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2015/12/16

ハンプのジャイヴ

Unknown

 

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スウィング・ジャズと、(主に1940年代のビッグ・バンド録音で)ジャンプ・ミュージックの重要人物と考えられているライオネル・ハンプトンだけど、実はジャイヴな録音も多少あることに、最近『フライング・ホーム (1937 - 1950)』(iTunes Storeにて購入した全65曲)を全部聴いていて、気が付いた。

 

 

分りやすいのが、「ジャイヴィン・ウィズ・ジャービス」というそのまんまのタイトルの曲。 どうもこれはナット・キング・コール・トリオと共演したものらしい。道理でジャイヴな感じがするわけだ。聞えるギターも多分オスカー・ムーアなんだろう。オスカー・ムーアについては、パソコン通信時代に吾妻光良さんが「一番好きなギタリスト」だと言っていたなあ。

 

https://www.youtube.com/watch?v=Rqb6iztzHEI

これ以外にもあって、「ライディン・オン・ザ・L・アンド・N」(https://www.youtube.com/watch?v=0hG9IBCBxGY )とか、「ド・レ・ミ」(https://www.youtube.com/watch?v=BktO54q6vOw )とか
他にもビッグ・バンド録音だけど「ヘイ! バ・バ・リ・バップ」とか。

 

 

「ド・レ・ミ」は、調べたら(iTunes Storeで買った音源には一切録音データが付与されていないので)、これもまたナット・キング・コール・トリオとの共演らしい。「ジャイヴィン・ウィズ・ジャーヴィス」が1940年録音らしいから、こっちも同じ頃なんだろう。共演は他にもあるんだろうかなあ?

 

 

「ライディン・オン・ザ・L・アンド・N」は、ナット・キング・コール・トリオとの共演ではなく、ハンプトンの自分のバンドでの録音だけど、スモール・コンボだから、1930年代後半か40年代初頭なんだろう。ここでオスカー・ムーアによく似たギターを弾いているのは、一体誰なんだろうなあ?

 

 

「ハンプズ・ソルティ・ブルーズ」などでも、似たようなギターが聞えるし、バンドの演奏にも、ヴォーカルの感じにも、ジャイヴィーな雰囲気がある。 歌っているのは、ハンプトンではないね。声が違うもん。

 

https://www.youtube.com/watch?v=5cvxxq5dxPg

ハンプトンといえば、ジャンプなんだけど、ジャンプとジャイヴって、同じような括りで扱われることが多いよね。一つのアンソロジー・アルバムに、ジャイヴもジャンプも並べて一緒に入っているものも結構あるし。少なくとも日本では、同種の音楽として考えられているんじゃないかという気がする。

 

 

実際、ジャンプ・ミュージックの重要人物であるライオネル・ハンプトンの音源に、先に貼ったようなジャイヴなナンバーがまあまああって、イントロのピアノがブギウギのパターンを弾いていて、ジャンプ風かなと思って聴き進むと、ジャイヴ風だったりする。当時のジャズメンは一緒くたにしてやっていたのかも。

 

 

ルイ・ジョーダンの音楽なんかは、彼はスモール・コンボでのジャンプ・ミュージックの最重要人物と考えられているわけだけど、歌詞の内容や歌い方なんかを聴いていると、相当にジャイヴな雰囲気があるもんなあ。チャック・ベリーなどが、ルイ・ジョーダンから一番影響を受けたのは、そういう部分じゃないの?

