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2016/02/01

60年代サイケへのレトロスペクティヴ

Unknown

 

Albumapimom













いつ頃のことだったか『オースティン・パワーズ』という映画があって、古い洋楽ファンにはいろいろとたまらない映画だったんだけど、憶えている人はどれくらいいるのだろうか?『オースティン・パワーズ』、僕はそうでもなかったんだけど、元妻が観たいというので、一緒に映画館に行った。

 

 

元妻は、ただのスパイ映画だという情報しか持っていなかったらしく、楽しいドタバタ・コメディ風だというので、それで観たかっただけらしい。僕はといえば、高校生の頃から007シリーズのファンだったので、そういうことならいいかなと思ったのだった。ところがいざ観てみたら、これが完全に僕好み。

 

 

映画の本筋(というものもあってないような感じだったような)は、007映画のパロディのような内容で、英国の諜報部員である主人公のオースティン・パワーズが、敵役のドクター・イーヴルと戦いを繰広げるとか、そんなもので、スパイ映画としては、はっきり言ってどうってことないようなものだった。

 

 

もちろん『オースティン・パワーズ』の制作者も、ストレートなスパイ映画を目論んだものではない。007シリーズをはじめとする、完全なる1960年代英米文化へのオマージュとパロディで出来上っているような映画で、あらゆるとこころにそういう仕掛が施されていたけど、音楽とあまり関係ない部分は省略。

 

 

映画館で観た時に僕が一番グッと来たのは、『オースティン・パワーズ』で使われている音楽だった。書いたように1960年代英米文化へのオマージュとパロディが主眼の映画だから、その頃の英米ポピュラー音楽がたくさん使われていて、本当に楽しかった。観たいと誘った妻はそうでもないようだった。

 

 

映画本編でどんな風に1960年代英米ポピュラー音楽が使われていたかは大部分忘れてしまった。ただ一つ憶えているのが、オースティン・パワーズ役のマイク・マイヤーズの "Ladies and gentlemen, Mr. Burt Bacharach!" という言葉に導かれて、バカラック本人が登場するところだけ。

 

 

なにか川の上のボートの中みたいな場所(と思ったら、トレイラーの上だったようだ)で、ピアノ?のようなものを弾きながらバート・バカラック本人が一つ自分の曲を歌ったのだった。なにを歌ったかは忘れてしまったけど、今持っているサントラ盤を見ると「ワット・ザ・ワールド・ニード・ナウ・イズ・ラヴ」が入っているから、それだったのかも。

 

 

サウンドトラック盤でその「ワット・ザ・ワールド・ニード・ナウ・イズ・ラヴ」を聴き返すと、なんともいえない懐かしい気分が蘇ってくるから、おそらくこれを映画本編でも歌っていたんだろうね。ハル・デイヴィッドが歌詞を書き、最初ディオンヌ・ワーウィックが1965年に歌った曲だ。

 

 

そのバカラックの登場は、物語の本筋とはなんの関係もない唐突なものだったように憶えているけど、はっきり言って『オースティン・パワーズ』は、そんな脱線ばかりの映画で、しかもそれらはことごとく1960年代英米ポピュラー・カルチャーへの言及だった。だから物語の本筋を憶えていないんだね。

 

 

バカラック登場シーンでの紹介の仕方を見ていると、彼に対するリスペクトの情がヒシヒシと伝わってきて、『オースティン・パワーズ』制作者の並々ならぬバカラックと古い洋楽への愛情がよく理解できて、僕は凄く嬉しかった。あの時映画館で観ていた観客が、それをどれだけ理解していたか知らないが。

 

 

動くバート・バカラックを観たのは、この時が初めてだったように思う。というかそれ以後も動くバカラックは観ていないかもしれない。レー・クエン関係で以前書いたけど、僕はバカラック・サウンドが大好きで、昔は特に映画で使われている曲が好きだった。今はCDをたくさん持っていて愛聴している。

 

 

