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2016/05/31

黙ってザッパを聴いてくれ

Unknown

 

Burntweenysandwich900









僕がそうであるようにジャズ・ファンってのは屁理屈ばっかりこね回すのが多くて、これ以上扱いにくく面倒くさい音楽リスナーもいないだろうなあ。ロジカルとかいうんじゃないね、単にありもしない屁理屈をこね回しているだけ。要するにイチャモンだね、僕も含めてジャズ・ファンはみんな。

 

 

僕のことはともかく、ジャズ・ファンの多くが理屈っぽくて議論好きというのは否定できない傾向だろうと思う。タバコを完全に辞めた1991年以後行ってないから今は知らないが、かつてのジャズ喫茶でも激しい議論が頻繁に飛交っていた。専門家じゃなくて一般のファンの間での話。

 

 

それはそうとジャズ喫茶のコーヒーってどの店のも美味しくなかったよね。なかにはかなりひどいというか飲めたもんじゃないような店もあったなあ。僕は大のコーヒー好きで昔からこだわりが強いもんだから、あれだけがちょっとなあ。もちろんみんなコーヒーの味を求めてジャズ喫茶に行くわけじゃないけどさ。

 

 

僕がジャズ喫茶に通いはじめるのはジャズに夢中になった1979年の直後なんだけど、その頃知合った店のマスターや年上の常連客の方々から聞いた話では、激しい議論はその当時には既に下火になっていて、盛んだったのは60年代後半〜70年半ばまでだったらしい。しかし下火であんな具合じゃなあ。

 

 

僕がジャズ喫茶に通いはじめた頃だって結構活発な議論というか罵詈雑言も飛交っていたから、あれで下火だったんだとすると1960後半〜70年代半ばまではどんなものだったのか、想像しただけで恐ろしくなる。というのはウソで、僕の場合むしろ楽しみでゾクゾクする。そんな環境に身を置きたかったよ。

 

 

インターネット普及前からこうだったので、ネットが普及して最初はパソコン通信で同好の士が集る音楽フォーラムのなかの会議室があることを知るや、僕はまさに水を得た魚、音楽の話であればどこにでも首を突っ込んで誰にでも絡みまくっていたもんね。

 

 

それが1995年にはじまったことで、そうなってみて改めてジャズ・ファンは理屈っぽい、ありもしない屁理屈ばっかりこね回すというのを再確認したのだった。だって音楽フォーラムのジャズ系会議室に来るアクティヴ・メンバーはほぼみんなそうだったもん。世代も関係ないみたいだ。

 

 

そしてジャズ系以外のいろんな音楽会議室にもどんどん顔を出し、というより僕が普段棲息していたのはNiftyのFROCKL18番会議室「ロック・クラシックス会議室」だったから、ジャズより1950〜70年代のロックやそれに関連する様々なブラック・ミュージックの話題が中心だった。

 

 

そうしていろんなファンの方々といろんな音楽の話をするようになって、それで僕は初めて気が付いたのだが、ジャズ・ファンと同じくらい理屈っぽい音楽リスナーがいるんだよね。それはフランク・ザッパ・ファンだ。ザッパの熱心なファン、ザッパ・マニアもかなりロジカルというか屁理屈ばっかりだ(笑)。

 

 

ザッパ・マニアは理屈っぽい、難解な話をこね回すという典型例が、お名前は直接出しにくいんだけれど例の大部なザッパ本をお書きになった方とかじゃないかなあ。ああいう方は極端な例なのかもしれないが、僕が今までネット上でもそれ以外でも話をしたことのあるザッパ・ファンはみなさんほぼ同様。

 

 

ザッパ・ファンもみなさん頭が切れる、というと褒めているみたいに見えるかもしれないが、難しい話をあまりザッパを聴いていない方々にもふっかけて、こうこうこうだから従ってザッパのこのアルバムを聴けと勧めるので、多くの場合敬遠されていたなあ。それをザッパ・ファン自らは「布教活動」と呼んでいた。