 

 

例えば「カルドニア」。これもブルーズ曲で、ピアノはブギウギのパターンだからジャンプなんだけど、「キャルド〜ニャ!キャルド〜ニャ!」と叫ぶように歌ったり、後半喋るような感じだったりするのは、キャブ・キャロウェイにちょっと似ているもんなあ。

 

https://www.youtube.com/watch?v=5LxmxVFoyOc

ルイ・ジョーダンには「G.I. ジャイヴ」というタイトルの曲もあるし、そもそも中村とうようさんが『ブラック・ミュージックの伝統 <ジャズ・ジャイヴ&ジャンプ篇>』に「カルドニア」を入れているのも、単にジャンプ・ミュージックの一例としての意味だけじゃないように思うんだよね。

 

 

米本国では、”jive talk” というものが1930年代からあったわけだけど、音楽の種類というかスタイルを指し示す言葉として「ジャイヴ」が使われ始めたのは、日本では、中村とうようさんの『ブラック・ミュージックの伝統』LPセットからだろうと思う。あれは1975年のリリースだった。

 

 

僕個人が、音楽関係で「ジャイヴ」という言葉を初めて知ったのは、18歳の時に買ったルイ・アームストロングの1928年録音集LPでだった。あれの中に「ドント・ジャイヴ・ミー」という曲がある。「ふざけないで」くらいの意味で、もちろん、音楽スタイルとしてのジャイヴとはなんの関係もない。

 

 

でも「ジャイヴ」という言葉が曲名に入っていたり、歌詞の中に出てきたりするジャズの演奏は、その頃から結構あったのも事実。ジャズを聴始めた大学生の頃は、別にそれをなんとも思わず、意識せずに楽しんでいわけだなあ。意識するようになったのは、さっきも書いた『ブラック・ミュージックの伝統』LPセットから。

 

 

僕があのとうようさん編纂のLPセットを買ったのは、リリースからだいぶ遅れて大学生の終り頃(1983年頃)だったけど、75年にあれが出て、その後「ジャイヴ」が音楽ジャンルの名称として認知されるようになってからも、文章でそれをきっちり定義・説明してあるものには、殆ど出会ったことがないのも事実。

 

 

「ジャイヴ」なんてのは、なんとなくのフィーリングなんだから、きっちり説明できないものではあるけど、ここに割としっかり書いてある。 おふざけ・ユーモアがあって、少人数編成で、コーラスやスキャットが入ったり、AABA形式とか。

 

http://www2.ocn.ne.jp/~jive/jive/what.html

この「少人数編成で」という条件の例外ジャイヴなのが、キャブ・キャロウェイだろう。キャブはほぼ常に自分自身のビッグ・バンドで活動していた。キャブの歌は、当時黒人仲間にしか通じない、いわゆるジャイヴ・トークで成立っていて、1944年にそういう隠語をまとめたジャイヴ辞典も出している。

 

 

もっとも、ジャズを聴始めた最初の頃からキャブ・キャロウェイ楽団のレコードをいろいろと聴いていた僕には、キャブの歌はともかく、楽団の演奏自体は普通のスウィング・ジャズだと聞えていて、今でもそんなに「シリアス・ジャズと切離した意味での」ジャイヴだと意識したことは、あまりないんだよね。

 

 

そもそも、キャブ・キャロウェイなどが入っている、あのとうようさん編纂のアンソロジーが「ジャズ、ジャイヴ&ジャンプ」となっていて(LPでは、なにか違った名前だったような気がするけど)、三つ並べてというかひっくるめて意味を見出すような作りになっているもんなあ。

 

 

あの『ブラック・ミュージックの伝統』、CDでは、今、「ジャズ・ジャイヴ・ジャンプ篇」と、三つのジャンルが副題になっているんだけど、LPでは二枚組の両面で、計四面で四つに分けられていた。一面ずつのテーマというか副題みたいなのがあった気がするんだけど、それがなんだったのか、調べないと忘れてしまった。

 

 

聴いた感じでは、シリアスなジャズとは少し違うフィーリングがありはするものの、やっているミュージシャンはジャズマンだし、本人達もジャズをやっている気分しかなかったはずだ。以前も書いた通り、ジャイヴも(ジャンプも)ジャズなんだ。区別しすぎない方がいいんじゃないかというのが、ライオネル・ハンプトンを聴いての感想。

 

 

まあハンプトンのバンドでは、ジャイヴ風味より、ダイナ・ワシントンが歌うような、例えば「ブロウ・トップ・ブルーズ」などの方が、もっとチャーミングでもっと旨味を感じるのではあるけれどね。

 

 

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