ファンだから、カルロス・サンタナも、ジョン・マクラフリンと共演してジョン・コルトレーン・ナンバーなどをやった1973年の『魂の兄弟たち』が好きなんじゃないかと思われそうだけど、実はああいうアルバムよりも、サンタナ名義のラテン・ロック作品の方がはるかに好きなんだ。

ラテン音楽が大好きだということは、以前から何回も書いていることだけど、それならサンタナだって最初から良さが分ってもよさそうなものだったのに、ちょっと時間がかかってしまったのはなぜだったんだろうなあ。ちょっと分らないけど、とにかく一番ラテンな感じが(僕には)する『サンタナIII』が最高。

『サンタナIII』の中にはニューヨーク・ラテンの雄ティト・プエンテの曲(「パラ・ロス・ ルンベロス」)がある。『天の守護神』にも同じくティト・プエンテの名曲「オイエ・コモ・ヴァ」がある。ティトはこの頃にはすっかり米国ラテン音楽界のドンだから、サンタナだってリスペクトしていたはず。

僕もサンタナの「オイエ・コモ・ヴァ」でティト・プエンテを知って、その後ティト自身のヴァージョンを聴いたら、サンタナ・ヴァージョンはほぼそのまんまなので、な〜んだと思ったのだった。そしてティトの録音をいろいろ聴くようになって、大好きになった。こういう経路を辿ったファンは多いはず。

サンタナには歌のないインストルメンタル・ナンバーが結構ある、というかむしろそっちの方がメインだから、基本的にインスト音楽であるジャズが好きな僕は、その意味でも好きになる要素があった。さっき渡辺貞夫さんが飛入り参加したライヴ録音がよかったと書いた「ネシャブールの出来事」もそうだ。

もっともサンタナのインスト・ナンバーでも、有名な1976年の「哀愁のヨーロッパ」とかは、実はあまり好きじゃない。日本人の大好きな泣きのメロディだけど、なんかストリップ・ショーのBGMみたいで、実際よく使われていたと聞く。別にそれでもいいんだけど、サンタナはやっぱりラテン調がいいなあ。

ラテン調じゃないサンタナのアルバムで一番好きなのは、カルロス・サンタナ単独名義の1987年『ブルーズ・フォー・サルヴァドール』だなあ。ラストのアルバム・タイトル曲とか、もう本当に大好きでよく聴く。このアルバムは一部を除きギター・インストばっかりで、カルロス・サンタナのヴァチュオーゾぶりが味わえる。

最近のサンタナのアルバムは全く買わなくなったし、殆ど興味もない。聴けばまあいいのかもしれないが。最近よく聴くようになったのは、1973年の大阪公演を収録した三枚組ライヴ盤の『ロータス』だなあ。代表曲はほぼ全部入っているし、大好きな「ネシャブールの出来事」も16分たっぷり聴けるしね。

『ロータス』の「ネシャブールの出来事」では、カルロス・サンタナがソロの途中で、「マイ・フェイヴァリット・シングズ」のメロディを少し弾いている。FMで聴いた渡辺貞夫さん客演のライヴ・ヴァージョンでも確かそうだった。これは『天の守護神』のオリジナルにはないけど、お決りだったんだろう。

なお、『ロータス』のジャケット・デザインも、これまたマイルスの『アガルタ』と同じ横尾忠則。だからリアルタイムで買ったファンの方々は、この二つの印象が重なっているらしい。正22面体というとんでない代物で、2006年のCDリイシューで再現された。だけどやっぱりオリジナルを見てみたいなあ。

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