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2016/03/16

マイ・ベスト・コンピ作成癖

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Dylansleeve









高校生の頃からマイ・ベスト・カセットを作るのが大好きな僕。パソコンの音楽アプリなんかまだなかった時代は、当然レコードやCDから入れたい曲だけ選んで入れたい順番で、カセットテープやMDにダビングしていくしか方法がなかったので、そうやっていたわけだが、これが楽しくてたまらなかった。

 

 

記憶では一番最初にそういうマイ・ベスト・カセットを作ったのは、高二の時に高知県に住むペンパル(死語?通じないかも?)に、レッド・ツェッペリンをプレゼントしようと思って、それで自分でいいと思う曲ばかり選んで入れたコンピレイション・カセットテープを作って送ったのがきっかけだった。

 

 

その作業自体が楽しかったので、その後他人にプレゼントする時はもちろん自分で楽しむだけの目的でも、どんどんそういうコンピレイション・カセットを作るようになった。最初は特定の音楽家のベストを作っていただけだったのが、ある時期以後は音楽家やジャンルの枠を超えて取混ぜたものも作るようになった。

 

 

僕が小学生低学年の頃に、祖父が浪曲のレコードを聴くために購入したステレオ装置には、カセットデッキ(それ自体まだかなり珍しかった)を接続できなかったはずなので、小さなラジカセをスピーカーの前に置いて、それで空中で音を拾っていたのだった。書いた高知県のペンパルに送ったマイ・ベスト・カセットもそうやって録った。

 

 

大学生の頃にステレオ装置に接続するカセットデッキが普及するようになって、よくよく見てみたらその祖父の買ったステレオ装置(祖父は僕が中学生の時に亡くなったが、僕はこれで大学卒業までレコードを聴いていた)に繋げることができたので、それに繋いでライン録りでカセットにダビングできるようになった。

 

 

それでどんどん作っていたのだが、一番活発にやっていたのがおそらく上京後の1980年代半ばから90年代前半くらいかなあ。その時期に、流通する音楽メディアの主流がLPからCDになったけど、そうするとCDプレイヤーにフェイドイン/フェイドアウト機能のあるものを買ったので、ますます面白くなった。

 

 

それで音楽家やジャンルの枠を超えて様々に混在するコンピレイション・カセットをたくさん作っていて、一時期100本以上あったように思う。1980年代半ば頃から買う音楽の種類が劇的に拡大したので、どんどん面白くなっていって、既製品のLPやCDを聴くより自作のコンピを聴く頻度の方が高かったくらい。

 

 

つまり以前も書いたように、僕はオリジナル・アルバムの曲順とか流れとかいうのものをあまり重視せず、曲単位で抜出して並べていたわけだから、ある意味ではちょっといわゆるDJ的な感覚を持っていたのかもしれない。DJといえばCDJだけど、ある店で一度だけやったことがある。2000年頃。

 

 

そのCDJを新宿某店でやった時も、選曲し曲単位で並べる準備をするのが楽しかったもんなあ。ジャズやソウル・ジャズやジャズ・ファンクやフュージョン系などの類のものから踊れそうなものばかり選んで並べて、その中には僕の考えではやや踊りにくいと思う1970年代のマイルス・デイヴィスも入れた。

 

 

その2000年頃には既にMacを使っていたけれど、僕はやや古めの機種とOSを長年引っ張ってしまっていたため、iTunesなどの音楽アプリはまだ使っておらず、ネット上で飛交う「CDリッピング」という言葉も、言葉の意味自体は分ってもどういう行為なのかピンと来ていなかった。

 

 

だいたい当時僕が使っていたPowerBook2400cにはCDを読込む光学ドライヴが付いておらず、アプリケイションのインストールなどにCD-ROMを読込む必要がある際には、SCSI接続の外付CDドライヴを繋げなくちゃいけなくて、音楽CDなどは再生すらできなかったもんなあ。

 

 

だからその頃はオーディオ装置だけでCDを聴き、マイ・ベスト・コンピレイションはまだカセットで作っていた。PowerBook2400cがダメになって新しいMacを購入したのが2004年で、OSがMac OS 7.6.1から一足飛びに OS X 10.3.6になり、最初からiTunesが入っていた。