 

 

その布教活動をネット上で熱心にやるので、かえってザッパの音楽そのものは遠ざけられてしまい、ザッパを聴いていない音楽リスナーの方々は「どうやらフランク・ザッパという人の音楽はなんだか凄く難しそうだ」とか「ヘンなことを言うと怒られそうだ」とか思ってしまうらしい。

 

 

実際1990年代後半パソコン通信をやっていた頃は、僕も含めザッパ好きの間では話が盛上がるものの、それ以外の方々は恐ろしそうに遠巻きにそれを眺めていてなにも口を挟まないというのが通例。ザッパ・ファンがこのアルバムはいいから聴いてくれと言っても、だいたい無視された。

 

 

これはジャズの場合とよく似ているよね。知合ったばかりの方に音楽はどんなのを聴くんですか?と尋ねられジャズが多いですかねと言うと、「ジャズはなんだか難しそうですから聴かないです、私はポップスですね」と言われることを数年前にも体験した。これはおそらく世間一般のイメージだ。

 

 

もちろんよくお聴きのファンならご存知の通り、ジャズもザッパも別に難しくなんかない。ただひたすら美しかったり楽しかったりするだけの音楽であって、それは他のどんな音楽とも違うところはない。実際ちょっとでも本当にいいものを聴いてもらえれば納得していただける場合が多い。

 

 

だから食わず嫌いなだけなんだけど、しかしこれは僕らジャズ・ファンやザッパ・ファンの側にも責任があるよな。難しい理屈をこね回し、だれかれ構わず議論をふっかけて面倒くさいことを言って煙に巻き、肝心の音楽がどんなに美しくて楽しいものなのを分りやすい言葉で説明するということをしない。

 

 

これじゃあダメだ。ジャズ・ファンやザッパ・ファンが減る一方だ。ジャズの場合はJTNC系ライターのみなさんのおかげでここ数年はファンが拡大中らしいんだけどね。あの方々を僕がもし評価できるとしたら、まさしくこの一点に尽きる。それまでジャズなんか聴かなかったリスナーの間にも拡散したという。

 

 

その一方でザッパ・ファンの数は増えているのかというと僕の目にはそうは見えないなあ。JTNCの柳樂光隆君みたいな人がザッパ界にも出現するといいんだけど、現代ジャズと違って現在進行形で新しいフランク・ザッパが進行中だとも言えない(いまだに「新作」が出るけれど、従来からのファンが買っているだけだろう)から、難しい話だよねえ。

 

 

ザッパの場合アルバム枚数がムチャクチャ多くて100枚ほどもあるから、どこから聴いていいのやら入門者が迷うというのもあるだろう。その点ではやはり100枚ほどあるマイルス・デイヴィスとちょっと事情が似ている。マイルスの場合も同様に困惑する入門者に僕もたくさん出会ってきた。

 

 

マイルスについては中山康樹さんが『50枚で完全入門 マイルス・デイヴィス』という本を出しているんだけど、「入門」のためにそんな50枚も勧めちゃダメだってば。そんなにたくさん聴かなくちゃ入門できない人なのかと思われて敬遠されるよ。せいぜい五枚とか多くても十枚くらいまでにしておかないと。僕たち音楽キチガイは好きになったら全部買っちゃうけど、そういう方が例外なんだから。

 

 

ネットをはじめて20年以上僕もいろんな方から「マイルスを聴いてみたいんだけど、凄く多いからなにから聴いたらいいのか分らないんです、どれがいいですか?」という種類の相談を受けてきた。その度に僕はいつも五枚で決めてきた。「入門」ってのはその程度じゃないと。

 

 

