« 「レッツ・ステイ・トゥゲザー」とジミー・スミス | トップページ | 大は小を兼ねる »

2016/01/01

ハリージの新星(でもない)モナ・アマルシャ

1440x1440sr

 

A2b2b9a74894abcfe2ad33f576490fc111

 

2400x2400sr

 

 








昨年9月3日にこのブログをはじめた際の最初の記事が、アラブ湾岸のパーカッシヴでポリリズミックな変拍子ポップス、ハリージのことについてだったくらい好きで、だから新年一発目の記事もハリージで。そもそも僕がハリージを知ったのは、モナ・アマルシャの2011年作『ヤ・ナス・ダローニ』でだった。2012年に出た日本盤を四年前に買って愛聴していたそのアルバムを、今日なぜか突然聴きたくなった。

 

 

それで聴直していたんだけど、発見当時の驚きはもうないものの、やっぱりなかなかいいアルバムだよなあ。これで初めて聴いたハリージというアラブ圏の音楽ジャンルにも、完全にハマってしまった。僕は元々昔からパーカッシヴなリズム重視の音楽が大好きで、ハリージにハマる素地はあった。

 

 

2012年にモナ・アマルシャを知ったのは、しぎょうさんのツイートで紹介されていたからだった。面白そうと思って『ヤ・ナス・ダローニ』を買って聴いたみたら、これが最高に気持よくて、一発で気に入ってしまった。このアルバム、エル・スールで買ったものだとばかり思っていたけど、違うみたいだ。

 

 

エル・スールのサイトで探しても出てこないから。アマゾンにはある(http://www.amazon.co.jp/dp/B00DI6I8ZM/)から、そっちで買ったんだろう。僕が買ったのはこの輸入盤ではなく日本盤だったけど、今見たら廃盤だなあ。ハリージについて詳しく解説してあるから、日本盤がいいような気がするんだけど。

 

 

『ヤ・ナス・ダローニ』の日本盤解説担当の田中昌さんによれば、この2012年当時、やはりハリージは、まだ日本では殆ど紹介されていない新しい音楽のようなことが書いてある。その中では音楽のことが書いてあって、「またベリーダンスにもハリージというスタイルがあって」と書いてある。

 

 

つまり、音楽ジャンルの名称としての方が優先で、踊りの方は二の次みたいな書き方だ。だけど、その後僕が調べたところでは、どうもハリージというのは中東湾岸地方でのダンスの名称として使われている方がかなり先で、そのだいぶ後になってから音楽スタイルの名称にも使われるようになったみたい。

 

 

アラブ圏最大のレコード・レーベルはROTANAというサウジアラビアに拠点を置く会社で、僕もここからリリースされているCDをたくさん買っているけど、ハリージもいろいろとリリースしているようだ。サウジやドバイ等が、今のアラブ圏、特に湾岸地方の音楽シーンの中心地になっているらしい。

 

 

元々アラブ圏音楽シーンの中心地はエジプトだった。20世紀初頭のSP録音が始ったごくごく初期から、様々な音楽家が活躍し録音を残している。昔と言わず今だってエジプトはアラブ音楽の中心地なんだけど、アラブ圏音楽の比較的新しいスタイルは、他の地方からもどんどんと出てきているわけだね。

 

 

中東アラブ湾岸圏と言っても、音楽シーンでは、アラビア語圏ではないイラン(公用語はペルシャ語)は、通常含まれない。もちろんかつて中東で最も発展していたペルシャ古典声楽は周辺諸国に大きな影響を及し、アラブ圏ではないトルコやアゼルバイジャンの古典音楽にも、その影響は及ぶ。

 

 

そんな中東アラブ湾岸地方のポップス・シーンで、四年ほど前から活発に動いている音楽ジャンルが、派手に打楽器が鳴るハリージなんだろう。ハリージの若き歌姫モナ・アマルシャは、1988年生れだかから、2016年現在まだ28歳。傑作『ヤ・ナス・ダローニ』リリース時は24歳だった。

 

 

『ヤ・ナス・ダローニ』から、結構いろいろとYouTubeに音源が上がっている→ http://www.youtube.com/watch?v=-dQNJsL4xwE&list=PL798C21D363C911EC 興味のある方は是非ちょっと聴いてみてほしい。なかなか楽しいよ。まあポリリズミックな変拍子の曲が多いから、偶数均等拍子に慣れていると、ノリにくいけど。

 

 

