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2016/03/14

マイク・ブルームフィールドのブルーズ・ギター

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みんな大好きアル・クーパー+マイク・ブルームフィールド+スティーヴン・スティルスの1968年『スーパー・セッション』。僕も最初にこのレコードを買って聴いた時から大好きで、特にA面一曲目の「アルバーツ・シャッフル」。いろんな音楽を聴いた後にこれを聴くと、なんかホッとするんだよね。

 

 

まあやっぱり僕はブルーズ・ファンってことなんだろうね。特に最初に出るマイク・ブルームフィールドのギターはタマランね。カッコよすぎるぞ!米英日問わず非黒人ブルーズ・ギタリストでは個人的にはこの人が断然トップだ。最近のエリック・クラプトの弾くブルーズなんかよりもはるかに魅力的だよね。

 

 

 

『スーパー・セッション』はアル・クーパーの構想に基づくもので、彼はアルバム全編通してオルガンやギターなどを弾いているけれど、マイク・ブルームフィールドはA面のみで、B面はスティーヴン・スティルスと分けられている。スティルスも好きだけどやっぱりマイク・ブルームフィールドだなあ。

 

 

アル・クーパーとマイク・ブルームフィールドは、おそらくボブ・ディランの1965年『追憶のハイウェイ61』で一緒に録音したのが最初の出会いだったようだ。あれっ、同年のニューポート・フォーク・フェスティヴァルでのパフォーマンスの方が先だっけ?調べてみないと正確なことは分らない。

 

 

あのボブ・ディラン1965年のニューポート。僕にはアル・クーパーの印象は全然なくて(だってかすかにしか聞えないし)、完全にマイク・ブルームフィールドの弾くエレキ・ギターにやられちゃったんだよなあ。なんてカッコいいんだ!

 

 

 

この「マギーズ・ファーム」は、CDでは僕は『ノー・ディレクション・ホーム』という二枚組サウンドトラック盤で愛聴している。この当時マイク・ブルームフィールドは、バターフィールド・ブルーズ・バンドの一員で、ディランのこれにも、同バンドからサム・レイとジェローム・アーノルドも参加している。

 

 

つまり、ディランの電化路線転向(「転向」というのもちょっと違うと以前も書いたが)は、ブルーズ・ルーツあることを必然的に示してもいた。またあの時のディランのバックでドラムスを叩いたサム・レイは黒人で、それまでディランの支持層だった人達がヤジを飛ばしたのは、運動の趣旨と矛盾していた。

 

 

ディランの1965年ニューポートはともかくとして、マイク・ブルームフィールドが在籍していた時代のバターフィールド・ブルーズ・バンドは、白人ブルーズ・バンドでは個人的に最も好き。一枚目と95年リリースの未発表集『オリジナル・ロスト・エレクトラ・セッションズ』が最高に素晴しいよねえ。

 

 

そんなこんなで大好きなマイク・ブルームフィールドが、ディランとのセッションを通して知合ったアル・クーパーと組んだ『スーパー・セッション』は、アル・クーパーのオルガンも『追憶のハイウェイ 61』で気に入っていた僕には、期待度マックスだったのだった。そしてその期待値を上回る出来。

 

 

『スーパー・セッション』は、エレクトリック・ベーシストのハーヴィー・ブルックスをちゃんと知った最初。マイルス・デイヴィスの『ビッチズ・ブルー』で弾いているから聴いてはいたけど、あそこでは地味で堅実な脇役に徹しているから、エレベの上手さはイマイチ分りにくい。

 

 

ハーヴィー・ブルックスのことは省略するけど、当時おそらくエレクトリック・フラッグで活動していた時期で、『スーパー・セッション』では同バンドからバリー・ゴールドバーグも起用している。全部ブラッド・スウェット&ティアーズを辞めたばかりのアル・クーパーの構想だった。

 

 

