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2015/12/17

謎のブルーズマン、ダン・ピケット

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ブルーズ・カヴァー・バンドとして出発したローリング・ストーンズだけど、ストーンズのブルーズ・アルバムとして誰もが思い浮べる第一候補は、やはり1968年の『ベガーズ・バンケット』だろうなあ。あれは、そのまんま米南部ブルーズへのトリビュート・アルバムみたいなもんだから。

 

 

一曲目の「シンパシー・フォー・ザ・デヴィル」(邦題はダメ)と「ストリート・ファイティング・マン」(と、先行シングルとして発売された「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」)が有名になったけれど、「シンパシー・フォー・ザ・デヴィル」だって、悪魔の音楽と言われるブルーズ賛歌のようなものだ。

 

 

中身の歌詞は確かにミステリアスで、いろんな研究もなされているみたいだけど、ブルーズ・トリビュートみたいなアルバム全体の内容を考えたら、曲名の意味は、今書いたように明々白々だろう。曲調だってサウンドだって明快極まりないし。

 

 

ジャン・リュック・ゴダール監督の映画『ワン・プラス・ワン』になり、この映画のせいもあって、この曲のミステリアスなイメージが強調されているだけなんじゃないかなあ。僕はこの映画のVHSを最初に見た時、一番印象に残ったのは、全員がギブスンのハミングバードを弾いていることと、ブライアンがほぼ死んでいることだけ。

 

 

ジャケット差替え問題などもあったりして、いろいろといわく付きのアルバムではあるけれど、聞えてくる「音」だけでしか判断しない僕みたいなリスナーには、別に謎めいてもいなければ、難しくもなんともないアルバムだね。真実は音にあり!

 

 

なお、『ベガーズ・バンケット』で、僕が一番好きなのは「シンパシー・フォー・ザ・デヴィル」でも「ストリート・ファイティング・マン」でもなく、A面二曲目の「ノー・エクスペクテイションズ」だ。ブライアン・ジョーンズによる絶品スライドがたまらん。マジなブライアンはこれが最後だったんじゃないかなあ。

 

 

『ベガーズ・バンケット』にはB面に「放蕩息子」という曲があって、これでロバート・ウィルキンスというブルーズマンを知り、アルバムも買って聴いて、凄く気に入った。CD時代になってからのことだけど。その名も『Prodigal Son』。ストーンズのおかげで有名になった人だったようだ。

 

 

 

今貼ったのが、ロバート・ウィルキンスのアクースティック・ギター弾き語りによる「放蕩息子」の元歌「ザッツ・ノー・ウェイ・トゥ・ゲット・アロング」(1929年)。そして特になんの理由もないんだけれど、この人は僕の中ではダン・ピケットというブルーズマンと結びついている。

 

 

ダン・ピケットなんて好きで聴いている人は、少ないだろう。CDアルバムも『ロンサム・スライド・ギター・ブルース』一枚しかない。なんでも戦後に米イースト・コーストを中心に活動した、アクースティックなスライド・ギター弾き語りブルーズマンらしいんだけど、詳しいことは殆どなにも分っていない人のようだ。

 

 

CDのライナーを書いている鈴木啓志さんも、『ブルースCDガイド・ブック』で紹介している小出斉さんも、詳しいことはご存知ないらしいから、日本でダン・ピケットについて詳しく知っている人はいないだろうね。でも、そのアルバム一曲目、リロイ・カーのカヴァー「ベイビー・ハウ・ロング」が素晴しい。

 

 

 

いいでしょう。僕はこれでこの人に惚れちゃった。詳しいことはなにも分っていない人なのに、音だけでもうノックアウトされちゃったんだなあ。スライド・ギターも上手いと言えるだろう。

 

 

こういうのもいいよ、「シカゴ・ブルーズ」。 やはりスライド・ギターが上手いのと、ザクザク切刻むようなビート、そして塩辛い声で唸るヴォーカルも強力だ。かなりの腕前のブルーズマンだと思うんだよねえ。僕は大好きなんだ。

 

 

 

それにしても、どうしてストーンズがカヴァーしたロバート・ウィルキンスがダン・ピケットと結びついてしまうのか、自分でも全く理解できない。二人ともアクースティック・ギター弾き語りのカントリー・ブルーズマンだけど、それ以外の共通点は全くないはず。前者は戦前、後者は戦後だし。なんとなく聴いた感じだけなんだろうなあ。

 

 

ダン・ピケットも、謎の存在であるとはいえ、1949年にゴッサム・レーベルに15曲録音(20曲という説もあるが、僕の持っているCDでは別テイクを含めても全18トラック)して、アルバムにもなっているんだから、かなりメジャーな方だろう。録音が一曲・二曲だけ、あるいは全く録音がないというブルーズマンもゴロゴロいるわけだからね。そのダン・ピケットのCDも日本盤は廃盤だけど。

 

 

1990年のロバート・ジョンスン完全集二枚組CDをきっかけに、90年代はブルーズのCDがアメリカでも日本でも本当にたくさんリリースされていたので、僕もたくさん買って聴いたんだよなあ。ダン・ピケットのCDもそういう中の一つだった。どこで買ったのか忘れたけれど、店頭でジャケ買いだったんだよね。

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