« ジャズの黄金時代は1920年代だ | トップページ | 卵の殻の上を歩く男 »

2016/01/17

O.V. ライトの絶唱

Ov_wright__live

 

Mi0002095736

 

Wright_ov_ovbox5cds_101b









ソウル歌手O.V. ライトの音源で一番好きなのは、実を言うとゴールドワックスやバックビートの録音ではなく、ハイから出た1979年東京でのライヴ盤『ライヴ・イン・ジャパン』なのだ。40分もない短いものだし、僕が持っているCDは、同じハイの『ライト・スタッフ』との2in1だけど。

 

 

1979年だから、現場でご覧になった方もたくさんいらっしゃるはずだ。羨ましい限り。このライヴ盤のジャケット写真ではイマイチ分りにくいけど、会場でご覧になった方の話では、O.V. ライト本人は病気でガリガリに痩せ細り、バックビート盤のジャケットなどで見る姿とは全く違っていたらしい。

 

 

『ライヴ・イン・ジャパン』で聴ける歌声も、ゴールドワックスやバックビートでの録音などと比べると、確かにか細いというか、かなり頼りないのかもしれない。O.V. は翌1980年に亡くなっているから、やはり具合はよくなかったんだろう。それでも悪くないんじゃないかと思えてならないんだよね。

 

 

『ライヴ・イン・ジャパン』が悪くないと思えるのは、おそらくバックのリズム・セクションが最高のハイ・リズムだということも、大きな理由なんだろう。ベース、ギター、キーボードのホッジズ三兄弟とドラムスのハワード・グライムス、これがもうたまらんのだ。アル・グリーン関係の記事でも書いたけど、ソウル界では僕の一番好きなリズムだ。

 

 

その絶品のリズムに乗せて歌うO.V. 本人の歌声そのものも、悪くないというか、バックビートやこれ以前のハイのアルバムと比べても、遜色ないように聞えてしまうのは、これが僕が一番最初に聴いたO.V. のアルバムだったということと、日本でのライヴ録音であるという贔屓目で聴くせいなのか?

 

 

『ライヴ・イン・ジャパン』を『ライト・スタッフ』との2in1で買って聴いたのが、多分1990年代前半のこと。これでO.V. ライトに惚れてしまったので、いろいろと他のCDも探して買いたいと思ったけど、当時はまだそんなにたくさんは買えなかったはず。ハイのアルバムが少しだけだった。

 

 

調べてみると、ハイ以前のバックビート録音の諸作が最高だということが言われているのだけど、これがボックス・セットになって簡単に買えるようになったのは、その10年後くらいだったように記憶している。その前に一度同じボックス・セットが出ていたらしいのだが、それは見逃していた。

 

 

でも『ザ・ソウル・オヴ・O.V. ライト』という18曲入り一枚物アンソロジーがあって、これがバックビート録音集。僕の持っているMCA盤(日本盤)を見てみたら1993年リリースになっている。これをよく聴いていた。一曲目が彼の最大のヒットらしい「ユア・ゴナ・メイク・ミー・クライ」だ。

 

 

この代表曲は日本でのライヴ盤でもやっているし、また日本ライヴの一曲目である「アイド・ラザー・ビー・ブラインド、クリップルド・アンド・クレイジー」が二曲目だし、その他多くの代表曲が入っている。しばらくはこの『ザ・ソウル・オヴ・O.V. ライト』で満足していたというか、これしかなかったし。

 

 

バックビートのボックス全集を僕が買えたのは、21世紀になってからだったと思う。元のアナログ盤でお聴きの方々からは、いろいろと注文を付けたい部分もあるらしいけど、ムチャクチャ遅れてきたサザン・ソウル・リスナーの僕にとっては、このボックスはもう完全なる宝なのだ。オリジナル・ジャケットだし。

 

 

調べてみたら、僕の買ったのは2007年発売の日本盤ボックス。そして1990年に一度同じボックスが出ているようだ。その頃O.V. ライトを聴いていれば、当然その時に買ったはずだけど。まあ2007年のはリマスター作業が施されてはいるようだけど、1990年のとどれくらい違うかは分らない。

 

 

六枚入っているバックビート盤。どれも何度も繰返し愛聴しているんだけど、僕の耳には1971年の『ア・ニックル・アンド・ア・ネイル・アンド・エイス・オヴ・スペイズ』が一番いいように聞える。いやいや、他のアルバムも全部よくて甲乙付けがたいけど、敢てこういうことを考えるのが僕の悪弊かも。

 

 

以前も書いているように、サザン・ソウル歌手、特に男性歌手はイマイチ聴いていない僕だけど、O.V. ライトはいろんな意味でサザン・ソウルの理想型なんだろうなあ。前にも書いたように、一番好きなサザン・ソウルの男性歌手はスペンサー・ウィギンズなんだけど、これは完全なる個人的好みでの話だ。

 

 

深いゴスペル・フィーリングを基盤にしたディープな歌唱表現。そこに<悪魔の音楽>であるブルーズを掛合わせたような O.V. ライトの歌い方は、アメリカン・ブラック・ミュージックとして、これ以上ない素晴しいものだ。サザン・ソウルの男性歌手で、O.V. 以上の素晴しい人がいるのだろうか?

 

 

なお、O.V. ライトのゴールドワックスへのシングル録音は、『ザ・コンプリート・ゴールドワックス・シングルズ』が英エイスから2001年以後リリースされた時に、これに収録されているのを聴いたけど、これも最高だね。「ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ」は、これがオリジナル録音。

 

 

おそらくオーティス・レディングのヴァージョンで世界中で有名になったであろう「ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ」だけど、オーティスに特に思い入れのない僕にとっては、この名曲は、1964年O.V. ライトのゴールドワックスへのシングル録音こそが至高のヴァージョンなんだよね。

 

 

僕だって最初に聴いた「ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ」はオーティス・レディングのヴァージョンだったし、O.V. ライトのだって、『ライヴ・イン・ジャパン』で歌っているのを最初に聴いたわけだけど、ゴールドワックスのシングル録音を聴いたら、これこそ最高と思うようになった。

 

 

ただ、O.V. ライトに関しては、書いたように『ライヴ・イン・ジャパン』のヴァージョンだって悪くないぞと思っている。力強く心を鷲掴みにされるのはゴールドワックス録音だけど、東京ライヴのヴァージョンは、ある意味こっちの方が聴き手の心を打つ絶唱で、たまらなく胸に迫るんだよなあ。

 

 

O.V. ライトのライヴ盤は1979年『ライヴ・イン・ジャパン』しかないはずだし、これを高く評価するのは日本のファンだけかもしれない。だけど、収録されているのが代表曲ばかりだし、書いたように伴奏のハイ・リズムが最高だし、冒頭のMCに続いてバンドの音が鳴り始めた瞬間に、今でもゾクゾクする。

 

 

O.V. ライト本人の歌だって、その絶品のハイ・リズムに乗って、いい感じじゃないか。1979年9月の時点での持てる力の限りを尽して声を出している。絶唱とはまさにこの『ライヴ・イン・ジャパン』のことだ。贔屓目に見ているのかもしれないけど、個人的には、こういう歌が最高に心に沁みるね。

« ジャズの黄金時代は1920年代だ | トップページ | 卵の殻の上を歩く男 »

リズム&ブルーズ、ソウル、ファンク、R&Bなど」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: O.V. ライトの絶唱:

« ジャズの黄金時代は1920年代だ | トップページ | 卵の殻の上を歩く男 »

フォト
2024年3月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