 

 

光学ドライヴも標準搭載だった(これはMacでは最近標準では廃止され,、純正だけど外付になった)ので、それで僕はかなり遅れて2004年になってようやく「CDリッピング」なるもののやったのだった。まあ遅かったよね。やってみると、マイ・ベスト・コンピレイションを作るのが拍子抜けするほど簡単。

 

 

そんなに簡単になったのなら、コンピレイションを(今度はCDRで)一層たくさん作るようになったのかというとその逆で、以前ほどは熱心にやらなくなったというのはなぜだったんだろうなあ。一つにはCDを買う量も買う音楽のジャンルもどんどん拡大する一方なので、それをこなすので精一杯というのもある。

 

 

あとなんだろうなあ、普通の多くのというかおそらく僕以外のほぼ全ての音楽リスナーと違って、僕は逆にその頃からオリジナル・アルバムの有り様をじっくりと味わって聴き込みたいと思いはじめるようになって、アルバムから一曲単位で抜出して、独自に並べることにあまり積極的でなくなったのかもしれない。

 

 

それでも、例えばマイルス・デイヴィス関係やその他いろいろと出る大規模なボックス・セットなどは、一度に全部通して聴くなどは不可能に近いし、しかもそもそもアルバム単位の流れなんてものが存在しないものなんだから、何日かかけて一度通して聴いたあとは、いろいろと一曲単位で取りだして聴いている。

 

 

そしてiTunesにそういうボックス・セットを取込んだものから、自分好みの曲だけを一枚のCDR分の長さになるように抜出して並べたプレイリストを作ってCDRに焼き、普段頻繁に聴くのはボックス・セットではなくそうやって作った一枚物CDRの方なのだ。マイルスに限らずボブ・ディランでもなんでも大がかりなボックス・セットはほぼ全部そう。

 

 

どっちも同じレガシー(コロンビア系)から出るマイルスとボブ・ディランは、近年そんなボックス・セットばかりどんどん出るので、なかなか六枚組とか十枚組とか普段はそんなものは聴けないよねえ。だから僕なりにそういうボックス・セットを楽しむやり方として、コンピレイションCDRを作るというわけ。

 

 

ディランの方は、『ザ・ベースメント・テープス・コンプリート』からも『ザ・カッティング・エッジ 1965-1966』からも、それぞれ二枚組のベスト盤みたいなのが出ているけれど、それは買わずに自分でチョイスしてマイ・ベストCDRを作っているんだよね。

 

 

以前も書いた通り、アクースティック時代とエレクトリック時代に分けたマイルスのブルーズ・コンピレイションなどは、ボックス・セットからではないけれど何年も前から興味本位で作って楽しんでいるし、その他気に入った音楽家のベストなども作って他人にプレゼントすることもある。

 

 

また僕の場合、この曲だけいろんな音楽家のやったいろんなヴァージョンを聴きたいと思うことがあって、「ラ・パローマ」はこれだけ集めた商用CDが六枚出ているからそれで助かっているけど、「シボネイ」とか「ヤ・ラーヤ」とか「ベチャ・バイ・ゴーリー・ワウ」なども、大好きだから自分で集めている。

 

 

だけど「ラ・パローマ」以外の曲で、同じ曲ばかりいろんなのを集めた商用CDは売っていない(はず)なので自分で作るしかなく、従ってやはり「シボネイ」集、「ヤ・ラーヤ」集、「ベチャ・バイ・ゴーリー・ワウ」集などのプレイリストが僕のiTunesには存在する。これも一種の私家製コンピレイションだよね。

 

 

かつては音楽家の枠を超えていろんなジャンルのいろんな人の曲を混在的に並べたマイ・ベスト・カセットをたくさん作って聴いていたけど、現在音楽家の枠を超えたプレイリストを作っているのは、そういう「シボネイ」とか「ヤ・ラーヤ」とか「ベチャ・バイ・ゴーリー・ワウ」などの大好きな一曲単位のものだけになったなあ。

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