ザッパの場合、初心者に勧める入門盤選みたいな本とか記事とかあるのか僕は全然知らないんだけど、きっとあるんだろうね。どんなのが推薦されているんだろう?ちょっと興味があるなあ。ザッパもマイルス同様実に多彩な音楽性の持主で振幅が大きいから、選ぶのは難しいだろうなあ。

 

 

ザッパの場合は古い「武勇伝」みたいなものがいまだにはびこっているのもちょっと具合が悪い。21世紀になってからの坂田明ですらザッパという名前を聞いて、「ああ、あのステージでウンコを食べたとかいう人ですか」と即座に反応を返すくらいだから、世間のかなり大きな部分にこの種のものが残っているはずだ。

 

 

そこで僕が、というわけじゃないんだけど(だってザッパに関しては素人だから)、ザッパだって分りやすくてとても楽しいものがいっぱいあるんだということを少し書いておきたい。これは僕自身の体験に基づく部分も大きい。僕が最初に好きになったザッパは、実はジャズ・ロック的な部分じゃなくてドゥー・ワップなんだよね。

 

 

ザッパはドゥー・ワップの7インチ・シングル盤のコレクターだったことは有名(ドゥー・ワップはオリジナルでは7インチしかない世界)だけど、それを知らなくたって彼の音楽を聴けばドゥー・ワップが重要な構成要素として溶け込んでいるのはアメリカン・コーラス・ミュージックのファンなら分るだろう。

 

 

アメリカン・コーラス・ミュージックのファンはかなり多いもんね。ビーチ・ボーイズみたいな人達は大人気だし、日本でも山下達郎のような人がいて普及に努めている。そして主に1950年代が最盛期だったドゥー・ワップはその後のロックなどアメリカ大衆音楽の根底を形成している。

 

 

ザッパには1968年リリースの『クルージング・ウィズ・ルーベン&ザ・ジェツ』というアルバム丸ごと全部がドゥー・ワップというものだってあるよ。これなんか山下達郎ファンなら絶対好きになるに違いない。いろんな音楽要素が溶け込んでいるザッパだけど、ドゥー・ワップこそ一番分りやすいんじゃない?

 

 

『クルージング・ウィズ・ルーベン&ザ・ジェツ』はドゥー・ワップ・アルバムだから、最初に聴くザッパとしては好適じゃないかなあ。そうしてこのアルバムでザッパ・ミュージックの楽しさを憶えれば、例えば1970年の『バーント・ウィーニー・サンドウィッチ』だって面白く聞えるはず。

 

 

なぜかと言えば『バーント・ウィーニー・サンドウィッチ』のトップ「WPLJ」とラスト「ヴァレリー」は、これまたドゥー・ワップなんだ。このアルバムの出だしでいきなり「WPLJ」が聞えはじめた瞬間こそ、僕がザッパって楽しいんだね!と思った瞬間だった。

 

 

 

なんて分りやすくてチャーミングな音楽なんだと思ったね。アルバム・ラストの「ヴァレリー」も貼っておこう→ https://www.youtube.com/watch?v=JTdu2hFt_R0  これら二曲がアルバムのトップとラストに来て、「ザ・リトル・ハウス・アイ・ユースト・トゥ・リヴ・イン」みたいなものその他を挟んでいるわけだ。

 

 

その他いろんなところにドゥー・ワップの要素が溶け込んでいるザッパだとか、あるいはジャズ・ファンにオススメするザッパだとか、クラシック・ファンにオススメするザッパだとかいろいろあるんだけど、そういう話をはじめるとまたしても面倒くさい人だなと思われて敬遠されるだろうから、今日はやめておく。

 

 

こんな具合でどんなもんだろうか?熱心なザッパ・マニアの方々は今日の僕の文章にもいろいろと文句を付けたい部分がおありだろうけれど、とにかくきっかけとしてなにか一つでも聴いてもらわないことにはお話にならないんだからさ。音楽ってのは頭で考えて分るような理屈じゃなくて、聴いて肌で感じるものなんだから。

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