現在28歳のモナ・アマルシャは、湾岸ポップスの旗手なのに、モロッコのカサブランカ出身らしい。同じアラビア語でもモロッコ方言と湾岸方言はかなり違うようで、モナが湾岸方言で歌うのは、いわば外国語で歌うようなものらしい。『ヤ・ナス・ダローニ』でも、一曲を除き全てが湾岸方言のようだ。

 

 

僕はアラビア語が分らないので、こういうのは全部いろんな日本語情報の受売りで、『ヤ・ナス・ダローニ』の中でも、解説の田中昌さんがモロッコ方言で歌っていると書いてある四曲目「オ・ルヴォア」http://www.youtube.com/watch?v=LwR8uDrX-zs を聴いても、ハリージではないことが分るだけ。

 

 

モロッコ方言で歌った(らしい)曲がハリージではない(こっちは分る)ところを見ると、やはりハリージというスタイルは、湾岸方言で歌うことと密接に結びついているんだろう。ハリージのポリリズムは、アフリカ音楽等のポリリズムとは様子が異なる。突っかかるようなヨレヨレとした感じだ。

 

 

さっき貼った『ヤ・ナス・ダローニ』からの音源を聴いて頂ければお分りになるずだけど、こういうハリージのようなリズム感覚は非常に特異なもので、だから、昔からマイルス・デイヴィスの『オン・ザ・コーナー』はじめポリリズミックな音楽が大好きで、その後もアフリカ音楽好きだった僕にも、相当新鮮に聞えた。

 

 

当然ながら僕は世界中のポリリズミックな音楽をなんでも全部聴いているわけでもなんでもないわけだけど、その狭い音楽体験の範囲内では、アラブ湾岸ポップス、ハリージのようなリズム感覚は、はっきり言って初体験で衝撃だった。どういう具合でこんな音楽が誕生したのか、凄く興味がある。

 

 

ハリージも、6/8拍子(ハチロク)を基調とするリズムで、ハチロクはアフリカ音楽などでも基本のリズムだから、それ自体は新しくも珍しくもない。ペルシャ湾岸地方では、そういうハチロク系のリズム重視の歌謡が古くからあったようだけど、ハリージのような特殊スタイルに変化したのは、いつ頃なんだろう?

 

 

そもそも湾岸地域はイスラムの戒律が厳しくて、エジプトなどと比べて、音楽活動、特に女性のそれはかなり制限されていた。それが少し変ってきてハリージみたいな特有のスタイルが出現したのは、湾岸地域の近年の著しい経済発展も大いに関係しているんだろう。それで自分達固有の音楽の必要も出てきた。

 

 

なお、ハリージが大半を占めるモナ・アマルシャの『ヤ・ナス・ダローニ』の中で、最初に聴いた時から今でも一番気に入っているのは、実はハリージではなく、ラストのバラード曲「アル・フォスタン・アルスワド」なのだ。

 

 

 

2012年(現地では2011年末)の『ヤ・ナス・ダローニ』が日本デビューになったモナ・アマルシャだけど、これが三作目で、2008年の一作目『モジャバ』、2009年の二作目『サナ・ウーラ・ホブ』がある。僕が探した限りでは、日本ではCDを売っている店がなく、iTunes Storeにしかないね。

 

 

もちろん現地から直接買付ければいいんだろうけど、残念ながら僕はそういうルートを持っていないし、開拓する気力もないので、iTunes Storeで買った。それで最近ようやく聴いたんだけど、デビュー作2008年の『モジャバ』は、まだどうってことない感じだ。パーカッシヴではあるけれども。

 

 

2009年の二作目『サナ・ウーラ・ホブ』になると、かなり良くなってきていて、これなら人気が出るのも納得だね。こっちも派手にパーカッションが鳴っていてリズム重視の曲が大半を占める。まだそんなにポリリズミックでもないから、ハリージと呼ぶのはためらってしまう。出来のいい作品だけど。

 

 

この二つ、どこかCDを入荷してくれるお店は日本にないものか。エル・スールさん、どうですか? iTunes Storeで買って聴きはしたものの、やはりCDが欲しいね。そうこうしているうちに、『ヤ・ナス・ダローニ』も2011年作だから、そろそろ新作を出してくれそうな気もするけどさ。

« 「レッツ・ステイ・トゥゲザー」とジミー・スミス | トップページ | 大は小を兼ねる »

音楽(その他)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ハリージの新星(でもない)モナ・アマルシャ:

« 「レッツ・ステイ・トゥゲザー」とジミー・スミス | トップページ | 大は小を兼ねる »

フォト
2024年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