そんなわけだから、言ってみればスーパー・バンドの走りみたいなもんで、しかもあのアルバムはインストルメンタルなブルーズ、あるいはブルーズ・ルーツなナンバーが多いから、その意味でも完全に僕好み。基本六人で演奏しているけど、一部ホーン・セクションの演奏がオーヴァーダビングされている。

 

 

超カッコいい一曲目の「アルバーツ・シャッフル」でもホーン隊が入っていて、アル・クーパーのアレンジだし、ブラス・ロックのバンドにいたんだし、入れても不思議ではないけど、僕にはちょっと邪魔に聞えちゃうんだよね。ホーンさえ入ってなければ「アルバーツ・シャッフル」は文句なしだったのに。

 

 

そう思いながら長年聴いていたら、21世紀になってからのリイシューCDに、ボーナス・トラックとしてそのホーンを抜いた「アルバーツ・シャッフル」が収録されるようになって、これは嬉しかった。聴いてみたら、ホーン入りのを長年聴き慣れてしまったせいか、なんだかちょっぴり寂しいような気も(苦笑)。

 

 

 

マイク・ブルームフィールドこそが僕の目当だったので、スティーヴン・スティルスが弾くB面の方はA面ほどには聴いていない。ボブ・ディラン・ナンバーなんかもやっているけど、それより二曲目の「魔女の季節」とかラスト・ナンバーの「ハーヴィーズ・チューン」がいいんじゃないかなあ。

 

 

「ハーヴィーズ・チューン」のホーンはオーヴァーダビングじゃなくて、最初から入っているというかホーン・アレンジが主体のインストルメンタル・ナンバーで、二分程度の短い曲だけど、僕好み。これを書いたのは曲名通りハーヴィー・ブルックスだけど、ホーン・アレンジもアル・クーパーじゃなく彼なのだろうか?

 

 

やはりインストルメンタル部分が多いB面だけど、それでもA面よりはヴォーカルがあって、今聴くとB面だって悪くない。特にハーヴィー・ブルックスのエレベはB面の方が分りやすい(特に「魔女の季節」)。でもやっぱり何度聴いてもA面のマイク・ブルームフィールドのブルーズ・ギターがカッコイイ。

 

 

『スーパー・セッション』のライヴ篇とでもいうべき四ヶ月後の録音『フィルモアの奇蹟』(The Live Adventures of Mike Bloomfield and Al Kooper)。ここでもアル・クーパーとマイク・ブルームフィールドが中心。この二枚組の方がより素晴しいこれをよくコピーしたという人が、かつての僕の音楽仲間にも一人いた。「フィルモアごっこ」と呼んでいたそうだ。

 

 

もちろん僕も好きなんだけど、個人的には『スーパー・セッション』の「アルバーツ・シャッフル」みたいな超カッコいい曲はあまり聴けないように思うんだなあ。ヴォーカルも取るマイク・ブルームフィールドのギターも、なんだかイマイチ調子が出ていないようにも聞えるけれど、僕の気のせいなんだろうか?

 

 

それよりこの1968年9月のライヴは、レイ・チャールズとかザ・バンドとかブッカーT&MGズとかの曲もやっているし、また直後に自分のバンドでのラテン・ロックで一世を風靡することになるカルロス・サンタナの、おそらく最も早い時期の録音として聴くのが一番面白い聴き方かもしれないよねえ。

 

 

二枚目B面一曲目の「ディア・ミスター・ファンタジー」の中では、ビートルズの「ヘイ・ジュード」のメロディがちょっと出てくる。どこにも書いていないはずだけれど、間違いない。またブルーズ演奏という点では、二枚目B面二曲目のアルバート・キング・ナンバーが一番カッコイイよね。

 

 

そんなこんなでいろいろと楽しい二枚組ライヴ・アルバム『フィルモアの奇蹟』ではあるけれど、個人的にはこれに先立つスタジオ・アルバム『スーパー・セッション』の特にA面がブルーズ一本槍な感じで、マイク・ブルームフィールドも絶好調で、ブルーズ耳な僕としてはこっちの方が好きなのだ。

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