今調べてみたら、『オースティン・パワーズ』は1997年の映画だ。人気が出たらしく三作目まで制作されているけど、二作目以後は僕は観ていない。一作目を観て面白いと思った僕は、ネット上をはじめいろんなところで、どれほど面白かったか、古い洋楽のファンは観るべき映画か、強調していた。

 

 

観たのも一作目だけだし、音楽が面白かったから即買ったサウンドトラック盤CDも一作目のものしか持っていないけど、それに入っているクインシー・ジョーンズの「ソウル・ボサ・ノーヴァ」は、シリーズ三作品を通しての共通したテーマ・ソングになっていたようだ。サントラ盤も楽しくて、愛聴盤だ。

 

 

そのサントラ盤には、バート・バカラックの曲からもう一つ「ルック・オヴ・ラヴ」が入っている。この曲はバカラック・ナンバーでは、僕が一番好きな官能的な曲なのだ。「ルック・オヴ・ラヴ」がバカラックで最高だというのが僕だけでないことは、実にいろいろとカヴァーされている事実からも分ることだ。

 

 

『オースティン・パワーズ』サントラ盤に入っている「ルック・オヴ・ラヴ」は、ダスティ・スプリングフィールドの歌うヴァージョンではない。権利関係から当然使えないはず。歌っているのはバングルズのスザンナ・ホフスだ。バングルズも、実を言うと、このスザンナ・ホフスを調べていて初めて知った。

 

 

映画本編でどう使われていたか記憶は全くないけど、サントラ盤CDで気に入った曲がいくつもある。ストロベリー・アラーム・クロック(1967-71)の「インセンス・アンド・ペパーミンツ」(67)などがそうだ。セルジオ・メンデスの「マシ・ケ・ナダ」などは既に知っていた曲だったけど。

 

 

『オースティン・パワーズ』も、映画自体は一回しか観なかったし、今もDVDなどは持っていないけど、サントラ盤CDだけは今でも時々聴き返すと楽しい。先に書いたストロベリー・アラーム・クロックというロサンジェルスのサイケデリック・ロック・バンドも、それで知って聴くようになったバンドなのだ。

 

 

もっともストロベリー・アラーム・クロックは、サントラ盤にも入っている「インセンス・アンド・ペパーミンツ」以外は、個人的にはあまりパッとしないようにも思うけど。ロサンジェルスのバンドでこの曲が1967年だから、まさにサイケデリックど真ん中だ。

 

 

 

これもサントラ盤に入っているスウェーデンのロック・バンド、カーディガンズの「カーニヴァル」もいい。このバンドは1990年代のバンドで、「カーニヴァル」も95年の曲だから、映画の直前にリリースされたものだ。でも雰囲気は完全に60年代レトロ調。

 

 

 

 

カーディガンズが1960年代レトロ調だというのは、「カーニヴァル」という曲のサウンド自体がそうだけど、今貼ったオフィシャル・ヴィデオでご覧になれば、バンドのファッションも完全にそうだというのが分るはず。『オースティン・パワーズ』という映画やそのサントラ盤は、こんなのばっかりだ。

 

 

『オースティン・パワーズ』も、今ではDVDでリリースされているはずなので、もし興味をお持ちでご覧になりたいという方は観てほしい。また映画本編にはあまり興味なくても、1960年代の古い洋楽のファンの方なら、間違いなく気に入っていただける内容のはずなので、サントラ盤だけでも是非。

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コメント

私はテレビで見ました。つれは一言「下品すぎて嫌い!」。バート・バカパック出てましたね。「ルック・オブ・ラブ」といえば、これもおバカ映画アメリカ版の007「カジノロワイヤル」で使用されたサントラですね。オースティン・パワーズもこの映画のパロディーだと思います。

TTさん、確かにモロそのまんまエッチな描写もたくさんありましたからねえ。まあそこも含め、全部いいんですが。

そうなんです。次からは「つれ」抜きで、一人でこっそり見てます。

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